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自治体が情報公開しなければならないワケBusiness Media 誠 民主主義の原点藤田正美の時事日想 
http://www.asyura2.com/12/senkyo128/msg/726.html
投稿者 gikou89 日時 2012 年 4 月 11 日 00:43:50: xbuVR8gI6Txyk
 

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120402-00000025-zdn_mkt-ind

藤田正美の時事日想:
 「情報」については、このコラムでもたびたび取り上げてきた。そして最も問題なのは、「情報の共有」ということに関して、お役所があまりにも無頓着であることも指摘してきた。

 先日、NHKの『橋が道路が壊れていく…… インフラ危機を乗り越えろ』という番組を見た。その中で「ほとんどの自治体が自分たちの管理するインフラがどのような状況になっているのかを把握していない」という増田寛也前岩手県知事の発言を聞いて驚いた。そして現在あるインフラを維持補修していくだけでも全国で10兆円をはるかに超えるカネがかかるのだという。

 もっと驚いたのは、「調査してもその内容を住民に知らせない」と答えた自治体が少なからずあったことである。もし自治体に十分なカネがあり、市民に知らせるまでもなく修繕したり、場合によっては新しいものにできるのであれば、それもよかろう。しかし程度の差こそあれ自治体の財政は火の車である。つまり維持補修するために潤沢な資金などどこにもない。

 そうなると、最も大事なことは自治体の状況がどうなっているのかを住民に丁寧に説明することだ。そしてインフラのも今あるものをすべて維持することはできないこと、町作りも従来の考え方では将来の展望が描けないこと、人口が減る中でどうやってコンパクトにしていくかを考える必要があることを納得してもらわなければならない。

 すでにそうした努力をしている自治体もある。その担当者は、「最初は寝た子を起こすなと言われた」と語った。これは原子力災害に対する考え方とまったく同じである。

 内閣府原子力安全委員会が原子力防災指針の見直しに着手していた時、当時の原子力安全・保安院の広瀬研吉元院長は防災指針の見直しに反対した。新聞報道では「寝た子を起こすな」と言って反対し、結果的に安全委員会は見直しを先送りしてしまったのである。ここで見直しをしておけば、福島第一原発の事故はなかったかどうかは分からない。しかし少なくともリスクについて住民にもっと情報を与えることにはなっただろうと思う。

●話し合いのための情報公開を

 自治体が抱える最大の問題は、今、おカネがないということではない。将来にわたっておカネがないということである。過去20年間、「将来は何とかなる」と思って(国自体もそう思ってきた)借金をし、「投資」という名のバラまきをやってきたが、それが限界にきている。そして困ったことに国と同じように自治体も人口減少という難題に直面している。税収は減るし、これまで地域を担ってきた人々が高齢化しても、後継者や年寄りの面倒をみる人がいない。

 だからあらゆる道路や橋などを維持するわけにはいかないのである。つまり優先順位をつけて、線引きをしなければならない。それを誰がやるのか。もしお役所が住民に実態を詳しく説明することもなく線を引けば、反発を食うに決まっている。目の前の橋がなくなって、遠回りするようになると言われたら、誰だって不満を言うだろう。

 たとえそれが住民エゴと言われようと、そこを否定することはできない。なぜならその人たちも住民として権利を主張することができるからだ。それを解決するには、お役所が情報をできるだけ公開して、たとえ最初の説明会が大荒れになろうとも、話し合いを続けて一定の合意を得るという姿勢で臨むしかない。

 その集会で話し合われるのは、インフラの整備や廃止という目の前の問題だけではない。自分たちが住んでいる町や村を将来にわたってどのようにしていくのかというビジョンも大きなテーマなのである。なぜなら、橋や道路がどうなるかで、いま住んでいる場所に住み続けることができるかどうかが大きく左右されるからだ。極端な話、1軒の家のために新たに橋をかけることはしないかもしれないが、1軒の家のために今ある橋を廃止するかどうかは大問題になる。

 だから全体の状況を最も把握しているお役所は、そういった情報を公開して、住民たちが徹底的に討論して優先順位を付けるしか方法がない。それは地方議会の役割という主張もできるだろうが、多くの地方議会は利害の錯綜する問題を解決する能力を持ち合わせていないのが実態だと思う。ある日本海側の町で、町役場の中堅幹部がこんなことを言っていた。「年に(定例議会で)20日あまりしか役場に出てこない議員さんたちが、我々と議論したって勝てません」

 その町はいわゆる原発マネーで財政が豊かだからまだしも、財政が苦しければ、やはり選択しなければならず、選択すれば必ずそこからもれた人々の怨嗟が生まれる。これは人口が減るということの当然の帰結でもある。

●民主主義の原点

 かつて過疎の村という報道がよくあった。それは若者が都会に出て行くからで、自分が住んでいる都会はあまり関係ないという気持ちが多くの人にあった。しかし今はそうではない。日本全国のあちらこちらで見られる光景だ。

 実際、あと10年か20年後には、東京が高齢化の波にのまれると予測されている。その時には個人の所得に関わる税収は減り、社会保障に関わる支出が増えて、財政が逼迫(ひっぱく)するだろう。そうなったら東京が抱える膨大なインフラ(都立と名が付くものだけでもすぐに思いつくものがたくさんある)の維持補修をどうやってまかなうのだろうか。

 住民が集まって自分たちの生活基盤を話し合うというのは、非常に手間暇のかかる話ではあるが、いいチャンスなのかもしれない。それこそ民主主義の原点であるからだ。人口が減るのだから、自分たちの生き方も変えなければならないという意識が生まれてこそ、社会は変わっていく。日本が生まれ変わるチャンスがそこにきっとあると思う。

[藤田正美,Business Media 誠]

 

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