http://www.asyura2.com/12/senkyo129/msg/749.html
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「小沢無罪」で国民が“既成権力”に求める8つの「説明責任」
2012年 5月 5日 20:49
成瀬裕史
■「小沢裁判」を主謀した(?)“既成権力”こそ果たすべき「説明責任」
私は「日本国憲法」を持つ我が国を誇りに思う日本国民の一人である。
その憲法前文は「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、(中略)ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する」から始まる。
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S21/S21KE000.html
しかし、この「日本国憲法」が施行されてから65年が経った昨今、主権者・国民の代表者である国会議員の活動が不当に制限され、“国民主権”が脅かされる事態が発生している。
そう、先日、小沢氏に無罪判決が下された「小沢裁判」・陸山会事件である…。
しかも、無罪判決というのに、“社会の木鐸”の筈のマスメディアは、「壊れたレコード」のように、「政治的けじめを」とか「説明責任を果たせ」とか、従来主張を繰返している…。
私は、今回の「小沢裁判」を、長年「自民党政権」を隠れ蓑として権勢を誇っていた官僚機構から「正当に選挙された国会における代表者」を通じて政権奪取に成功した“日本国民”に対する、不当な「反動的騒動」と認識している…。
そんな「反動的騒動」の主謀者たる“既成権力”の面々こそ、「けじめ」と「説明責任」を果たすべきなのではないだろうか…?
そして、そんな既成権力の「片棒を担いできた」と誤解されそうな「第4の権力」たるマスメディアに対しても、もし、今でも“社会の木鐸”たる気概が残っているのであれば、「権力の監視者」としての責任を果たすべく、これから述べる「8つの疑問」の調査・報道に努めて欲しいと切に望む…。
■疑問1:総選挙直前の大久保氏逮捕時、「指揮権発動」はなかったか?
小沢一郎氏の盟友で元参院議員の平野貞夫氏は2010年5月、自らのブログで、ある経済人と会った際、次のような話を聞いたと述べている。
「私は元法務大臣と昵懇で、時々会食していた。昨年3月西松事件で小沢事務所の大久保秘書が逮捕された問題について、『あれは私が指示した事件だ』と、現職の法務大臣からの直接の話を聞いた」
http://www.the-journal.jp/contents/hirano/2010/05/post_14.html
これが事実だとしたら、総選挙直前に政権奪取が確実視される野党党首を狙った「指揮権発動」ではないのか?
当時、前警察庁長官の漆間官房副長官がオフレコ懇で「西松建設問題は自民党には捜査が及ばない」と口を滑らしたとかと話題になったことも思い出される…。
ちなみに「しんぶん赤旗」(2009.1.2)に掲載された西松建設の献金リストは、次のとおり。
《自民党》
二階派:838万円、二階俊博(経済産業相):30万円、尾身幸次:2080万円、加藤紘一:1400万円、藤井孝男:600万円、森喜朗(元首相):500万円、藤野公孝:400万円、山口俊一(麻生首相補佐官):200万円、加納時男(国土交通副大臣):200万円、川崎二郎:140万円、山本公一:114万円、林幹雄:100万円、古賀誠:16万円、渡辺具能:14万円
《民主党》
小沢一郎:3100万円、山岡賢次:200万円、民主党岩手県連:900万円
《改革クラブ》
渡辺秀央:300万円
《国民新党》
自見庄三郎:30万円
我が国では、刑事訴訟法第247条で「公訴は、検察官がこれを行う」とし、検察官による「起訴独占主義」をとっているが、これは言い換えると「同じ罪状でも起訴するかどうか」の権限も「検察官だけが握っている」こととなる。
検察の“裏金”問題を告発しようとした三井環・元大阪高検公安部長は、報道番組の収録を予定していた当日の2002年4月22日、競売マンション落札に係る「詐欺」容疑で逮捕されたが、三井氏の談によると、時の政府がこの裏金問題を「うやむやにする」ことで、検察当局は政府・自民党に「大きな借り」を作ってしまった、という…。
なお、この三井氏が“裏金”告発を事前に相談していた政治家は、「菅直人」氏だという…。
小沢氏の“剛腕”により「政権交代」が実現した翌年、政権交代後初めての通常国会が開かれる直前の2010年1月15日、今度は同じく小沢氏の元秘書で「主権者・国民の代表」国会議員の石川知裕氏が、「土地購入の期ズレ」という政治資金規正法違反(虚偽記載)で逮捕されることになった…。
■疑問2:大久保氏に対する「訴因変更」は何故認められたか?
