05. 2012年4月14日 18:57:37
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■生活保護制度とベーシックインカムと負の所得税の違い 『ベーシックインカムは「愚者の楽園」』『ベーカムは「愚者の楽園」追記』で橘玲氏が、 産業革命勃興期に英国で実施されたスピーナムランド法の経験を元に、ベーシックインカムを否定している。 しかし、批判は妥当とは言えない。 現在の生活保護制度の方がスピーナムランド法に近くなっており、 ベーシックインカムは生活困窮者のインセンティブ・メカニズムにも考慮しているからだ。 分かりづらい所もあるので、生活保護制度とベーシックインカム、そして負の所得税について違いをまとめてみた。 1. 生活保護制度とその問題点 スピーナムランド法は端的に言えば、所得が生活扶助額以下の困窮者に生活扶助額を与える、 現在の日本で行われている生活保護に近い制度だ。大雑把な例を図示する。実線が手取り、破線が所得税や生活扶助費が無い状態を表す。 実際の制度は、家族構成や居住地域資産の有無等で生活扶助を受けられる所得が変化し複雑だが、基本的な特性は同じだ。 (1.1) 困窮者が働かなくなる 全力で働いても生活扶助額以下にしかならない人には働く意味が無い(スピーナムランド法では一定額以上は働く必要がある)。 図で言うと、所得が14万円以下の領域では、手取りが平行線になる。 困窮者が働かなくなるために、生活扶助額と社会的損失が大きくなる(*1)。 (1.2) 困窮者の扶養者の調査が必要 内縁の夫などの経済的な保護者がいても、それを隠す人が出てくる。 児童手当や生活扶助狙いの偽装離婚などがありえる。 (1.3) 財政負担が大きくなる (1.1)から財政負担が大きくなる。なお現在は年に3兆円以上の支出がある。 2. ベーシックインカムとその利点と問題点 ベーシックインカム(以下、BI)は、全員に一定の金額を給付しようと言う制度だ。 金持ちであろうが、困窮者であろうが一定の金額がもらえる。大雑把な例を図示する。 実線が手取り、上の破線がBI込みの所得、下の破線が所得税や生活扶助費が無い状態を表す。 BIにも所得税がかかるとしているが、かからなくても他の所得に対する課税で調整されるので、本質的には同じだ。 一定の金額(ここでは10万円)を所得に関わりなく給付し、その後に所得税をかけるので、実際に生活扶助費をもらう人は少数になる。 (2.1) 困窮者も働く 困窮者も働くインセンティブを持つ。図で説明すると、手取りが所得に対して平行な領域が無い。 理論上は労働意欲が減退すると思われるが、貧乏人の方がお金が必要なものだ。 (2.2) 困窮者の扶養者の調査が不要 家計単位ではなく、国民全員に給付するので、実際の家族関係などの把握は不要になる。 BIを課税対象にした場合、BIへの課税を減らす為に離婚する人が増えるかも知れないが、生活扶助ほどの利益は無い。 (2.3) 大きな所得税増税が必要 BIの欠点は予算規模が莫大になることだ。 支給額×1億2000万人が総支給額になるので、月に10万円配ると年に144兆円必要になる。 生活保護制度と比較すると、インセンティブ・メカニズムが良くなり、スクリーニング・コストが低減され、 政府の予算規模が膨大になる。 3. 負の所得税とその利点と問題点 生活保護制度の生活扶助費の計算を改善して、働く意欲を持たせたのが負の所得税。 ミルトン・フリードマンが提唱し、最近では英国で導入が検討されている(Telegraph)。大雑把な例を図示する。 実線が手取り、破線が所得税や負の所得税(=生活扶助費)が無い状態を表す。 (3.1) 困窮者も働く 困窮者も働くインセンティブを持つ。図で説明すると、手取りが所得に対して平行な領域が無い。 理論上は労働意欲が減退すると思われるが、貧乏人の方がお金が必要なものだ。 (3.2) 困窮者の扶養者の調査が必要 内縁の夫などの経済的な保護者がいても、それを隠す人が出てくる。 (3.3) 政府予算が削減できる (3.1)から働く人が増えるので、政府予算をある程度は削減できる。 生活保護制度と比較すると、インセンティブ・メカニズムが良くなり、スクリーニング・コストは同様で、政府予算を削減できる。 4. 