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26日の小沢裁判で「無罪判決」が下った。その判決要旨を一読した時、何とも言えない違和感があった。それは3つの争点の内、「公訴棄却」と「虚偽記載」については、指定弁護士の主張を入れたが、「共謀」については、「元代表の供述には、変遷や不自然な点が認められる」と述べながら、(小沢氏が)「05年分に計上すべきでないことを認識していなかった可能性がある」として推認無罪にしたことにある。
刑事裁判では公訴棄却でない限り「有罪」か「無罪」しかない。マスコミが言うような「クロに近い無罪」などは存在しない。そして有罪を証明するのは、本裁判では指定弁護士であって裁判官ではない。裁判官は「法と証拠」に基づいて、淡々と判決を下せばよい。処が大善裁判長は、独善的な論理を展開し、推認をした。一言で言えば「支離滅裂」な判決文で、彼の本質が登石裁判官と何ら変わらないことを示した。
小沢裁判の本質は、既得権益側が政権交代を阻止しようとして起こした事件である。このことについては、いずれ詳しく書きたいと思っているので省略するが、その事件の結末を、体制側は「有罪」で結びたかった。だが、検察審査会を悪用したことによって、一つの録音が特捜検察の腐敗を暴き、さらには検察審査会事務局から、最高裁事務総局の存在までが暴かれ始めた。そこで「無罪」で幕引きを図ったのだろう。
おそらく体制内部では、小沢潰しの「有罪派」と組織防衛の「無罪派」のせめぎ合いがあったと想像する。有罪判決を下せば当然控訴となる。控訴審で傷を負うのは体制側である。それを避けるには公訴棄却しかない。だがそうすると「有罪派」の面子は丸潰れになる。そこで体制側に近い指定弁護士に、彼らの主張を丸呑みするから、控訴はやめてくれというサインを送ったのが、この判決文だと推測する。
判決文でまず驚いたのが、公訴棄却をしなかった理由だ。まず「検察官が、任意性に疑いのある供述調書や事実に反する内容の捜査報告書を作成し、検察審査会に送付したとしても、検察審査会における審査手続きが違法となるとは言えず、そのことは事実に反する内容が意図的に作成された場合であっても同様である」と述べ、検察審査会に提出された捏造報告書を含む審査を正当化している。それだけではないのだ。
この文章を読めば誰もが、「今後も意図的に捏造報告書を作成しても良い」との意味に解釈する。もし検察審査会が公開され、不起訴とされた者やその代理人が、その審査内容を知る権利があるならば、百歩譲って、この論理を受け入れよう。だが、検察審査会は非公開である。そこでの審査の正当性を担保するものは、審査会に提出された証拠しかない。その証拠が事実に反しても良いとは恐れ入った話だ。
さらに「仮に、意図的に作成された事実に反する内容の捜査報告書のために、検察審査員が重要な供述の信用性を誤り、起訴議決に至ったとしても、それで起訴議決が無効であるとするのは、法的根拠に欠ける」と述べている。何を言うかである。公訴棄却を定めた刑訴法338条4「公訴提起の手続がその規定に違反したため無効であるとき」に立派に該当するではないか。
この詭弁の逃げ道として、この前段で「証拠の内容に不備があることと、手続きに不備があることとは別問題である」と述べている。「公訴提起の手続き」とは、何も検察審査会での手続きだけを指すものではない。捜査手法や証拠の採取などから、裁判所への公訴までの全過程を指す。なぜ、このような詭弁がまかり通るのか。それは、無罪判決の小沢氏が控訴できないので、誰にも反論の機会がないからである。
公訴棄却をせず、かつ共謀共同正犯で無罪にするには、虚偽記載という犯罪を捏造せざるを得なかった。そこで、会計学の大家である弥永筑波大教授の証言への反証も論ぜず、05年1月に登記日に支払い計上をしたことを「虚偽記載」だと決め付けた。「虚偽」とは、田代検事のように悪意を以って記載することである。司法書士のアドバイスに従って、合法と認識して行なったのだから、犯意がなく犯罪は成立しない。
また、政治資金規正法では、政治家個人からの一時的な金銭の貸与は、収支報告書の記載要項では記載しなくてよいとされている。即ち小沢氏個人から「借りた」4億円は、陸山会の会計報告書に記載する必要はない。従って、04年の報告書にある小沢氏からの借入金4億円は、登記簿謄本に「仮登記」(公開)された土地の仮払い代金と見做される。つまり、悪意或いは隠蔽の犯意があった「虚偽記載」とは言えない。
公訴棄却をしなかった理由の詭弁も、05年に報告した4億円を、証言への反証なしに虚偽記載として犯罪とした判決文を書いたのも、無罪判決を下された小沢氏が控訴できないことを、悪用したということになる。指定弁護士に対し「控訴はやめてくれというサイン」と書いたのは、控訴審になるとこの二つの虚構が崩れるからである。さて、指定弁護士はこのサインをどう受け止めるのだろう。
最後に私ごとを書くが、ある大学で法律を教えている筆者の息子が、偶々来宅した。
息子曰く「(判決文は)自分の学生の試験答案なら赤点。論理的に支離滅裂」と。
http://www.olivenews.net/news_30/newsdisp.php?m=0&i=12
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