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小沢裁判の本質は、既得権益側が政権交代を阻止しようとして起こした事件だと、筆者は書いた。既得権益者が自らの権益を守るため、合法的な政治活動を行なうのは、民主国家では当然のことである。だが小沢氏に係わる一連の事件が、既得権益者が、捜査権・公訴権を併せ持つ特捜検察に指示したか、または特捜検察が、自らの政治的思惑から引き起こしたものであったなら、これは民主主義に対する挑戦だと言える。
このような公権力の動きをチェックし、国民に知らせるのがジャーナリズムである。処が、日本のマスコミは特捜検察に与して、彼らの反民主主義的な動きを隠し、一連の小沢氏関連事件を「政治とカネ」という問題に矮小化した。マスコミが真のジャーナリズムであるならば、漆間発言「自民党議員には波及しない」があった時点で、検察の「政治介入」を指弾したはずだ。だが、彼の発言を追及しようともしなかった。
そしてこの度の判決である。裁判では「有罪」か「無罪」しかない。処が、「限りなくクロに近いシロ」などと大きく報道し、さらには各社とも社説で、小沢氏の「政治的責任は重い」などと批判した。また「小沢クロ」を刷り込んだ過去の報道を正当化するため、「指定弁護士による論告と弁護人による最終弁論をほぼ同じ扱いをするように心がけた」などと書いている。「語るに落ちる」とはこのことだ。
その一方、裁判所が組織的だと指弾した検察の違法捜査については、僅かに「検察は捜査の徹底的検証を」とか「ずさんな捜査の再発防止」とか、小さな見出しでのアリバイ記事を載せただけである。検察が組織的に起こした証拠とも言うべき、捏造報告書が作成された動機や組織としての意思決定など、本来マスコミが厳しく追及しなければならない問題を完全にスルーしている。
マスコミは、検察組織のこの犯罪的な行動を追及しないだけではない。この2月に田代検事が、続いて4月末には佐久間元特捜部長などが、ある市民団体から告発されたにも拘わらず、マスコミはその事実を全く報道しない。事件の本質である反民主主義的な国家権力の暴走を、マスコミは指弾することもなく、ただ目をつぶっているだけである。そして、自らの報道を正当化しようとしている。
その典型が、先週5日の毎日新聞メディア欄の“「強制起訴事件」の報道のあり方”という記事である。この記事は「強制起訴事件」の報道はいかにあるべきかと、「政治とカネ」の問題に関する報道について、3人の識者に聞いたで始まる。小沢事件での検察の問題を無視し、問題を「政治とカネ」に矮小化し、自らの報道を擁護した内容である。その一人、東大名誉教授醍醐聡氏の文の冒頭を以下に引用する。
小沢氏のカネを巡る報道に対して、同氏の政治的役割を期待している人たちから「無罪推定に反した犯人視報道だ」との批判が出たが、紙面を見る限りは裁判で小沢氏が有罪だと予断を持ったような報道だとは感じなかった。(引用終り)
この文章は巧みに問題をすり替えている。「犯人視報道だ」との批判は、裁判の記事ではない。それを、公判の状況からして、無罪が見える裁判の記事にすり替えているのだ。また、マスコミの報道を批判した人は、同氏の政治的役割を期待している人たちだけではない。
「官僚主権国家」や、郷原氏が言う「検主主義国家」への道、即ち検察官僚による民主主義への挑戦に対する危機感を抱いた人たちも多数いる。ネットでは、「小沢氏の政策を支持する者ではないが」との枕詞で始まるマスコミ報道を批判した書き込みが多数あるのが、その証左だと言える。
上記引用に引き続き、醍醐氏は「ただ、その報道が、検察審査会の起訴議決に基づき強制起訴された裁判では、無罪が多いという過去の事実を考慮し、伝え方を変えた結果だとすれば、司法報道の信頼性を損ねることになると思う。報道機関が検察審査会の判断を否定的に評価をしているというメッセージにつながり、無罪判決を報道機関が促しているようなことにならないだろうか」(原文のまま)と書いている。
的外れもいいところではないか。日刊ゲンダイと一部の週刊誌を除いて、「検察審査会の判断を否定的に評価し」「無罪判決を報道機関が促し」に該当する報道をしたマスコミは皆無である。逆にマスコミ報道が「推認有罪」を生んだとも言える。また、司法報道の信頼性を損ねているのは、「天の声」に代表される検察のリーク情報を垂れ流し、憲法が定める「推定無罪」を無視したマスコミの報道姿勢にある。
民主国家で、軍隊(日本では自衛隊)が武力で国民主権を踏みにじれば、民主主義に対する挑戦・クーデターとして世界中から反発を買い、国連で制裁決議を受ける。では、軍隊という暴力組織ではなく、捜査権・公訴権という国家権力を持つ組織が、政治に介入し、主権者である国民の意とは違う政権が誕生した場合はどうだ。そこに大きな違いはない。逆に民主主義の仮面を被っているだけに性質が悪い。それからして検察権力に迎合し、反民主主義的な動きを許したマスコミの罪は重いと言える。
http://www.olivenews.net/news_30/newsdisp.php?m=0&i=1
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