「指揮権発動」も疑われる2009年3月3日の大久保氏逮捕・起訴の“訴因”であった「ダミーの政治団体を使った西松建設からの迂回献金」疑惑は、2010年1月13日の第2回公判での西松建設・元総務部長の「政治団体がダミーとは全く思っていなかった」との証言や、自民党を中心に10を超える政治家(の団体)がこの政治団体から献金を受け、大久保元秘書と同じ処理していた事実が判明し、検察側は「起訴事実の消滅」という“窮地”に追い込まれた。
このため、検察側は2日後の1月15日、今度は陸山会の土地購入の「期ズレ」容疑で、現職国会議員の石川氏や池田元秘書とともに大久保氏を再逮捕し、「西松建設のダミー献金」から「土地購入の虚偽報告」として、東京地裁に「訴因変更」を請求した。
2008年11月に東京高裁は「公判前整理手続き後は、争点整理と審理計画が策定された趣旨を無視した訴因変更は許されない」との判断を示しており、これを念頭に弁護側は「訴因変更は認められない」と主張していたが、後に「ミスター推認」と呼ばれる登石裁判長はこれを認めてしまい、西松事件の「訴因消滅」という検察側の“大チョンボ”は表面化せずに済むこととなった…。
ちなみにこの登石裁判長は、1993年から3年間、「判検交流」で刑事局“検事”を務めた経験があるという…。
■疑問3:石川氏逮捕時の“リーク報道”はどうして生まれたか?
石川氏逮捕5日後の2010年1月20日、某全国紙から「小沢氏が4億円不記載了承…石川議員が供述」と報道された。
曰く「石川知裕衆院議員(36)(民主)が東京地検特捜部の調べに、土地購入前の2004年10月下旬頃、土地代金に充てる現金4億円を同会の同年分の政治資金収支報告書に記載しない方針を小沢氏に報告し、了承を得ていたと供述していることが、関係者の話で分かった」
曰く「特捜部は小沢氏が用意した4億円の原資の解明を続けている。中堅ゼネコン水谷建設(三重県)の元幹部らが04年10月中旬、石川容疑者に現金5000万円を渡したとの供述もあり、ゼネコンからの資金が原資の一部になっている可能性もあると見ている」
どう見ても、特捜からの“リーク”の「垂れ流し」ではないか…。
また、5日後の1月25日にも同紙から「東京地検特捜部が押収した石川議員の手帳には、中堅ゼネコン「水谷建設」の元幹部らが石川容疑者に5000万円を渡したとする日の欄に、授受の場所とされるホテル名が記されていることがわかった」と報道された。
しかし、後にその記載は1年後の手帳に「全日空」としか書かれていないことが判明。
全くの“誤報”だったのであった…。
また、さらにその3日後の1月28日には、在京キー局が朝の情報番組で、上記献金授受の現場に居合わせたという「水谷建設に近い関係者」の証言と、ご丁寧に「再現ビデオ」まで放映している…。
当時の水谷建設の運転手の記録に「当日、全日空ホテルに出向いた記録はない」ことが判明しているが、くだんの登石裁判長にはこの「再現ビデオ」が脳裏にこびり付いていたのか、物的証拠が皆無の中、水谷建設からの裏金授受を「推認」している…。
以上のように、逮捕後2週間足らずの短期間に、小沢氏に対する疑念を国民に植え付けるかのような“リーク報道”が「ネガティブキャンペーン」のように繰り広げられた。
今となっては、「小沢裁判」で、石川氏が「小沢氏の関与を認めた」供述調書は全て却下されているが、当時はこの“リーク報道”を震源として、小沢氏の「政治とカネ」問題に対するマスコミの「バッシングの嵐」が吹き荒れたのであった…。
マスコミ諸氏は、このような“リーク情報”がどこから流され、上層部はどのような判断でこれを「垂れ流し報道」したのを、これまでの反省(?)も込めて「検証報道」に取り組んだらいかがであろうか…?
