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野田・菅・岡田・前原・仙谷らは唯一のミッションで動いている それは小沢封印
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2012年05月11日 世相を斬る あいば達也
最近筆者は、野田佳彦という男への興味を完全に失っている。彼の言葉を聞いても、右から左に通り抜けてゆく。言霊がないのだね。まだ菅直人の方がマシに思えるほど空疎なのだ。取り敢えず、何故なのだろうかと考えてみるのだが、判然としない。
数日ぶりに我が家に戻り、昼日中TVをつけてみたら、衆議院本会議の中継中だった。もう辞任したのかと思っていた野田佳彦が、まだ内閣総理大臣として答弁していた。アホ臭い質問と空疎な返答が続く。疲れも手伝い、10分もしない内に、深い眠りに就いたのだが、何ひとつ、“ウン!”と聞き耳を立てる発言はなかったようだ。現に、新聞紙面を彩るような斬新さもなく、使い古された官僚が用意した語彙の連鎖である。
自民党の麻生、福田、小泉、森、小渕ですら、“エッ!”と思わせ、耳を傾けたくなる発言があった。鳩山にも当然“えっ!”という発言はあった。菅にだって、ヤケクソにしても耳を傾ける嘘八百があった。しかし、野田にはないのだ。まったくもって面白味もなければ、人間味さえ感じない。あきらかに木偶の坊なのである。
思えば、この人は何のために民主党の代表に就任し、日本国の首相になっているのか、訝しい思いしか浮かんでこない。“消費増税に命を掛ける”等とたいそうデカイ口を利いたのだが、本心から増税が正しいと思っているかどうか自体、訝しいのである。例の“シロアリ退治”演舌が、実は本当の野田佳彦であり、偶然民主党代表になった瞬間から“木偶の坊”を装ってしまったようにさえ思える。
何故か、時事通信が4月頃からだろうか、「首相動静」と云う通信社らしい配信記事を出すようになった。時事の自発的発信なのか、官邸側からの要望なのか定かではない。取り敢えず、5月10日の「首相動静」なるものを参考に貼りつけておく。興味のある人は、目くらい通しても、目が腐ることはないだろう。
≪ 首相動静(5月10日)
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&rel=j7&k=2012051000125
午前7時52分、公邸発。同55分、東京・永田町のザ・キャピトルホテル東急着。同ホテル内の日本料理店「水簾」で岡村正日本商工会議所会頭らと会食。
午前9時1分、同ホテル発。同4分、官邸着。同5分、執務室へ。
午前9時8分から同29分まで、細野豪志原発事故担当相、斎藤勁官房副長官、近藤駿介原子力委員会委員長。同30分から同48分まで、西室泰三郵政民営化委員会委員長。
午後9時49分から同10時33分まで、斎藤官房副長官、手塚仁雄首相補佐官。
午前11時29分から 同38分まで、岡田克也副総理。 午後0時46分、執務室を出て、同47分、官邸発。同49分、国会着。同50分、衆院議長応接室へ。同1時、同室を出て衆院本会議場へ。同2分、衆院本会議開会。
午後4時9分、衆院本会議散会。同10分、衆院本会議場を出て、同11分、国会発。同12分、官邸着。同13分、執務室へ。
午後4時16分から同31分まで、斎藤官房副長官、長島昭久首相補佐官、内閣府の石田勝之副大臣、清水治内閣府審議官、井上源三政策統括官。
午後4時40分、執務室を出て、同41分から同46分まで、特別応接室で仲井真弘多沖縄県知事らが「かりゆしウェア」を贈呈。岡田副総理、藤村修官房長官同席。同47分、同室を出て執務室へ。同48分から同5時まで、手塚首相補佐官。
午後5時1分から同4分まで、大西隆日本学術会議会長。古川元久科学技術政策担当相、松元崇内閣府事務次官同席。同5分から同24分まで、枝野幸男経済産業相、石田内閣府副大臣。同27分、執務室を出て大会議室へ。同28分、国家戦略会議開始。
午後6時39分、同会議終了。同40分、同室を出て、同41分、貴賓室へ。同43分、同室を出て小ホールへ。同44分から同57分まで、ミャンマーのキン・アウン・ミン上院議長が表敬。長浜博行官房副長官が同席。同58分、同ホールを出て官邸発。同7時4分、東京・赤坂の中華料理店「赤坂飯店」着。民主党の前原誠司政調会長、仙谷由人政調会長代行、藤井裕久税制調査会長らと会食。
午後9時3 分、同所発。同9分、公邸着。
11日午前0時現在、公邸。来客なし。≫(時事通信)
上記の一日の行動をみる限り、内閣総理大臣と云う職業は何とも因果な商売である。到底、ネットなど見ている暇はなさそうだ。少なくとも、彼にとっては精神的にダメージを軽減する生活である事はたしかだ。しかし、このような生活を通して、国家の空気を肌で感じる暇はゼロに近いのだろう。多くは、自分の配下の閣僚と会うか、補佐官か官房副長官と時間を共有しているわけである。まともなレア情報が耳に入る可能性は相当低いと観察できる。暴れん坊将軍・吉宗公ではないが、夜陰に紛れ、世間を徘徊することは不可能なようである。
命をかけると云う、消費増税法案の成立さえも危ぶまれる最近の野田を取巻く政局だが、ご本人は結構“ノホホン”としている。生れつきの容貌の所為かもしれないが、切迫感はゼロに等しい。目が泳いでいるのは、深酒の所為で、藤井の二代目と云うところだ。赤字国債の発行には欠かせない特例公債法案への興味もゼロ。原発再稼働の屁理屈付け機関、原子力規制庁設置関連法案も手つかず。最高裁判決で明確に指摘された「一票の格差」是正問題も遅々として進む気配がない。TPP参加表明以降、何らの進展も見せていない。米国訪問時にも言及すらなかった。
消費増税法案にしても、財務省の自民党への根回し具合で、すべてが決定する状態で、特に野田がリーダーシップを発揮している状況でもない。結局、未だに国家国民の為になるか?或いは被害を与えるか?実は何もしていないと云う事実だけが鮮明に浮き彫りになる。本当に、この人は何をしているのだろう?
