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春の嵐
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銀座は雨が降り始めていた。
「エーと、歌舞伎座は…、」
キョロキョロしながら、目の前の店員に、
「あの、歌舞伎座の向かいのXXという…、」
と訊きかけると、
「お客さん。」
「はい?」
「それはここです」
ということで、奥に入り、30分ほど話して、協力を仰いだ。
今日も人様の笑顔ばかりが返ってきて、
幸福感の中の僕であった。
用事を終えて外に出ると、
外はもう、立派な雨模様だった。
夕方からは東京は暴風雨だというので、
急いで都営浅草線に乗り、本所吾妻橋に戻った。
先日から、保存(放置?)していたメール記録を一枚一枚取り出して、
一人一人にメールを送って、送るたびにゴミ袋に棄てるようにしていたのだが、
残りも半分くらいになって、
さっき足元の用紙を全部取っ払ったその瞬間、
キラリ!
と光ったわけではないが、
数日姿を隠していたお部屋の鍵が、
「久しぶりね。行介」
突然に姿を現した。
「おお。お前。
こんなところに隠れていたのか。
よかった。よかった。
本当によかった。」
思わず頬ずりをした僕であった。
風邪が治らないで、体調が悪い。
この数日、「トシさん」も体調を崩していて、
二人が倒れちゃ絵にならない。
頑張ろう。
「世川さん。
下準備はみんな終わった。
これだけの規模になった。ここからは軍資金の勝負だね」
電話の向こうで、「トシさん」が言う。
「まったくそのとおり。
頑張りましょう」
僕は電話を切ると、新潟のTさんに電話した。
「Tさん。これで準備は全部整えた。
周囲の人たちにも言ってくれ。
核にばっかりお金を出させずに、いくらでもいいから義援金を送れてって」
計画の全貌を今日初めて聞かされたTさんは、
張り切った声で、
「わかった。今からやる!」
そう応じた。
テレビを観ていると、外は激しい春の嵐だが、
僕たちもまた、<春の嵐>になるのだ。
ここから2週間、
心を同じくする人間が、知恵と身体を寄せ合って、
がんばれ。小沢! 敗けるな。一郎!
それだけを訴えて行動するのだ。
判決を目前にして、
今さらなんの検察批判や反小沢批判だろう。
いまの行動に必要なのは、
道行く人々に、
小沢一郎支援行動の爽やかさを見せ、
小沢拒否で塗り固められていた心を、少しだけでも開いてもらうことだけだ。
判決を目前にして、
3年間に及ぶ「小沢一郎支援行動」の歴史の中で、
小沢一郎の名にふさわしい締めくくりをしようと、
それだけのために、僕たちは、
緻密に計画を練って今日まで来た。
<小沢一郎事件>を<戦後知性>の問題としてとらえることの出来る僕の読者諸氏。
どうか。
4月15日、正午。
万難を排して、国会議事堂の前に集まってくれ。
そこから、
僕たちでなければ出来ない「小沢一郎支援行動」を、
一緒にやってくれ。
来て頂ければ、
きっと、あなた方に、それなりの満足をお渡しすることが出来ると思う。
爽やかで、
だけど激しい<春の嵐>になろうではないか。
世川行介放浪日記
日々の雑感。昔話。時事問題への言及。
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