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特集ワイド:「小沢元代表は推定有罪」の罪
http://mainichi.jp/feature/news/20120427dde012010016000c6.html
毎日新聞 2012年04月27日 東京夕刊
資金管理団体「陸山会」の土地購入を巡り、政治資金規正法違反(虚偽記載)で検察審査会の議決により強制起訴された民主党の小沢一郎元代表(69)に下された判決は無罪。剛腕、壊し屋などダーティーなイメージがある政界実力者なだけに、検察も、民主党も、そしてメディアも、「推定有罪」で小沢元代表を遇してはこなかったか。【瀬尾忠義】
■検察は
◇制度悪用の疑念ぬぐえず−−木谷明さん(元裁判官)
裁判の過程で、小沢元代表の元秘書の衆院議員、石川知裕被告への再聴取で、田代政弘検事が虚偽の捜査報告書を作成し、検察審査会に提出したことが明らかになっている。つまり検察は自らの手を汚さないで、検察審に元代表を強制起訴させたと見られても仕方がない事案だ。検察審は、検察が提出した捜査報告書をウソだとは思わない。もし、検察審が起訴議決すると検察側が見越していたとするならば悪質で、制度を悪用したと言える。無罪判決は当然のことだろう。
元代表に対する検察の対応は重大な人権侵害だ。検察は自らのストーリーに沿った事実とは違う調書を作成することに抵抗感がなくなっているように感じられる。地検の取り調べや強制起訴で、元代表は首相になるチャンスを失ったのかもしれず、政治生命を傷つけられたと言える。
確かに、4億円の流れなど、分からない点は残っており、政治家としての説明責任はあると思う。だが、重要なのは、政治家の説明責任と、刑事責任は別に考えなければいけないということだ。
この判決をもって検察審が起訴できる仕組みをやめるなど制度を変えるのは早計だ。今回のようなことが起きないようにするには、虚偽の報告書や供述調書を作成できないように検察の取り調べを全面可視化することや、証拠の全面開示が必要だ。検察審に判断を求める場合は、なぜ検察は不起訴にしたのか、十分理由を説明すべきだ。
■メディアは
◇クロの雰囲気を作った−−服部孝章さん(立教大教授)
一連の報道が「小沢元代表は有罪だ」という雰囲気を作ってきたのは否定できない。新聞やテレビは、調査報道などの手法で元代表の法律違反を裏付けるような事実を提示することをせず、もっぱら検察のリークに乗ってしまった。結果として元代表は政界のフィクサーであり、裁判でも黒だろうという世論作りに加担した。厳しい見方をすれば検察と二人三脚だった。「推定無罪」が社会に浸透していないことを示した事例だった。
もちろん、政治家ら公的な人物に関する疑惑は報道すべきだ。取材でつかんだ「事実」を示し、当事者の反論を紹介するのがメディアの役割だ。
ただ、今回、元代表は多くを語らなかったのも事実だ。民主党が設置した外部有識者会議のメンバーとして、09年5月に元代表から事情を聴いた際、彼が「メディアに裏切られた」と、2回ほど口にしたのが記憶に残っている。「説明を尽くしたのに分かってくれない」という意識が強かったのだろう。4億円の出所などを十分に説明していないのは確か。裁判で無罪になっても元代表の説明責任がなくなるわけではない。
メディアは、なぜ有罪と思わせるような報道をしてしまったのかを検証しないといけない。新聞が信頼を取り戻せるかの分水嶺(ぶんすいれい)だと思ってほしい。また、無罪判決を伝える記事にもかかわらず、捜査関係者らの「それでもクロだと思う」という類いの談話が掲載されることがあるが問題だ。
■民主党は
◇司法の暴力に目つぶった−−有田芳生さん(民主党参院議員)
私は、小沢グループの一員でも、反小沢派でもない。だが、この裁判が有罪だったならば、東京地検特捜部を含めた司法への信頼は完全に崩壊していただろう。
民主党は、元代表の主導でマニフェストに取り調べの全面可視化を入れ、検察など司法界からは強い反発も出ていた。だが、検察は政治資金規正法違反で自ら起訴できず、「元代表との全面戦争」に負けたことを認めたくなかった。そのため元秘書の石川知裕被告を調べた田代政弘検事が作り上げた虚偽の報告書を基に、法律の素人である検察審査会を利用して元代表を裁く流れを作った。これは民主国家における形を変えた最大の暴力だ。
民主党執行部が、そのことに目をつぶり、判決が確定しないのに、元代表を党員資格停止にした対応は誤りだった。党として、検察から議員を守るために断固として戦うべきだった。
元代表を排除する事態になった理由について、長く党にいる閣僚経験者らに話を聞いたことがある。以前は人間関係がギスギスした党ではなかったが、元代表と菅直人氏が争った10年の代表選以降、理屈抜きに元代表を嫌う人物が増え、「政策を政局の道具に使う」などと批判を強めていったという。
政権交代を成し遂げた立役者であることは間違いないし、原点であるマニフェストを守ろうとしている。元代表は9月の代表選に出るべきだ。民主党にとっては政権交代の理念と政策を実現する最後のチャンスである。
◇「資格停止」間違いだった−−榊原英資さん(青山学院大教授)
元代表を党員資格停止にした民主党の対応は間違いだ。裁判で有罪にならない限り、処分すべきではなかった。
「疑わしきは罰せず」「推定無罪」は、政党でも同じであるべきだし、しかも今回は前例が少ない検察審査会による強制起訴だった。検察の捜査の問題点が指摘され、検察が暴走しているという見方も強まっていた。検察は実質的なチェック機能がない絶対的な権力だ。だからこそ、政治は慎重になり、むしろ検察をチェックすべきだったのではないか。
元代表が、一般的にも党内でもまるで有罪かのような強い批判を浴びたのは、強い政治家、強いリーダーシップを望まず、逆にバッシングする日本の風潮も影響していると思う。元代表も「日本は強い指導者を望まないんだ」と言っていたし、私もそう思う。
民主党は元代表の力を使うべきだ。経験があり、官僚機構を知っているし、経済界との結び付きが強い。両方できていないのが野田佳彦政権。政治が動かないのは、政治経験が少ない議員が多いことや、野田首相と同窓の松下政経塾出身者を多く登用した「お友達」内閣だからだ。
民主党への失望感は日増しに高まっている。閉塞(へいそく)感を打開するために、強いリーダーシップを発揮し、経済界と連携できる人物の登場が待たれている。党を立て直すのも、元代表が首相になるのも、次期代表選が最後のチャンスだろう。首相に選出されたならば、思い切った組閣をしてほしい。
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■人物略歴
◇きたに・あきら
元裁判官。最高裁調査官や東京高裁判事などを歴任。
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■人物略歴
◇はっとり・たかあき
立教大社会学部教授。専攻はメディア法。
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■人物略歴
◇ありた・よしふ
ジャーナリストとしてオウム真理教や霊感商法問題などを取材。
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■人物略歴
◇さかきばら・えいすけ
大蔵省(現財務省)国際金融局長、同財務官を歴任。
(転載終わり)
特集ワイド:「小沢元代表は推定有罪」の罪
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P4 http://mainichi.jp/feature/news/20120427dde012010016000c4.html
P5 http://mainichi.jp/feature/news/20120427dde012010016000c5.html
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