04. 2012年4月10日 15:45:32
: 3tOOhXy3gw
これはなかなか鋭い指摘だ。すくなくとも、逆進性の高い社会保険料を引き下げる必要がありますね。 ■貧困層をより貧しくする日本の歪んだ所得再配分 その理由は、国民年金や国民健康保険の逆進性が高いことにある。 所得移転には、年金給付や生活保護、児童手当などプラスの移転もあれば、 社会保険料や消費税のようにマイナスの移転もあるが、日本では生活保護の補足率が低いため、 最低生活水準の年収であっても、社会保険料や税を負担しているケースが多い。 独り親世帯に限らずとも、日本における所得再配分の貧困削減効果は、欧州先進国に比べかなり低い。 こうした日本の歪んだ所得移転を是正するには、「給付付き税額控除」と呼ばれる政策が一つのヒントになるだろう。 課税所得がなく、税金控除の恩恵を受けられない人に給付を行うことで、所得再配分を強化する仕組みだ。 日本ではまだ聞き慣れない政策だが、米国や英国、カナダ、オランダなどでは、すでに導入が進んでいる。(下の図表) 日本でも、中央大学法科大学院の森信茂樹教授を中心とする研究者グループが、 子育て世帯を対象にした「給付付き児童税額控除」を提言。 財源や税収が中立であっても効果をもたらす、とのシミュレーション結果を得ている。 貧困問題に対応するには、税制にまで踏み込んだ改革も避けて通れないようだ。 http://www.toyokeizai.net/business/society/detail/AC/a7a46973b48f0cf47a3a4b47e7024ac5/page/2/ ■低所得者ほど負担が重い社会保障制度 根本的な問題に目を向けない「一体改革」 ――政策研究大学院大学客員教授 田中秀明氏 低所得者ほど負担が重い日本の社会保障制度 ――政府は消費税増税を含む「社会保障・税一体改革」素案を決定しました。この素案をどう評価していますか。 今の仕組みを抜本的に見直すのが一体改革の趣旨だと思いますが、まだ半歩くらいで、残念ながら中身は不十分と言わざるを得ません。 改革は一度に全てできませんが、全体像を描いた上で順序を考えるべきです。 素案の作成者は厚生労働省の官僚であり、今の社会保障制度の何が問題か、特に社会保険料の問題点にほとんど触れられていないからです。 厚生、共済年金に属していない人が入っている国民年金の保険料は1ヵ月1万5000円程度(第1号被保険者)。 果たして年収150万円ほどの非正規雇用者が支払い続けられる額でしょうか。 医療保険料などもあり、おそらく払えるわけがない。 若干の減免措置があるとはいえ、国民年金の保険料は定額制なので、非常に逆進的(低所得者ほど負担重い)。 一体改革案には、保険料の減免など低所得者対策が謳われていますが、 保険料の基本的な問題にはメスを入れず、税金が天から降ってくるような感覚で、水漏れを税金で塞ごうという対応に見えます。 そもそも年金制度の基本的な問題は、財源として国民の支払う社会保険料にプラスして税が投入されており、 保険と税が渾然一体とした仕組みになっていて、ガバナンスが効かないことにあります。 役所は、保険は負担と給付が一致するので規律が働くと言っていますが、現実は全くそうなっていません。 基礎年金の第1号被保険者(自由業)の保険料は1人1月で約1万5000円、 第2号(サラリーマン)の保険料は不明(基礎年金部分と報酬比例部分を併せて、労使合計で約15%の保険料)、 第3号(専業主婦)はゼロです。保険料の金額さえ、わからないのが今の年金制度です。 保険料の未納者が増えていますが、社会保険料を払わない低所得者層が年金をもらえないのは自己責任で、 払った人と差がついてしかるべきだともいえるかもしれませんが、これはミスリーディングです。 なぜならば、基礎年金の2分の1は国庫負担、とどのつまり税金です。 比喩的に言えば、丸の内にある大企業を退職したOBの年金額の一部には、 年収150万円の非正規雇用者がコンビニで買ったおにぎりの消費税も含まれています。 それにもかかわらず、25年保険料を納めることができなかったという理由で、 低所得者が年金をもらえないのは、不公平ではないでしょうか。 このように日本の社会保障は、中堅以上のサラリーマンや公務員が保護され、非正規雇用者を救う仕組みになっていない。 私の推計では、日本では年収1500万円までの税金・保険料の総所得に対する負担率(世帯員ベース)は、 約17%から22%程度で、おおざっぱに言えば、所得にかかわらず20%前後の定率と言えます。 