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http://diamond.jp/articles/-/17813?page=2
みんなの党の江田憲司幹事長が『財務省のマインドコントロール』という本を出版。この種の本としては異例のベストセラーになる気配だ。
早速私も読んでみたが、実に衝撃的な本だ。もしもこの本が100万部も売れたら、それだけで日本が変わるのではないかと思わせる。
財務省の“影”を見極められる
政治家に必要な2つの条件
財務省にかかわらず、どんな組織にもそれなりの“光と影”があるもの。だが、現在の財務省には組織益を優先することによる影が大きく、光はほんのわずかに射しているに過ぎない印象を受ける。この劣化現象は30年ほど前から徐々に拡大深化してきたと私は見ている。
江田氏は、橋本龍太郎元首相の政務秘書官として、1997年の消費税増税や省庁再編の真っ只中で、当時の大蔵省の掛け値なしの実態を見てきている。だから、財務省の影の部分を熟知する数少ない政治家だ。
そもそも、この影の部分を見るためには、その政治家が2つの条件を満たしていなければならない。
その1つは、首相、官房長官や官房副長官など官邸詰めの政治家として、重要政策の決定過程に関与すること。
もう1つは、その重要政策の内容や決定過程に関して、財務省と異なる意見を持ち、最後まで妥協しないでやりあったこと。
たとえ首相や官房長官であっても、大蔵省、財務省の言いなりの人は、いくら長く在任しても、その光の部分しか見えず、牙をむいた影の部分を見る機会はない。
おそらく江田氏は、さまざまな局面で、大蔵省と相容れず、丁々発止と戦ったのであろう。それはまた橋本元首相が大蔵省の言いなりにならなかったことをも意味している。
江田氏は著書で「ごくごく一部の例外を除けば」歴代の政権は「財務省支配政権」だと断じている。この性格は民主党政権になって一段と強まり、野田佳彦政権に至っては「ひたすら大増税ミッションだけを担う財務省支配政権」と厳しく規定している。
大震災対応など優先課題が目白押しの今、まっしぐらに消費財増税に走る政権の愚かさを、彼は具体的な数字を挙げて論証。実に説得力がある。そして財務省が総力で政治家やメディアを取り込んでいく独特の手法を明かしている。多くの人はそれを知って驚嘆するに違いない。
民主党は政権発足前から
財務省にマインドコントロールされていた
どうしたことか。江田氏の出版とほぼ期を一にして、朝日新聞(4月5日)がなんと一面トップで、このマインドコントロールの実態を書いた。その見出しは「『脱官僚』の裏で握手」「政権交代前 財務省幹部と密会」だ。二面では「予算も人事も結局 財務省」という見出しになっている。要するに、財務省が鳩山由紀夫元首相、菅直人前首相、野田現首相を具体的に取り込んできた過程を明らかにした。何のことはない。民主党政権は発足前に霞ヶ関に屈服していたのだ。
この記事の反響が大きかったのか。朝日は翌日政府広報のような社説で火消しに努めたが、すでに遅かった。
5日付の朝日は「与野党を超え、有力議員に早くから官僚を張り付けて取り込んでいくのが財務省流だ」とも書いている。すなわち財務省のマインドコントロールはきわめて巧妙で計画的だ。だからそれを受けた人には自覚さえないのである。
だが、財務省は気が付かないが、この手法はもう通用しなくなっている。大震災を経た世論は今までと違って、本質を見抜く力を持っている。それどころか、財務省の意向を受けたパフォーマンスを重ねれば重ねるほど、逆に政権の支持率は低下するようになっている。それは、相次ぐメディアの世論調査が示すところだ。
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