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紙面を文字化すると…
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こちら特報部 生活保護増加続く陰で…/不正より受給漏れ深刻/役所の追い返し 「恥」で申請控え 生死にかかわる恐れ
東京新聞 2012.05.26 朝刊 26頁 特報1面
人気お笑いコンビ「次長課長」の河本準一さん(37)の母親による受給が問題視されたことで、そのありように世間の注目が集まった生活保護制度。河本さんが「甘い考えだった」と謝罪会見を開いたことで、一連の騒動は落着するとしても、過去最多の受給者数を更新し続ける一方で本当に保護を必要とする人が受給できていないなど、制度が抱える問題点はそのままだ。(上田千秋)
母親の生活保護費受給に関する問題で記者会見し頭を下げる「次長課長」の河本準一さん=東京都新宿区の吉本興業東京本部で
「昔とは家族の形態が変わっており、周りに扶養を求める時代ではない。論点をはき違えた議論になって、問題の本質がぼやけてしまっている」
弁護士やNPO法人などでつくる「全国『餓死』『孤立死』問題調査団」副団長の尾藤広喜弁護士は、今回の騒動を振り返って語気を強めた。
札幌市白石区で一月、痛ましい出来事があった。姉(42)が知的障害のある妹(40)とともに自宅で亡くなっているのが見つかったのだ。姉は昨年末から今年初めにかけて脳内血腫で急死し、一人で生活するのが難しい妹も一月、衰弱の末に凍死したとみられている。
姉はわずかなアルバイト代と妹の障害者年金でやりくりしていたが、生活が苦しくなったため二〇一〇年六月から一一年六月にかけ、同区役所を三度、相談のため訪問。ところが、生活保護の受給に至らないまま最悪の結末を迎えた。
同区保護一課の佐々木博一課長は「次に来るときに申請書を出す予定になっていたのに、そのまま姿を見せなくなってしまった。対応は適切だった」と説明するが、尾藤氏は「生活保護の窓口に来ているのだから、困窮していることは明らか。すぐに申請させていればこんなことにはならなかった」と憤る。
同区では二十五年前にも、生活保護の相談をしていた三人の子どもの母親が、今回と同じく申請まで至らずに自宅で餓死した。関係者が同市に改善を呼び掛けるなどしてきただけに、「残念という感情を超えている。この二十五年間は何だったのか」(尾藤氏)。
生活保護の受給者は全国で約二百九万人、受給総額は年間三兆七千億円に上る。暴力団関係者らをはじめとする不正受給者も少なくないとみられるが、NPO法人「自立生活サポートセンター・もやい」の稲葉剛理事長は「実際に生活保護を受けているのは、必要としている人の二割から三割しかいないといわれている。不正受給よりも、受給漏れをどうするかという方がはるかに重要」と唱える。
稲葉氏は、受給漏れの原因は二つあると指摘する。一つは、役所側が支出を減らそうと、働くように促したり、家族・親族に扶養してもらうよう説得したりして、事実上追い返すケース。もう一つは、生活保護を受けることが恥ずかしい、後ろめたいという意識から申請を控えてしまうケースだという。
「このままではまた、餓死に至るような最悪の事例も出てくるだろう。ケースワーカーを増やしたり行政がやり方を改善することも必要だが、それだけでは問題は解決しない」と稲葉氏。
「一番大切なのは、社会全体が意識を変えること。生活保護に対する差別や偏見をなくし、受ける側が周りの視線を気にせずに申請できるような環境を整える必要がある」
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