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東奔政走:国民新党の党首解任クーデター 石原新党に望みをつなぐ亀井氏
http://mainichi.jp/feature/news/20120413org00m020008000c.html
2012年04月16日 毎日新聞
◇古賀攻(こが・こう=毎日新聞政治部長)
小粒になったと言われる政界で、規格外の存在感を示してきた亀井静香氏が、国民新党代表の座を追われた。下地幹郎幹事長ら連立維持派による党首解任、事実上のクーデターである。
消費増税法案の閣議決定(3月30日)に伴い、亀井氏は野田佳彦首相に「連立離脱」を通告したが、国民新党所属の自見庄三郎金融担当相は党首の意向を無視して閣議書に署名。わずか8人の党は、6対2に分かれて双方が「本家」を名乗る泥仕合を1週間にわたって繰り広げた。
増税政局がもたらした苛烈な謀反ではあるが、国民の目には浅ましいドタバタ劇にしか映らない。同時進行していた大飯原子力発電所の再稼働協議を含めて、政党政治から心棒が失われた状態にある。
◇歴戦の策士
亀井氏は歴戦の策士だ。ただし、その戦績は白星と黒星がダイナミックに入り混じる。
1994年6月、自民党が村山富市・社会党委員長を首相に担いで政権復帰を果たした際、亀井氏は野坂浩賢氏ら当時の社会党左派を口説き落とす役回りを演じ切った。その功績で亀井氏は運輸相(現国土交通相)で初入閣を果たしている。
村山政権下の自民党総裁選では、三塚派所属の亀井氏が「掟破り」で小渕派の橋本龍太郎氏を勝手連的に支援し、現職総裁の河野洋平氏を破った。政治状況に合わせて、融通無(む)碍(げ)に手を出すのが亀井氏の特色だ。
さらに97年当時、亀井氏は「政界の最終処分場」と口汚くののしっていた小沢一郎・新進党党首に接近。安全保障政策の共有を名目に「保・保連合」を画策し、その人脈を活用して新進党解党後の小沢自由党を自自連立(小渕内閣)に引き込んだ。
99年3月には旧渡辺派の江藤隆美氏らと新たな派閥「志帥会」(江藤・亀井派)を旗揚げし、事実上の領袖にのし上がった。同年10月には念願の自民党政調会長に就任。亀井氏が最も権勢をふるっていたのはこの時期だろう。
2001年4月、小泉純一郎内閣が発足する過程で亀井氏の挫折が始まる。組閣に先立つ自民党総裁選で、小泉氏は勝利を確実にするため、亀井陣営に政策協定を持ちかけ、亀井氏は本選出馬を辞退して小泉氏の支援に回った。
ところが、小泉氏は首相就任後、政策協定を反故(ほご)にしてしまう。それどころか、亀井氏の弟分的な存在だった平沼赳夫氏に 「政調会長をお願いしたい」と一本釣りまで図った。周囲が止めてこの人事案は見送られたが、亀井氏の面目が丸つぶれだったことは言うまでもない。過去の総裁選で亀井氏に裏切られ続けた小泉氏の意趣返しとの見方がある。
05年8月、亀井氏は小泉氏の推進する郵政民営化法案に反対して自民党を離党。同時に志帥会会長の座も明け渡さなければならなかった。直後の郵政選挙では、小泉氏が「刺客」として衆院広島6区に送り込んだホリエモンこと堀江貴文元ライブドア社長との激戦を強いられた。
国民新党の結成はこの選挙の最中だった。ところが、翌日発表というタイミングで、代表に就任予定の綿貫民輔元衆院議長が結党をためらったため、亀井氏は「ここまで無理を重ねて新党ができないのなら、今生の別れです」と自死をほのめかしたとのエピソードが残っている。さすがの綿貫氏も尋常ではない様子に驚き、首を縦に振ったという。
過去の紹介が長くなったのは、亀井氏の今後を占いたいからだ。
内紛の末に「代表として責任を感じる」と離党を表明した4月6日の記者会見で、亀井氏は次のように述べている。
「私は国民から選ばれた一議員として、このままではアメリカ、中国の狭間で秋津島が沈んでいくと大変な危機感を持っている。この日本が再び元気になり、大変な今の世界の状況を救っていける力強い日本として今から日本が立ち直るために、一兵卒として全力を挙げて頑張っていくつもりです」
◇突き放す石原都知事
秋津島というのは大和国すなわち日本の異称だ。実は昨年の大晦日、亀井氏はこの言葉を取り込んだ自作の歌を書いて石原慎太郎東京都知事に送っている。
「私闘超え 沈み行くかな秋津島 しょせんこの世は浮き世なりせば」
党を乗っ取られる形での離党表明だったにもかかわらず、亀井氏が下地氏らへの恨み節を極力抑えたのは、石原氏を党首とする「石原新党」への願望が上回っていたからだろうと推察できる。
昨年末から「新年にも」「3月には」「4月にも」と前触れ記事ばかりが先行してきた石原新党は、本当に誕生するのか。中核部隊は亀井氏のほか、たちあがれ日本の平沼赳夫代表、園田博之幹事長らとみられているが、石原氏をまじえた会合が重ねられても前に動き出そうとしない。
亀井氏は周辺に「都知事は4月半ばに訪米して、そこで新党構想をぶち上げる。結党は5月末で決まった」と漏らしている。さらに「民主党から30人以上が新党に移るぞ。これは小沢(元代表)が動かせる80人とは別だ。つまり、石原新党の結成時点で民主党は衆院で過半数を割り込むってことだ」とも。
威勢のいい話だ。事実なら消費増税法案に対する小沢グループの造反を見越して自民党に接近している野田首相の目算は狂ってしまう。
しかし、「後出しジャンケン」の得意な石原氏が、自らリスクを取って政界再編に乗り出すかどうかは判然としない。亀井氏が離党表明した日の記者会見でも「仲間に追い出されて、自業自得じゃないかな。私は国民新党と何の関わりもない」と亀井氏を突き放している。何より消費増税に反対する亀井氏と、増税を容認している平沼氏らが政策をすり合わせるのは容易ではない。
4月中の衆院解散もあり得ると思われた政局は、2月25日に野田首相と谷垣禎一自民党総裁が極秘会談を行って以来、妙に間延びした状態に陥っている。
民主党執行部は、消費増税法案の審議入りを5月の大型連休明けに先送りし、あわよくば継続審議に持ち込みたいと考えている。自民党も早期解散をあきらめて8月解散、9月総選挙を検討し始めたようだ。
この先、政治に健全な緊張感を持ち込めるのは誰だろうか。
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