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「しんぶん赤旗・日曜版」 2012年5月20日号 1面から
消費税を納めるために四苦八苦するのが中小零細企業。ところが輸出大企業になると、一円も消費税を負担しないどころか、逆に消費税で“もうかる”ことも―。まるで不公平を絵にかいたような話です。
「死んでおわびするしかない」
トヨタ自動車工場で製造ラインを修繕する愛知県の下請け企業社長、Aさん(49)は、3年前、年間50万円の消費税を納められず、差し押さえを受けました。思いつめたあげく、地元の民主商工会の助けで命はつなぎましたが、消費税の過酷さは身にしみています。
トヨタの支払いは、見積もりの2割引き、3割引きは当たり前。消費税分をトヨタに転嫁できず、身銭を切って納めるしかありませんでした。それも景気悪化で不可能に。
「消費税10%ならわれわれの業界は7割倒産といわれている。死活問題です。絶対中止してほしい」と、Aさんは訴えます。
他方―。7日、東京で放送されたFMラジオJ−WAVE(ジェイ・ウェイブ)の番組。「消費税には、いただく税金というのがあるんです」という、元静岡大学教授で税理士の湖東京至(ことう・きょうじ)さんの言葉に、キャスターの野中英紀さんと女性アナウンサーが「エッ」と驚きました。
いただく消費税―。それは、トヨタ自動車など大企業が輸出製品について税務署から受け取る、「輸出戻し税」といわれるもの。なぜ「いただく」のか―。
輸出大企業は、仕入れなどで消費税を下請け企業に支払います。国内なら製品を売る時に消費者に転嫁できますが、外国の消費者には転嫁できない。差し引き“損”した分の消費税を戻してもらう―という“理屈”です。
ところが、実際にはAさんのように、下請けに消費税を払わない場合、「戻し」分だけ、もらい得なのです。湖東さんの試算では、トヨタ自動車の消費税還付金は2010年度に約2200億円も。まさに弱きをいじめ、強きを助ける消費税―。さらに追跡します。(6面につづく)
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増税したら失業増える
経済評論家 荻原博子さん
大企業は“消費税分くらい負けろ”といって、下請けたたきをしています。このため、小さな商店はもちろん、中小企業も消費税を価格に転嫁できず自分でかぶっています。
そうやって下請け企業などは必死に納税しています。それなのに大企業は税務署から「輸出戻し税」として、還付を受けているのです。大変、不公平です。
これで消費税の税率をあげたら、中小企業の倒産が増え、失業率はますます上がりますよ。ただでさえ就職難で働き口のない人が多いのに、これ以上失業を増やしてどうするんでしょう。それでは税収だって増えません。
いま野田首相がやるべきなのは、消費税の増税ではなく、雇用対策です。
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消費税還付で“もうかる”大企業/不公平のカラクリは
「しんぶん赤旗・日曜版」 2012年5月20日号 6面
1面で紹介した消費税で“得する”大企業。そのカラクリをさらに見てみます。
まず、大企業は、そもそも消費税を一円も負担しません。
確かに、多くの大企業も消費税を税務署に納めていますが、これは国内の消費者から受け取った消費税を消費者のかわりに納めているだけで、「負担」しているわけではありません。大企業は、仕入れにかかった消費税も、売り上げで得た消費税から回収し、「負担」にはなりません。
輸出品については、外国の消費者に負担させるのはおかしいという理由から、消費税を課税しません。そのため、仕入れにかかった消費税を輸出品の価格に転嫁できません。税務署がその分の消費税を返す―これが「輸出戻し税」です。
トヨタ自動車など輸出大企業は、国内で納める消費税より、戻ってくる消費税の方が多く、差し引いた多額の金額を税務署から還付されています。このため、豊田税務署などは、消費税納税額より還付額の方が多く、924億円(2009年度、国税分)の赤字になっているほどです。
「輸出戻し税」は、大企業が本当に消費税分を下請けに払っていることが前提です。しかし、実際は、大企業は、下請けに払っておらず、払ってもいない消費税を税務署から返してもらっているのが真相です。
逆に下請け中小業者にとって消費税の一番の苦しみは、消費税を価格に転嫁できないことです。
個人商店などは激しい価格競争のなか、消費税を転嫁する余裕はありません。大企業の下請けも単価を切り下げられ、多くが身銭を切って消費税分を負担しています。
中小企業団体の調査では、売上高3000万円以下の業者の6割以上が、現在の消費税率5%でも「消費税を転嫁できない」と答えています。10%に引き上げられた場合、その割合は7割近くに増えます。(グラフ)
「消費税の税率が2倍になったら、還付金もほぼ2倍。不公平は拡大します」(1面で紹介した湖東京至さん)。
トヨタ自動車の3次下請け会社(ゴム製部品)のBさん(48)は、「輸出戻し税」を「知らなかった」と驚きます。
「下請けが苦労して納めた消費税が大企業に還付されるのは、おかしい。むしろ、私たちに還元してほしい」と訴えます。
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「戻し税」に驚き!/FM番組聴取者の声
1面で紹介した東京のFMラジオ「ジェイ・ウェイブ」のジャム・ザ・ワールド(7日夜放送)。トヨタのような輸出大企業には、消費税で巨額の「戻し税」がある、と知った聴取者から、ツイツター(インターネットの簡易掲示板)で驚きの声が―。
「この国では大企業ばっかりが得するようにできてるんだね。アホらし」
「消費税がこんな形で、輸出大企業優遇してるなんてまったく知らなんだ」
番組パーソナリティーの野中英紀さんは語ります。
「消費税は“一番平等な税”といわれていますが、実は輸出大企業と中小企業ではまったく違うダブルスタンダードになっている。一般の人や中小企業から徴収された消費税が、こんなにたくさん大企業に還付されているのは驚きです。リスナーの皆さんも初めて聞く話でインパクトが大きかったと思います。この実態を隠したまま消費税の増税にまい進するのは違和感があります」
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<参照>
輸出大企業は消費税払わなくていいの!? #jwave にて元静岡大教授・税理士の湖東氏の解説を聞いた驚きの声をまとめました。
http://togetter.com/li/299757
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