■疑問4:市民団体の「告発」「審査申立て」と、それが受理された経緯は?
この件は拙ブログでも詳報しているが、
http://www.janjanblog.com/archives/60285
石川氏逮捕の6日後の2010年1月21日、「真実を求める会」と名乗る市民団体が、小沢氏と逮捕された秘書3人を「政治資金規正法違反容疑(虚偽記載)にあたる」として、東京地検に告発状を提出したと、翌日の夕刊フジで報道された。
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20100122/plt1001221559002-n2.htm
犯罪被害者とその親族を以外で検察審査会に「審査申立て」を出来るのは、「告発者」だけである。(検察審査会法第2条)
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S23/S23HO147.html
2010年10月8日の朝日新聞の報道によると、この市民団体「真実を求める会」は、2010年2月4日の小沢氏不起訴処分に納得がいかず、検察審査会に審査を申し立てたという。
http://www.asahi.com/special/ozawa_sikin/TKY201010060349.html
この報道によると、この市民団体は関東近郊在住の行政書士、元新聞記者、元教師、元公務員など60代中心の男性約10人がメンバーだというが、
2010年1月15〜16日に小沢氏の元秘書3人が相次ぎ逮捕されたが、「秘書に責任を押しつけて、小沢氏だけが逃げるとしたら、許せない」とし、法律の専門家の助言を得て急いで小沢氏を「被告発人」に含めた告発状を作り、同21日に特捜部に提出したという。
普通であれば、秘書が逮捕されると「そのうち政治家も摘発される」と考えるのが“一般市民”の感覚であり、利害関係のない一般市民が政治家を「告発できる」ことなど、「思いもよらない」ことだと思われる。
元新聞記者や行政書士がメンバーというこの市民団体に「プロ」の匂いを感じるのは、私だけであろうか…。
事実、東京地検特捜部はこの告発を受け、告発状提出の2日後、小沢氏を参考人ではなく「被告発人」として事情聴取している…。
この1/15特捜部による秘書逮捕から、1/21市民団体の告発、1/23小沢氏の事情聴取、2/4小沢氏不起訴処分、市民団体の検察審査申立(2/12)という一連の流れは、特捜部と市民団体との「緻密な連携プレー」を見るような思いであり、「この市民団体、特捜部ご用達の“ダミー”なのではないか?」との疑念も、ついつい湧いて来てしまう…。
■疑問5:検察審査会2回目の起訴議決は本当に9月14日にされたのか?
2回の「起訴議決」で小沢氏が「強制起訴」されることとなった東京第5検察審査会については、巷で数々の“疑念”が渦巻いている。
その最たるものが、検察審査員の交代後も「平均年齢がほとんど変わらない」ことであろう。
東京第5検察審査会事務局によると、2010年4月27日の1回目の起訴議決時の平均年齢は「34・55歳」、9月14日の2回目の起訴議決時の平均年齢は最初の報告が「30・9歳」、訂正後「33・91歳」、そして最訂正後は「34・55歳」と、1回目の平均年齢とコンマ2桁まで同じになってしまった…。
また、検察審査会法第4条に基づき管轄区域内の有権者から11人の検察審査員を選定する「くじ引きソフト」は、チェックを付けることで恣意的に審査員を選定できる仕組みという…。
また、各審査会ごと、審査員や補充員のOBらで「検察審査員協会」が組織され、「全国検察審査員協会連合会」まで組織されていたようだが、この「平均年齢」疑惑発覚以降、活動報告などがネット上から“消滅”している。
法令上は審査員選定は「くじ引き」だが、プロの検察さえ判断に悩んだ案件の起訴・不起訴の審査を無作為で選ばれた一般市民が行うことは「至難の業」と思える。
それであれば、審査員・補充員経験者を「協会」として組織し、優先して審査員になってもらったほうが「スムーズに事が運ぶ」と事務局が考えるのは「自然の成り行き」である。
「2回の起訴議決は同一の審査員で行われた」と考えるほうが“自然”ではないだろうか…(しかし、今気づいたが、同一の審査員であっても、4月と9月では「平均年齢」も0.4歳上がってしまう…)
加えて、私が抱く“疑念”は。「2回目の起訴議決は本当に9月14日に行われたのか?」というものである。
2回目の起訴議決が公表されたのは議決日の20日後の10月4日であった。
しかし、議決の6日前の9月8日には「補助員の弁護士が選ばれ審査が本格化、10月末までに結論がでる公算が大きい」と全国紙が報じている…。
9月14日の議決が“事実”だとすると、報道から僅か6日間で「審査終了」になったことになる。
ただでさえ、「補助員の弁護士、一般市民の審査員にも負担が大きい」といわれる中、たった6日間で本当に審査がなされたのであろうか…?
