http://www.asyura2.com/12/senkyo130/msg/509.html
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http://amesei.exblog.jp/15913522/
「今日の政治はむかしの歴史を振り返るということで真相が見えてくる」ということを書きます。
石原慎太郎が大阪維新の会にならって東京でも維新塾を立ち上げるという。石原は、すでに保守系政治家の平沼赳夫らの「たちあがれ日本」という政党が運営する政治塾で講演をしている。そこで、石原新党はその「たちあがれ日本」を母体にすると予測できる。
しかし「たちあがれ日本」は平沼赳夫や藤井孝男など所属議員は高齢者が多い「老人政党」。支部長クラスには壮年の政治家志望者もいるものの、基本的には有名ドコロは西村眞悟などすでに国政の場から退いた人たちだ。(http://www.tachiagare.jp/branch/)
石原新党がブレイクするには、カンフル剤が当然ながら必要になる。今のままでは「立ち枯れ日本」で終わってしまう。
そこで出てきたのが、「尖閣諸島募金」と「大阪維新の会」との連携である。
尖閣諸島募金は東京都が行なっているものだが、「たちあがれ日本」も、東京都を支援する意味合いで、自党のウェブサイトに献金募集案内を載せている。「皆様からお預かりした募金は、一括して、東京都尖閣諸島寄付金に全額充てさせて頂きます」ということである。
石原慎太郎が尖閣募金という突拍子もないことを言い始めたのは、一つには自分がご意見番をつとめる保守愛国政党「たちあがれ日本」の活動に活気をもたらすということがある。
そして、たちあがれ日本の若返りという意味で、橋下「維新の会」との連携というものが次に出てくる。石原は、かつての盟友亀井静香が小沢一郎と石原慎太郎の「新党」による「呉越同舟」を訴えていることに関連して、次のように述べている。
(貼り付け開始)
「連携は死んでも嫌」 小沢氏めぐり石原知事
2012.5.16 23:48
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120516/stt12051623500008-n1.htm
東京都の石原慎太郎知事は16日夜のBSフジの報道番組「プライムニュース」で、亀井静香前国民新党代表らが石原氏を党首に想定する新党構想に関し「小沢一郎民主党元代表と手を組むのは死んでも嫌だ」と述べ、小沢氏との連携を強く否定した。
同時に「今の政治は見ていられないので、政界再編の引き金となる第三極は必要だ」として、新党の意義を強調した。石原氏は4月、新党構想について「白紙」を宣言していた。
さらに「既存議員を集めても第三極にはなりえない」と述べ、国政経験のない人材の結集を図る考えを明言。自らの国政復帰については消極的な姿勢をにじませた
(貼り付け終わり)
このように、述べているほかにも石原と連携を模索している、愛知県の大村秀章知事に対しても、「小沢さんと一緒に行動するなら、そんな人間と一緒に仕事をするつもりは毛頭ない」とけん制している。(http://t.co/kgG4AFOB)
その一方で、石原慎太郎は、橋下徹の大阪維新の会には極めてフレンドリーだ。維新政治塾での講演で、石原は「橋下君も日本の今の統治機構に疑問を感じている。政治家が支配し官僚が働ける、そういう仕組みをつくらなきゃだめ。そこは共通している」と強調するなど、連携を強く匂わせている。
また、日本の保守運動のドン・笹川良一の影響を若いころに受けた松井一郎・大阪府知事などは、「石原御大は最高顧問的な存在だ。われわれとはレベルも経験も違う大政治家だ」と述べており、保守的復古的な教育観というつながりで、安倍晋三との接点もある松井知事は石原とも親しいようだ。
ここで気になるのは、石原も橋下も小沢一郎・民主党が09年マニフェストで掲げた、「統治機構の改革」というキーワードを演説やインタビューの発言の中にふんだんに織り交ぜて話しているということだ。
09年マニフェストと維新八策を見比べても、経済、外交、福祉政策では全く違う二者だが、統治機構の改革の面では非常に似通っている。そのため、小沢一郎も維新の会のこの政策に関しては一致点を見出したなどの発言も漏れ伝わってくるし、今週号のサンデー毎日などは「石原でいい」と小沢が発言したなどという情報戦のような記事まで載せている。
これは亀井静香が言ってきた、小沢を取り込んでの「第三極」構想であるが、これはありえない。前原誠司までなら鈴木宗男の仲介で小沢も「同じ等の仲間」としても連携はあるかもしれないが、それだってかなり極端な予測だ。
小沢は2011年6月の「菅おろし」において完全に判断を誤り、代表選でも馬渕を応援しないというミスを犯している。満身創痍の小沢が代表選に出ても、別の候補者が出れば多数派工作で負けてしまう可能性のほうが高い。このへんを現実的に見るべきだ。
★去年6月の記事:ジャパン・ハンドラーズと国際金融情報 : 『日本永久占領:さらば、小沢一郎』 http://amesei.exblog.jp/13701221/
そこで輿石幹事長は野田首相と小沢を仲介する会談のセッティングを行なっているが、小沢が政治的に生き残り、勢力を残すためには、消費税法案で何らかの妥協を得て、野田と手打ちをする以外にはなくなってきている。現実的なのは軽減税率と景気動向を見据えた増税時期の問題で一致点を探るということになる。
