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「大新聞・テレビを潤す『政府広報』の全貌を初公開!」 週刊ポスト2012/05/18号
http://ameblo.jp/heiwabokenosanbutsu/entry-11245556519.html
週刊ポスト2012/05/18号 :平和ボケの産物の大友涼介です。
「大新聞・テレビを潤す『政府広報』の全貌を初公開!」
佐々木奎一氏(ジャーナリスト)と本誌取材班
政府と大マスコミの間でやり取りされるのは、何も情報だけではない。新聞・テレビにとって、政府は大事な「広告主」なのだ。「政府広報」と「報道」の難しい問題を浮き彫りにする衝撃資料を独占公開する。
■一面の片隅だけで1億6519万円
政府はメディアを使った世論操作のために、様々な手段で大マスコミを懐柔してきた。記者クラブへの情報リーク、あるいは個別の記者に対する官房機密費工作などが知られるが、もっとシンプルな方法もある。
政府広報だ。(※注1)
(※注1)政府広報 http://www.gov-online.go.jp/pr/index.html
各省庁が新聞、テレビなどに出稿する政府広報は、これまで全体像や詳細を知ることができなかった。
そこで筆者は、内閣府他計50官庁に対し、09〜10年度の2年間にわたる、大新聞、テレビ局に対する広告の支出状況を情報公開請求した。全国紙5紙(読売、朝日、毎日、日経、産経)とブロック紙(北海道、河北新報、東京、新潟日報、中日、神戸、中国、西日本)、テレビは在京キー局に限って請求したが、そこで開示された文書は、A4判用紙にして2800枚以上に上る(一部、ラジオや雑誌、インターネットも含む)。
その結果、2年間で総額約155億円もの広告費が、それら大マスコミに流れていることが判明した。
もちろん、新聞、テレビに限らず、本誌も含めた商業メディアにとって広告掲載はビジネスの一環であり、それがただちに「権力との癒着」とはいえない。世界中の報道機関が、広告とジャーナリズムを両立させている。
だが、政治広報は公金であり、その支出先を監視するのはジャーナリズムの基本的役割だ。広告が新聞・テレビの報道内容に影響を与えていないかどうかは厳しく問われるべきだ。
それを踏まえて、データの詳細を見ていく。
広告の契約方法は2種類に分かれる。一つは、広告代理店が、新聞広告やポスター、イベント開催といった広告一式を一括受注するパターン。大新聞の契約はほとんどがこれに該当した。もう一つは、直接マスメディアに発注するケースで、多くが政府広報番組だった。
まず、全省庁のうち最大の55億2270万円(09〜10年度)を支出したのが内閣府である。なかでも新聞社の貴重な定期収入となっているのが、「突出し広告」だ。
気付く人は少ないだろうが、新聞朝刊の一面には数日に一度、小さい囲みに入った「政府広報」マークの広告が掲載されている。これが「突出し広告」である。文字数が限られるため、「アナログテレビ放送は一年後には見られません!」(10年7月)と地デジ難民を突き放したり、「世論の力で北方領土返還を実現させましょう!」(10年8月)と政府の難題を国民に押し付けたりといった投げやりな文言が目立つ。
多くの国民は気付きもしない広告だが、金額は大きい。09年度の契約は、読売1億6519万円(一面、年間102回掲載)、朝日1億3650万円(同103回)、毎日7244万円(同102回)、産経5667万円(社会面、103回)、日経3043万円(一面、51回)。これらはすべて広告代理店を通しているので、何割かは代理店の取り分になるとしても、新聞社にとって大きな収益になっていることは間違いない(新聞各社とも金額の割合など、取引の詳細については公表していない)。
テレビの政府広報番組はさらに巨額だ。
フジテレビは、大臣等が出演する『そこが聞きたい!ニッポンの明日』と、女子アナが出演する『キク!みる!』をそれぞれ6億7056万円、4億2711万円(09年度)で受注。日本テレビは同様に、タレントの早見優と局アナが司会の『新ニッポン探検隊!』を3億4614万円、各省庁の担当者らが解説する『ご存知ですか〜くらしナビ最前線〜』を4億1183万円で受注している。これらは代理店を通さない契約なので、全額が局に入る。
