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転載者注:内容的に重要性が高いため、あえて全文転載に踏み切った。なお当該文章の著作権は朝日新聞出版および今西憲之氏・週刊朝日取材班にあることをここに明記する。
この投稿の読者各位には、できれば当該号を「購入」して、直に読んで頂きたい(定価400円)。それだけの価値がある、とお勧めする。特に今週号は、この他にも小沢氏関連の記事があり、それらに関心ある読者にとって読み応えがある、と個人的に感じたからである。
注2:とは言え、転載者は別に朝日新聞出版の回し者でも販売拡張員でもないことは、一応明記する。
注3:なお、上段の囲み枠内の部分と「小沢事件のこれまでの主な流れ」の枠内は、長くなるため今回の投稿では割愛した。
週刊朝日2012年5月4・11合併号 P18〜23
4.26「陸山会事件」判決
爆弾スクープ
極秘「捜査報告書」の全貌をついに掴んだ
小沢一郎を陥れた検察の「謀略」
今西憲之+本誌取材班
いよいよ4月26日、小沢一郎・元民主党代表(69)の陸山会裁判が判決を迎える。日本の政治を歪めながら、3年にわたって検察が執拗に追い続けたこの事件は、いったい何だったのか。本誌は、検察が検察審査会に提出した「捜査報告書」の全貌をついに掴んだ。そこには検審という民意すら悪用する「暴走検察」の真実があった。
小沢氏の判決を目前に控えた4月17日、東京・銀座の日本料理店の個室は異様な緊張感に満ちていた。
「酒を飲んでする話じゃないですよ!」
乾杯のあいさつをしようとした法務省幹部を遮ったのは、元検事の郷原信郎弁護士だった。
大阪地検特捜部の証拠改ざん事件をきっかけに設置された「検察の在り方検討会議」が提言をまとめてから約1年、この日は会議のメンバーに法務省、検察幹部も交え、改革の進捗状況報告を兼ねた懇親会が開かれていた。
空気が一変したのは、会議のメンバーでジャーナリストの江川紹子氏が、村木厚子元厚労省局長らの無罪が確定した郵便不正事件や、小沢氏の陸山会事件について、さらなる検証を求める<報告と提案>と題した書面を配ったときだった。
「江川さんは、小沢裁判で明らかになった田代政弘検事の虚偽有印公文書作成・同行使について、事実であれば検察組織全体の問題だと検証を求めた。ところが、法務省や検察は『酒飲みの話の中でやってくれ』といわんばかりに酒席にしてしまった。あまりに危機感が欠如している」(郷原氏)
江川氏が検証を求めた田代政弘検事(45)=当時、東京地検特捜部=の「捜査報告書」捏造疑惑については本誌も再三報じてきた。
田代検事は、検察審査会(以下、検審)が小沢氏について「起訴相当」議決をした後の2010年5月、石川知裕衆院議員(38)を再聴取した際に、実際にはないやりとりを捜査報告書に書いていた。この虚偽の捜査報告書は、検審に提出され、検審が小沢氏の「強制起訴」を決めた有力な判断材料となったのだ。
このことを江川氏が問題視するのは当然のことである。陸山会事件をめぐっては、これまで本誌も、特捜部の強引な見立て捜査を指摘してきたが、捜査報告書”捏造”となれば、これここに極まれりという話だ。
しかし、検察の”謀略”は、より根深いものだった。本誌は、小沢氏の強制起訴前に検察から検審に提出された6通の捜査報告書の全貌を掴んだのだ。
実は以前から、
「田代報告書が問題になったが、本当にマズいのはそれ以外の報告書。検察は小沢氏の強制起訴に向けてかなり無理をしている。表ざたになったら、検察はひっくり返る」(検察幹部)
と言われてきたが、まさにそれがこの報告書だ。
まずはその中身を詳しく見ていこう。
6通の捜査報告書は、10年4月30日から5月19日にかけて作成された。検審が1度目の「起訴相当」議決(4月27日)を出した直後から、それを受けて検察が小沢氏の3回目の事情聴取(5月15日)を実施し、改めて不起訴処分(5月21日)とした間のことだ。
