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http://jp.wsj.com/Japan/Politics/node_434078
来週30日にオバマ大統領とワシントンで首脳会談をする際、野田佳彦首相は日本現代史に大きな足跡を残すことになる「第3の開国」の方針を伝えるはずだった。「第3の開国」とは環太平洋連携協定(TPP)への加盟のことだ。
野田首相は首脳会談の席上、TPP交渉への正式な参加を宣言することをかねてから計画していた。伝統的に閉鎖性の強い日本経済にあって、TPP交渉への参加はペリー提督の黒船来日、第2次世界大戦敗戦に続く米軍の日本進駐に続く、現代史の3回目の「大転換点」になることは確実だった。
「もし」、「のはずだった」、「だったろう」などの悔やむ言葉が将来つぶやかれるのかもしれない。というのも、TPPに向けた意欲は薄れ、準備はなおざりにされている。ここ数週間、少なくとも当面はTPP先送りにやぶさかではない、との示唆を野田首相は続けている。
つまり30日の首脳会談で、この問題に関する重大発表はもはや期待できないということだ。野田首相が以前はTPP交渉参加への準備措置と位置づけていた農業競争力の向上に向けた計画を一時凍結してしまったとの日本発の報道は、この観測を裏付けるものだ。
原因は、首相がTPPより格段に価値のない課題を優先させてしまったからだ。消費税の5%から10%への引き上げで、与党・民主党は党内が真っ二つに割れている。財政赤字の削減、収支均衡を目指した措置とはいえ、日本のデフレ経済の下での引き上げは、いつまでたっても学ぶことがないと批判される政治家でさえも馬鹿げた試みと認識している問題だ。
また26日、民主党の小沢一郎元代表が政治資金規制法違反に問われた裁判で無罪を勝ち取ったことは首相の苦悩に輪をかけたに違いない。消費増税に激しく反対する小沢元代表が無罪判決によって、より活発に政治的に動くことが可能となったからだ。さらに、昨年の東日本大震災による東京電力福島第1原発事故で信頼が地に落ちた原子力発電について、夏の電力需要の増大を前に日本の他の地域にある原子力発電所を再稼働させることでも苦闘が続いている。
この結果、同首相の国民に対するTPPについての説明は、雀の涙ほどにとどまり、農業従事者など特定の利益集団の主張がTPP論議を支配することを許してしまっている。これら利益集団の押し返しに合い、首相は当座のところは貿易自由化論議での勝ち目はないと判断してしまったようだ。
野田首相のこの後退は他のTPP参加諸国にとって、一見するとそうは見えないが良いことかもしれない。日本の保護主義者らがTPP交渉をより自由化を狭める方向の議論へ誘導するのではと懸念していたからだ。ただ、その一方で、結局は貿易がより自由化されることの必要な各種の業界団体の圧力を受け、いずれは日本がTPPに参加署名するとの期待もある。
いずれにしろ、これは野田首相の直面する大きな政治的問題をクローズ・アップしている。つまり国民が現段階では論外と考えている増税に猪突猛進するあまり、政府がここ数年真剣に考えてきた経済成長促進策を先送りしようとしていることだ。首相はTPPを当面棚上げすることが政治的に巧妙な戦略と思っているのかもしれない。だが、この段階でもう一度、TPPを真剣に追求する姿勢を見せることの方が、有権者に大きなアピールとなるのではと真剣に自問自答すべきだろう。
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