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先週末7日のテレビ各局のニュース番組では、野田首相が、税と社会保障の一体改革に関する対話集会に出席した模様を放映していた。どのニュースでも、首相が「公平な税である消費税を増税する」と語っている場面を放映していた。日頃から野田首相に接している政治記者や政治部デスクが、野田首相の認識が「消費税は公平な税」ということを知っているから、各局ともこの場面を放映したのだろう。
同じ7日の毎日新聞8面の教育欄(子供・母親向け)で、「消費税なぜ上げるの」という解説記事には、「消費税には短所があります」として、次のように書いてある。「あまりお金がない人ほど負担が大きいと感じるため、『不公平だ』と反対する議員も多いのです」。こちらは「消費税は不公平な税」との解説である。そして不公平だとする根拠が明らかである。(注:記事は毎日新聞本社【経済部】の山本明彦記者)
野田首相が何を引き合いに出して、「消費税は公平な税」と語ったかは分らないが、おそらく個人の購買力に応じて負担することを以って「公平」だと言ったのだろう。そしてそのように理解している人が多いのも事実。このように理解する人の多くは、税の基礎知識に欠けるから勝手に、そう思い込んでいるだけなのである。だが、税の基本を知る経済部記者は、「消費税は不公平な税」とためらいもなく述べるのだ。
これまで何度も述べてきたことを改めてまた書くが、マグナカルタ(大憲章)の歴史を持つ英国をはじめ西欧先進民主国家では、「税とは国家による所得の再配分」なのである。その税の基本から見れば、所得に関係なく生活必需品にまで一律に課税する消費税は、「所得の再配分」に反する税であり、決して「公平な税」ではないのだ。
狩猟民族の西欧先進民主国家と異なり、農耕民族の日本では、律令国家が始まった時から租庸調とか、また武家政治が始まってからは、「お上」を名乗る為政者が「五公五民」とか言って、民百姓から搾取する時代が長く続いた。そして、日本国憲法にも「納税の義務」と書かれている。従って、依然として民主主義を理解していない多くの日本人が、「税とはお上に納めるもの」との意識下にあるのは否めないだろう。
言うなれば、消費税を「公平な税」か「不公平な税」と見るかの違いは、「税とはお上に納めるもの」と考えるか、「税とは所得の再配分」と考えるかの違いと言うことになる。まがりなりにも、民主国家を名乗る日本。江戸時代の悪徳代官のような徴税はできない。そこで今の「税金を払う方が苦しく、税金を食べる方が楽をする政治」を維持するため、「公平な税」との言葉で、民から搾取することを考えるのである。
これに対し「所得の再配分」とは、所得税の累進課税のように、高所得者により重い負担を求める一方、弱者の生活を守る生活保護制度などを、政府(含む地方自治体)が整え、社会の安定を図ることである。この「所得の再配分」機能が全く無かった時代の日本には何があったか。疲弊した民百姓は、集団では「逃散」「一揆」であり、個々人では「身売り」「間引き」「自殺」であった。
そもそも「税と社会保障の一体改革」と言うのだ。社会保障とは「所得の再配分」機能そのものである。その財源に消費税を充てることが妥当なことかどうか、その検討が全くなされていない。また「一体改革」であるならば、増税法案と併せ、社会保障改革法案も提案されなければおかしい。だが社会保障改革については、霞ヶ関言葉では、やらないことを意味する「検討する」などが、単に羅列されているだけなのだ。
消費税を公平な税だと言うことからして、野田首相は民主主義国家の政治家として、税を語る資格がないことを示唆している。前述のような税に関する基本的な認識と言うか、思想・哲学に欠けているからである。おそらく彼はそのことを自覚していないだろう。自覚が無いだけではない。彼の知的水準*が、それを理解できるレベルではないのだろう。だから臆面もなく、税と社会保障の一体改革に関する対話集会に出席できるのである。そして国民の理解を得られたと言うのだろう。
*追記:筆者が野田首相の知的水準を疑うことになったのは、TPPに関する国会審議での、自民党佐藤ゆかり議員とのISD条項に関する質疑応答からである。マスコミは、彼が野党時代からTPPへの参加を主張し、政治家の中で誰よりもTPPに詳しい(勉強している)と紹介していたのにも拘わらず、その理解の度合いが低いことを示したのが、この質疑応答であった。
http://www.olivenews.net/news_30/newsdisp.php?m=0&i=1
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