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「消費税シリーズ番外編:「輸出戻し税」妥当説の妥当性を簡単に説明」
http://www.asyura2.com/12/senkyo129/msg/466.html
へのコメントのなかのEopofEgjcさんの質問に答えるかたちで消費税の内実を説明します。コメント欄06.の@です。
なお、06.のAと08.への回答は別のスレッドで行うつもりです。
まず、ふだん聞かされている内容やイメージではまったく別ものに思える消費税と法人税は、課税ベースの広狭と税率の高低が違うだけで、事業者の付加価値に課される「直接税」という意味で同じなのです。
【引用1】
「@法人税と消費税を同義に捉えるのはそれこそ錯誤のもとじゃないでしょうか。
だって消費税は販売価格の5%(内税なので実際は5/105)と確定されているのに対し、法人税はそうじゃないし、第一法人税は単純な販売利益に対する課税じゃありません。
法人税は一事業者の1年間トータルの収益(厳密にはちょっと違うけど)に対して課税されるものです。
ですから販売で利益があったとしても、事業者の収入全体が仕入原価や減価償却費や人件費や支払利息等々の費用(厳密には…同上)より下回っていれば(課税所得がゼロ以下なら)法人税は実質ゼロです。
と言う事は法人税額は1年間の期末を迎えなければ分かりませんし、前年の税額を売価に転嫁するにしても、今年度どれだけ販売できるか分からない事には1商品に転嫁する金額を割り出せません。
不可能です。 」
【質問@への回答】
>法人税と消費税を同義に捉えるのはそれこそ錯誤のもとじゃないでしょうか。
法人税と消費税は、根源が事業者の付加価値(マージン)に課される税という意味で同義の税制です。
消費税と法人税の違いは、消費税の非課税取引や免税取引という特殊な規定を別にすると、収入と費用の範囲(課税ベース)及び税率だけと言えます。
財務省は、消費税と法人税がまったく別種の税と思わせたいがために、違うもののように説明し、違うもののように税額の算定をさせているのです。
消費税も法人税も、売上(収入)から原価(仕入)を差し引いた粗利益(付加価値:マージン)を基礎に、税法で控除できると認定されている経費を差し引いた“最終付加価値”を課税ベースとし、その金額に税率を乗じたものが税額になります。
違いは、収入とみなされる範囲と控除できる費用の範囲、さらに言えば、納付した税を損金として処理できかどうかという程度なのです。
法人税には益金・損金の認定が煩わしいという問題はありますが、
消費税と法人税は、共通の式
税額=(認定収入−認定費用)×税率
で表現できます。
数式ですから、“いやらしく”、法人税を消費税に似たかたちの式、
法人税額=認定収入×税率−認定費用×税率
に、変換することもできます。
>だって消費税は販売価格の5%(内税なので実際は5/105)と確定されているのに対し、
>法人税はそうじゃないし、第一法人税は単純な販売利益に対する課税じゃありません。
>法人税は一事業者の1年間トータルの収益(厳密にはちょっと違うけど)に対して課税
>されるものです。
販売価格の5%というのは、すぐ上の(認定収入×税率)に相当する、消費税額を計算する途中過程の要素であって、消費税が販売価格の5%で確定しているわけではありません。
消費税も、法人税と同じように、“単純な販売利益”に対する課税ではありません。
逆に、消費税を単純な税制と言えるのなら、法人税も単純な税制と言えます。
消費税と法人税の違いを、収入(課税ベース+)と費用(課税ベース−)の観点で整理します。
【消費税と法人税の課税ベースの違い】
[売上(収入):課税ベース+]
消費税:営業収入(非課税取引である受取利子・配当・債券や土地の譲渡益などの金融利得は除外):課税ベースが狭い
法人税:営業収入+営業外収入:金融利得などを含むあらゆる収入が対象:課税ベースが広い
[仕入(費用):課税ベース−]
消費税:全費用から給与・役員報酬・支払利子・地代・保険料・保証料・切手印紙などを除外したものが控除できる費用:課税ベースが広い
法人税:法人諸税と扱いが異なる接待交際費を除くあらゆる費用が控除可能:課税ベースが狭い
[減価償却費の扱い]
