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「門出に心苦しいのは過去から転がってきた国の借金だ。1千兆円に迫る雪だるまを止めようと、消費増税の法案が提出された。…借金の先送りで苦しむのも、差し当たりきついのも若い世代である」 これは『朝日新聞』4月1日付「天声人語」に書かれていたものです。
昨日のブログで紹介した『日経新聞』3月30日付の実哲也編集委員の記事「先送り若い世代にツケ」と同じ趣旨だと言ってよいでしょう。しかしここには大きな嘘があります。「嘘」というのが不適切なら、「思い違い」あるいは「ミスリード」と言っても良いでしょう。
それは、「1千兆円に迫る雪だるまを止めようと、消費増税の法案が提出された」という部分です。そうなのでしょうか。消費増税は「借金」の返済を目的とした増税なのでしょうか。もちろん、そうではありません。今回の消費増税は「税と社会保障の一体改革」であって、増税による財源は社会保障の「改革」に充てられることになっています。
それでは、今回の消費増税によって、社会保障の財源が全てまかなえるのでしょうか。それはどのような形で社会保障を「改革」し、福祉サービスの充実に充てられるのでしょうか。それは、今も不明です。将来の社会保障については、そのビジョンも制度設計も不明確なまま、とにかく消費増税に向けての結論を急ぎ、野田首相は遮二無二「年度末までの法案提出」を目指してきたからです。
そのうえ、たとえ消費増税によって税収が増えたとしても(それ自体、極めて難しいことは指摘してきた通りですが)、年金など必要な財源は今後増え続けますから、それをまかなうことができるに過ぎません。「将来へのツケを減らすための消費増税」というのは「真っ赤な嘘」です。こんな「嘘」を繰り返して消費増税を正当化するようなペテンはもうやめるべきでしょう。
http://igajin.blog.so-net.ne.jp/2012-04-02
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