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内閣総理大臣 野田佳彦 殿
外務大臣 玄葉光一郎 殿
ビルマ(ミャンマー)のテインセイン大統領来日に合わせ日本・ビルマ(ミャンマー)首脳会談が予定されていることを受け、アムネスティ・インターナショナル日本は、日本政府がビルマ国内の人権状況に今まで以上に注意を払い、同国の人権の保障と促進を政府の優先事項とすることを要請します。
ビルマでは、近年、相当数の政治囚が釈放されました。アムネスティはこうした政府の対応を歓迎します。一方、いまだに多数の政治囚が囚われている可能性があることをアムネスティは憂慮しています。政治囚の多くは、平和的に民主化を訴えたり、自らの政治的意見を述べただけで禁固刑を言い渡された「良心の囚人」であると、アムネスティは考えています。
アムネスティは、少数民族の市民に対する人権侵害についても深く憂慮しています。近年、カイン、カチンおよびシャン州などいくつかの少数民族居住地域では、紛争が再発、あるいは激化しており、ビルマ国軍による市民への広範で組織的な人権侵害が続いていると報告されています。少数民族の市民に対する重大な人権侵害の可能性は、トマス・オヘア・キンタナ国連特別報告者が、2010年3月の国連人権理事会においても指摘しています。
日本は、「人間の安全保障」を促進する指導的な役割を果たしてきました。日本の政府開発援助大綱にも「人間の安全保障」の理念は組み込まれており、基本方針<(2)「人間の安全保障」の視点>には「また、紛争時より復興・開発に至るあらゆる段階において、尊厳ある人生を可能ならしめるよう、個人の保護と能力強化のための協力を行う」と定められています。これに従い、国内紛争下および紛争後の開発について、その条件を人権の促進と保護にまで広げ、人間の安全保障の観点を貫徹した施策が必要とされています。
テインセイン大統領の来日にあたって、アムネスティは以下の事項を強く要請いたします。
(1)すべての「良心の囚人」を例外なく、即時かつ無条件に釈放するよう、ビルマ政府に求めること。
(2)国際的に明確な犯罪容疑がかけられているとビルマ政府が主張する政治囚には、国際基準に則って、即時、公開の場で公正な裁判を行うべきである。そうでない場合には、政治囚を即時無条件に釈放するよう、ビルマ政府に求めること。
(3)いかなる政治囚も、拷問や非人道的な取り扱いを受けないことを保証するよう、ビルマ政府に求めること。
(4)少数民族に対する人権侵害を止めるよう、ビルマ政府に求める。
(5)政府開発援助(ODA)については、政府開発援助大綱の実施原則(4)に掲げるように、「基本的人権及び自由の保障状況に十分注意を払い」、人権が具体的に保障されるようにすること。
最後に、アムネスティ・インターナショナルは、ビルマに対する日本政府の政策や戦略が、国際人権基準に沿い、それに基づくものとなるよう要請します。
2012年4月17日
公益社団法人アムネスティ・インターナショナル日本
事務局長 若林秀樹
http://www.amnesty.or.jp/modules/news/article.php?storyid=1081
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