生活保護制度の改良は必要 日本は母親が勤労しているのに貧困に陥っている母子家庭がOECD諸国の中で飛びぬけて多く (平成22年版 男女共同参画白書 - 第1部 第5章)、 もっと生活保護制度は批判されても良いと思うのだが、なぜか対策は後回しにされている。 現状では生活保護制度の不正は0.4%程度なので、スクリーニングに大きな問題は無い。 しかし、インセンティブ・メカニズムには大きな問題があり、 困窮者が自助努力を放棄したり、本来ならば生活保護が必要な家計が利用できていなかったりする。 頑張る人が得にならない社会と言うのは、道徳的とは言えない。 BIも負の所得税もインセンティブ・メカニズムは大きく改善するが、 BIは政府予算の劇的な拡大を招く為、受け入れられる可能性は低い。 最終的にはそうはならないが、ばら撒きと見なされる可能性も大きく、 負の所得税を導入する方が現実的であろう。 http://www.anlyznews.com/2012/03/blog-post_17.html 完璧な制度はない。 ただ、総合的に見ると、負の所得税>ベーシックインカム>生活保護制度。 まずは給付付き税額控除、 この給付付き税額控除に段階的に生活保護や役に立たないアドホックな福祉制度を統合し、 負の所得税に近づけてゆく。 【赤木智弘の眼光紙背】社会保障が社会保障として成立するために 前略。現在、マスコミによる生活保護受給者に対するバッシングキャンペーンが激しく行われている。 一部の事例を大げさに取り上げ、生活保護受給者がいかに不正な受給者ばかりで、 仕事に向き合うことのできない無気力でわがままな存在であるかというような、一方的な見方ばかり論じている。 そうした中で世論も、生活保護受給者が恵まれた立場の人たちであるかのように感じてしまっている。 しかし、それはあながち間違いではない。 各種税金や年金保険料。他に様々な料金が免除されながら、ワーキングプアと同等の収入を働くことなく得られる生活保護は、 ワーキングプアから見れば羨望の的である。 この案がもし実施されたとしたら、それにプラスして、生活保護受給者は大阪市の後ろ盾による特別枠で真っ当な職まで手に入れることができる。 ハローワークで求人票を眺め、後ろ盾もなく採用担当者に気に入られるように必死に振る舞うしかないワーキングプアから見れば、夢のような世界である。 そして何より、最低賃金より低い特別枠の存在が、ワーキングプアの賃金を守る唯一の後ろ盾である最低賃金までもを下落させる可能性がある。 あるというか、鈴木亘案の骨子の1つに最低賃金の切り下げがあるということは、本人のブログにも書かれているとおりだ。 そうした政策を行えばどうなるか。 それは当然、世間の生活保護受給者に対する反感は、これまでになく苛烈なものになるだろう。 それは生活保護という仕組みが、国民全体に付与されるものではなく、一部の認められた権益者にだけ与えられるものである以上、当然の反動といえよう。 現状の生活保護が抱える一番の問題は、申請し、それが通らなければ生活保護が受けられないという仕組みそのものだ。 その結果、福祉団体などの後ろ盾を得て生活保護を受けられる人たちと、 後ろ盾を得られないために生活保護という社会保障を受けることができない人に分かれてしまう。 社会保障は本来、好むと好まざるに関わらず、全ての国民が恩恵を得る傘であるべきなのだ。 そうした考え方が、所得が少なければ自動的に給付を受けられる「負の所得税」や、 全ての国民に給付を行う「ベーシックインカム」といった、画期的な社会保障の考え方を産みだしている。 しかし、給付を行う権限を持つ側は、そうした「自動的にまんべんなく給付」という考え方に反発している。 また、子ども手当に対する反発を見るに、日本人全体としてそうした方法を嫌うのだろう。 かくして「選ばれた一部の貧困者だけが、生活保護受給者としての特権を享受し、 その一方でワーキングプアの憎悪を一身に受けることになる。 それは社会保障と称していても、実質的には分断統治のための餌に過ぎない。 どんな素晴らしい社会保障制度を作ろうとも、それを受けられる人間が誰かによって選別される以上、 結果として利権争いや憎悪しか生み出さない。 その点に触れず、対策も取ろうとしない、あらゆる社会保障制度の試案は、すべて失格と言っていいだろう。 社会保障の傘の中に、老若男女はもちろん、貧困層も富裕層もすべて巻き込む。 