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消費税増税法案は、政治家の落第証明書 野田首相の得意技:仕事をしたフリをすること
JB Press 2012.03.31(土)川嶋 諭
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/34891
南東や南西に向かう飛行機、例えばハワイとかインドなどに向かう便に乗っていると、ちょっと不思議な経験をすることがある。と言っても誰もがそれに気づくわけではない。
長旅に疲れ始めた頃、それは起きる
長距離のフライトに疲れた頃、飛行機に取り付けられたテレビで映画を見るのをやめ、飛行状態の画面にすると「それ」が起きるのを確認できる。
南東に向かう場合、それまで時速100キロを超えるような猛スピードの追い風(tale wind)に乗って順調に飛行していたはずの飛行機が、急に向かい風(head wind)を受け、飛行速度(ground speed)が大きく落ちてしまうのだ。
長距離フライトの疲れも手伝って、目的地まであと少しなのになかなか到着しない飛行機にイライラが募り出す。
気にしなければいいのだが、気になり出すと余計気になって仕方なくなる・・・。
私のような高所恐怖症・閉所恐怖症だと、イライラが高じてメーンキャビンの窮屈さに耐えられなくなる。
用を足したくもないのにトイレに立ち、その前で屈伸運動をしてフライトアテンダントに変な目で見られる屈辱を味わうことにもなる。
そんなどうでもいいことに気づかなければよかったのに後の祭り。つい、「コリオリめ!」などとつぶやくと、さらに周りから変な奴だという視線を受ける羽目になる。
コリオリというのは、もちろん「コリオリの力」として有名なフランスの科学者の名前である。子供の頃に地理や科学の時間に習った東向きの偏西風と西向きの貿易風を生じさせるのが、地球の自転によって生じるコリオリの力である。
地球はどこでも同じように1日で1回転しているものの、地表の運動速度は場所によって大きく異なる。つまり地軸に近い北極や南極付近では遅く赤道上で最も速くなる。
赤道上では自転によって1日に2πr(rは地球の半径=約6378キロ)の距離を動くのだから、単純計算すれば時速1670キロ、ジェット旅客機の約2倍の速さで動いている計算になる。この速度は北極や南極に向かってどんどん小さくなり、極上でゼロとなる。
東向きにジェット旅客機の2倍の速度
もし、赤道上から北極に向かって弾道ミサイルを発射したとすると、発射されたミサイルはロケットの推進力とは別に地球の自転方向、つまり東に向かってジェット機の2倍の速度を持って発射されるので、北極に近づくにつれミサイルはどんどん東に流される。
ミサイルはあたかも外部から強い力を受け引っ張られるかのように大きく曲がっていく。
その力のことをコリオリの力という。と、ついつい子供の頃に習ったことを思い出してしまったが、北朝鮮が今度は真南に向けて弾道ミサイル(衛星の打ち上げ)を発射すると発表して、高い技術力が必要とされると言われているのはこのためだ。
前回(2009年)のミサイルは北朝鮮から東に向けて発射されたので、コリオリの力はほとんど考慮しなくてよかったが、南にミサイルを発射すればもろにこの影響を受ける。
緯度の高い北朝鮮から南に向かうミサイルは、発射時点で東に向かう速度が小さいので南に進むにつれてどんどん西に曲がっていく。真南にミサイルを進ませるには的確な制御が必要になる。
南に向けてロケットを発射する北朝鮮の意図
それだけではない。大気圏では偏西風が吹いているため、その影響でミサイルは東に向かっても流される。偏西風の強さは緯度や場所によって異なるため、制御工学の用語で言えば、その変化を予測しつつ(フィードフォワード制御)、実際に変化を感じ取って修正(フィードバック制御)が必要になる。
北朝鮮の技術が未熟で日本に落ちてこないことを願いたい一方で、高い技術力が証明されれば日本にとっては脅威となるのでそれもまた心配だが・・・。
北朝鮮のミサイルについては、読者の関心も高いようでこのテーマを扱った記事はいずれもよく読まれている。
例えば米国の専門家の間ではあと1〜2年のうちに核弾頭を実装できるようになるという見方が強まっているという(「いよいよ目前か、北朝鮮が核弾頭をミサイルに搭載する日」)古森義久さんの記事。
古是三春さんの「笑止千万!北朝鮮が脅威のわけがない」は、北朝鮮が日本に向けてミサイルを発射したら日本はすぐに崩壊するという軍事評論家の論説がいかに根拠がないかを喝破している。
