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http://www.sankeibiz.jp/macro/news/120504/mca1205040502002-n1.htm
■「国益損ねる」 エリート官僚が警鐘
日本の国会では防衛・国交の2大臣に問責決議が出された。さて、世界では日本の官僚に問責がされたような状態だ。
「(大学の)学部からアメリカに行くような若者を増やさないといけない!」「日本の大学入試をTOEFL必修とすべき!」
この論の主は、日本政府の高官たちである。日本の顔として国際報道に頻繁に顔を出す日本外務省のエース、経産省から国際機関へ出向している出世頭、あるいは財務省を退職し国際派弁護士として活躍する人々だ。彼らは日本政府の語学力に警鐘を鳴らす。
◆国際交渉に悪影響
「環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)や基地問題など、国際交渉で日本が苦労するのは交渉内容の難しさだけが理由ではない。恥ずかしながら、政府の英語力不足もかなり交渉の足を引っ張っている」。霞が関官僚はこう漏らす。
かくいう私も、昨年の震災直後、米CNNテレビの生放送で日本の駐米大使がやりこめられる映像を目の当たりにして絶句した。みのもんたや田原総一郎も真っ青の百戦錬磨のアンカーたちを前に生放送というシチュエーションは、どんな外国人たちにとってもきついが、とはいえ日本の代表である。英語を母国語としない中国や韓国の政府高官も引っ張り出されて攻撃されるが、もっと効果的に反論したり、ジョークで切り返す英語力を持っている。
われわれは官僚を批判しながらも、そうはいっても彼らは「ちゃんとやっているだろう」と期待を寄せる。まさか語学力が理由で日本政府が国際舞台で苦戦しているなどとは思っていないだろう。
しかし、日本政府の心ある国際派は、自らの役所にいる先輩や同僚の英語力が「どれほど貧弱で、このままでは国益を害してしまうか」ということを外部に訴え始めている。実はこれは今に始まったことではない。ずっと前からそうなのだ。
◆ライシャワーが酷評
以下に駐日大使をつとめたエドウィン・ライシャワー氏の言葉を引用する。
「日本の対外接触にとって言語的障害がどれほど大きいかを本当に認識している人は、日本人にも少ないし、外国人になおさらである」
「日本と外部世界を隔絶する言語的障壁が、基本的には厳しい言語的現実に起因することは明白だが、それにしても、日本人がそれを乗り越えるために、従来もっと努力を払ってこなかったことは驚きに値する」
他にも、満州事変を調査するため、日中両国に赴いて両国の政府指導者と面談したリットン調査団は「中国の指導者たちの英語は実に正確であった。フランス語もよく話した。しかし、日本の指導者ときたら、英語の単語を一つ一つ取り出すたびに、外科手術が必要だった」と日本の英語力を酷評している
太平洋戦争直前の日米交渉の破綻も、日本の外交官の英語力不足が一つの原因であったようだ。当時の国務長官コーデル・ハル氏は戦後に出版した回顧録で、日本側の代表であった当時の野村吉三郎駐米大使の英語力を「野村の英語はひどかった。私は彼がこちらの話していることを本当に理解しているかどうかしばしば疑問に思った」と指摘し、「交渉では彼(野村大使)が深刻なお荷物だった」と書いている。このあたりは舟橋洋一氏の「あえて英語公用語論」(文春新書)に詳しい。
◆非主流派の“国際畑”
「どんな国際会議でも、先進国から新興国までほとんどの国は、決定権を持つ政府の国内主流派が、英語で責任を持って意見を述べる。日本だけが、決定権のない非主流派の“国際畑”の人間を送り出す。そして責任のない努力目標のような迷言をひっそり述べて帰ってくる。多国間外交では人的ネットワークができているが、日本だけがはじかれている」。霞が関官僚たちはそう嘆く。
「政府の機能や書類の英語化は相当遅れている。このままでは英語が壁になって日本は東南アジアや北米との自由貿易等国際的枠組み造りから外されるかもしれない。合意の内容や交渉より一番大きな壁は、政府の英語力だ」とも現役官僚たちは指摘する。
通常考えられている以上に、日本政府の英語力のなさは致命的な障害となっている。大量のメールの送受信を他国政府の同僚と同じスピードでこなし、英語で茶飲み話にも入っていって討論で相手をやり込めるくらいの語学力がないと、情報は入ってこないし、交渉で一目置かれない。かなり危うい。
霞が関で国際派が“国際派”といわれず、“国内畑主流”を歩くようになれば本物だ。“国際派”と呼ばれる人間がいる時点で、その組織は全然グローバルではないのである。組織自体がグローバル化しないと意味がないのだ。
「霞が関は腐っても鯛。国際交渉の場では、語学堪能な官僚がちゃんと仕切っているから大丈夫」という幻想は成り立たない。国際交渉の場では読み書きに加え、聞き、話す総合力が求められる。もっとも、足りないのは“聞き・話す”能力だけではなく、実は今欠落しているのは“読み・書き”の能力。特にちゃんと書ける能力が政府に欠落している。日本の役所のサイトの英語版を見てほしい。どれくらい内容が英語化されているか? それを他国と比べてみてほしい。それが日本政府の英語力のバロメーターだ。
このままでは日本の有効な言い分がちゃんと伝わらない時代が続くだけだ。日本人は「誰かがちゃんとやってくれる」と思っている。残念ながら「ちゃんとやるべき人間」も、「誰かがちゃんとやってくれる」と夢想しているだけだ
◆存在感のなさの原因
学生の留学くらいなら「英語は気合で何とかなる」なんてレベルでいいかもしれない。しかし、政府間交渉は「気合」だのなんだのってレベルではできない。もっと言えば、語学ができない人間が国際舞台で国を背負って気合を出せるわけがない。スピーチと交渉は違う。皆が黙って聞いてくれるスピーチはたどたどしくていいが、ちょっと口ごもったら突っ込まれる交渉はそうはいかない。一気通貫の語学力がいるのだ。国際舞台で意味があるのは交渉であり、スピーチはセレモニーなのだ。
「通訳がいればいい」というのは甘い。政府間の重要交渉は、外部通訳に任せられない。
日本の存在感のなさは英語力のなさからきている。多くの企業が企業派遣留学制度を廃止する中、人事院派遣では毎年多くの霞が関官僚が欧米に留学している。
まじめにやっている者もいるが、「役所がくれた休日だ」とばかり、旅行やゴルフに精を出しているものもいる。言語道断である。留学後語学力がついていない者には費用を全額返還させるべきだ。日本政府の英語力に国民レベルで危機感を持たないといけない!
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■X氏のプロフィール
経済、政治、学究の世界を縦横に駆け抜ける国際派日本人。40代。ちょいとワケありで匿名だが、書いてあることはすべて実話。
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