消費税:機械設備を含め購入した事業年度に一括で費用として控除:これも消費税還付の要因:課税ベースが狭い
法人税:定率もしくは定額で事業年度ごとに償却費として控除:課税ベースが広い
[納付税金の扱い]
消費税:あらゆる納付税金が費用の対象外:この意味で実質的にあらゆる納付税金に消費税が課されていることになる(二重課税):課税ベース広い
法人税:前年度の消費税は固定資産税などと同じ損金(費用)、消費税還付金は雑収入で益金(収入)。法人諸税は、最終利益から支払うものとして損金(費用)不算入。
ざっくり説明すれば、
消費税は、「収入」も「費用」も対象範囲が狭いので、正規従業員で本業に勤しんでいる事業者にとって(但し金融業は除く)、付加価値に占める課税ベースが広い税と言える。本業以外の金融関連収入が多く、外注や派遣労働者が多い事業者にとっての消費税は、付加価値に占める課税ベースが狭いものになる。
法人税は、「収入」も「費用」も対象範囲が広く、消費税に較べると付加価値に占める課税ベースが広いと言える。それゆえ?、税率が低い。
このような内容からも、消費税と法人税が、
税額=(認定収入−認定費用)×税率
という共通の式で表現できることがわかるはずです。
>ですから販売で利益があったとしても、事業者の収入全体が仕入原価や減価償却費や
>人件費や支払利息等々の費用(厳密には…同上)より下回っていれば(課税所得が
>ゼロ以下なら)法人税は実質ゼロです。
ここまでの説明でおわかりかと思いますが、消費税も、輸出免税取引や非課税取引がないとしても、「事業者の収入が仕入原価や販促費等々の費用より下回っていれば(課税ベースがゼロ以下なら)消費税はゼロです。」
消費税は、この意味でも、販売価格に5%といった税率がかけられたものではないと言えます。
>と言う事は法人税額は1年間の期末を迎えなければ分かりませんし、前年の税額を
>売価に転嫁するにしても、今年度どれだけ販売できるか分からない事には1商品に
>転嫁する金額を割り出せません。
>不可能です。
まず、法人税がいくらになるかという計算が事前にできなければ、売上利益率などを含む事業計画の策定や決算見通しの公表もできないことになります。
次に、消費税のほうが転嫁を計算しやすそうに思えますが、実際は、法人税の転嫁の計算に較べて簡単というわけではありません。
なぜなら、税抜販売価格を決めるまでに、法人税の転嫁のための計算とほぼ同じ過程を必要とするからです。
税抜き売価を決めることこそが問題の本質と言えます、
製造原価(仕入原価)を基礎に目標販売数量を決め、それにより算出できる1個当たりの粗利益から、営業活動のために予算化された販促費・事務処理に必要な一般管理費・支払利子などの費用を固定費・変動費も考慮しながら計算して商品1個あたりに割り振られる総費用を求めます。
法人税にしろ、消費税にしろ、税の転嫁は、商品1個に按分された総費用に乗じる粗利益率をいくらにするのかという問題になります。
「販売価格−総費用−按分された税金」が最終的に手元に残る1個当たりの利益になるからです。
そして、1個当たりの目標最終利益が決まれば、総費用も決まっていて、税金も課税方式がわかっているのですから、税込販売価格を決めることできます。
商品1個の総費用と販売価格が決まれば、総費用を上述の控除可否のふるいにかけることで、消費税課税ベースと法人税課税ベースの付加価値がそれぞれ決まります。
本業ベースですから、消費税課税ベースの付加価値のほうが大きな金額になります。
金融利得がない事業者なら、売上100億円を1個100億円の商品で達成すると考えればいいわけですから、それぞれに消費税率と法人実効税率を乗じた額を加算すれば、転嫁を織り込んだ売価が決まります。
税を転嫁する前の消費税課税ベース付加価値が70億円、法人税課税ベース付加価値が20億円だとします。
税込販売価格=100億円+70億円×5%+20億円×40%=111.5億円
税の転嫁に相当する金額の算定は、詰まるところ、コストや費用を計算する問題になります。
最後に、国内課税売上で得た付加価値に課される消費税が消え去り、消費税還付金を受け取る企業は、消費税の負担がゼロなのですから、販売価格に消費税を転嫁してはいけない(する必要がない)ことになります。
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