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ロシア政治経済ジャーナル No.822
2012/4/7
「日本自立」は簡単？
「日本自立」という。
つまり、今「日本は自立していない」のですね。
「自立」の反対は、「依存」です。
そう、日本は「アメリカ合衆国に依存」しているのです。
私はそれで、「日本は『アメリカ幕府』の『天領』である」と前々から
書いています。
この用語をはじめて使ったのは、おそらく05年の「ボロボロになっ
た覇権国家」だったと思いますが。
今まで一件もクレームはきていません。
「おい北野、違うぞ！日本は正真正銘の『自立国家』だぞ！」と断
言できる人はいないのです。
そして、アメリカ幕府の天領たる日本は、必然的に搾取される運
命にある。
それで、「日本は自立しなきゃ！」といって、反対する人はほとん
どいません。
問題は、「日本自立は簡単にできるのか？」ということ。
「簡単さ！」という人もいます。
だいたいこんなことをいう。
1、日本は核兵器をもつ
2、アメリカ軍を日本から追放する
「これで日本は自立国家になれます！」と主張する人たちがネッ
ト上にたくさんいる。
これでホントに自立できるのでしょうか？
▼核兵器があっても
欧米の恐さ、そして核兵器のパワーを知っていた中国の毛沢東。
彼は、「どんな犠牲を払っても『核兵器』を保有する！」と決意し
ていました。
そして、実際に保有した。（1964年）
中国は、核兵器を手にしたおかげで「軍事的自立」を成し遂げま
した。
中国は、核のおかげで、アメリカも容易に手出しできない国になっ
たのです。
だから、「日本も核をもてば自立できる」という説には一定の根拠
があります。
しかし、「なんでもかんでも核兵器をもてば問題解決」かといえば
そんなことはありません。
現在、国連安保理で拒否権をもつ5大国。
アメリカ、イギリス、フランスと中国、ロシア陣営にわかれている。
そして、シリア問題、イラン問題で対立しています。
しかし、この5大国は、日本の核兵器保有には一体化して反対する
ことでしょう。
国連安保理全常任理事国が反対であれば、彼らは国連を通してど
んな制裁も課すことができます。
たとえば経済制裁。
中には、「ＧＤＰ世界3位の経済大国日本に経済制裁なんてできる
かボケ！」と主張する人もいます。
できますよ。
中国は、漁船衝突事件のとき、自分が悪いにも関わらずレアアー
スの対日輸出をとめたじゃないですか？
「日本製品がないと困る！」というのなら、「なくて困る製品の輸
出だけ許可」し、そのほかの製品はボイコットってこともできます。
もっとも恐いのは、「原油・ガス・ウラン」の禁輸です。
日本は、なんで無茶な2次大戦に進んでいったんでしたっけ？
そう、アメリカ、イギリス、中国、オランダがつるんで、日本に原
油を入れないようにしたから。
（いわゆるＡＢＣＤ包囲網）
今はできない？
できます。
アメリカは今、世界中に「イラン産原油を買わないように！」と強
制しているでしょう？
アメリカが脅せば、中東産油国は日本に原油を売らなくなります。
なんといっても、「国連のお墨つき」があるのですから。
核兵器をもったはいいが、日本には石油もガスもウランも入って
こなくなった、なんてことになりかねない。
ここからわかること。
「核兵器をもてば軍事的自立は可能だが、それだけで日本国の
自立は成し遂げられない」
一体自立のためには何が必要なのでしょうか？
▼自立の条件
第1の条件は、「経済的自立」でしょう。
なぜ日本は2次大戦に進んでいった？
「ＡＢＣＤ包囲網」の話はしました。
それ以前に、経済的問題があった。
1929年からはじまった世界恐慌。
アメリカ、イギリス、フランスは、「ブロック経済圏」をつくった。
ソ連は世界経済から分離していたので、恐慌の影響がなかった。
ドイツにはヒトラーが出て、ケインズ政策を徹底し、いち早く恐慌
を脱し、完全雇用を実現した。
日本は？
これは、独自の経済圏をつくろうとしたのですね。
で、どうしたかというと「満州国」をつくった。
これで、イギリス、アメリカ、中国などの反感をかった。
日本は、「国際連盟」を脱退し、ますます孤立していきます。
同じような事態にならないよう、日本は「経済的自立」を成し遂げ
なければならない。
つまり「内需主導経済」。
（もちろん、「貿易するな！」とか極論をいっているわけではあり
ません。）
第2の条件は「軍事的自立」。
核の話をしましたが、私は核兵器保有には条件つきで賛成で
す。
それは、国連安保理常任理事国の少なくとも米英仏から支持
を得ること。
なぜか？
皆さんご存知のように、イスラエルは核兵器を保有しています。
でも、制裁されない。
なぜ？
どこかの国がイスラエルを制裁しようとすれば、アメリカが必ず拒
否権を使うから。
だから、誰もイスラエルを制裁できないのです。
日本が核兵器保有しても、米英仏が日本を守るのならそれはそれ
で万々歳。
そういう状況を作り出すためには、まず日米安保を「対等」にする
必要があるでしょう。
ちなみに、日本が軍事的自立を成し遂げる前に、「アメリカ軍でて
いけ！」というのは破滅の道です。
アメリカ軍が出て行ったら、必ず中国が尖閣、沖縄をとりにきます。
なんといっても、中国にいわせたら、尖閣も沖縄も「固有の領土」。
彼らによると、日本は尖閣、沖縄を不法占領しているのです。
ああ、恐ろしい。
第3の条件は、「エネルギーの自立」。
すでに触れたように、「ＡＢＣＤ包囲網」を再現されないために。
それで、「メタンハイドレート」なり「藻油」なりで、エネルギー自給
