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神州の泉は、小説はあまり読まないが、それでも30代から40代ころは西村寿行に入れ込んだことがある。物狂いのように読み耽った数ある西村作品の中でも、1977年に徳間書店から出た「往きてまた還らず」は自分の中でも最高傑作に位置付けている。今、その書評をやるつもりはないが、少しだけ言うと、とんでもない怪物的な執念を抱く日本人のテロリストが主人公となり、日本の国家体制を相手取って縦横無尽に暴れまくるというストーリーである。
西村寿行の作品が特に好きだったわけは、作風が狂気一歩手前の孤高の世界観で統一されており、悪であろうと、エロであろうと、人間の情念や執念をとことん突き詰めて無駄なく描いているからである。小説作法で言えば、これほど無駄のない文体は類例がない。その部分で言えば、三島由紀夫の文体を凌駕していると思う。
石油ショックが襲ったにせよ、当時は世の中が経済成長に浮かれ、フォークソングやGS(グループサウンズ)、大阪万博などの余韻に浸っていた時、西村寿行は人間の心に生じる悪のリアリズムを徹底的に描き上げたが、その描写は余人が真似できない透徹した透明感に満ちていた。「♪戦争を知らない子供たち」という歌が象徴するように、世の中が戦後教育に飼い馴らされ、欺瞞の戦後パシフィズムに酔い痴れていたころ、西村は人間が有する悪の情念を怜悧に追求し、社会派ハードロマンの分野において彼独有の世界を築き上げた。
人間の妄執や悪の想念が黒い塊の津波となって、これでもかと紡ぎ出されてくる物語に対し、そうとうに辟易しながら終幕まで読み進むと、何とも言えない清冽な読後感が味わえる。その理由は、西村が人間の欲望や妄執から決して目を逸らさずに正直に書いているからである。だが、西村作品の唯一の欠陥と言えるかどうかは疑問であるが、性描写が執拗過ぎて思春期の若い人にはとても勧められない。
前置きが長くなったが、西村寿行を持ち出したことで、何を言いたいのかというと、「往きてまた還らず」に出てくる「核地雷」である。物語は、テロリストの主人公が米軍から「核地雷」を盗み出して、首都東京を一瞬にして灰燼にするぞと、政府を脅す筋書である。これを読んだ当時も今も、米軍が核地雷を持っているのかとか、核地雷とは具体的にどのような形状をして、どのような仕様を持つ兵器なのかとか、皆目分からないのである。おそらくかなり以前から、対戦車用に核地雷はできていたように思うが、その具体的な実像はまったく分からない。
もし実在するとしても、それがアタッシュケースのように、個人が持ち運べる小型のものなのかどうかさえも不明である。この話はアタッシュケース型の小型核爆弾の話と共通するものがあって、たとえ兵器として完成していても、公には出てこないに違いない。その実在が周知されるときは、それが実際に使われてしまったあとだろう。さて、今から本題に入るが、野田政権は確実に核地雷を踏んでしまった。
政権体として、自律性が露ほどもない野田佳彦政権が完全な迷走状態に入った。野田佳彦首相は、語ること、やることが悉(ことごと)く国民から乖離してしまっている。TPP参加と言い、シロアリ退治なき消費税増税と言い、瓦礫の広域処理と言い、国民論議を尽くす以前の段階で、財務省や米国政府の思惑に盲従したまま政策を発表し、民主的手続きを踏まずに勝手に推し進めていく。
その無理無体な他律的政治の筆頭が「シロアリ退治なき消費税増税」政策である。社会保障の恒久的財源として消費税増税を語っているが、それがどのような社会保障で、どのような財源配分になるのか、まったく提示していない。せめて、植草一秀氏が時々説明している「プログラム支出」を明確に打ち出してくれるならともかく、社会保障の概要がまったく出てこない。
この部分だけでも巨大な詐欺の形を有している。国民は消費税増税という均等増税が、社会保障のためではなく、官僚の私腹を肥やすために行われることに気付き始めている。しかも、その増税が法人や大企業の減税を補償するために行われるのではないのかという疑問を持ち始めている。
大企業群は何百兆円の内部留保金が蓄えられているのに、さらなる減税で益々裕福になる。だが、その大半は外資株主に吸い取られていく。この状況で、庶民のタンス預金の最後の一滴まで搾り取ろうというのが、野田増税政策であるが、国民はこの構図を見抜き始めてきた。野田政権は今、かちかち山のタヌキであり、背中に火が付いた状態になっている。
それを端的に示すニュースが、細野環境大臣の京都訪問である。何気なく見過ごす人も多いとは思うが、このニュースは野田政権崩壊の序曲となっている。政府は、災害瓦礫処理を被災地以外に呼びかける環境省主催の街頭イベントを開始した。手始めに細野大臣は3月31日、JR京都駅前(京都市下京区)に出向き、瓦礫処理の必要性を市民に訴えようとした。
おそらくマスメディアを使って、広域瓦礫処理の必要性を公知させる腹だったのだろうが、そうは問屋が卸さなかった。反対派の市民らがプラカードを掲げるなどして猛抗議したため、細野大臣と山田啓二京都府知事が事前に計画していたビラ配りが中断された。(産経ニュース参照)
市民らは「京都の子供たちを殺すのか」「放射能をまき散らすな」などと大声で抗議し、詰め寄る市民らと環境省の関係者が入り乱れて会場は大混乱した。この大混乱が何を物語るのか。それは広域瓦礫処理が災害地への支援ではなく、政官財トライアングルの膨大な利権創出と、放射能の広域まき散らしであることに国民が気付いてしまっていることを端的に示している。インターネットの力は大きいが、国民はすでにマスメディアの洗脳的誘導には乗らなくなっているのである。
野田政権はすでに政権として断末魔にある。財務省が徴税したいだけの「消費税増税」、TPP、そして利権創出と放射能拡散の広域瓦礫処理、これらは国民から乖離した野田政権が踏んだ核地雷なのである。TPP、消費税増税、広域瓦礫処理、これら三つの政策を見ただけでも、野田佳彦政権が自爆政権であることがよく分かる。細野大臣が巻き込まれたJR京都駅前の出来事は、野田政権の巨大なペテンがすでに発覚していることを示す明確な証左である。「京都の子供たちを殺すのか」と京都市民が叫んだところに、野田政権が自爆間近であることが見えている。
http://shimotazawa.cocolog-wbs.com/akebi/2012/04/post-ee5b.html
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