@【検察審査会議決の考え方についての検討結果】(4月30日付)
A【想定弁解の検討結果について】(5月16日付)
B田代報告書(5月17日付)
C【小沢供述の不合理・不自然性について】(5月19日付)
D【4億円の出所に関する捜査の状況について】(5月19日付)
このうち田代報告書以外の4通は、当時、陸山会事件の主任を務めた東京地検特捜部の木村匡良検事が書いたものだ。そして、これらの内容を踏まえた上で、特捜部副部長だった斉藤隆博検事が、
E【最捜査の結果を踏まえた証拠の評価等について】(5月19日付)
と題し、総括の報告書を作成している。
これらの報告書は、小沢氏の起訴に執念を燃やす特捜部が、検事総長ら上層部のために作成したとされる。しかし、「この程度の資料で、小沢氏のような大物の不起訴方針を覆すのは誰が見てもムリ。むしろ検診を視野に入れて、一般の人にも非常にわかりやすく書かれている」(東京地検特捜部)というのだ。
特に”わかりやすさ”を演出しているのが、C【小沢供述の不合理・不自然性について】の報告書(囲みに全容を掲載)だ。
これは、検察が小沢氏に対して行った3回の事情聴取(10年1月23日、同月31日、5月15日)について、冒頭で<合理的な説明ができず、不自然な弁解に終始した>と結論づけた上で、捜査のポイントとなる七つの事項に分類し、「虚偽」だと決めつけている。
何度も出てくる「不自然」「不合理」
たとえば、「4億円の現金の出所について」の項を見てほしい。
「4億円」とは、小沢氏の政治資金管理団体「陸山会」が04年10月に土地を購入した際、小沢氏から借り入れた資金のことだ。検察は、この4億円のなかに中堅ゼネコン「水谷建設」が胆沢ダム工事受注の見返りとして支払ったヤミ献金1億円が含まれているというストーリーに固執してきた。小沢氏を巡る一連の事件の焦点となる疑惑だ。
しかし、小沢裁判でこの「4億円」の見立ては破綻している。水谷建設側から小沢氏側にカネが渡ったとされる日付以前に、すでに小沢氏から石川議員に土地購入資金が手渡されていたという事実は、検察官役の指定弁護士側も冒頭陳述で認めるところだ。
だからこそ、検察も小沢氏起訴を断念したはずだ。
ところが、報告書では、小沢氏の供述を掲載した上で、「供述を変遷させ、具体的な出所を特定することを放棄している」と、一方的に批判する。しかも、わざわざ「妻を聴取すれば、供述の虚偽性が更に明白になる可能性があるが、小沢氏が拒否している」と注釈するあたりが嫌らしい。
ほかの6項目についても、
<小沢供述は虚偽である>
<石川供述と矛盾する>
<不自然・不合理である>
などと、ことさら「虚偽」「矛盾」という言葉を強調し、小沢氏の供述の信用性を否定している。
だが本来、カネの性質について立証責任を負うのは検察側であり、それができなかったから小沢氏を「不起訴処分」にしたのだ。
さらに目を疑うのが、「4億円を隠す動機について」の項だ。
小沢氏は一貫して、
<4億円は自己の正当な資金であるので、これを隠す必要も理由もない>
と供述している、にもかかわらず、この証言の<虚偽性>として、
<水谷建設の川村(尚・元社長)は石川に現金5千万円を渡している事実がある>
とサラリと指摘する。
先にも指摘したが、「水谷建設からのヤミ献金」は一連の疑惑の焦点であり、検察の見立てに対し、小沢氏側は激しく争ってきた。それを一方的に「事実」と断定すれば、一般人である検審の審査員に”予断”を与えるのは当然のことだ。「報告書」という形をとりながら、検審を”誘導”しようという意図が透けて見えるのだ。
先の検察幹部もこう言う。
「検察にとって検審は本来、『不起訴』判断の正しさをアピールする場です。そこに”不合理”だの”不自然”だの犯罪性を思わせる言葉を交えた捜査報告書を出すことは考えられない」