率を100%にしなければならない。
第4の条件は、「食糧の自立」。
08年の食糧危機のとき、大変多くの国が「穀物輸出を停止」しま
した。
世界人口は毎年7800万人ずつ増えています。
食糧の増産は、それにおいつきません。
すでに、世界の7人に一人が餓死の危機に瀕しています。
だから、日本も食料自給率を100%にするべきなのです。
第5の条件は「精神の自立」です。
おそらく、これが最も重要で、本来なら第1にあげられるべきで
しょう。
人が自立しているか、依存しているか、本来は「心の状態」で
決まります。
「自立心」「依存心」という。
「精神の自立」を成し遂げるためには、「教育改革」が必須。
最重要ポイントは、「日本は悪の国だから、善なるアメリカに管理
してもらう」という「自虐史観」を捨て去ること。
この5つがそろってはじめて日本は「自立国家」になれる。
「全世界を無視しても、核兵器さえ保有すれば自立できる」
という単純なものではないのです。
（
▼ロシア、自立への戦い
さて、ここで「アメリカからの自立に成功した例」をあげておきま
しょう。
そう、私の住む国ロシアです。
ロシアは、いつ「依存国家」になったのでしょうか？
「ソ連崩壊後」です。
ソ連崩壊直後の1992年、新生ロシアのＧＤＰはなんと−14.5％。
ロシアは、欧米日、および国際金融機関からの借金に深く依存
するようになっていきます。
（正確にいうと、ゴルバチョフ時代から、かなり借金があった）
それで、エリツィン・ロシアは、アメリカの「依存国家」になってし
まいました。
ちなみに、「自立のための5つの条件」をあげましたが、ロシア
はとても恵まれています。
・軍事的自立＝ロシアはいまだに核超大国である
・エネルギーの自立＝ロシアは原油、天然ガス生産で常に世
界1、2位である
・食糧の自立＝自国を十分養える
しかし、「経済の自立」を失ったとき、元超大国ロシアは「依存
国家」に転落したのです。
プーチンは、「自立への戦い」を開始しました。
その基本は、「財政黒字化」と「借金返済」。
ロシアはなんと、プーチンが大統領に就任した2000年から、
危機が起こった08年まで一貫して「財政黒字」でした。
さらに、借金も着実に返済し、07年には実質債権国になって
います。
▼プーチンと世界の支配者
欧米からの自立を目指すプーチン。
そんな彼に、世界の支配者たちが、立ちはだかります。
きっかけは二つありました。
1、プーチンは、ユダヤ系新興財閥を迫害していた
90年代ロシアを牛耳っていたユダヤ系新興財閥軍団。
プーチンは、「クレムリンのゴッドファーザーとよばれたベレゾフ
スキー」を追放。
さらに、「世界ユダヤ人会議副議長」「ロシアユダヤ人会議会長」
グシンスキーも追放。
おそれをなした石油最大手ユコスのホドルコフスキー社長は、ヤ
コブ・●ス●ャイ●ド卿と「オープンロシア財団」をつくり、プーチン
排除に乗り出しました。
これでプーチンは、欧州の支配者を敵に回した。
2、プーチンは、ユコス売却を阻止した
ホドルコフスキーは、●ッ●フ●ラー系で有名なエクソンモービ
ル、そしてシェブロンテキサコに、「ユコスを売る」と約束していま
した。
プーチンはこれに激怒。
「原油生産量世界一ロシアの最大手企業をアメリカに売れるか！」
と、ホドルコフスキーを逮捕してしまった。
これで、アメリカの支配者を敵にまわしてしまった。
その後何が起こったか。
ロシアの影響圏である旧ソ連諸国で、次々と革命が勃発。
03年グルジア、04年ウクライナ、05年キルギス。
そして、次々と「親米反ロ傀儡政権」が誕生することになった。
そして「米ロ新冷戦」なる言葉も生まれ、結果08年には
「ロシア−グルジア戦争」
にまで発展していったのです。
ここまでザックリ書いてきました。
新規の読者さんは、「トンデモ？」「陰謀系？」と思われたことでしょう。
しかし、私は「証拠」のないことは一切書きません。
そう、ＲＰＥはいつも証拠を提示するので、どんなに飛んでるようなこ
とを書いても「トンデモ系」「陰謀系」とはいわれません。
「どこで証拠が見れるか？」は後述します。
私は何がいいたかったのか？
資源と食糧に恵まれた核保有大国ロシア。
そんなロシアですら、アメリカからの自立は容易ではなかった。
そう、「日本が自立する」のだって、実をいうと簡単ではない。
「なにがなんでも核兵器をもてば、一件落着」なんて単純な話
ではない。
私が、「夢は日本が、アメリカ幕府の天領でもなく、中国の小
日本省でもない、『自立国家』になることです」
というとき、
それは、きたるべき「困難な道」を念頭におきながらいっている
のです。
果たして日本自立は可能なのでしょうか？
私は可能だと思います。
どうやって？
その第1歩は、実際にアメリカからの自立を達成した男の方
法を研究してみることです。
どうやって？
もうおわかりですね。
アマゾン一位（社会・政治部門）のこの本をお読みください。
●「プーチン最後の聖戦」
（詳細は→ http://tinyurl.com/8y5mya3 ）
●「プーチン最後の聖戦」（動画予告編はこちら）
↓
http://www.youtube.com/watch?v=LpMz5QRrKTA
（私のコメント）
政治経済、国際情勢を知っている人ならこれが常識でしょうが実行できるかどうかです。フクシマを収拾できない段階で原発再稼働を決めるようでは日本政府はないのと同じではないですか。
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