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国会は検察の超巨大犯罪を徹底事実解明せよ
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2012年5月16日 植草一秀の『知られざる真実』
2004年10月に代金決済し、2005年1月に登記が完了した世田谷不動産についての報告を2005年に行ったこと、不動産取得の資金を銀行から借り入れる際に、担保として設定した定期預金の原資として預かった4億円の出入りを収支報告書に記載しなかったことで、小沢一郎民主党元代表の元秘書が逮捕起訴された(陸山会事件)。
上記の事件内容を見る限り、どこが刑事事件なのかというのが客観的な正しい評価である。
裁判で法廷に立った弥永真生筑波大教授(商事法)は、
「資産取得と支出の記載時期は同一年分であることが望ましい」から「(土地取得の)計上時期は登記時を基準とすべき」と指摘し、「期ずれ」に違法性はない
との見解を証言した。
弥永真生氏は東京大学在学中に司法試験、公認会計士3次試験に合格し、東大法学部第1類を首席で卒業した俊英であり、会計学の専門家であるだけでなく、司法試験考査委員を務めたこともある法律の専門家でもある。
この弥永氏が2004年10月に代金決済し、2005年に登記が完了した不動産取得の届け出は、登記年である2005年とすることが望ましいと法廷で証言したのである。
また、定期預金原資である4億円の出入を記載しなかったのは、単なる「預かり金」であるとの解釈によるものであり、刑事責任を問うような事案ではない。
小沢氏の元秘書は、新政治問題研究会と未来産業研究会という二つの政治団体からの献金を事実通りに記載して、虚偽記載の罪を問われた。
資金の本源的な拠出者が西松建設だと見なす検察は、「西松建設」の名を収支報告書に記載すべきだったと主張する。ところが、まったく同じ事務処理を行った20名近くの国会議員については、無罪放免にしており、明白な「法の下の平等」違反の行為が示されている。
2009年3月以降、3年以上にわたってマスメディアが騒ぎ続けてきた一連の刑事事案は、およそ刑事事案とはかけ離れたものであった。
歩道を歩いているときに、つい二、三歩、私有地に足を踏み入れてしまうことがあるだろう。それを、「不法侵入」だと大騒ぎしているに等しい。
2011年9月26日に、東京地裁の登石郁朗判事は、小沢氏の秘書3名に対して禁錮刑の判決を示した。
小沢氏サイドが水谷建設から1億円の裏金を受領していたことを事実認定し、この裏金の発覚を恐れて虚偽記載を行ったとのストーリーを構築して厳しい判決を書いた。
仮に、1億円の裏金受領が真実であるなら、判決は妥当なものである。
しかし、1億円の裏金受領は、客観的に証明されていない。
刑事訴訟法の336条に次の規定がある。
第三百三十六条 被告事件が罪とならないとき、又は被告事件について犯罪の証明がないときは、判決で無罪の言渡をしなければならない。
つまり、有罪判決を示すには、犯罪の証明が必要なのだ。
そもそも、検察が立件したかったのは、この種の「実質的犯罪」だ。
裏金を受領した、あるいは、賄賂を受領した、などの「実質的犯罪」を立件しようとして、小沢氏周辺に対して強制捜査を繰り返し、総力を注いで捜査を行った。
本来犯罪捜査は、犯罪が存在するから捜査を行うのであり、「犯罪が存在するのではないか」との見込みに基いて捜査してはいけないことになっている。「見込み捜査」は違法捜査として法律で禁止されている。
小沢氏に対する手口は、違法な「見込み捜査」そのものであった。
しかし、裏金受領や賄賂受領などの、いわゆる「実質的犯罪」を立件することはできなかった。水谷建設から小沢氏サイドに1億円が渡ったとされる事案も、検察は立件することができなかった。
検察は法廷に、水谷建設社長および会長を証人として出廷させ、小沢氏サイドへの裏金提供を証言させたが、この二名の証言を信用することはできない。
例えば、会長が社長に1億円を渡したことが事実だったとしても、社長がこの1億円を小沢氏サイドに渡さず、横領してしまったとの可能性を否定できない。この場合には、社長が業務上横領で刑事責任を問われる可能性がある。検察が社長に対して、検察の指示通りに法廷で証言しなければ横領で立件すると脅されたとの可能性が存在する。
裏金が水谷建設から小沢氏サイドに提供されたことを裏付ける客観的証拠は存在しない。これを証明できるなら、検察が刑事事件として立件しているはずだ。それを断念したことが、事実認定できない最大の根拠でもある。
したがって、東京地裁の登石判決はとんでもない、大間違い判決である。登石氏の事情としては、裏金受領を事実認定しなければ有罪判決を書けない。事実通りに無罪判決を書けば、検察の巨大犯罪だけがクローズアップされる。検察と裁判所は一心同体の組織であり、検察を守るために被告人を犠牲にする判断が取られたのだと思われる。
つまり、一連の刑事事案全体が、単なる巨大謀略であった。
このなかで、検察の空前絶後の巨大犯罪が露見した。東京地検特捜部の田代政弘検事が、2010年5月17日に行った石川知裕衆議院議員に対する事情聴取内容を捜査報告書に記載する際、検察審査会が小沢氏に起訴議決することを誘導するために事実無根のうそを捜査報告書に記載したことが明らかになったのだ。
田代検事は石川氏に対して、「小沢氏に報告し了承を得た」との記載のある供述調書の内容を維持することを迫り続けた。結局、石川氏は了承しなかったが、田代検事は、石川氏の事情聴取での発言を次のように捜査報告書に記載して検察審査会に提出した。
「私が『小沢先生は一切関係ありません』と言い張ったら、検事から、『あなたは11万人以上の選挙民に指示されて国会議員になったんでしょ。小沢一郎の秘書という理由ではなく、石川知裕に期待して国政に送り出したはずです。それなのに、ヤクザの手下が親分を守るためにウソをつくのと同じようなことをしたら、選挙民を裏切ることになりますよ。』と言われたんですよね。これは結構効いたんですよ。堪えきれなくなって、小沢先生に報告し、了承も得ましたって話したんですよね。」
ところが、石川氏はこのような発言を一切示していない。
田代検事が創作で捜査報告書に記載したのである。
東京地検特捜部は検察審査会に多数の捜査報告書を提出したが、そのなかに、検察審査会が小沢氏を起訴議決をすることを誘導するためのものが多数存在する。
しかも、検察審査会の起訴議決書の記載内容は、細部の表現まで、検察が提出した捜査報告書の記載内容と一致しており、検察審査会全体が検察の支配下にあることを伺わせるに十分である。
検察は小沢氏を不起訴とした。これを不服だとして検察審査会に審査申し立てがあった。検察は審査会に、「なぜ小沢氏を不起訴としたか」を説明する立場にある。その検察が、検察審査会に小沢氏に起訴議決が示されることを誘導する捜査報告書を提出したのである。
大阪地検の村木局長事件を上回る検察の超巨大犯罪であることは明白である。
ところが、検察当局が虚偽有印公文書作成・同行使容疑で刑事告発された元特捜部の田代政弘検事=現法務総合研究所=を嫌疑不十分で不起訴とする方針を固めたとの報道が示されている。
日本の警察・検察には、
1.犯罪が存在しても闇に葬る裁量権
と
2.犯罪が存在しないのに無実の人間を犯罪者に仕立て上げる裁量権
という、法外な裁量権があると記述してきたが、そのことが改めて浮上している。
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