http://www.asyura2.com/12/senkyo129/msg/466.html
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前回の投稿のコメント欄で、「輸出戻し税」(「輸出免税に伴う消費税還付」制度)について、お二人から「仕入で支払った(“負担した”)消費税が戻ってくるだけの話だから別に問題はない」という趣旨のコメントをいただきました。
次回の投稿で「消費税還付」制度の正当性を問題にするつもりなので、そこで説明しようかとも思いましたが、長文になるとかえってわかりにくいのではと考え、別枠で簡単に説明させていただきます。
【コメント元の投稿】
「E:消費税増税の目的は、「社会保障」や「財政再建」ではなく、「国際競争力の回復」である:付加価値税と“国際関係”」
http://www.asyura2.com/12/senkyo129/msg/400.html
のコメント欄4.と12.です。
まず、「輸出戻し税」が正当な制度に見えるのは、「原発の安全神話」と同じように、財務省(国税庁)が、消費税の処理方法や解説を通じてみんながそう思うように仕向けてきた成果だろうと思っています。
順番が逆で恐縮ですが、説明の都合で、コメント欄12.への回答を先に行います。
【引用1】
「12. 2012年4月27日 15:34:49 : EppdwTIO9Y
素朴な疑問なんですが、何で利益になるのかが分かりません。
仮払消費税として、仕入先に払った消費税が戻ってくるという話ですよね?
キャッシュが入ってくるのは、嬉しい話だと思いますが。
会計上、どんな仕訳をして利益にするか、教えて下さい。 」
【回答1】
>仮払消費税として、仕入先に払った消費税が戻ってくるという話ですよね?
答えはノーです。
消費税還付は、1円も払っていない税金(消費税)がどういうわけか還付されてくるという希有で不思議な制度なのです。
というのは、仮払消費税は、計算上の話で、実際に「仕入先に払った消費税」ではありません。
というより、転嫁の事実や“払ったつもり”があることを否定しませんが、どんな事業者(最終消費者)も、仕入れ(購入)先に消費税を払うことはないのです。
消費税は、消費税関連の法規を読めばわかるように、地方分を含め中央政府(税務署)に払うものであり、仕入れ先に払うものではありません。
少し飛んだ話になりますが、もしも、消費税の転嫁云々をもって、仕入先に消費税を払ったと言えるのなら、仕入れ先に法人税を払ったと言うこともできます。
所得(利益)に課される法人税の源泉は、販売を通じて得るマージン(付加価値)だからです。
言葉遊びに聞こえるかも知れませんが、仮払消費税は、あくまでも、個別の「仕入に含まれていると認定してもらえる消費税の金額」です。
国税庁も、「仕入にかかわる消費税」という曖昧な表現を使っているだけで、「仕入で支払った消費税」だとか「仕入で負担した消費税」といった“危ない”表現は一切使っていません。
最終的な消費税処理で説明される「仕入にかかわる消費税」も、計算上、「仕入に含まれていると認定する消費税」です。
「仕入先に払った消費税」という表現は、そう思わせたい国税庁がつくりあげた消費税イメージからつい出てくるものなのです。
間接税である温泉の入湯税は、法律で温泉施設の利用者が負担すると決められ、旅館など温泉施設の営業者は、政府の代理で税金を徴収し政府に納付する義務を負っています。
我々が支払う入湯税は、外見的には温泉施設に支払いますが、法律的には政府に支払っているのです。
ということから、借受消費税も、「売上で受け取った消費税」ではありません。
借受消費税は、「どう抗弁しようとも売上に含まれていると認定される消費税の金額」なのです。
ときに使われる“預かった消費税”という表現も錯誤で、代理徴収の権限も義務もない事業者が消費税を預かることはできません。
逆に、消費税は一切いただきませんといった商売をしていても、消費税納税免除事業者でない限り、消費税は計算式ではじき出され徴収されます。
仮払消費税も、借受消費税も、実際の取引で消費税がどう扱われたかということとは無関係なのです。
なお、消費税にかかわる税務会計は、税込と税抜があり、「仮払消費税」と「借受消費税」が勘定科目として必要なのは、税務処理を消費税抜きベースで行うときです。
税込ベースで税務会計を行うときは使われません。
現実にもある話だと思いますが、仕入れ先から「今回も、本体9千円、消費税450円でお願いします」と言われ、「売れ行き不振で困っているから、消費税分は値引きして9千円で頼むよ」と交渉したら、9千円で仕入ができたとします。