そのような考え方が社会保障には必須であると、僕は思う。 http://blogos.com/article/36556/ >現状の生活保護が抱える一番の問題は、申請し、それが通らなければ生活保護が受けられないという仕組みそのものだ。 その結果、福祉団体などの後ろ盾を得て生活保護を受けられる人たちと、 後ろ盾を得られないために生活保護という社会保障を受けることができない人に分かれてしまう。 社会保障は本来、好むと好まざるに関わらず、全ての国民が恩恵を得る傘であるべきなのだ。 そうした考え方が、所得が少なければ自動的に給付を受けられる「負の所得税」や、 全ての国民に給付を行う「ベーシックインカム」といった、画期的な社会保障の考え方を産みだしている。 しかし、給付を行う権限を持つ側は、そうした「自動的にまんべんなく給付」という考え方に反発している。 また、子ども手当に対する反発を見るに、日本人全体としてそうした方法を嫌うのだろう。 かくして「選ばれた一部の貧困者だけが、生活保護受給者としての特権を享受し、 その一方でワーキングプアの憎悪を一身に受けることになる。 それは社会保障と称していても、実質的には分断統治のための餌に過ぎない。 どんな素晴らしい社会保障制度を作ろうとも、それを受けられる人間が誰かによって選別される以上、 結果として利権争いや憎悪しか生み出さない。 赤木氏が生活保護制度の問題点を指摘しているとおり、 自民党・ネトウヨ的なシバキアゲとは180度違う方向での大幅な見直しが必要であろう。 ★自民公約、消費税10%明記 自民党は9日、次期衆院選マニフェストの原案を発表した。 消費税率は2010年参院選を踏襲して、現行の5%を「当面10%」に引き上げると明記した。 原案は消費税増税により、持続可能な財政と社会保障制度の確立を目指すとした。 年金制度では「現行制度の基本を堅持」する姿勢を示し、最低保障年金制度の創設を掲げる民主党との違いを明確にした。 受給者が増大している生活保護には就労支援を拡充した上で、給付水準を10%引き下げる目標を提示。 食費や被服費を現金支給から現物支給に変更することなどで予算を削減するとした。 原発の存廃を含めたエネルギー政策は「今後10年の国民的議論で結論」と判断を先送りした。 自衛隊を「自衛軍」と位置付け、国旗、国歌の尊重規定を新設する憲法改正を打ち出した。 デフレ対策では、政府と日銀の政策協定で消費者物価の前年比2%上昇を目指すインフレ目標を導入。 法人税の大幅な引き下げも盛り込んだ。 民主党政権が進めた政策では、農家への戸別所得補償制度や子ども手当の見直しを念頭に「無責任なばらまき」と批判した。 http://www.chunichi.co.jp/s/article/2012040990131300.html >食費や被服費を現金支給から現物支給に変更する
こんなことやっている他の先進国なんて聞いたことない。 クーポン券なら、アメリカのフードスタンプがあるが、 フードスタンプも、生活に困窮している健常者が対象で、 障害者、高齢者、母子家庭には別の制度を設けている。 食品はアレルギーがあって食べれる食べれないもあるし、それをすべて管理するのは不可能。 現物支給にするとなれば、それを配る為に新たな労働力もいるだろうしコスト面で無駄。 また、食品を毎日取りに行く交通費は現金じゃないのか… 取りに行かずひとりひとりに配給なら、その配達する人の経費は誰が負担するのか? ワタミのような“ブラック”に外部委託するのだろうか。 いずれも国の財政と都市町村の財政で負担するのだろう…無駄な経費だ。 現物給付の問題点: (1)人間の選択の自由を奪い市場をゆがめる。 (2)現物給付や使途を指定したからといって必ずしもその分が的確に使われるわけではない。 (3)政府の決定の不合理性。 たとえば、フロリダではキャンディーやソーダにフードスタンプの使用制限が提案された。 まあ、肥満を防ぐと言う意味があるのかもしれないが、あれはだめこれはだめと制限することは本当に正しいのだろうか? また、キャンディーや炭酸飲料の範囲をどのように定めるかは非常に難しいだろう。 政府は正しいことを行うインセンティブに欠け、一般の消費者以上に間違いを犯す。 市場の自由な選択に政府が勝ることは通常は難しい。 