だいぶ以前の拙コラムで「野田はウッカリ総理の椅子に座ってしまった どうして良いのかが判らない」と云うのを書いたのだが、≪鳩山が友愛政治で、菅が政治主導。どっちも旨く行かなかった、だから官僚と手を繋ぎ、米国の隷属性を尊重、経団連とも、電事連・連合とも仲良く、出来たら 野党・自民公明とも仲良く、運が良ければ中国とも仲良く、「みんなで国難を乗り切りましょう」、とそれこそ美辞麗句のオンパレードに所信表明演説は彩られた。財務省事務次官の勝栄二郎のご機嫌伺いか勝海舟の「正心誠意」を持ち出し、与野党の全員野球を呼び掛けている。これほど美辞麗句に満ちた演説は聞いた 事がない。≫、 ≪日本社会は総じて「美辞麗句病」に冒されている。野田自身も冒されているので、平気でこう云う演説が可能なのだろう。つまり、野田佳彦は、特に総理大臣になりたかったわけでもない。目的が曖昧なままに、勢いで立候補したものの、民主党をどうするか、日本をどうするか、まったく俯瞰図なしに、気がつくと漁夫の利で総理の椅子に座ってしまった政治家なのだろう。≫
いまだに、野田の総理に就いてやりたいことが、正直筆者には見えていない。消費増税法案の成立さえも本気度を疑う状況だ。財務省に自民党との根回しを任せッきりで、「勝さんが説得出来ると約束したから、法案を無理矢理提出にまで持ち込んだのだ。私の役目は終わっている。約束を守るのは勝次官でしょう」筆者は、このような事を、勝財務次官と意志疎通が出来ている竹歳誠官房副長官に文句を言っている光景が目に浮かぶ。竹歳誠が事務方トップの官房副長官に就任した経緯で、朝日新聞は“学生時代からの友人”と事実誤認報道をしてしまったが、意志疎通がある二人という点で変わりはない。だいたいが、現役次官が官房副長官になるのは異例過ぎるし、主にこのポストは、総務省と厚労省のたすき掛けポストだったのだから、異例尽くしだ。
このような事を考えて行くと、民主党の小沢・鳩山ライン以外の政治家、全党・全議員が小沢一郎の政治生命封印の為だけに、永田町に存在している気にさえなってくる。国家国民のための国会ではなく、小沢一郎の政治行動を阻止する為の政治活動をしているようにさえ見えてくる。自民公明、共産に至るまでが小沢一郎バッシングなのだ。非常に面白い現象とも言える。勿論、民主党の反小沢陣営の目的は、小沢一郎の封印が唯一の政治使命となっている。このような現象は異様である。
指定弁護士の陸山会事件でも無罪に対する、責任能力なき控訴の奇怪さもさることながら、彼らの、小沢封じのためだけに政権の座にいる状況は、更に輪をかけて奇怪なのだ。野田は未だに何もしていない。菅・岡田・前原・仙谷も国政に関わる政治は一つもしていない。やったことは、霞が関と手を結び、隷米度を増幅させ、小沢一郎の政治を封印したことだけではないか。
まさか、野田佳彦が小沢一郎へのバトンタッチまでの繋ぎで総理をしているようにさえ見えてくる(笑)。これは冗談だが、結果的にそうなる可能性がゼロではないのが昨今の政治状況だ。昨日のコラムではないが、属国日本の政治も司法も、そのすべてが米国由来であることを物語っているわけで、ここまでコケにされてしがみ付く米国ではなくなっている事を、理解したくない人々が多いことに呆れるが、人間とは変わることの難しい生き物のなのだと、つくづく思い知らされる。松下政経塾も市民運動家も、自公も共産までが、米国の走狗なのだから、空いた口が塞がらない。どなるのかね、日本は?
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