また、9月14日に2回目の起訴議決がなされたのは、菅氏と小沢氏が争った民主党代表選の結果が出る「1時間前」だったという…。
以上の状況証拠からすると、
「菅氏側が議員投票を有利にするため「小沢氏に2回目の起訴議決」という情報を中間派に流し、それを“事実”とするために、本当は10月4日に審査員が集まり議決したが、議決日を「9月14日」に遡ったのではないか?」
と私なら“推認”するのであるが…。
では「なぜ2回目も“起訴相当”と分かるのか?」の問いには、「だって1回目と同じメンバーだから」と答えるであろう…(まさか2回とも名簿だけの“ダミー”だったりして…?)
また、森裕子参院議員のブログでは「東京第5検察審査会の起訴議決は無効だ!調査報告続編発表」として、
9月14日は議事録未作成のため、10月4日に9月14日と同一の審査員11名で審査会を開催し議事録に署名しているが、「9月14日に早退し議決に参加しなかった審査員が、10月4日にきちんと出席している以上、3人目の臨時の審査員を選定することはできない」ことから、
「署名した3人の臨時の審査員の選定は無効であり、従って起訴議決そのものが無効である」としている
http://my-dream.air-nifty.com/moriyuuko/2011/06/5-22bd.html
先日、小沢氏には「無罪」判決が下されたが、そもそも、この検察審査会の「起訴議決」の正当性を疑問視する声は多い。
森議員は「検察審査会の実態調査を目的とする法務委員会秘密会の開催」を衆参両議長に要請している。
森議員の活動により、私の拙い“疑念”も解消されることを、望むばかりである…。
■疑問6:検察審査会の指南役・審査補助員はどんな経緯で選ばれたか?
捜査報告書を「虚偽記載」した特捜検事を本年1月12日に刑事告発した
「健全な法治国家のために声をあげる市民の会」
http://shiminnokai.net/index.html
の代表・八木啓代さんのブログに昨年12月22日に明治大学大学院情報コミュニケーション学科主催で開催されたシンポジウム「検察・世論・冤罪V」の報告がアップされているが、
http://nobuyoyagi.blog16.fc2.com/blog-entry-623.html
その中で、日弁連で検察審査会に関するワーキンググループを務める東京弁護士会所属の山下幸夫弁護士が次のような発言をしている。
「私は、日弁連の中で検察審査会に関するワーキンググループの構成員で指定弁護士や審査補助員になる人を研修する立場」
「指定弁護士や審査補助員になる登録もしており、弁護士会の内部では『名簿の一番上に山下先生を置いています』と言われてきた」
「ところが小沢事件で、東京弁護士会に順番が来たときに、私ではなく、Yさんという別の弁護士が審査補助員になり、その人のもとで(一回目の)起訴相当議決が出たことを知って、非常にびっくりした」
「私はおそらく、Yさんが自分で手を挙げたと思うが、自分で手を挙げる人を何故弁護士会が認めてしまったのか、いろいろ調べたり聞いたりしても、弁護士会会長などに回答を求めても、なぜそうなったかわからない。日弁連もわからない」
「なぜ、Yさんが、一回目の審査補助員になったかはわからないんです」
検察審査会法第39条の2では、検察審査会は、
法律の専門的知見が必要な場合、「審査補助員」として弁護士を1名委嘱し、「審査補助員」は、
@法令及びその解釈を説明し、
A事件の事実上・法律上の問題点を整理し、
B審査に関し法的見地からの助言を行う、とされており、
また、議決書の作成の補助を行うことも出来るとされている。
このように、法律の「シロウト」な一般市民から「くじ」で選ばれた検察審査員を実質的に“リード”する審査補助員に、ある「意図」があったとすると、その議決内容も「ある意図」に染まってしまうのは「明白」ではあるまいか…?