どういった物を支給するかが貧困者を助け彼らの勤労意欲を削がないかを適切に政府が判定することは不可能に近いと考えるのは僕だけだろうか? また、都市から地方への所得移転の名目で行われる公共事業などは、 必要のないハコモノを地方につくり特定の人々のみを豊かにしたと言う点で最悪の現物支給と言えるかもしれない。 現物支給には利権が絡みやすいのは言うまでもない。 また、現物支給は勤労意欲と貯蓄意欲をより削ぐ。 今回、子供手当てに所得制限を日本でもかけるようだが、 そうするとより働いてより稼ぐと言うインセンティブがそがれるのは言うまでもない。 現物で所得制限つきで提供される社会福祉はすべて勤労意欲を削ぐし貯蓄意欲を削ぐ(あるいは貯蓄不可能)ことになる。 経済が発展するのに一番大切なのは勤労意欲と貯蓄である。 これらを失った人々を多く作り出すことの影響は測りしれない。 納税者としては、各種手当や控除が目的に沿って使われてほしいと思う。 しかし、現実には制度を上手く設計するのは非常に難しい。 それ以上に何にお金を使えば社会にとってよりよいことなのかを判別するのは不可能に近いし、 全ての納税者の合意を得ることも不可能だろう。であるならば、 特定の目的を持った現物支給よりも何にでも使ってよい現金支給の形の社会保障を増やすべきなのは明白だ。 http://ameblo.jp/englandyy/entry-11181668652.html そして、いちばん重要な問題は、 生活保護世帯を締め上げれば、頑張って働いても貧しい「ワーキングプア」が救われるわけではない。 むしろ、自分が困窮者になったときのことを考えると、自分で自分のクビを締めるようなものだ。 巨視的に見れば、天下り官僚など一握りの勝ち組以外は、皆同じようなリスクにさらされているのだから。 生活保護問題の根源は「どうやったら困窮者を増やさないようにするか」である。 解決策は、不安を解消し「安心」して働けるようにする事。 リスクに見舞われた人を含めて人間の生活を支えるための普遍的な制度基盤を構築する事である。 つまり、具体的には、財政政策と金融政策を総動員して景気を良くすることと、 負の所得税のようなシンプルで公正なセーフティネットを整備することである。 【改革案】 (1)現行の生活保護制度を原則として廃止し(経過措置は当然設ける)、「負の所得税」に移行する。 あるいは (2)現行の生活保護制度を大幅に見直し、「負の所得税」型の生活保護制度に移行する。 >給付水準を10%引き下げる目標を提示 これはよい。 ただ、その代わり、日本の捕捉率はきわめて低いので、 制度を大幅に見直して、給付を受けられる人の比率を増やすべきである。 「給付水準を引き下げる。しかし、給付対象者を増やす(ワープア層にも支給=貧困対策だけでなく少子化対策にもなる)」 ■生活保護制度の改正を!/“負の所得税”(≒擬似ベーシックインカム)化が必要 生活保護制度を誰もが利用できるよう改正する必要がある。 現行の「最後の砦」であるはずの生活保護制度は、給付を受ける際に極めて厳しい条件が課せられており、 また、“水際作戦”のような悪質な違法行為が横行していることもあり、日本の捕捉率は9〜20%に過ぎない。 ( http://www.nichibenren.or.jp/ja/publication/booklet/data/seikatuhogohou_kaisei_youkou_leaflet.pdf ) ちなみに、イギリスは87%、ドイツは85〜90%。 これは、先進国であるはずの日本が、他の先進国に比べて、いかに貧困層を見殺しにしているかの証左。 この欠陥だらけの現行制度を、何らかの理由でフルタイムで働けなくなり、一時的に稼得所得のみで生活ができなくなった人が、 フルタイムで働けるようになるまで利用できる「入りやすく出やすい」制度へと変える必要がある。 そのためには、全額国庫負担とした上で、以下のように改正すべし。 (1)水際作戦を不可能にする制度的保障 (2)保護基準の決定に対する民主的コントロール (3)権利性の明確化 (4)ワーキングプアに対する積極的な支援の実現 ■生活保護の捕捉率 ドイツで稼動年齢層に対応する「失業手当U」の捕捉率は85〜90%、 イギリスの「所得補助」の捕捉率は87%と言われています。 日本については、上記各研究のうち最も低い数値は9%、最も高い数値でも、19.7%にすぎません。 