なぜ定率的かというと、所得税が累進的である一方で、社会保険料は逆進的だからです。 実際、国民年金保険料は収入と無関係の月額約1万5000円、厚生年金では年収900万円以上になると保険料負担割合が減少していきます。 医療保険料は、サラリーマンも、低い所得水準から逆進的になっています。 雇用者のうち3分の1が非正規雇用である今、この制度は多くの人にとっては厳しい制度といえるでしょう。 http://diamond.jp/articles/-/16081 ■国保滞納差し押さえ倍増/分割納付中に 年金・子ども手当まで/生存権脅かす非道/06年度→09年度 国民健康保険(国保)の保険料(税)を払いきれず滞納した人の「財産」を、 容赦なく差し押さえる動きが全国の自治体に広がっています。 厚生労働省の調査では、2009年度に全国で実施された差し押さえの件数は18万2583世帯に上り、 06年度と比べてほぼ倍増しています。 国保の保険料の収納率は08年度に初めて9割を切りました。 09年度も88・01%に続落し、過去最低を更新しています。 保険料が年々高くなり、払いたくても払いきれない世帯が増えているのが実情です。 ところが政府は保険料引き下げの手だてを講じないばかりか、「収納率向上」の取り組み状況を毎年示し、 自治体を競わせて過酷な徴収に駆り立ててきました。 06年度以降、滞納者の財産調査、財産の差し押さえ、 差し押さえ物件のインターネット公売などを実施する自治体が急増しています。(表)・・・ こうした非道な差し押さえが全国で横行しています。 国保の保険税滞納分を月3万円ずつ返済してきたのに、振り込まれた年金を全額差し押さえられた(群馬県前橋市)。 銀行口座に振り込まれた給与、子ども手当、国からの訓練・生活支援給付金などを予告なしに100件差し押さえ、 預貯金をゼロにされた人もいた(大分県宇佐市)。 09年度に883世帯の預貯金、給与、年金など2億2581万円を差し押さえた(島根県の21市町村)―。 自治体と面談して保険料を分割納付してきた人まで差し押さえの対象にするのは、従来の対応を逸脱する異常事態です。 給与・年金の生計費相当額や子ども手当などは法律で差し押さえが禁止されています。 にもかかわらず、銀行口座に振り込まれた途端に「金融資産」とみなして差し押さえる脱法的手口まで広がっています。 生計費を奪い、生存権を侵害するやり方です。 http://news.livedoor.com/article/detail/5324529/ ■国保証とりあげ7万世帯増/収納率は最悪 http://news.livedoor.com/article/detail/5321448/ ■社会保障の企業主義と保険料の逆進性こそ大問題 消費税の逆進性=所得が低い人ほど負担割合が重くなる=はよく指摘されています。 それはもちろん、問題です。消費税増税が庶民ほど直撃し、消費を冷え込ませかねない。 しかし、もっと大問題は年金、介護、医療の保険料の逆進性です。 わたくし、さとうしゅういちのことで恐縮ですが、御紹介します。 わたしは、新たな挑戦のため、民主党を離党させていただきたました。 さらに、正規公務員をこのたび退職させていただきます。 今までは、健康保険も、事業主と折半で保険料を負担してきました。 税引き前年収440万円前後で月額の医療保険料が14500円程度。そういう状態でした。 ところが、これからはそうはいきません。 国民健康保険に入るか、いままでの地方職員共済組合を任意継続するかしなければなりません。 任意継続の場合も現役時代には事業主が負担していた部分を自分が払わなければなりませんから、負担は倍増します。 一方、国民健康保険税は前年の所得で決まります。 わたしが、計算してみたところ、どちらにしても、現役時代の二倍(三万円)程度の負担になることがわかりました。 わずかに、「任意継続」のほうが月額千円ばかりお得なのでこちらを選ばせていただく予定です。 所得が激減したのに、保険料は激増する。 ギャグのような話ですが、こういうところから貧困に落ち込んでいくことがよく実感できます。 もちろん、2010年度からは、会社都合で失職した方については、 「前年の所得を30%だったという前提で計算した保険料(税)」に減免する制度がスタートしています。 しかし、自己都合退職は対象外です。 