「燃料、食料、それから資金と技術力・・・これらを欠いた軍事力というものは、実際的なものではない。どんなに数字的なデータで大きかろうと、それは“借り物の軍隊”“張子の虎”にすぎない」
「北朝鮮は大砲やミサイルのような“飛び道具”をふんだんに持っている。しかし、これを使う時は北朝鮮が国家として“自殺”する時だけである」
張子の虎に色めき立つ日本
その通りだろう。しかし、日本政府の対応を見ていると、“張子の虎の軍隊”に色めき立っているように見える。
沖縄県だけでなく首都圏にもパトリオットミサイル「PAC-3」を配備するという。万が一のリスクを考えては分かる。しかし、少し過剰反応ではと思うのは私が素人すぎるのだろうか。
逆に、あらかじめ責任逃れの手を打っておくお役所的な対応なのか、あるいは、「大変だ」と騒ぐことで防衛費の削減を何としても食い止めたい狙いがあるのではないか、と勘ぐりたくなる。
黒井文太郎さんは「北朝鮮の衛星を撃ち落とす? 政府の過剰反応は国民向けパフォーマンスだ」の記事で、そのような議論を展開している。
「日本が実害を受けるなどということは、万が一もないほどの低い確率だということをほとんどの関係者は分かっているが、想定外だからといって準備を怠れば、どんな非難を受けるかも分らないので、国内向けのパフォーマンスとして、破壊措置命令などという話になっているに過ぎないのだ」
「もちろん北朝鮮の暴挙は非難されるべきだが、だからといって方向違いの過剰反応で、国民を不安にするのもいかがなものか。北朝鮮の何が日本にとっての脅威で、何が脅威でないのかは、具体的にきちんと検討すべき問題であろう」
さて、パフォーマンスと言えば、野田佳彦首相はパフォーマンスが実にうまい。たいした仕事をしていないのに、さも非常に難しい問題に取り組んで、それを実現しているかのように見せる力は見上げたものだ。さすが、松下政経塾ご出身だけある。
3月30日に閣議決定に漕ぎ着けた「消費税増税案」のことである。
ご本人は「不退転の決意で、政治生命を懸ける」と勇ましい言葉を並べ立ててこられたが、消費税増税法案の閣議決定と国会提出は本当にすごい仕事なのだろうか。
子供の頃、理科の授業で習う「仕事」というのは、重力などに反して物体を移動させた時に生じる。摩擦抵抗などを考慮しなければ、右にあるものを左に移動させただけでは仕事をしたことにはならないと教わった。
消費税増税は仕事したことにならない
同じように大きく動いているのに、上に持ち上げるのと左右に動かすのでは、仕事という意味では大違い。これは理科のお話だけれども、人間社会にもよく当てはまる。
いまの日本が置かれた環境を考えれば、消費税増税は時間の問題でしかない。肥大する政府の支出を全く抑えられず、赤字国債は増える一方。
赤字国債の国内消費がほぼ限界を迎えつつあり、いつ日本の国債が暴落(金利が急上昇)してもおかしくない状況が目の前に迫っている状況では、消費税を上げる以外に方法がない。
別に野田総理が不退転の覚悟とか政治生命を懸けるなどと大袈裟なことを言わなくても、なるようにしかならないのである。消費税増税は時間の問題でしかない。物を右から左へ動かしているのと同じだ。
これに対して、本当の仕事をするということは、国会議員の定数削減はもちろんのこと肥大化しすぎた官僚システムにメスを入れ徹底的に合理化を図ったうえで、大胆な規制緩和を実施して新しい産業を次々と起こし、経済を活性化させて税収を増やすことだろう。
しかし、これには抵抗が大きく、物を右から左へと動かすようなわけにはいかない。重力の極めて強い環境で一生懸命物を上に持ち上げ続ける努力が必要になる。政治生命を懸けるという言葉は、このような場合にのみ使ってもらいたい。
原子力発電所の再稼働問題も全く同じ。原発事故が起きても新しいエネルギー政策などが一向に出てこない状況では、原発の再稼働は時間の問題となる。現に東京電力は大幅な値上げを通告している。「嫌なら原発を再稼働させろ」と脅しているようなものだ。
電力会社の地域独占による弊害を廃し、新エネルギー拡大への道を徹底的に開いたうえで、時限を区切って原発の再稼働を認めるというなら分かるが、ただ何もせず原発の再稼働ができる状況を待っているのは、政治家として仕事をしていることにはならない。
民主党の人たちは、仕事をしているように見せかけて実は全くしていないのである。どこの会社にもいると思うが、仕事をすることの意味が分からない人たちには、何を言ってもムダ。1日も早く辞めてもらう以外に解決策はない。
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