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【社会保障改革のウソ】デフレの視点なき社会保障改革は“偽物”だ!(ZAKZAK)
★(3)2012.05.24
野田佳彦政権が「税と社会保障の一体改革」を標榜し、国会で「社会保障のあり方」が議論されているが、現在の社会保障改革は、与党野党双方ともにピントがずれているように思える。理由は「デフレ期の社会保障支出」という面が全く議論されていないためだ。
そもそも、「社会保障支出」とひと括りにしているのが間違いである。なぜならば、二大社会保障支出である「年金」と「医療(政府の医療費負担)」は、国民経済的に異なる性質を持つ支出であるためだ。
年金とは、政府から年金受給者への「お金の振込」である(現金で受け取っている人もいるだろうが)。政府から年金受給者へとお金が「移動する」だけであるため、その時点では誰の雇用も生まれない。
誰の雇用も生まれないとは、新たな所得が生み出されるわけではないという話である。すなわち、政府が100兆円、200兆円の年金を支給したとしても、「その時点」では国民の所得は増えない。すなわち、GDPにはならない。
無論、年金を受け取った受給者が、お金を消費なり投資に回してくれればGDPは増える。が、貯蓄に回されてしまった場合は、GDPは1円も増えないのである。年金に限らず、子ども手当、生活保護など、いわゆる「所得移転系」の支出は、それ単体ではGDPに与える影響が極小もしくは、せいぜい「未知数」なのだ。
それに対し、医療費(および介護費)の支払いは、政府がお金を使った時点で、必ず誰かの雇用が生まれている(具体的には、医者、看護師、介護士、医薬品企業など)。
現在の日本はデフレであり、需要(=雇用=所得=GDP)が不足している状況だ。需要不足の環境で医療費の支払いを削り取った日には、デフレを深刻化させるだけだ。少なくとも、誰かの雇用が必ず生まれる医療費と、所得移転系支出(年金、生活保護、子ども手当など)は分けて考えなければならない。
例えば、年金や生活保護など、所得移転系の支出を「期限付き商品券」で支払うのであれば、政府から移転された所得が100%GDPへと向かう。すなわち、デフレ脱却に貢献する。
ところが、現金預金の形で支払ってしまうと、余裕がある年金受給者、あるいは家計は、お金を銀行預金にすることで、GDPから切り離してしまう可能性があるわけだ。
社会保障改革と言うのであれば、上記の視点が欠かせないと思うわけだが、現実には全く議論されていない。デフレという大きな前提条件を無視している時点で、現在の社会保障改革は「ウソ」としか呼びようがないのである。
■三橋貴明(みつはし・たかあき) 1969年、熊本県生まれ。評論家、中小企業診断士。大学卒業後、外資系IT業界数社に勤務。現在は株式会社「三橋貴明」事務所社長。著書に「国民の教養」(扶桑社)「真説 日本経済」(ベストセラーズ)など。
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20120524/plt1205240730001-n1.htm
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