2回目の「起訴議決」の際は、マスメディアは、
「今回の審査補助員は吉田繁実弁護士」で、検察審査会の審査の中で、
「小沢氏を暴力団組長と同じに見立て、配下の組員が銃器を不法に所持した場合、使用者責任で『共謀』容疑で逮捕・起訴・有罪にした事例を審査員に示した」と報じている。
この報道を受け、ネット上では、「2回目の『起訴議決』は審査補助員弁護士による『誘導』の結果であり無効」との意見が噴出していた…。
検察審査会法では、審査補助員は、検察審査会が「公訴権の実行に関し民意を反映」させるため置かれたことを踏まえ、「その自主的な判断を妨げるような言動をしてはならない」とされている(第39条の2第5項)が、そうであるならば、審査補助員を務める弁護士の選定についても、「公平・公正」そして「透明」であるべきと思うが、この一番肝心な部分が「不透明なまま」なのである…。
■疑問7:「虚偽報告書」作成に、特捜部の「組織的関与」はなかったか?
4月26日の「小沢無罪」判決では、
「事実に反する内容の捜査報告書を作成し、検察審査会の判断を誤らせることは許されない」と、検察側を厳しく批判するとともに、
「見立てに沿った供述の獲得に担当検事が力を注いでいた」とし“調書偏重”の検察捜査の在り方についても厳しく批判した。
地裁は、2月17日の公判で石川氏の供述証拠の大半を却下した際も、
「虚偽供述に導く危険性が高い取り調べであり、違法、不当なもので許容できない」とし、特捜捜査を厳し批判している。
しかし、その一方で、捜査報告書の「虚偽記載」で刑事告発されている“元特捜検事”について、
「検察当局は『過失との見方』を強め『不起訴処分』とする方向で検討している」と、マスメディアは4月18日、一斉に“リーク報道”している。
特捜部による検審への「虚偽報告書」提出は、本当に「“元特捜検事”の『過失』に過ぎなかった」のであろうか…?
2010年4月28日の鈴木宗男・佐藤優両氏のブログには、石川氏の言として、
「小沢はここで不起訴になっても、検察審査会で裁かれる可能性が高い。その議決は参議院選挙前に出る」
「小沢先生が不起訴になっても、検察審査会がある。そして、2回起訴相当になる。今度は弁護士によって、国民によって小沢先生は断罪される」
と特捜部の取調べ時に副部長から聞かされたと記している。
http://www.muneo.gr.jp/html/diary201004.html
http://blogos.com/article/23400/
『検察の正義』の著者の元検事・郷原信郎氏は、
「陸山会事件を『平成の盧溝橋事件』にしてはならない 〜虚偽捜査報告書作成事件の捜査・調査に速やかに着手すべき〜」とネットに寄稿している。
http://www.comp-c.co.jp/pdf/111219.pdf
この中で郷原氏は、
「供述した理由を、起訴後3ヶ月も経った後でわざわざ質問し、捜査報告書を作成することなど、通常の取調べではあり得ない」
「何らかの上司の指示がなければ、このような捜査報告書が作成されることはないと考えるのが合理的」としている。
また、組織としての判断である小沢氏の不起訴処分が検察審査会で覆されることは、通常、検察にとって極めて不名誉なことだが、
「わざわざ、検察の不処分が検察審査会の議決で覆される方向で捜査を行うこと自体、担当検察官個人の行動としてはあり得ない」とし、
「陸山会事件では、特捜部という検察組織の中の一部が、小沢氏不起訴という検察の組織としての決定に従わず、検察審査会という外部の組織を活用して検察の処分を覆させようとする『暴発』したと見ざるを得ない」
としている。
そして、今となっては真相解明が困難となった「盧溝橋事件」を引き合いに出した上で、
「その後の日本の政治、社会に重大な影響を与えた検察審査会での起訴議決という『民意』の作出に大きく影響したと思われる虚偽の捜査報告書作成事件が、意図的なものであったのか、組織的背景があったのかを、捜査又は調査によって解明することは決して困難なことではない」とし、
「捜査又は調査にただちに着手し、陸山会事件の検察捜査の真相を明らかにすることが、日本の社会を、そして、検察を救う唯一の道である」
としている。
前出の「健全な法治国家のために声をあげる市民の会」は、「虚偽報告書」作成の検事に加え、当時の特捜部長以下関係検事5名を、「偽計業務妨害」及び「犯人隠避」で最高検察庁に告発している…。
http://shiminnokai.net/doc/kokuhatsujo_20120425.pdf
■疑問8:“政権”とディアの間に、適切な「緊張関係」が保たれているか?