D【4億円の出所に関する捜査の状況について】の報告書も悪質だ。<捜査により判明した事実>として、こう書いている。
<小沢事務所が受注業者の決定に強い影響力を有すると目されていた胆沢ダムの二つの工事の入札時期に、陸山会に各4億円の不自然な現金入金があった>
<小沢事務所が胆沢ダムの2工事に関して水谷建設から合計1億円を受領し、最初の5千万円が4億円に含まれている可能性が高い>
事実ならば立派な贈収賄だろう、しかし、何度も言うが、この「ゼネコンからの裏ガネ」疑惑を徹底的に捜査しても解明できず、「不起訴処分」にしたのが当の検察なのだ。これこそ”自己矛盾”ではないか。
大久保隆規元秘書(50)を取り調べた前田恒彦元検事(44=証拠改ざん事件で実刑が確定)は、小沢公判でこう証言した。
「佐久間達哉特捜部長(当時)は、胆沢ダムを受注した元請け・下請けのゼネコンごとに、どこが1億(の裏ガネ)で、と夢みたいな妄想を語っていたが、現場検事らは『話は全然出ず、難しい』と疲弊していた」
さらに、一連の捜査で検察が調べた70社近くのゼネコンについて、「小沢氏側への資金提供を否定したメモがある」とも証言している。つまり、疑惑をうち消す検察に不利な資料は一切、取り扱っていないのだ。
検審の1回目の「起訴相当」議決の3日後に作成された@【検察審査会議決の考え方についての検討結果】も、わけがわからない。
小沢氏の共謀共同正犯が成立すると判断した検審のの議決について、
<小沢が4億円の出所を明らかにしようとしないという事実と、これらの信用性等に関する事実から小沢の共犯性を判断しようとするその枠組みは、正当なものと首肯できる>
と大絶賛している。
しかし、検審とは、検察の判断が正しかったかどうかを市民が評価する仕組みのはずだ。検察自らが下した「不起訴」という判断の正当性をアピールすることはあっても、なぜ、検審の議決を「首肯」するのか。
さらに、A【想定弁解の検討結果について】に至っては、もはや小沢氏の心象を悪くするためだけにつくられたとしか思えない。
報告書が作成されたのは、特捜部が小沢氏の事情聴取を行った翌日の5月16日。そのなかで、予想される小沢氏の弁解について勝手に想定し、勝手に論破している。しかも、聴取が終わってから「想定」するというのは、いったいどういうことなのか。
小沢立件を狙う特捜検察の執念
何よりも問題なのは、これらの報告書が検審の判断に大きな影響を与えたであろうことだ。実際、検審の起訴議決書の内容は、斉藤隆博副部長による報告書(E)の文言と酷似しているのだ。
冒頭の懇親会の翌18日、新聞各紙は、
「田代検事について、検察当局が起訴を見送る方向」
と報じた。故意に虚偽記載したと立証するのは困難だと判断したという。
しかし、これら6通全体を見ても、その判断は正しいといえるだろうか。
小沢裁判で石川調書を証拠採用しないと判断した東京地裁の大善文男裁判長は、その決定の中で、
「田代検事の取り調べは個人的なものではない。献金の受領や小沢氏関与の供述を迫るための圧力は、組織的なものだったともうかがわれる」
と言及している。
本誌は、陸山会事件で石川議員らが逮捕された当初から、検察庁の上層部と、青年将校化する特捜部の”温度差”を報じてきた。先の検察幹部も、こう言う。
「当時から小沢逮捕に固執していたのは、東京地検次席検事だった大鶴基成氏、木村主任検事のラインです。大鶴氏は『おれなら起訴状が書ける』と豪語したそうだ」
報告書には、小沢氏立件を目指した特捜検察の”怨念”が垣間見られる。自らの手による起訴を断念した特捜部が”時限爆弾”を仕掛けたのではないか。
だが、国民の意思である「検審」の判断を意図的に左右することは、とうてい許されない。特捜部解体のカウントダウンは、すでに始まっている。
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