内容は、使用済み携帯の回収に協力すると商品券が当たる経産省の「たんすケータイあつめタイ」キャンペーン(日テレ『ご存知ですか』)や、「X秒前!その時あなたは・・・緊急地震速報の底力」という震災後にはあり得ない気象庁の自画自賛番組(日テレ『新ニッポン探検隊!』)など、広告の費用対効果には疑問を抱くモノが多い。
当然視聴率もほとんどの番組が1%未満の体たらく、そこで09年の事業仕分けにおいて、「テレビ、ラジオで政府広報をするのは無理」(枝野幸男氏)というもっともな指摘を受け、全番組が10年3月末で終了した。
さらに仕分けでは、「政府広報の認知度は総じて低い。政府広報を知っていて視聴・閲覧したことがあるという割合はテレビで26・2%、新聞広告で25・8%しかない」(財務省担当者)と政府広報そのものに疑問を呈した。ところが、翌年からはテレビ番組の代わりにスポットCMを倍増させ、新聞には依然として「水俣病救済措置の申請はお済みですか?」「食品中の放射性物質の基準値が新しくなりました」(いすれも今年4月)といった突出し広告が掲載されている。加えて、消費増税にはすでに5億8000万円の予算がつぎ込まれ、新聞に全面広告が2度掲載されるなど、政府広報と大マスコミの関係はいまだに変わっていない。
国民の4分の1にしか認知されていない政府広報とは、国民よりも新聞・テレビを手なずけるための道具ではないのか。
■資源エネ庁の原発広告
政府広報とは、厳密には内閣府の大臣官房政府広報室が実施する広報活動のみを指すが、その他の各省庁が行う広報にも、実は多額の予算が投じられている。
省庁の広報活動は、特定の政策推進のために行われることが多い。その典型が資源エネルギー庁である。2年間で6億2763万円にも及ぶ同庁の広報は、「原発広告」が中心だった。
なかでも目立つのが産経新聞だ。09年には「電力生産地と電力消費地の相互理解を促進する」という目的で、小学生が原発立地地域に見学に行く「子どもエネルギー探検隊」が計画された。首都圏と近畿圏の小学高学年生30人ずつが、原発立地地域の福島県双葉郡、新潟県刈羽郡、茨城県東海村など5ヶ所に1泊2日で行き、現地の小学生30人とともに原発を見学するというイベントで、その様子を産経新聞が見開きカラーで紹介した(09年10月14日東京版、11月19日付大阪版に掲載)。福島第一原発を訪れた子どもは、「電気を作っているのが小さなウランだと分かって驚いている」と”優等生コメント”を述べている。
事業の実施計画書には、「首都圏と近畿圏をカバーする新聞にそれぞれ掲載」とあるが、ツアー費用と掲載費合わせて7455万円を産経新聞1社が一括受注している。さらに翌年度もフランスの原発事業者を招いたシンポジウムをエネ庁から代理店経由で単独受注し、広告掲載している。
部数では全国5紙のうち最下位の産経新聞がなぜ選ばれたのか。この理由をエネ庁は「競争入札の結果、自社媒体を使った広報を提案した産経新聞に決まった」といい、産経新聞も「編集紙面と広告は一切関係ありません」(総合企画室)と答えている。
現在の原発再稼働問題において、「適切な判断に基づく再稼働の意味は極めて大きい」(4月26日社説)と最も前のめりな産経新聞だけに、どうしても原子力ムラとの距離を勘繰ってしまう。
産経新聞だけではない。この間、プルサーマルの広告が読売、朝日、原発立地の地方紙に掲載される契約が3838万円、核燃料サイクルのシンポジウム広告が朝日、毎日に掲載される契約が2410万円、それぞれ代理店経由で結ばれている。
今では大マスコミは原子力ムラを批判するが、もとは紙面で原子力政策を宣伝する同じ穴の狢だったのだ。
■新聞・テレビは選挙で儲かる
同じく広告費16億3433万円を支出する総務省で特筆すべきは、なんといっても選挙広報である。なぜ新聞・テレビは政局が動くたびに「解散・総選挙」を煽るのか。もしかすると、これが動機かもしれない。
