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2012-05-07 文芸評論家・山崎行太郎の政治ブログ『毒蛇山荘日記』
「小沢裁判」の歴史と現在。政治資金規正違反事件としての「小沢裁判」は「無罪判決」で終わったと言っていいが、「小沢裁判」そのものは終わったわけではない。今は、一段落しているだけである。つまり「小沢裁判」とは、小沢一郎が生きている限り続くのだと見て間違いない。何故、そういうことになるのか。それは、政治家・小沢一郎の才能と資質を恐れ、警戒し、隙があれば小沢一郎を政治的に抹殺したいと考えている人間が、あるいは政治勢力がいるからである。たとえば、政権交代を実質的に潰すためには「小沢一郎」をつぶしさえすればいいからだ。言い換えれば、「小沢裁判」は単なる裁判ではなく、明確に政治裁判であり、政治闘争の一環としての裁判なのである。したがって、「小沢裁判」を、裁判の技術論や罪刑法定主義の「原理原則」を持ち出してきて、その不当性を告発し、批判してみても限界がある。「小沢裁判」は、法の原理原則を無視して、強引にはじめられた裁判である。国家権力とは、自らの権力を保持し続けるためには、何でもやるのである。
郷原伸郎氏や江川詔子・・・・氏等の「小沢一郎は好きでも嫌いでもないが・・・」という断りなしには始まらない法律論や裁判論には、はじめからから限界がある。彼らは、「小沢裁判」が、政治裁判であり、政治闘争であるということを理解していないか、もしくは理解したくないとおもっているからだ。むろん、検察の暴走や裁判の手続きというような議論も必要である。しかし、それは、あくまでも相手の土俵に乗った上での戦いでしかないことを忘れるべきではない。つまり、「小沢裁判」を仕掛けた者たちにとって、小沢一郎が無罪になろうと有罪になろうと関係ないからである。政治家・小沢一郎を法廷に引きずり出し、有罪か無罪かで一喜一憂しているうちに、政治家・小沢一郎の政治的抹殺の何割かは果たされているのである。小沢一郎が「無罪判決」を勝ち取ったとしても、政治家・小沢一郎が短期的には負けたことは明らかである。しかし、それでも法律論や裁判論は必要不可欠である。そこが、悩ましいところである。
さて、「小沢裁判」、あるいは「小沢事件」は、
2009年3月3日、東京地検特捜部が、西松建設の違法献金事件で大久保隆規・公設第一秘書(当時)を逮捕したことから始まるとされている。
そして翌年、
2010年1月15日、東京地検特捜部が、石川知裕衆議院議員と池田光智私設秘書(当時)、陸山会をめぐる政治資金規正法違反、つまり「虚偽記載」の容疑で逮捕、さらに翌16日、大久保隆規公設第一秘書(当時)を、同容疑で再逮捕。
1月23日、小沢一郎から事情聴取。これによって、「小沢事件」や「小沢裁判」の仕掛けが、小沢一郎本人を狙ったものであることが明白になる。以後、小沢一郎への事情聴取が繰り返され、マスコミの小沢一郎バッシング報道も過熱化していく。
しかし、
2月4日、石川知裕議員等3人は起訴されたが、小沢一郎は、政治資金収支報告書に関しては不起訴になる。小沢一郎の不起訴を不服とする市民団体が、東京第五検察審査会に審査を申し立てる。
10月4日、東京第五検察審査会が小沢一郎の「起訴議決」を発表し、いよいよ「小沢一郎裁判」が始まることになる。
2012年4月26日、「小沢一郎無罪判決」となる。
すでに3年という時間が経過していることが分かる。その間に民主党代表を辞任、政権交代後に幹事長のになるが、それも辞任。つまり、小沢一郎は、政権交代を実現したにもかかわらず、実質的には、この3年間、政治活動を禁止され、裁判闘争に明け暮れたと言っていい。言うまでもなく、小沢一郎が政治活動を禁止された3年間の間に、「政権交代」の夢は潰され、政権交代後の政治改革はほぼ完全に挫折させられ、民主党政権も回復不可能な致命的打撃を受けた。小沢一郎を狙った「政治裁判」と「政治闘争」は、小沢一郎が「無罪判決」を勝ち取ったところで、その目的を十分に果たしたと言うべきだろう。むろん、「小沢一郎無罪判決」は重要である。しかし、それだけにこだわっていると、肝心な問題の本質を見失う。つまり、小沢一郎を政治的に抹殺しようとしたものは、誰なのか、という問題こそが、問題の本質である。
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