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2012.05.25 『市政改革プラン(素案)』に対する市民の取り組みをパブリックコメントに止めてはならない。橋下市長に全24区で「タウンミーティング」の開催を要求しよう、(ハシズムの分析、その21)【リベラル21】
〜関西から(64)〜
広原盛明(都市計画・まちづくり研究者)
大阪市役所にいる知人から「重大なお知らせ」が届いたのは4月下旬の頃だった。市役所では近く『市政改革プラン(素案)』(以下、「素案」という)が発表され、同時に市民にパブリックコメントを求める準備が進んでいるので、見落しがないようにとのアドバイスを受けたのだ。それ以降、市の動向をフォローしていたら、5月11日に市の意思決定機関である戦略会議で「素案」が了承され、橋下市長が同日記者会見してその内容を発表した。
ここではもう繰り返さないが、その中身たるや市政改革プロジェクトチームが4月に示した「住民サービス見直し(リストラ)試案」をほぼ踏襲したもので、橋下市長自らが記者会見の席上、「住民に不満足を与える改革案」「住民の皆さんにこれから不利益、負担をお願いする改革案」と言わざるを得なかったほどの代物だ。これを「市政改革プラン」とネーミングし、あまつさえ「新しい住民自治の実現に向けて」とのサブタイトルをつけるのだから、彼の言語感覚は並大抵のものではない。
しかしそれ以上に驚いたのは、「素案」に対するパブリックコメント(市民意見募集)の実施方法および実施期間の非常識さだ。「素案」は、概要版2頁、基本方針編37頁、アクションプラン編75頁、同別冊171頁の4部からなる300頁近い大部のもので、これに意見の記入・提出方法についての説明文や記入票までが添付されているのだから、各会派の市会議員団(議員・秘書など)といえども全容を理解するには相当な時間がかかること間違いなしだ。これを一般市民に対して発表当日から僅か20日間程度(5月11日〜29日)の短期間で「パブコメしろ」というのだから、乱暴かつ非常識なことこの上ない。
一般的にいって、市議会は議案の審議に入る前に一定の「議案熟読期間」を設けることになっている。これは市会議員や秘書たちが十分な予備知識を得て審議に備えるための措置であり、市議団は議案に疑問があると議会事務局を通して担当部局の説明を求めることができる。また議会事務局や担当部局は、関連資料の提供も含めて市議団の質疑に応えなければならない。これが議会制民主主義が機能するための必要最小限のルールなのだ。
市政に関しては「プロ」の市議団に対してさえそうなのだから、予備知識が乏しい「アマ」の市民に意見を求めるのであれば、それ相応の特段の配慮と工夫が求められることは当然だ。ましてパブリックコメントが議会制民主主義の不備を補う“熟議民主主義”あるいは“討議民主主義”の一環であるとするなら、市民への情報提供の仕方や意見募集の方法は一片のパブコメ実施で到底終わるものであってはなるまい。
今回のパブリックコメントの唐突で性急な実施は、橋下市長が市民サービス削減に直結する「補正予算案」ともいうべき「素案」(議案)を未整理のまま丸ごと市民の前に投げ出し、無理を承知でいきなり「意見を言え」と言っているのに等しい。裏を返せば、意図的に短いパブコメ期間を設定して市民の意見が出てこない(出せない)状況を逆手にとり、「意見を聴いた」とのアリバイづくりに利用する魂胆とも受け取ることができる。
だが私は、この事態を橋下市長の意のままにさせてはならないと思う。たとえ唐突で性急であるにせよ、今回のパブリックコメントの実施は「選挙で選ばれることがすなわち民意の付託」、「細かい政策まで民意に問う必要はない」といったこれまでの橋下市長の強引な主張がもはや通用しなくなりつつあることを図らずも示すものであって、市民の側がこの機会を利用しない手はないと思うからだ。
ただし、個々の市民や団体が「素案」の全容を解読し、コメントすることは少々荷が重すぎる。私自身も市役所に行って「素案」を入手してから全体を大雑把に把握するまで丸4日間も要した。また当局からブリーフィング(解説)を受ける立場の市政記者クラブの担当記者たちでさえが、全部を読むのに相当苦労しているとも聞いた。だから普通の大阪市民が現時点で「素案」にコメントするとすれば、それは取りあえず次の2点を踏まえれば十分だと思う。
第1は、自分個人や所属する団体にとって最も関心のある項目に限って率直なコメントを書くことだ。それがどんな短い文章であっても構わない。保育サービスや青少年施設に関係する「改革プラン」に対しては、大人はもとより子どもや青年も自分たちの気持ちや意見を素直に述べよう。高齢者サービスに関する「改革プラン」には高齢者自らが筆を取ろう。男女共同参画施設の「改革プラン」に関しては男性も女性も共に意見を述べよう。
第2は、パブリックコメントの結果を単にホームページで集約するだけでなく、それを基にして市内24区で橋下市長の好きな「タウンミーティング」の開催を要求することだ。大阪維新の会は、昨年のダブル選挙で「大阪市をバラバラにはしません」「24区、24色の鮮やかな大阪市に変えます!」「大阪市役所の大改革で税金の無駄遣いをストップし、住民サービスを拡充します」と公約した。その公約と今回の「改革プラン」との関係を問う「タウンミーティング」(市民討論会)を行政と市民が共同で開催することを要求するのである。
橋下市長は、今回のパブリックコメントを5月中に終えて、6月上旬には成案をまとめ、7月市議会でプランを完成して補正(本格)予算を策定する予定だという。でもこんなスケジュールのひとつの「儀式」にパブリックコメントを終わらせてはならない。これから5月29日までの残された期間内に怒涛のようなコメントを組織し、各階層各年代の意見を「大阪の地の底」から表明しよう。
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