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http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20120418/plt1204180743001-n1.htm
橋下徹大阪市長の一連の発言や、先日の野田佳彦首相と渡辺喜美みんなの党代表の党首討論をみても、今後の国のあり方について、地方分権かそれとも中央集権を維持するのかが、今後の有権者の大きな選択肢になってくるだろう。
地方分権を議論すると、いろいろな批判が出てくる。しかし、地方分権がどのようなものかについて、多くの人は知らないのが実態だ。
率直にいって地方分権は難しい。というのは、国と地方の行政・財政が複雑に絡み合っているのをほぐす作業であり、複雑な連立方程式を解くようなものだからだ。
私はかつて財政投融資改革を担当していた。財政投融資は、国の特別会計と国の子会社である特殊法人などが複雑に絡み合った制度だ。これをほぐすのが財政投融資改革だった。
財政投融資はその複雑さから「伏魔殿」といわれていたが、国と地方の関係もそれにも勝るとも劣らぬ複雑さだ。そこでは、「三ゲン」（権限、人間、財源）を国から地方に移すことで地方分権が行われる。
地方分権すると住民にどのようなメリットがあるのか。経済学では、「オーツの分権化理論」や「ティボーの足による投票」という理論的な基礎があるが、一言で言えば、中央政府より身近な地方政府のほうが住民のニーズをうまくくみ取れるという点だ。
別の見方をすれば、一つの愚かな中央政府が政策をするより、複数の地方政府が複数の政策をしてそのベストを地方政府がマネするほうがより良い政策になるともいえるだろう。
地方分権というと、必ず「地方公務員は国家公務員に比べて出来が悪い」という話が出てくる。国家公務員が唱えることが多いのだが、この論自体がそもそも疑わしい。もし本当であったとしても、権限や財源も国から地方に移るので国家公務員が地方公務員として働けばいいだけだ。
また、「地方分権は地方切り捨てだ」という批判もある。地方分権といっても、裕福な自治体と貧しい自治体の格差が拡大するのではなく、地方間の財政調整制度はある。例えば、税源の移譲についても、国税として地方から国が吸い上げ、地方に回している分を、地方の中で回すのが基本だ。そのため財政調整は基本的に維持される。
どの程度、三ゲンを地方移譲するかというと、おおざっぱにいって２０万人、２０兆円程度の人間と財源が移管され、それに応じて権限も移る。これを行うには、消費税の地方移管も必要になる。
党首討論で、野田首相は消費税の地方移管を「荒唐無稽なアジテーション」と言ったが、図らずも、野田首相は中央集権を前提としていることを明らかにしてしまった。地方分権をしようとするならば、消費税を地方移管せざるをえない。また、消費税は応益税でしかも安定財源なので、基礎的サービスを提供する地方にふさわしいものだ。
ちなみに、地方分権の進んでいる国では消費税は地方の一般財源になっているところが多い。野田首相は地方分権に熱心でないことがばれてしまった。（元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一）
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