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2012.04.11 野田政権の(原発再稼働)暫定基準の決定でクローズアップされる橋下新党の動き、(ハシズムの分析、その17)
〜関西から(60)〜
広原盛明(都市計画・まちづくり研究者)
このところ、橋下市長の地元大阪では大阪維新の会の不祥事が相次いで暴露されている。最大の不祥事は、言わずと知れた「市職員選挙関与名簿捏造事件」だ。維新の会市議が市議会市政改革特別委員会で「当局と組合が組織ぐるみで市長選に関与した」ことを裏付ける資料として提出した職員名簿が、実は維新政治塾に応募した交通局非常勤職員の捏造だったことが判明したのである(3月26日)。
大阪府労働委員会から不当労働行為(思想調査など)の疑いが濃いと指摘された「職員アンケート調査」についても、野村特別顧問がアンケート用紙を開封することなく、労組や報道陣の立会いの下で遂にシュレッダーで裁断せざるを得ない状況に追い込まれた(4月6日)。いずれも橋下氏が代表を務める大阪維新の会の思想信条の自由や労働基本権を蹂躙した不当行為の結果であり、橋下氏の政治責任は極めて重大であり、法的責任も免れない。
これで市職員労組を「抵抗勢力」に祭り上げ、公務員を叩くことで市民の喝采を得ようとした「ハシズム・ポピュリスト作戦」の一角が崩れ、でっち上げた攻撃材料も「ガセネタ」であることが白日のもとに明かになった。公務員に身を切らせることで「市民に我慢をさせる」というリストラ戦略が、どうやら危うくなりつつあるような気配なのだ。
しかし、橋下市長の攻撃は止まらない。「労組攻撃の次は市民攻撃だ」というわけで、「市政改革プラン」と称する大幅な公共サービス削減案を打ち出した(4月5日)。しかも、その理由が振るっている。「現役世代を重視する」、「大阪市民は至る所で非常に贅沢な住民サービスを受けている」、「標準レベルに(サービス)を落とす」などと並べ立て、高齢者や低所得者関連の生活支援施策を容赦なくカットしようというものだ。
その中身がまた凄い。(1)市営交通敬老パスの半額自己負担、(2)高齢者や母子家庭などに対する上下水道基本料金減免の廃止、(3)国民健康保険料の引き上げ、(4)コミュニティバス(赤バス)の運営費補助カット、(5)現在の24行政区を8〜9区に再編するため区民センターや屋内プールなど24施設を民間に売却・賃貸して9施設に縮小など、そうでなくても生活苦に直面している高齢者や低所得層の「暮らし直撃」のオンパレードだ。また「現役世代重視」とはいいながら、(6)新婚世帯の家賃補助制度廃止、(7)男女共同参画センターの市内5館廃止、(8)大阪フィル、文楽協会への補助金1/4カットなど、若い世代や女性へのサービスカットも容赦ない。
職員基本条例や教育基本条例もいよいよ今年度から施行される。それにしても、今年の卒業式・入学式の光景は暗かった。教え子たちや知人のメールによれば、先生たちは「これからは“口パク”でいくしかないな」と話し合っているそうだ。君が代を歌うふりをしないと(唇を動かさないと)、職務命令に違反したとして校長や教頭に市教委へ通報されるからだ。なんと寒々とした光景ではないか。
「権力は腐敗する、絶対権力は絶対に腐敗する」というのは、古今東西の鉄則だ。だから、「ハシズムは崩壊する、絶対に崩壊する」と言い換えてもおかしくない。事実、その兆候はあらわれている。これも知人から教えてもらったのだが、平松前市長は近く大阪市長選が行われることを予測して選挙準備を始めた。「反ハシズム」を掲げての政策づくりに着手するのだという。
こんな地元情勢の変化を敏感に感じ取っているのか、橋下陣営は最近ますます「国政進出」に前のめりになっている。石原都知事との「密談」をまるで映画セットのように演出してマスメディアの注目をひきつけ(4月3日)、石原氏は維新政治塾の講師を引き受けるというサービスぶりだ。国民新党からの亀井氏の離脱で、「石原新党」の芽が無くなったからだろう。
そんな折も折、野田政権は定期検査で停止中の原発再稼働に関する安全対策の暫定基準を決定した(4月6日)。この暫定基準は、何が何でも4月中に福井県大飯原発を再稼働させなければならないという財界や電力業界の圧力に屈したもので、僅か数日の「熟慮」を重ねて決定したものだ。しかし大飯原発だけに適用されるだけでなく全国の原発再稼働に適用される一般基準なので、その影響するところはきわめて大きい。
暫定基準に対する大飯原発の地元・周辺自治体の反応は微妙に分かれている。福井県知事は「暗黙の了解」とも受け取れるサインを送っているが、滋賀県や京都府知事はまだ納得していない。なかでも注目されるのは、関電の筆頭株主である橋下大阪市長の動向だ。大阪維新の会の代表である橋下氏は、一方で原発稼働の是非を問う住民投票条例案を否決しておきながら(3月27日)、大飯原発の再稼働には批判的で、「昨日今日で安全な暫定基準なんて作れるはずがない」、「再稼働したら統治体制がもたない」などと大向こう受けのする発言を繰り返している(4月5日、6日)。
この橋下発言の真意を解くカギは、維新の会幹事長である松井大阪府知事の次のようなコメントにある。松井氏は次の衆議院選挙について、「過半数を目指すのは当然だ」と述べ、政策が一致する政党との連携を視野に入れ、過半数の議席獲得を目指す考えを明らかにした(4月6日)。注目されるのは、「国会議員が職責を果たしていれば、大阪の小さい地域政党が命がけの戦いを挑む必要はない。しかし野田政権を見ても、原発事故の問題をはじめ不作為の状態だ。この国のため行動を起こさなければならない」という部分だろう。このコメントは、「橋下新党」が次期総選挙に“脱原発”あるいは“原発再稼働反対”を「ワンフレーズ選挙」の旗印にして出てくるかもしれないことを示唆するものではないか。
それにしても気にかかるのは、最近になって関西メディアがようやく「橋下離れ」を始めているにもかかわらず、東京メディアが依然として「橋下密着」の姿勢をとり続けていることだ。こうした「橋下ギャップ」が大阪新の会の不祥事を国民の目から覆い隠し、「橋下新党」の国政進出を煽ることになるとすれば国民にとっても不幸なことになる。東京メディアの覚醒を求めたい。
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