それが無理ならば、民主党の主流派である仙谷グループは、「現実主義」に徹して民主党としての等の存続を図るためになりふり構わず自民党と大連立をすることを選ぶかもしれない。
いずれにせよ、相対評価において、維新・石原連合は自民・民主の既成政党よりは少なくとも都市部だけでは支持を拡大しつつある。
しかし、それもある種の危うさの上にある。
それは石原と連携することのリスクとも言える。
石原慎太郎が尖閣諸島を所有者の男性から買い取るために募金を行なっていることだが、すでに見たように、間接的にたちあがれ日本の党勢拡大運動であることにまず注目すべきである。
そして、さらに重要なことは石原慎太郎と橋下徹の関係が、あのイタリアのファシズム運動の立役者である詩人ダヌンツィオとベニト・ムッソリーニを彷彿とさせるものがあるということだ。
ガブリエーレ・ダヌンツィオというはイタリアの愛国詩人である。ファシスト運動の先駆とも言える政治的活動を行ったことで有名だが、その活動でムッソリーニと結びつき、先輩格としてムッソリーニを指導した。橋下がムッソリーニレベルの大物政治家になるかどうかは現在は未知数だ。
ダヌンツィオはイタリア国内で広く政治運動を行い、イタリアが大戦中に得たヨーロッパの一等国としての役目を戦後も果たしていくべきだと主張した。第一大戦後のパリ講和会議で、フィウメ(いわゆる未回収のイタリアの一部。現クロアチア領のリエカ)をセルビア王国(後のユーゴスラビア)に割譲すべしとの結論が出されたことに激怒したダンヌンツィオは、1919年9月12日、黒シャツ隊と称されるイタリア人武装集団を率いて市を占拠、アメリカ、イギリス、フランス3軍から組織された守備軍を追放した。これがダヌンツィオの黒シャツ隊によるフイウメ奇襲である。
ここでダヌンツィオがイタリア国民にフイウメ回収を呼びかけたときにとった運動手法が重要だ。大森実著『ムッソリーニ』には以下の記述がある。
(引用開始)
ムッソリーニは、ミラノを中心に、ダヌンツィオのために、フィウメ義金の募集運動をやった。(第一次世界大戦後)の悪性インフレ下にもかかわらず、数週間のあっという間に三百万リラという莫大な義金が集まったのは、ダヌンツィオの冒険よりも奇跡的な金額というほかなかったのであるが、これは、フィウメ事件に対するイタリア人のナショナリズムの高揚を裏打つ証左でもあった。
三百万リラの義金をめぐり、ムッソリーニが、その大部分を、ダヌンツィオの同意を得て、戦闘ファッショの選挙費用に流用したことが暴露されたのは、ムッソリーニの死後のことだったが、ダヌンツィオがこの義金を、戦闘ファッショの選挙費用に使うことに同意していたということは、すなわち、両者が、フィウメ占領の次に、もっと大きな冒険的計画を謀議していたということになるだろう。
『ムッソリーニ』(講談社)大森実著(116ページ)
(引用終わり)
私は別に今回の尖閣募金も政党の資金に流用されるなどということは言うつもりがない。
ただ、愛国主義のきっかけとして尖閣問題を「現代のダヌンツィオ」である作家で政治活動家でもある石原慎太郎はうまく利用したと思う。現在、尖閣購入のため、都が行っている募金には、18日入金確認分までで5万7467件、7億9275万円が集まっているという。(http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20120522/plt1205221123004-n1.htm)
維新の松井一郎が師事していた笹川良一はムッソリーニと会見するほか、若いころは自らの政治活動に参加する若者にムッソリーニの「黒シャツ隊」を真似た格好をさせていたことはよく知られている話だ。ムッソリーニは、何度かの地方政治での敗北を経験し、やがて地方を掌握した後、1922年、つまり90年前には「ローマ進軍」という示威活動を行った。
今回、維新政治塾と石原の政治塾の予測される連携がどの程度、90年前のファッショ運動に似たものになるのかはまだ未知数だ。しかし、危険な徴候であることは確かである。
ただ、最近、ワシントン・ポストが橋下を「扇動市長」と書いた記事を載せたことで、アメリカの民主党は、石原と連携する橋下のリスクを瀬踏みしているだろう。ネオコン勢力は橋下を中国への噛ませ犬として歓迎するはずだが、アメリカの中道派はわからない。小泉以上に危険な人物であれば、すぐに本命の「小泉進次郎」の登板か、よりリアリストで中国も納得する石破茂を登場させるだろう。
そのことを踏まえた上で「維新現象」を見ていく必要がある。
Behind Hashimoto, Osaka’s telegenic mayor, a sign of Japan’s discontent
By Chico Harlan, Published: May 23
http://www.washingtonpost.com/world/asia_pacific/behind-hashimoto-osakas-telegenic-mayor-a-sign-of-japans-discontent/2012/05/22/gIQAo5sJjU_story.html
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