多くの企業では、実質的な解雇でも自己都合ということにさせてしまう場合が多いのではないでしょうか? 「嫌がらせがあっても、自分から辞表を書いてはいけない」というのはこういうところでもいえると思います。 (あとで争う手段はありますが、面倒なのも事実です)。 介護保険料もひどい。大金持ちと生活保護ぎりぎりの人で、3倍しか違わないのです。 年金にしても基礎年金部分は一律の保険料です。 消費税の逆進性はもちろん問題です。しかし、もっと大問題は、保険料の逆進性です。 そして企業のセーフティネットから落ちこぼれた人は悲惨なことになるという点です。 消費税をいま、増税したら大恐慌は間違いない。しかし、「消費税増税反対だけ」を言えば良いわけではない。 「逆進性反対」こそ言わねばならない。そのように思います。 いい加減、福祉の企業中心主義を日本はやめねばならない。 それを民主党政権に少なくない人は期待していたのに裏切られたのではないか、とも思うのです。 ただ、一方で、民主党へのアンチテーゼとしてウケている河村たかし前名古屋市長の『庶民革命』も眉唾ものです。 本当に庶民革命をいうなら、住民税減税より前に介護保険料や国保料軽減などを打ち出すべきでしょう。 http://www.janjanblog.com/archives/30016 リフレ(年率2〜3%のマイルドインフレ)+累進課税強化・富裕層への課税強化+負の所得税(負の消費税) を実施するべきだ。 累進課税強化+負の所得税は、ビルトインスタビライザーの強化にもつながる。 【負の所得税】 所得が一定額に達しない者に対し、政府が給付金を支払う制度。 課税最低限との差額の一定割合の金を給付する。 http://kotobank.jp/word/%E8%B2%A0%E3%81%AE%E6%89%80%E5%BE%97%E7%A8%8E ■飯田泰之(経済学者):「負の所得税の財源。 現在日本では年間80兆円の相続財産があり、これに対する相続税収は1.5兆円。 2億円まではうまくやれば無税。日本は実質相続税が無い。 配偶者を除く次の世代への相続に20%課税すれば8兆円の財源ができる。」 http://twitter.com/#!/montagekijyo/status/13613237545 負の所得税+累進率を強くすることには賛成。すぐにでもやって欲しい。 http://twitter.com/#!/kuroseventeen/status/11698284587 こういうと必ず、 再分配政策と構造改革(潜在的経済成長率を増す政策)やリフレ政策(安定化政策)を対立させる者が出てくるが、これらは矛盾しない。
経済政策においては、安定化政策と成長政策と再分配政策は三位一体であり、 対立するものではありません。 もちろん、既得権益剥がしと再分配政策も矛盾しない。 再配分の是非と、既得権益の是非は、別問題です。 小泉自民党は「既得権益破壊=再配分廃止」と短絡し、 反小泉は「再配分重視=既得権益温存」と短絡しました。 必要なのは「既得権益を剥した再配分」です。 http://www.miyadai.com/index.php?itemid=768 社会学者の宮台真司のひそみをまねると、 「既得権益をはがした再分配」政策が必要。 つまり、天下り団体や無駄な公共事業に税金や保険料が使われる仕組み=「既得権益」をぶっ壊す改革の実施が必要と同時に、 普遍主義にもとづく再分配政策(基準に該当すれば国民に対して自動的かつ公平に直接給付する政策)の実施が必要。 「低負担・低福祉」という意味での「小さな政府」は反対だが、 私は、官僚・公務員の天下り団体をなくす、 人件費・管理費を削減するという意味での「小さな政府」は、賛成。 官僚・公務員の裁量権が極小の小さな政府と手厚い社会保障(高福祉)が理想。 具体的には、基本所得保障制度(負の所得税、負の消費税、ベーシックインカム)、 教育費・医療費・住宅費・光熱費無料かな。 そんな社会は、まさに憲法25条が保障しているはずの 「健康で文化的な生活」を保障する社会であり、 貧困撲滅を目指す湯浅誠さんたちの理想が実現する。 もっとも、そういった社会は、一足飛びの実現は無理なので、漸進的に近づいていくしかないが。。。 経済成長は、労働問題や貧困問題を解決する必要条件であって、十分条件ではない。 経済成長に加えて、再分配政策が必要。 それも、社会学者の宮台真司のひそみをまねると「既得権益を剥がした再分配」が必要。
|