政権交代のあった09年の衆院選の際には、総務省が選挙啓発の広告を7億5000万円で代理店に委託し、新聞、テレビなどに広告を出している。全国紙には、「わたし、行きます」という女性モデルを使った記事下広告がたった1回、掲載されたのみだが、その広告料は、読売2507万円、朝日2294万円、毎日1537万円、日経1186万円、産経630万円といずれも高額だ。同様にテレビスポットCMは、TBS2524万円、テレビ朝日2331万円、フジテレビ1870万円、日本テレビ1285万円、テレビ東京1115万円であった。
また、10年度には参院選挙があった。そのときは日経グループの代理店(日本経済社)が1億8200万円で受注し、そこから各紙に振り分ける形を取った。
国政選挙の際は、総務省の他に各政党も広告を打つ。そうして選挙のたび、莫大なカネが大マスコミに落ちる。新聞・テレビは世論調査で盛んに解散風を煽り、「解散総選挙で民意を問え」と社説を打つが、その選挙で民意に選ばれた政権もマニフェストもすぐに叩いて、また「民意を問え」だ。なんとも不思議な報道ぶりには理由があるのだろう。
なんと総務省には、「電波利権」維持のための電波広告もある。その典型が、毎年6月の「電波利用環境保護周知啓発強化期間」キャンペーンだ。不法無線局の未然防止を図ることを目的に「みんなで守る電波のルール」などとキャッチコピーをつけた広告を各紙に掲載する。09年度は、朝日に1回258万円と、スポーツ新聞6紙に掲載し計851万円。10年度は、読売に1回286万円とスポーツ6紙で計896万円。同様に総務省がホームページなどに掲載する映像広告の作成を、日テレの子会社(日テレアックスオン)が09年度116万円、10年度111万円で受注している。
「公共の電波」をタダ同然で占有し、2兆円以上もの莫大な利益を上げるテレビ局の利権保護を訴える広告が、その大株主である大新聞の懐を潤すのだから、まさに1粒で2度おいしい。
省庁の中には、予算が焼け太りして広報費が増しているところも多い。その代表が環境省で、2年で内閣府に次ぐ26億4428万円を支出している。
その多くがCO2削減広報で、2年間で新聞・テレビ合わせて総額22億9201万円が投入されている。地球温暖化防止のイベントにタレントの加山雄三、杉本彩などを出席させたり、歌手の山崎まさよしに熱唱させたり、お笑い芸人のはんにゃにクイズを出題させたりと、豪華な顔ぶれが目立つ。
環境省は、かつては他省庁の局レベルの規模だったが、環境問題が注目される今、約1兆円の予算をもつ巨大官庁のひとつとなった。
あるいは、24億9129万円を支出する農水省。そのほとんどが近年力を入れる「食料自給率」の戦略広報だ。近年、テレビや新聞で各地の名産が紹介されたり、有名人が農業をする様子などが取り上げられているが、実はその中に農水省の広告が紛れている。
たとえば、09年9月にカリスマ「ノギャル」として知られる藤田志穂が農業をアピールする番組『野菜畑でギャル革命!』がTBS系で放送されたが、これは食料自給率の向上を訴える広報の一環。同年8月に日本テレビ系で放送された、俳優の中尾彬ら出演の『”大人”のためのまかないメシ食べまくり!』などと合わせて、代理店が3億9900万円で受注した事業である。
もし広告によって政府の事業や税金の使途への批判を控えるようなことがあれば、それはメディアの自殺に他ならない。
本誌は、大新聞・テレビ局に広告が報道に与える影響について問うたが、「広告の詳細については公表しない」という回答がほとんどだった。
「広告掲載の有無が朝日新聞の取材・報道に影響することはありあmせん」(朝日新聞社広報部)
「広告の掲載等が当社の取材・報道に影響を与えることは一切ありません」(読売新聞東京本社広報部)
「広告と編集は完全に分離しており、広告によって編集方針が揺らぐことはありません」(日本経済新聞社広報グループ)
その言葉が嘘でないことを読者と納税者がチェックできるよう、これからは政府広報の詳細を大メディアが自ら公表してはどうか。
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