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再編の幕開け(田中良紹)
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投稿者 判官びいき 日時 2012 年 3 月 31 日 08:59:51: wiJQFJOyM8OJo
 

野田内閣が消費増税法案を国会に提出した事で与党は分裂模様である。それを見て嘆息する国民も多いと思うが、私はいよいよ政界再編の幕が上がったと思っている。話は2005年に遡る。郵政選挙に勝利して巨大与党となった自民党は、自公体制を磐石にして長期政権を敷くため、小沢一郎氏が主導して実現させた小選挙区制を中選挙区制に戻そうと考えた。

絶頂期にあった小泉総理は中選挙区制の復活を公明党に約束する一方で、盟友である山崎拓氏に靖国問題で対極の立場を表明させ、民主党議員を巻き込んだ議員連盟を作らせた。それは1993年に小沢一郎氏らが自民党から飛び出し、細川政権を作って以来の政治体制を終らせ、自民党が主導して新たな政治体制を作る動きに私には見えた。

「2005年体制」と当時の学者はしきりに言った。それによると、「55年体制」は冷戦構造の中で自民党長期政権を生み出したが、それを壊した小沢一郎氏ら自民党脱党組は日本政治に混乱をもたらした。ところが05年総選挙によって自民党は再び巨大化し、小沢氏らの野党勢力を一掃した。そこで自民党を基盤に二つの政党を作り、それが政権交代する新たな政治体制が出来ると言うのである。それが実現すれば小泉氏は「日本政治中興の祖」になる筈であった。

ところが構想は2年後に破綻する。小泉後継の安倍政権が07年の参議院選挙で小沢一郎氏率いる民主党に敗れたからである。勝利した小沢氏はしかし民主党が自民党に代わって政権を担える政党とは思っていなかった。小沢氏が考えたのは自民党と民主党をいったん合体させ、その上で二つに分ける政界再編である。それが福田総理との間で話し合われた「大連立」であった。

「大連立」にはもう一つ目的があった。政党を二つに分ける前に、国家の基盤となる安全保障政策を同じにする事である。それが出来れば二大政党による政権交代はよりスムーズになる。だから小沢氏は福田総理に民主党の安保政策を飲むように迫り、福田総理も真剣にそれに応えようとした。歴史に「イフ」はないのだが、あの時「大連立」が実現していれば日本は確実に変わっていた筈である。

ともかく「大連立」は安保政策の転換と政界再編を実現しようとした。しかし民主党内の反発で不発に終わり、09年の総選挙で民主党は政権交代を目指す事になる。その選挙直前に「西松建設事件」が起きた。それがなければ小沢総理が誕生していた。現役の政治家の中で政府の中心にいて消費増税に取り組んだ経験を持つのは小沢一郎氏ただ一人である。消費税増税の難しさを最も良く知っている。増税の意義をいくら説明しても、国民は消費税が本当に国民生活のために使われるのかを疑っている。自分にどれだけ利益になるかが分からない。

そこで09年の民主党マニフェストは国民に直接利益を与える所から始まった。その財源は行政の無駄を省く事で捻出する。行政の無駄を省くためには官僚との壮絶な戦いが必要だが、それを最低4年間はやり抜く。その上でいよいよ足りなくなればマニフェストでうたった政策をやめるか、消費税の値上げを認めてもらうかを選挙で国民に問う。民主党マニフェストを私はそのように読んだ。

一方で、野党に転じた自民党はひたすら民主党マニフェストを「バラマキ」と攻撃した。そして民主党が財政均衡を守らない政党である事を印象付けるため、10%の消費増税を参議院選挙のマニフェストに入れた。政策に責任を負わない野党だからこそ作れた選挙マニフェストである。ところが民主党の菅総理がそれに抱きついた。財務省の圧力があったのか、アメリカの圧力があったのかは知らないが、09年の民主党マニフェストとは違う事を言い始めた。

その頃私は「政界再編が準備されつつある」というブログを書いた。メディアは菅総理の「脱小沢」ぶりを強調し、民主党の党内対立を面白がっていたが、私には民主党が党内に二つの潮流を作り、民主党が主導する形で再編を始めようとしているように見えた。そしてその見方はその後も変わっていない。

そこで野田政権の消費増税である。野田総理は「不退転の決意」を強調するが、実現させる方策を全く講じない。そのくせ「今国会で成立させる」と事を急ぎ、しかもそれに「政治生命を賭ける」と言い切る。本当に社会保障のために消費増税をやると言うのならそんな言い方をする必要は全くない。無理矢理成立させようとすればするほど、逆効果となり成立は難しくなる。野田総理は一生懸命に成立を難しくしているのである。

野田総理の発言を私なりに解釈すると、長く総理をやらないという事である。法案が通らなければ総辞職か解散しかないが、解散に打って出れば選挙で負けるのは必定で、どっちにしても総理を辞める事になる。辞めずに済むのは自民党が野田政権に協力して法案が成立した場合だが、成立する前に選挙をすれば元の木阿弥になる。選挙は増税が成立した後になり、そうなれば協力した自民党も選挙で勝つ見込みがなくなる。

なぜなら「消費税より行政の無駄を省け」と主張する地方首長の勢力が選挙に出ようとしていて、国民の人気は圧倒的にそちらに向かう。選挙になればその勢力と組む消費税反対派が選挙に勝利する可能性が高い。困っているのは実は自民党だと私は思う。自民党の中も次第に一枚岩ではなくなる。国民は民主党や国民新党の分裂模様に目を奪われているが、彼らはそれをあらかじめ計画してやっている可能性があるのである。

