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官僚の独走を防ぐ(小沢一郎/中央公論より)
小沢一郎が思い描く政治思想が、端的に綴られた文章がある。
少し古いが、2004年中央公論の9月号に寄稿された文章だ。以下抜粋する。
「戦後保守政治の哲学ともいわれる吉田ドクトリンは、長い間、自民党ならず、官僚、企業、さらには一般社会まで浸透し、日本人全体の考え方となっていた。
具体的にいうと、日本人はアメリカの占領体制に身を委ね、難しい政治課題は、すべてアメリカに任せて、自分たちは、日本国内の経済的な復興と繁栄に専念するということだ。
この吉田ドクトリンという政治思想のもとで、日本は半世紀以上が過ぎた。
ただ政治判断をすべてアメリカに委ねてしまったために、戦後体制においては、本当の意味での「政治」が存在しなかった。
金儲けに専念し、儲けたものを国民にいかに配分するかが、日本の戦後政治のすべてだった。
だから、徴税権と税を配分する権限を持つ官僚の支配が強まるのは当然だった。
ある意味、戦前以上に強力な官僚支配は、日本国の津々浦々まで及んだともいえる。
実質的な支配権を官僚が握り、政治家は富の配分によって自分の立場を守ろうとする。
業界は、その体制の中で金儲けを進める。それが政治癒着の構造だ。
政治家は、官僚の支配権とそれを維持するための仕組みを守ってやり、官僚はそのお返しとして、
政治家や業界にサービスを提供する。そうした持ちつ持たれつの関係でずっとやってきた。
『国民の主人は国民の選挙によって選ばれた政治家であって、選挙を経ない官僚ではない」「官僚は、目標なく自分たちの個別利益、あるいは役所の利益のためにやっている。カネの使い方を、国民の利益のためのカネの使い方を変えるべきである』と結んでいる。
(以上転載終了)
(以下感想)
日本は、その場しのぎの戦術はあっても、確固たる国家戦略は存在しなかった。
これには2つの理由があった。
ひとつには、国家が酷い戦争をして人々を苦しめた。国家とか国というのは、ロクなもんじゃないという考え方が主流を占めた。だから戦後、東大には国家論をやる学者がひとりもいなかった。
もうひとつは、日本はアメリカの子分だったということだ。
子分だから戦略なんていらない。むしろ邪魔ですらあった。世界をどうするなんていう大問題には一切口をはさまず、紛争があっても長い間、自衛隊を出さなかった。その代わり、官民をあげて盛んに商売をした。
西側の親分アメリカの子分として、西側相手に商売をしたのはもちろんのこと、
旧ソ連を親分とする東側とも商売をした。
東西には鉄のカーテンがあると言ったのは、チャーチルだが、日本は戦争に関与しないから、東西冷戦時代でも鉄のカーテンを透明人間にようにすり抜けて、莫大な利益を蓄えていったのだ。
金儲けに専念し、儲けたものを国民にいかに配分するかが、戦後の日本の政治のすべてだった。徴税権と税を配分する権限を持つ官僚の支配が強まるのは当然だった。
実質的な支配権を官僚が握り、政治家は富の配分によって自分の立場を守る。
産業界は、その体制の中で金儲けを進める。まさに官民政治癒着の構造が出来上がっていった。
政治家は、官僚の支配権とそれを維持するための仕組みを守ってやり、
官僚はそのお返しとして、政治家や業界にサービスを提供する。
そうした持ちつ持たれつの関係でずっとやってきた。
しかし、1991年の湾岸戦争あたりから、そのやり方が通用しなくなってきた。
2001年の9.11、その後のアフガン戦争、03年のイラク戦争と「国際貢献」の必要が叫ばれて、
イラクのサマワに自衛隊派遣とか、インド洋上での給油とかお付き合いをした。
しかし、今度は親分のアメリカが壊れてきた。イラク戦争で大失敗。サブプライムなど、親分の懐具合もガタガタになった。
だから急に親分は、いままでざんざんお前のために尽くしてきた。俺様の陰に隠れて行ってきた数々の悪事も見逃してやった。だから、俺様のためだけに何でもしろ!すぐにしろ!と恫喝し始めた。
前述の文章には、小沢一郎のブレのない政治思想が描かれている。
「アメリカからの自立」である。そして「官僚主導体制からの政治家の自立」である。
そして、ここには書かれていないが、もっとも重要なのは「日本人の個の自立」である。
「個人の主人は自分自身である」という近代的合理主義の思想である。
「国民の主人は国民の選挙によって選ばれた政治家であって、選挙を経ない官僚ではない」
「官僚は、目標なく自分たちの個別利益、あるいは役所の利益のためにやっている。カネの使い方を、国民の利益のためのカネの使い方を変えるべきである」ということだと度々述べている。
「アメリカ親分の庇護の元で67年目の春を迎えた日本、戦略なき未来やいかに」と思わずを得ない。
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