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http://www.sankeibiz.jp/macro/news/120415/mcb1204151901009-n1.htm
大阪市の財政健全化をめざし、橋下徹市長は今年度から3年間で計548億円の事業支出の削減を決めました。
なかでも話題になっているのが、大阪フィルハーモニー交響楽団を運営する大阪フィルハーモニー協会と文楽協会への助成金をそれぞれ25%削減し、市内で活動する劇団などへの助成金も凍結するといった文化行政の大胆な見直しです。
「文化は行政が育てるものではない」「お客からお金を出してもらえる中身でないと生き残れない」と公言した橋下市長らしい大胆な削減ぶりに、関係者は大きな衝撃を受けています。
そこでひとつの疑問がわきました。2008年のリーマン・ショックに端を発したギリシャ危機で財政状況が極度に悪化している欧州の状況はどうなっているのでしょうか?。
あの伊「スカラ座」も…「TSUNAMI級の衝撃だ」
という訳で調べてみて、がく然としました。大阪どころの騒ぎではありません。オーケストラ楽団や合唱団が消えるとの声まで出ていたのです…。
3月24日付米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は、欧州の多くの国が昨今の危機的な財政状況を受け、文化・芸術関係への補助金などを大幅に削減。そのせいで各団体の活動も縮小を余儀なくされ、オーケストラ楽団は規模を縮小すると同時に、個人の資産家からより多くの寄付を募り始めていると報じました
報道によると、イタリアでは、ミラノにある世界的に有名なオペラハウス「スカラ座」が政府の補助金カットのせいで900万ドル(7億3000万円)の資金難に陥っています。
オランダ政府は芸術活動に対する今年の補助金を昨年より25%(約2億6500万ドル=約217億円)も削減。映画やスポーツイベント、動物園、サーカスを除く文化イベントの入場税を6%から一気に25%にまで増やしました。
とりわけ欧州各国のなかでも深刻な財政危機に直面するポルトガルでは何と、文化行政をつかさどる文化庁そのものが廃止されました。
こうした環境の悪化ぶりから、2005年から毎年1月、ニューヨークで行われている世界の実験的な演劇を紹介する国際演劇フェスティバル「アンダー・ザ・レーダー」に参加するはずだった欧州の3団体が、フェス参加のための旅費すら捻出できず、参加を断念しました。
このフェスの芸術監督マーク・ラッセルさんはニューヨーク・タイムズ紙に「(欧州危機は文化的な)国際交流に非常に深刻な悪影響を与えている。われわれはいま、この状況に大変失望している」とコメントしました。
また、ニューヨークにあるオーストリア文化フォーラムの責任者で、欧州国立文化研究所のニューヨーク支部長アンドレアス・スタッドラー氏も同紙に「文化とは人間の基本的な欲求のひとつであり、人々は(自由に)オペラを観に行く権利を有するべきだ」と訴えました。
経済的にも安定しているドイツやフランスはそれほどでもないのですが、保守派や高級技術官僚(テクノクラート)が政府を主導するイタリアやハンガリー、オランダ、英国では文化予算はどんどん削減され、ギリシャやポルトガル、スペイン、アイルランドなどでは公共支出まで削減されているとのこと。
オランダのミュージックセンターの国際部門の上級責任者は「景気はこれ以上良くなりそうにないので、(金銭的な)支援を得るためには、国際的に評価が高い有名な団体でなければならない。そのうえ政府は(その団体が)ビジネスとして儲けることができるかどうかを知りたがっている」と説明。
そして「その結果、われわれはいくつかのオーケストラ楽団と合唱団を失うだろう」と明言しました。またオランダのダンス業界の関係者は「津波級の衝撃だ」と嘆いています。
こうした欧州の音楽・芸術系団体は、どんどん規模を小さくして身軽になりながら、個人の篤志家を含む米国の資産家の援助を得るため、一斉にニューヨークをはじめとする米国をめざし始めているというのです…。
欧州でもこんなひどい状況なのだから、橋下市長のやり方はある意味当然、などと言うつもりは毛頭ありませんが、不況時の文化行政のあり方というものは、どこの国でも同じようで、悲しくなってしまいます。
しかし、この状況をポジティブにとらえようとの考え方もあります。ロックやポップスの名曲をチェロによる掛け合いで演奏する東欧クロアチア出身の人気若手チェロ奏者コンビ「2CELLOS(ツーチェロズ)」に今年1月、インタビューした際、欧州危機と文化の話題になったのですが、彼らは面白いことを言いました。
「クラシック音楽の世界の場合、旧ソ連から優れた演奏家がたくさん登場しているんだ。厳しく、特殊な環境だったからこそ優れた演奏家が生まれたんだと思うね。良い音楽は恵まれない環境から生まれるんだよ」
確かに。文化に限らず、どんなジャンルでも、食うや食わずの厳しい環境をはねのけ、頭角を現すものこそ、いつの時代も本物な訳ですから、欧州や大阪からは今後、真に優れた演奏家や、世界を変える革新的な文化が登場する可能性が高そうです…。(岡田敏一)
【プロフィル】岡田敏一(おかだ・としかず) 1988年入社。社会部、経済部、京都総局、ロサンゼルス支局長、東京文化部などを経て現在、大阪文化部SANKEI EXPRESS(サンケイエクスプレス)担当。ロック音楽とハリウッド映画の専門家。京都市在住。
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