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4月27日(金) 無罪判決によって小沢一郎元代表の逆襲が始まる
注目の小沢一郎民主党元代表に対する判決が出ました。「無罪」ということです。
野田首相は頭を抱えているにちがいありません。この無罪判決によって、小沢さんとそのグループによる逆襲が始まるのは間違いないでしょうから。
資金管理団体「陸山会」の土地取引をめぐって、政治資金規正法違反(虚偽記載)の罪で強制起訴された民主党元代表の小沢一郎被告に対して、東京地裁は無罪(求刑・禁錮3年)とする判決を言い渡しました。
無罪となったのは、ある意味で当然だと言えます。もともと、有罪とするだけの証拠に乏しいとして、検察が起訴を諦めていたわけですから……。
そのうえ、裁判の途中で、検察側の取り調べに問題があったことや検事が作成した捜査報告書に嘘が含まれていたことなどが明らかになり、供述調書の多くは採用されませんでした。検察は、小沢さんを政界から放逐するために様々な工作を行ったようですが、かえってそのために小沢さんを救う結果になってしまったように見えます。
検察が諦めたにもかかわらず起訴されたのは、検察審査会法の改正によって市民の判断で強制的に起訴できる制度が2009年に導入されたからです。この制度に基づいて起訴された被告の判決は、今回が2例目になります。いずれも無罪となりました。
今回の小沢さんの裁判が、もし有罪になれば検察は何をやっていたのかということになり、もし無罪になれば検察審査会のあり方が問われることになるだろうと見られていました。結局、後者になったわけです。
判決では、検察審査会による起訴議決そのものについては有効と判断されました。しかし、このような制度のあり方についての議論は避けられないでしょう。
裁判では、@虚偽記載はあったのか、A元秘書との共謀はあったのかという二つの点が主な争点となりました。判決は、元秘書らによる虚偽記載があったことは認め、その他の点でも検察官役の指定弁護士の主張をかなり認めましたが、小沢さんとの共謀を立証するだけの証拠は不充分で、無罪としたわけです。
検察官役の指定弁護士は、控訴を検討するとみられています。もし、控訴されれば、裁判は続きますから、小沢さんの無罪が確定したというわけにはいきません。
控訴期間は判決の言渡しを受けてから2週間ですから、その結果は連休後には明らかになります。しかし、控訴されてもされなくても、どちらにしても小沢さんが復権に向けて動き出すことは確実でしょう。
すでに、無罪判決を受けて、小沢さんは「本日の判決は、『虚偽記載について共謀したことは断じてない』というかねてからの私の主張に沿うものである。裁判所の良識と公正さを示して頂いたことに敬意を表すると共に、今日までご支援頂いた同志と全国の皆さんに感謝を申し上げたい」というコメントを出しています。これは、野田執行部に対する宣戦布告のようなものです。
小沢さんは野田首相が政治生命をかけるとしている消費増税に反対を明言していますし、小沢グループの多くはTPPへの参加にも反対です。これから始まる国会での消費増税関連法案審議の行方を左右するにちがいありません。
他方、野党の側は、無罪になったとはいえ、小沢さんの政治的倫理的責任は免れないとして国会での証人喚問を求めています。政府・与党は、これに対しても対応を迫られることになるでしょう。
しかも、民主党執行部の中心に座っているのは、小沢さんに近い輿石幹事長です。ここでも、野田さんの「融和路線」が裏目に出たということでしょうか。
判決を受けて、早速、輿石幹事長は「当然でしょう。その一言に尽きる」と指摘し、党員資格停止処分の解除に向けて手続きに入る考えを表明しました。連休明けの党常任幹事会で正式に決定する考えのようです。
控訴されなければ問題ありませんが、もし控訴されれば、処分解除の扱いをめぐって民主党内で亀裂が生ずる可能性もあります。党の分裂を回避したい輿石さんは、密かに消費増税関連法案審議の先延ばしを画策するかもしれません。
野田政権の前途には、暗雲が立ちこめてきました。連休明けからの政争は、ますます熾烈なものとなるにちがいありません。
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