困窮者のうち、8割以上の者が放置されているのが現状です。 http://www.nichibenren.or.jp/ja/publication/booklet/data/seikatuhogohou_kaisei_youkou_leaflet.pdf ■生活保護法改正要綱案 生活保護法改正要綱案 http://www.nichibenren.or.jp/ja/publication/booklet/data/seikatuhogohou_kaisei_youkou_leaflet.pdf ■日弁連・生活保護法改正要綱案 http://www.nichibenren.or.jp/ja/opinion/report/081118-4.html http://www.nichibenren.or.jp/ja/opinion/report/data/081118_3.pdf ■「年越し派遣村」後の生活保護、入りやすく出やすい合理的な制度設計を http://www.toyokeizai.net/business/society/detail/AC/e7af0fe01d0f796f45f3ee108b447500/page/1/ ■第65回「日本の奇妙な生活保護制度」原田泰氏 大和総研 常務理事チーフエコノミスト 日本の生活保護制度には、国際的に見て奇妙な特徴がある。制度を国際的に比較するのは難しいが、 埋橋(うずはし)孝文・同志社大学教授の素晴らしい研究に基づいて比較をしてみたい (「公的扶助制度の国際比較」『海外社会保障研究』127号、Summer 1999年)。 ■給付総額は少なく、保護されている人はさらに少ない 日本の公的扶助支出額の国内総生産(GDP)に占める比率を見ると、わずか0.3%であり、 経済協力開発機構(OECD)諸国の平均(2.4%)の約8分の1と極めて小さい。 当然のことながら、公的扶助を受けている人々(子供を含む)の総人口に占める比率も0.7%と低く、 OECD諸国の平均(7.4%)の約10分の1にすぎない。 http://bizplus.nikkei.co.jp/colm/harada.cfm?i=20071101c3000c3&p=1 イギリス、フランス、ドイツ、アメリカの公的扶助総額の対GDP比は、 それぞれ4.1%、2.0%、2.0%、3.7%であり、日本は前述のように0.3%である。 また、イギリス、フランス、ドイツ、アメリカの公的扶助を与えられている人の総人口に占める比率は、 それぞれ15.9%、2.3%、5.2%、10.0%であり、日本は前述のように0.7%である(以上の数値は前掲埋橋論文による)。 要するに、日本の1人当たり公的扶助給付額は主要先進国の中で際立って高いが、 公的扶助を実際に与えられている人は少ないということになる。 これは極めて奇妙な制度である。日本に貧しい人が少ないわけではない。 同志社大学の橘木俊詔教授は、生活保護水準以下の所得で暮らしている人は人口の13%と推計している(「格差社会」岩波新書、18頁)。 ところが、実際に生活保護を受けている人はわずか0.7%である。 私は、日本も、イギリス、フランス、ドイツ、アメリカのように給付水準を引き下げて、 生活保護を受ける人の比率を高くすべきだと思う。 これまで日本で奇妙な制度が続いてきたのは、おそらく、高い給付水準のままで実際の支給要件を厳しくし、 保護を受ける人の比率を下げていた方が、給付総額が減るという財政的要請があるからだと思う。 しかし、今後、65歳以上の無年金者が続出する中では、現在の制度は維持できないだろう。 65歳以上の人は、支給要件の1つである「働けないこと」を容易に証明できるからだ。日本独自の制度をやめて、 グローバルスタンダードに合わせるしかないのではないか。 http://bizplus.nikkei.co.jp/colm/harada.cfm?i=20071101c3000c3&p=2 総人口に占める生活保護率(=公的扶助受給者率)は、 イギリス 15.9% フランス 2.3% ドイツ 5.2% アメリカ 10.0% 日本 0.7% と、日本が際だって低い。そして、その数少ない受給者の給付水準は高い。 「私は、日本も、イギリス、フランス、ドイツ、アメリカのように給付水準を引き下げて、 生活保護を受ける人の比率を高くすべきだと思う。」 |