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鳥越俊太郎氏「検察審査会というシステムを見直す必要ある」
http://www.news-postseven.com/archives/20120508_106591.html
週刊ポスト 2012年5月18日号
民主党元代表・小沢一郎氏は結果的に無罪判決を受けたが、同氏への検察捜査は、村木厚子・現内閣府政策統括官の郵便不正事件(※)と共通の背景を持つ。いずれも検察が政権交代を阻むという政治的意図をもって民主党の有力政治家を標的に強引な捜査を行ない、偽の証拠まででっちあげた。結果、小沢氏は元秘書、村木氏は元部下の厚労省係長が有罪判決を受けた。
ところが、小沢氏と村木氏の無罪判決の報道ぶりには雲泥の差がある。
無罪判決でも小沢氏に議員辞職を迫る朝日は、村木事件の無罪判決翌日の社説では〈特捜検察による冤罪だ〉という見出しで捜査のあり方を正面から批判していた。
〈あらかじめ描いた事件の構図に沿って自白を迫る。否認しても聞く耳をもたず、客観的な証拠を踏まえずに立件する。郵便不正事件の検察の捜査はそんな強引なものだった〉
そうした捜査手法は小沢氏の事件にもそのまま当てはまるうえ、冤罪事件という点ではむしろ今回の方がより悪質だ。
郵便不正事件で前田恒彦・元検事が村木氏を陥れるために改竄したフロッピーディスクは裁判で証拠提出されていないが、陸山会事件では東京地検特捜部の田代政弘・検事が作成したでっちあげの捜査報告書は検察審査会に提出されて決定的な影響を与え、強制起訴で無罪の小沢氏を被告人の立場に追い込んだからだ。
一般国民から選ばれる検察審査会は検察をチェックするためにつくられたはずだが、それを検察や検審事務局である裁判所は「民意」の名を借りて組織的に特定の政治家を無実の罪に陥れる《国策冤罪でっちあげ機関》として悪用していたのである。
ジャーナリスト・鳥越俊太郎氏はこの冤罪の構図にこそ陸山会事件の重大性があると指摘する。
「特捜部は小沢氏を起訴したくて徹底的に捜査し、秘書を3人逮捕してまであらゆる証言・証拠を検討したものの裏付けがなくて起訴できなかった。そこで一部の検事が検察審査会を騙そうとウソの証拠を提出し、起訴相当という間違った結論を出させた。新聞・テレビは検察審査会の強制起訴を“民意”と褒めそやしたが、それは特捜部の検事によってつくられた民意だ。
いま最も明らかにすべきは、田代検事はじめ特捜部が意図的、組織的に証拠を捏造していたのではないかという疑惑を徹底的に糾明することです。そして検察審査会という危ういシステムを見直すことが必要だ」
※郵便不正事件/発端は自称「障害者団体」が厚生労働省の偽の証明書を得て、通販ダイレクトメールを送料が安い心身障害者用低料第三種郵便物として発送していた事件。
大阪地検特捜部は偽証明書発行を働きかけたのは民主党幹部の石井一・参院議員という筋書きで捜査を進め、2009年に政界捜査の入り口として当時同省局長だった村木厚子氏と部下の係長、自称障害者団体幹部らを逮捕した。石井氏は無関係で政界に捜査は及ばなかったが、小沢氏の事件同様、政権交代を阻止するための強引な国策捜査だったとされる。
ところが、公判の過程で前田恒彦・元主任検事が村木氏を有罪にしようと証拠のフロッピーディスクを改竄していたことが発覚し、村木氏は無罪、単独で偽証明書を作成した係長は有罪となった。その後、最高検は前田元検事と上司の大坪弘道・元特捜部長及び佐賀元明・元副部長を証拠隠滅罪で起訴し、3人とも有罪判決を受けた(大坪被告と佐賀被告は控訴中)。
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