http://www.asyura2.com/12/senkyo128/msg/534.html
Tweet |
緊縮財政の「わな」 消費増税で日本の危機回避は本当に可能か(ウォールストリートジャーナル社説)
2012年 4月4日 WSJ http://jp.wsj.com/Japan/node_420404?mod=WSJ3items
ついに日本の景気が回復し始めた。過去15年、幾度となくそうだったように、景気の復調は、日本政府が増税に動くシグナルだ。6年で6人目の首相である野田佳彦首相は、先週、消費増税関連法案を国会に提出。ギリシャのような財政危機を回避するために、消費税を5%から10%へと2倍に引き上げる必要があるという議論に首相は政治生命をかけた。
ここでは、この問題の経済的側面について論じるつもりだが、まず政治について触れなければならない。野田首相は先週、大胆にも党内懐疑派を無視し、消費税率を2014年に8%、15年10月に10%へと引き上げる計画の閣議決定を強引に進めた。
首相は、同法案を6月までに国会採決に持ち込む考えだが、問題はそれからだ。首相は、出身党である民主党の一部からの反乱を招きかねない。昨年末には民主党議員9人が離党。今月2日にも1人離党した。また、参議院の過半数を握り、政権打倒に邁進する野党・自民党も控えている。もっとも自民党議員の多くは、過去に民主党と同じような増税を提案していた。
野田首相は、解散総選挙に打って出て法案可決を国民に訴えることが可能だ。しかし、過去1カ月に行われた世論調査のうち少なくとも2つの調査で、過半数が増税に反対という結果が示された。しかし、国民にとって問題なのは、賃金が上がらない時に増税が実施されれば生活水準の低下を招く、ということだけではない。国民は、政府の税金の無駄使いにも批判を強めている。
次に経済的側面に話を移そう。野田首相は、政府の借金に抑制が効かなくなれば、債券市場がギリシャのような壊滅的な信用失墜に陥る可能性があると警告する。この意見には一理ある。ケインズ主義的な大型景気浮揚策が繰り返されては失敗に終わり、債務の対国内総生産(GDP)比は200%に押し上げられたが、超低金利のおかげで日本政府は債務を何とか維持している。
しかし、消費税率を2倍にするだけでは事足りないだろう。日本は、今や高齢化で社会保障政策費が政府支出の最大項目となり、内閣府は最近、この支出傾向が続けば、消費税を倍にしても2020年のプライマリーバランス(基礎的財政収支)の黒字化が困難になるとの見方を示した。(そこで、消費税率を3倍にせよとの国際通貨基金=IMFのいつもの悪いアドバイスとなる)
この袋小路から逃れる唯一の方法は、将来約束した給付額の縮小である。それが早ければ早いほど、削減の痛みもより耐えられるものになる。しかし、野田首相の目下の行動は無責任にもその逆であり、低所得者に対する新たな支援を提唱している。
別の解決方法は経済成長の促進だが、それには増税でなく、減税が必要だ。野田首相が消費者に増税という不利益をもたらすなら、内需停滞に苦しむ日本企業は国内市場でさらなる障害に直面し、海外進出に拍車がかかる。日本企業は、高い法人税率と労働法上の制約があるために、韓国・中国企業よりもすでに不利な立場に置かれている。
こうした状況を知っているなら、ギリシャの結末を避けるために消費税を上げる、と首相が言うことの「皮肉」を考えてみて欲しい。首相が今やっていることは、日本を欧州の運命に近づけることである。
この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
▲このページのTOPへ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK128掲示板
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。