http://www.asyura2.com/12/senkyo129/msg/761.html
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どもどもご無沙汰しております。いやほんとに。
人生の都合により最低でも年内はネットの活動しない予定だったんですが……。
個人的にずうううううううううっとウォッチしてたものがにわかに脚光を浴びてるんで、ちょっと一回だけ書いてみよっと思ったのでした。
お題はこれ。
大阪市「育て方が悪いから発達障害になる」条例案について
http://d.hatena.ne.jp/lessor/20120502/1335985207
大阪維新の会が大阪市議会に提出しようとしてる条例案。
「育て方が悪いから発達障害になるんだぜ!」
「子どもの教育のために親をしばこうぜ!」
「日本の伝統的子育て最高!」
と、まあそんな感じの内容。マザコン、マッチョ、パターナリズムって感じでSAN値が下がります!
リンク先でも批判されてるように、ひでえ条例案なわけですが、これ、大阪市議会でいきなり出てきた話じゃないんですよ。
現在日本には、
このトンデモ条例みたいなものを国の法律にしようとしてる政治家のグループがあります。
このトンデモ条例に書かれてるようなことを教育現場で広めようとしてる教師のグループがあります。
さらにそれを後押ししてるメディアがあります。
マジ、マジ、陰謀論じゃないよ!
すでに一部で情報飛び交ってますが、この条例案には元ネタがあります。
その元ネタこそが、私がずっと熱い視線を送り続けてる高橋史朗という人がやってる「親学」ってやつ。今回の条例案はこの「親学」の思想に基づいてます。
wikipedia:高橋史朗
http://ja.wikipedia.org/wiki/高橋史朗
親学推進協会
http://www.oyagaku.org/
「親学」の主張するところをかいつまんで要約すると
日本の伝統的な子育てすれば発達障害は予防できるし治るってのが脳科学でも証明されたんだぜ。最近、子どもの発達障害が増えてるっていうけど、これは今どきのダメ親の教育力が落ちてるから。だからちゃんとした子育てができるように親を先に(しばかなきゃ)教育しなきゃね!
と、いうもの。
脳科学(?)と発達障害への誤解に基づいた保守系トンデモ教育論です。
条例のトンデモな部分は、ほぼ「親学」のトンデモな部分に由来してると言って良いでしょう。
※ちなみにこの「親学」を推進してる高橋さんは二年くらい前にやはり発達障害についてのトンデモ記事を産経新聞に書いてて、そのときディスってます↓。
産経新聞が発達障害についての俗説を広め、偏見を助長しようとしている件について
http://d.hatena.ne.jp/tsumiyama/20100422/p1
で、日本にはこの「親学」を推進しようという勢力があって頑張ってるんですよ。
図にしちゃおっかな。こういうことすると陰謀論っぽいかしらん?
この図に入ってる固有名詞は見る人が見ると、もうお腹いっぱい全部入りラーメンっていうか、ああ日本の福音派か(ここで言う「福音」は教育勅語ね)とびみょーな気持ちになるわけです。
つーか、今のところ石原都知事がミッシング・リンクになってるので、だれか解明してください(笑)
親学推進議連ってのは、今年の4月10日に立ち上がったわけですが、もう何年も前から色んなとこのJC(青年会議所)で代議士が参加する勉強会やらなにやらやってたんですよね。
この議連の事務局長である下村博文センセはブログで
http://hakubun.jp/2012/04/「親学」推進議連-4/
この議連は、家庭教育推進法(仮称)を制定することと、
と、高らかに宣言してまして、件の条例案みたいなのを国会に出す気マンマンなわけです。
あと上の図の中ではちょっとマイナーなTOSSっていうのは現役の教員たちによる教育技術を蓄積して共有しようという勉強会が集まった民間団体です。
会員数1万人ですが、教材やメソッドを使ってる教師も含めたらもっとたくさんいます。
と、これだけ聞くと有意義な活動をしてる団体っぽいんですが、ニセ科学的なものに引っ張られちゃう傾向がどうもあるんです。
具体的には「EM菌」とか「水からの伝言」とか「ゲーム脳」とかを取り入れちゃった過去があります。
で、このTOSSも「親学」を推進してるわけですが、この「親学」というのも中を見ると、きわめてニセ科学的なんですね。つーか「親学推進協会」の評議委員に「ゲーム脳」の森昭雄センセいるしね。
私は「親学」はトンデモだと思います。端的に言って間違ってる。
でも推進してる人たちは、そうは思ってなくて善意でやってるわけなんですね。
そうこれは善意。
「親学」を推進してる人たちは、発達障害児を差別する気も、親を追い詰めるつもりもない。むしろ自分たちのやり方が正しくて、親たちを導きより良い社会を作れると思ってるはずです。