これまで述べてきた中で、マスメディアによる当局側の“リーク情報”の「垂れ流し」が、“結果”として、「公訴権の実行に民意を反映させる」検察審査会の「起訴議決」に「大きく影響を与えた」とも考えられる…。
本来、「社会の木鐸」として、時の“政権”当局に対し「適切な緊張関係」をもって臨むことが、“公器”たるマスメディアとしての「責務」であると私は考えている。
しかし、2010年12月23日、菅首相(当時)の「首相動静」として、
「午後6時22分、公邸発。同35分、東京・芝公園の日本料理店「とうふ屋うかい」着。星浩朝日新聞編集委員、岩見隆夫毎日新聞客員編集委員、橋本五郎読売新聞特別編集委員と食事。(了)」と通信社から配信されている。
「時の首相」が全国三大紙の「編集委員」と、「官邸・公邸での取材」ではなく「料理店」で“堂々”と「会食」したことを、マスメディアがこれまた“堂々”と「報道」して、果たして良いものであろうか…?
また、官僚側による“オフレコ懇”と記者クラブとの関係は、東京新聞論説委員・長谷川 幸洋氏による『現代ビジネス』のコラム「ニュースの深層」で、詳しく述べられている。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/5036
また、前出の元参議・平野氏はの2010年8月のブログ「偽造された『世論』は国を滅ぼす!」の中で、
「7月下旬、野中元官房長官と久しぶりに会う機会があり、その時に野中氏が、仙谷官房長官が『いろいろ』と相談に来ていることをふと漏らしたが、私はそれを聞いてたいへん驚いた」と述べている。
http://www.the-journal.jp/contents/hirano/2010/08/
かつて、自民党・小渕政権時の「自自連立」の際、「国のためなら私は悪魔とでも手を結ぶ」と、小沢氏を「悪魔」と呼んだ当時の官房長官・野中広務氏。
その野中氏は政界引退後、2010年4月23日に那覇市内で開かれたフォーラムの基調講演の中で、自身が長官在任中、先例に従い複数の評論家に内閣官房報償費(機密費)から数百万円を届けていたことを明らかにしている。
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-161420-storytopic-3.html
そんな野中氏が「反小沢」の急先鋒である仙石官房長官(当時)の相談に応じた後、菅氏と小沢氏が争った民主代表選が行われたが、
「日本記者クラブ」主催の公開討論会では、 幹事者の朝日新聞や読売新聞の論説委員の小沢氏「政治とカネ」に対する「執拗」とも思われる質問(というより主張?)が印象的であった…。
http://www.the-journal.jp/contents/newsspiral/2010/09/13live_vs.html
私は彼らに対し、「報道とカネ」について、逆に質問したくなった…。
■「小沢裁判」とは氏を怖れる既成権力の「集合的無意識」が成した業か?