税抜処理でこの取引を仕訳すると、
[借方]仕入8572円・仮払消費税428円
[貸方]買掛金9000円
となります。
一方、このケースの仕入れ先は、「まあ仕方がないか。消費税は受け取らないのだから、借受消費税はゼロ」と処理しても、税務署にはまったく通用せず、最終的に428円の消費税が課されることになります。
税務署ではない仕入先に消費税を払うことはありえないのですから、消費税の還付は、仕入先に払った消費税が戻ってくるというような話ではないのです。
逆に、「消費税還付」制度があるがゆえに、国税庁などが、それを正当な制度と思わせるため、「仕入先に払った消費税」という意識を植え付けているのです。
>会計上、どんな仕訳をして利益にするか、教えて下さい。
たとえ、個別の取引について仮払消費税・借受消費税という勘定科目で仕訳処理をしていても、最終的な消費税額は、「借受消費税−仮払消費税」ではなく、総売上と総仕入を基礎とした消費税の算定式により求められます。
その値が「未払消費税」で、「借受消費税−仮払消費税」の値と差が生じたら、雑益もしくは雑損として会計的に処理されます。
法人税の処理についてですが、納付した消費税は翌決算期に損金(公租公課)として扱われますが、還付される消費税は、還付申告時の決算期もしくは還付金を受け取る決算期を任意に選択できます。そして、消費税還付金の仕訳勘定科目は「雑収入」になります。
計上時期を当該決算期にするか翌決算期にするかという問題は、経常損益の状況を見て有利なほうを判断するでしょう。
法人税の還付金の仕訳は、未収還付法人税と雑収入(還付加算金がある場合とき)ですが、消費税の還付金は、さすがに、払ってもいない税金の還付を受けるのですから、益金として扱われるようです。
消費税還付がホントウに支払った税金の“過払い”分であるのなら、還付金は、益金扱いされる雑収入ではなく、税務処理後の内部留保として扱われなければおかしいはずです。
自分の財布から“間違って”取られたお金が戻ってきただけなのに、雑収入というのはおかしいですからね。
【引用2】
「04. 2012年4月27日 04:18:44 : VGZeXVfO42
あっしらさんは全然ダメですな。
輸出戻し税はどう考えても真っ当。
外国に品物を売るのだから日本の消費税(売上税)は掛からない。
だから払った消費税(売上税)を還付する。
これのどこが可笑しいの。
税務会計をちゃんと勉強すれば判ることでしょう。 」
【回答2】
VGZeXVfO42さんが【回答1】を読まれてどういう感想を持たれたかわかりませんが、疑義のポイントに絞って説明します。
>払った消費税(売上税)を還付する。
【回答1】で説明したことに尽きますが、輸出事業者に還付すべき消費税は、誰にどういう法規定を根拠として支払った消費税なのか説明していただけますか?
>外国に品物を売るのだから日本の消費税(売上税)は掛からない。
輸出は、「免税」という“課税”取引であって、消費税が課されていないわけではありません。輸出には0%の消費税が課されています。消費税が課されない取引は「非課税」です。
消費税の後ろに(売上税)という表現が付加されていますが、それは、消費税は、付加価値税ではなく売上税という意味なのでしょうか?
仮に消費税を売上税とお考えなら、輸出事業者に還付される消費税は、どの部分の売上に課されたものとお考えですか?
輸出事業者の輸出にかかわる消費税は税率0%なので、輸出で売上税は発生していません。
消費税は仕入税ではないはずですから、輸出事業者が仕入で支払った「売上税」が還付されるという奇妙な話はないと思われます。
消費税が仕入税で、輸出は、非課税取引でそのための仕入で“納付”した消費税(仕入税)は還付するという税法の規定になっていれば、「輸出戻し税」は正当な制度と言えます。
最後に質問させていただきます。
住宅賃貸や福祉関連などの非課税取引は、売上で消費税が課されませんが、仕入では消費税の“負担”が生じています。免税と非課税の違いがあるとは言え、とてもよく似ています。
「外国に品物を売る」わけでありませんが、「非課税なのだから日本の消費税(売上税)は掛からない」のです。
VGZeXVfO42さんは、非課税取引の売上に要する仕入で“負担した”消費税が還付されないことをどのように考えますか?
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