★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK129 > 583.html
 ★阿修羅♪  
▲コメTop ▼コメBtm 次へ 前へ
2012.05.01 『自治体ポピュリズムを問う』が投げかけるもの、(ハシズムの分析、その19)〔リベラル21〕
http://www.asyura2.com/12/senkyo129/msg/583.html
投稿者 gataro 日時 2012 年 5 月 01 日 08:30:40: KbIx4LOvH6Ccw
 

http://lib21.blog96.fc2.com/blog-entry-1968.html

2012.05.01 『自治体ポピュリズムを問う』が投げかけるもの、(ハシズムの分析、その19)
〜関西から(62)〜 
広原盛明
(都市計画・まちづくり研究者)


 ある経済誌から最近、書評を依頼された。『自治体ポピュリズムを問う―大阪維新改革・河村流減税の投げかけるもの』(自治体研究社、2012年2月刊)についてである。本書は、大阪・名古屋の事情に詳しい憲法学、行政法学、財政学など7人の共同執筆者が「大阪都構想」「職員基本条例」「教育基本条例」「河村流減税」などの内容と意図を詳しく解説し、政治的背景の分析も含めてわかりやすく構成されている。

 橋下大阪市長や河村名古屋市長ほど、一般市民と専門家との間で評価が分かれている首長は少ない。ある人は救世主のように敬い、別の人は唾棄すべき対象だと見なす。「毀誉褒貶」(きよほうへん)という言葉があるが、両者はまさにこの言葉のために生れてきた人物なのであり、それが本書のいう「ポピュリズム首長」の真骨頂なのだ。

本書を通読して、「自治体ポピュリズム」なる言葉が“新語”であることをはじめて知った。「ポピュリズム」「ポピュリスト」といった言葉がマスメディアで日常的に氾濫している現在、「自治体ポピュリズム」もまた同じように流布していると思いがちだが、案外そうでないところが面白い。こんな「盲点」を突いて出版されたのが本書なのだろう。

しかしよく考えてみると、この言葉は現在の地方自治体、延いては国政をめぐる政治的対抗関係を分析する上で重要なキーワードであることに気付く。国政における保革対決の構図が崩れて革新勢力が少数派に陥ったいま、政界では表面的な政局争いはあっても政策的には大同小異の政治勢力が並んでいるだけで、(たとえ小沢氏の無罪が確定して政界に本格的に復帰したとしても)その政治風景はいっこうに変わらないからだ。

支配政党が現体制維持を基本政策とする以上、実質的には「変わらない政治」が基調となり、「決定する政治」が不必要になる。結果として国政は停滞し、閉塞状態に陥るほかはないから、地方政治の場面で少しでも変化が出てくると、そこに国民の関心が集中する。かってのポピュリズム政治の表舞台は小泉旋風が吹き荒れた国政だったが、それが現在は橋下・河村などのポピュリズム首長が登場した地方自治体に移ったというわけだ。

「自治体ポピュリズム」とは、ポピュリズム政治の自治体版のことだ。それは、(1)小泉改革以降の新自由主義的政策の遂行過程で現出したものであり、(2)従来のポピュリズムの要素であった諸資源の政治的配分による庶民の支持調達という側面がないままに、(3)自治体住民の生活実感や地元への愛着心を利用して、(4)問題の単純化と二項対立式の“敵”を設定して有権者の感情に訴えかけ、(5)新自由主義の犠牲となる層からも支持を調達する政治だと規定されている(第1章)。
 だが問題は、自治体ポピュリズムの「これから」の展開だろう。大阪維新の会が国政進出をめざして目下着々と手を打っている様子は、日々のテレビニュースやトーク番組を通して全国の茶の間に瞬時に届けられる。視聴者(国民)はまるで「時代劇」か「ドラマ」の続きものを見るような感覚で、次の展開を待っているのである。橋下市長が連発する「大戦」(おおいくさ)といった芝居がかったセリフに視聴者がしびれるのは、彼がテレビ劇場の主役よろしく見なされているためだ。

 私が書評で言いたかったことは、本書の主題である「自治体ポピュリズム」の展開はもうすでに「次の段階」に移行しているのではないかということだ。大阪や名古屋など地方自治体を舞台にして橋下・河村といった異色のキャラクターが登場し、「自治体ポピュリズム」が生まれたことには異論がない。しかし河村市長が代表する地域政党の名称が最初から「減税名古屋」ではなく「減税日本」であったように、河村市長は国政進出の足掛かりとして名古屋市政を利用したにすぎない。

 橋下市長に至っては「出たとこ勝負」が信条であるだけに、風があれば「行けるところまで行く」というのが彼の政治行動の本質だといえる。究極のオポチュニストである橋下市長は、現在の閉塞状態を「右から」打開するためにマスメディアに露出して次々と新しい局面をつくりだし、次は国政に進出してその野望を果たそうと企んでいる。だから地域政党時代の「大阪都構想」などはもはや周辺部分に追いやられ、政策の中心は「維新八策」にみられるような「ネオリベ+ネオコン=ハシズム」の構図につらなるファッショ的国家改造政策にすり替わっているのである。

『自治体ポピュリズムを問う』が投げかけるものは、単に自治体レベルの分析の終わらずに、国政への波及と次なる展開を展望するものであってほしい。言い換えれば、「小泉+石原=橋下」といった脈絡で地方自治体と国政を結ぶポピュリズム政治を横断的に分析し、その展開を阻止するための骨太の戦略が求められるのである。

 なおこれは余談だが、本書には民主党政権の国会・政治改革構想の分析がある。世上では、民主党は政権交代のために新自由主義路線を若干修正して社会民主的政策を掲げたものの、それがアメリカと財界の圧力によって実現できず、「先祖帰り」したとの観測が支配的である。しかし私は、民主党の政権交代劇そのものが壮大な「日本型ポピュリズム政治」の一幕ではなかったのかと考えている。自民党政治という積年の問題解決を「政権交代」というキーワードで単純化し、二項対立的に「敵=自民党」という図式を設定して有権者の感情に訴えかけ、新自由主義の犠牲となる層からも支持を調達したとの解釈である。もしこのような仮説が成り立つとすれば、自治体ポピュリズムは政権交代後の「地方迂回路線」だという見方もできる。執筆者に意見を聞いてみたい。

 

  拍手はせず、拍手一覧を見る

コメント
 
01. 2012年5月01日 10:30:59 : Nv1o9C2e4M
ボ プ ュ リ ズ ム
民 衆 政 治

何で外国語をわざわざカタカナ表記で書く?

ア ク ラ ク ラ シー
衆 愚 政 治

ん〜
どっちでもいいか


  拍手はせず、拍手一覧を見る

この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
  削除対象コメントを見つけたら「管理人に報告する?」をクリックお願いします。24時間程度で確認し違反が確認できたものは全て削除します。 最新投稿・コメント全文リスト
フォローアップ:

 

 次へ  前へ

▲このページのTOPへ      ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK129掲示板

★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/ since 1995
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。

     ▲このページのTOPへ      ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK129掲示板

 
▲上へ       
★阿修羅♪  
この板投稿一覧