そして彼らに共感する人も沢山います。「親学」に惹かれるのは、極端に保守的な思想を持ってる人だけじゃありませんよ。改憲論なんかには興味がないようなふつーの感覚のふつーの人でも「最近はダメ親が増えてるから……」とぼんやり思っていたりします。そういう層をバクバク食べて「親学」は勢いを増していくでしょう。これはたぶん止められない。
て、書いててちょー怖くなってきましたが。
今回の大阪のやつは批判が集中し、橋本市長が反対に回るっぽいので通らないかもしれません。
でもこれだけ具体的な力を持った人たちが「親学」を推進してるってことは、何度でも蘇るでしょう。
例えば、今回叩かれてる発達障害の記述をマイナーチェンジしたりして、もう一度出てくるかもしれません。
思えば、都の青少年保護条例の改正案だって最終的にはマイナーチェンジして通っちゃいましたしね……。そういうことは、あるわけです。
それから大阪以外に目を向けると、埼玉の上田知事とかはすでに「親学」べったりで、高橋さんに教育委員やらせたりしてました。
発達障害についてのラディカルな主張をオミットした「親学」というコンセプトだけなら、宇都宮や名古屋でも行政に取り入れられてます。
宇都宮市「親学の推進」
http://www.city.utsunomiya.tochigi.jp/shogai_gakushu/shogaigakushu/009294.html
名古屋市「親学ノススメ」
http://www.city.nagoya.jp/kyoiku/page/0000010743.html
他にもこういうマイルドな「親学」を採用してる自治体は結構あるはずです。
物好きな人は最寄りの中規模都市の青年会議所を調べて見てもいいでしょう。かなりの高確率で「親学講座」みたいなものをやってます。
「親学」はもう私やあなたのすぐそばにきているのです。
デデデン!
さて。
おっかない話はこの辺で。
「邪悪なメモ」的にはこっからがハイライト。
この「親学」を推進する人たちの素朴な欲望がダダ漏れしてる趣ぶかーいイベントがあるんです!
それがこれ。親学推進協会とTOSSが一緒になってやってる。
親守詩大会!
色んなとこでやってます。
埼玉大会
http://shishimai.p1.bindsite.jp/sai-kyoikukenkyujo/oyamoriuta-saitama.html
八重山大会
http://www.yaeyama-jc.com/senryu/
「親守詩」ってのは子守歌の逆で「子どもが親を思って作る詩(川柳)」だそうです。
これを大人の側から要求して作らせて発表させる大会が「親守詩大会」なんですね。
いやいやいや、このコンセプトすごいよね?
で、実際に子どもたちが作った「親守歌」がこれ。
大好きな 母さんおぶるの ぼくのゆめ
ありがたさ 五七五では おさまらない
お母さん ぼくよりぼくが だいすきだ
父と母 びゅんびゅん回す 愛のムチ
DVが吹き荒れる家庭の様子を歌った「愛のムチ」が最高ですね!
私が初めてこのイベントの存在を知ったときの「スゲー! ヤベー!」って感じ伝わります?
大きな大会の会場で子どもが親にこれを読むわけですよ。
親の期待に応えようとする子どもの愛情と親の自尊心が阿鼻叫喚ですよ。
これもう絶対ビンビンだよね?
いや、私も子どもいるから、もし拙い字でこんな川柳書かれたら、そりゃ嬉しくて泣いちゃいますよ?
でも、やっぱ親の口から「ちょっとお父さんへの愛情を詩にしなさい」とは言いづらいですよね。そんなわけでTOSSのセンセがテキストを作ってて、学校の側から参加をうながしてくれるんですね。
総合的な学習の時間にでもやるのかな?
(埼玉大会のページからダウンロードできます)
http://shishimai.p1.bindsite.jp/sai-kyoikukenkyujo/oyamoriuta-saitama.html
誰でも持っている「子どもに尊敬されたい、愛されたい」って欲望を身も蓋もなくさらけ出して肯定できるってすごいよね。
ステキやん!
8月8日(パパの日)には東京大会も開催されるそうです。きっと色んなところで「美談」として取りあげられることでしょう。
これはね、『劇場版 親守詩』まであり得ると思うな。
と、いうわけで
ちょー久しぶりにブログを書いた罪山なのでした。
最初の方で書いたように、年内は冬眠するつもりでしたが、まあ生存報告ということで。
もし突然Twitterやブログの更新が途絶えて心配してくれてた方がいたら、本当にスミマセン。生きています。
で、またしばらく消えます。次の更新はたぶん来年です。
そんじゃーね。 (はてな村から去るときの挨拶)
http://d.hatena.ne.jp/tsumiyama/20120504/p1
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