元外務官僚の佐藤優氏は、鳩山・小沢両氏の“W辞任”時、「異論反論 佐藤さん!鳩山さんの辞任の原因、どう見る? 外務官僚の『クーデター』」と題する毎日新聞2010年6月16日の記事で、
「鳩山前政権は外務官僚の「静かなるクーデター」によって崩壊したと筆者は見ている」
「このクーデターは特定の官僚が書いたシナリオに基づいて行われたのではない」
「日本国家を憂えるまじめな外務官僚たちの集合的無意識が引き起こしたのだ」と述べている。
さらに、普天間の移設先を自民政権時の辺野古に戻すことにより、
「国家の重要事項に関しては政権交代で生まれた首相であっても官僚の決定を覆すことはできない」
「『日本国家を支配するのは官僚である』という現実を突きつけ、官僚の政治に対する優位を目に見える形で示そうとした」
「普段は霞が関の嫌われ者である外務官僚が、今回は官僚階級総体の利益を代表した」とも述べている。
「政・官・業」の“蜜月関係”が長く続いた自民政権であったが、自ら党を飛び出し、一時的ながら「細川連立政権」を成立させたのが、「剛腕」小沢一郎氏であった。
また、そんな長く続いた自民政権に対する国民の「閉塞感」を上手く捉えて「政権交代」に導いたのも「選挙の神様(?)」小沢氏であった。
その小沢氏が直前まで代表として臨んだ2009年総選挙のマニフェストには、「国民の生活が第一。」をスローガンに、
「官僚丸投げの政治から、政権党が責任を持つ政治家主導の政治へ」
「各省の縦割りの省益から、官邸主導の国益へ」
「タテ型の利権社会から、ヨコ型の絆の社会へ」
「中央集権から、地域主権へ」
などと、「政・官・業」の“既得権益”層に対する「宣戦布告」ともとれる政権構想が並んでいた。
また、小沢氏は、選挙で選ばれた「主権者・国民」の代表たる国会議員による「政治主導」の理念の下、官僚が歴代長官となる「内閣法制局」に否定的であり、検事総長の政治任用を唱えるなど、「司法」に対しても挑発的であった…。
また、田中角栄の直系で「金権・派閥」政治を具現化する存在として、「クリーン」を売り物とする旧社会党や“オリジナル”民主党の弁護士出身者などの政治家からは、まさに「目の敵」とされていたが、2010年の民主代表選では、そんな党内の「反小沢」感情が“復活”していった…。
「弁理士」菅直人氏の“後見人”江田五月氏は最高裁長官・竹崎博氏と小中高と同期の「裁判官」出身、同じく東大卒の仙谷由人氏や枝野幸男氏は「弁護士」出身など、民主党内の「反小沢」の急先鋒の面々は「法曹界」と強いパイプで結ばれている…。
■“第二の敗戦”を阻止するために…
このような、自民政権時からの「政・官・業」プラス「マスメディア」の既得権益層をはじめ、「法曹界」と近い民主党内「反小沢」勢力も加わり(?)、「集団的無意識」あるいは「相互依存」による、小沢氏の「脅威」に対する“包囲網”が形成され、
「総選挙前の大久保秘書逮捕」から始まり、
「石川議員逮捕」と「大久保氏の訴因変更」、
「市民団体の小沢氏告発と検察審査会審査申立て」、
「不透明な検察審査会運営、審査補助員選定」、
その末の「2度の起訴議決による強制起訴」、
「反小沢・執行部による党員資格停止処分」、
「推認による元秘書三人の有罪判決」を経て、
先日の「小沢無罪判決」まで、3年間余り、小沢氏の「政治力」に“制限”が加わり続けてきた…。
その間、「政権交代」は実現したが、「官僚主導から政治主導」はどこかに消え、2009衆院選と2010参院選の2度の選挙で主権者・国民が意思表示した「反・消費増税」も、「反小沢」を旗頭に、現・民主執行部、野党・自民党、そして陰の(真の?)権力者・財務省を筆頭とする官僚機構が、マスメディアに片棒を担がせながら一つにまとまり、「消費税増税」に突き進もうとしている…。
このままでは、政・官(軍)・業・報が集団的無意識(無責任)の中、突き進んだ先の「大戦」と同様、我が国は“第二の敗戦”ともいえる「破滅の道」に突き進んでしまう…。
(既に福島第一原発事故で“第二の敗戦”を迎えているかも知れないが…)
この「動き」を阻止するためには、自民政権時の既得権益層からの“政権交代”を選択した「主権者・日本国民」に対する、不当な“反動的騒動”である「小沢裁判」に対する“疑問”を解明して行かねばならない…。
それが可能なのは、既成の「マスメディア」ではなく、「ネット」による、「市民」による“ジャーナリズム”だけなのかも知れないが…。
http://www.janjanblog.com/archives/71418
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