誰も指摘しないのが不思議なのだが、実は消費税より重要な法案がある。特例公債法案である。これが成立しないと予算は成立しても執行が出来なくなる。「ねじれ」だから常識的には成立しない。去年はそれを成立させるために菅総理が退陣と引き換えにした。今回も野田総理が自らの首を差し出すのか、それとも自民党と手を組んで切り抜けられるのか。それもこの政局に絡んでくる。

そして4月末の小沢裁判の判決次第で消費税政局の舞台はまた変わる。このように消費税政局は、公債特例法案、行政改革、一票の格差と選挙制度、小沢裁判などと複雑に絡まりあいながら最終的には政界再編に向かって進んでいくのである。
http://www.the-journal.jp/contents/kokkai/2012/03/post_295.html#more
 

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コメント
 
01. 2012年3月31日 13:37:51 : aVaG0FHzqk
いつも納得しながら読み終えます。

02. 2012年3月31日 14:25:48 : lRYfivAqeo
参考になりました。有難うございました。

03. 2012年4月01日 06:46:59 : ObnzX9gnP6
菅から野田へ政権が移り、財務大臣時代から腐った利権と「小沢イカサマ裁判」の弱みを握られ切った民主B共は、財務省の金で周辺に議員を掻き集めねば「総裁選挙」のサポーター票操作から、検察審査会の不正・マスコミ操作まで総て明らかにされる、政治犯罪者としての十字架を既に背負っているのだ。

 そうなれば死に物狂いで「増税法案」を通し、財務省に守って貰わねば後は自民に身売りするか、「解散総選挙」以外に残された道は無い。強引な閣議決定もある意味では「ハッタリ」で、「可決の目算有り」と示したいだけのパフォーマンスだろう。それだけ小沢派の、中間議員切り崩しが効果を現した証しとも言える。

 野田に残された唯一の解散権も、逆に自民をも壊滅させる両刃の刃なだけに安易に抜けず、自見・下地を買収する事までは成功した物の、肝心の亀井親娘に連立を離脱されては、肝心の閣議決定すらその正当性すら失う事態に成りつつある。

 民主Bだけで楽勝なら、国民新党を丸ごと買収出来そうな物を、連立政党を分裂させてまで強引な決定に踏み切ったのは、明らかな「小沢判決」までの時間稼ぎでしか無いだろう。それを唆しているのが自民党だ。

 小沢裁判の本当の仕掛け人で、実際に西松建設の毒饅頭を喰らって来た麻生総理他など大物議員の政治生命を守る為にも、何が何でも小沢政権だけは阻止しなければならないからだ。

 要するに総てのカギを握っているのが、「民主B」に追従する中間派議員たちなのだ。彼らが政治生命を捨てても「自民連合・増税賛成」に廻るか、選挙区地元の支持者を裏切らず「反対」に廻るか、現時点でも態度を明らかにしていない事が、事態を更に悪くしている最大の原因でもある。国民は今この時でも、長引く大不況と震災・原発被害に苦しんでいる実態に気付かないのか。

 政治家が人間関係を重視するのは、「国民・有権者・選挙区の支持者」を軽視しているからに他ならない。政治家が国会の人間関係を作る為に、有権者や支持者たちは応援し投票した訳では無いのだ。その馬鹿な素人議員に「前と後ろ」を判らせる力を持つのは、やはり地元後援会や支持者たちだ。

 マスコミはそれら支持者を騙す為に嘘の記事を書き、不勉強な議員たちの耳を塞ぐ役割を果たしている。不勉強なのは支持者たちも同様なのだ。愚かな議員はその産みの親である「地元」が正しい現状認識を持たない為でもある。
 日本全国の選挙区は、常に当選させた議員を正しい方向へ導く責任が有るのだ。当選させた後は「好き勝手」にさせて良い訳ではない。

 民主Bの支持者たちよ。猛省を求む!。


04. 2012年4月01日 17:16:07 : YE8DVEBt4c
国会の生き字引である民主党の渡部恒三氏は今回の民主党の消費税法案は党内手続きがあまりにも下手で国会で成立は不可能であると言った。

05. 2012年4月01日 22:30:30 : 6eldw2F0Xw
政界再編は、下記のとおりとすること。

既成政党で、明治維新から今までやってきた議員は、総退陣(落選)させる。

理由:明治維新後、官僚を増殖させ、戦後は、覇権国家(戦勝国)の奴隷となって、今までの国家をつくったダメ自公とオリ民主党は、国民大衆の敵。

政治は、支配階級と被支配階級双方の生活第一で行うべきで、仲立ちする公務員は、常にそのしもべの位置にあること。

ところが、覇権国家は、公務員を操り、支配階と共に、被支配階級の搾取に走り、マスコミと司法を使って、国民を洗脳、被支配階級第一の政治家を、弾圧している実態にある。

理想的には、
1,小沢派、維新の会と同様主義、国民第一政権創設。
2,オリ民主党、自公、などの国民搾取第一政権少数化。

しかし、マスコミに洗脳された国民が選んだ後者が、政権を取り、現在の国民の不幸が続いているのである。

消費税増税の攻防が、この姿である。

民主党へ政権交代させた当時の国民は、今も健在、上記前者の政治家集団が出来るのを、期待して切望して待っているのだ。
小沢氏、橋下氏、宗男氏、その主義賛同者、早く姿を表せよ。



06. 2012年4月02日 21:04:57 : syfoTMcuOM
3様

小選挙区はダメ議員をつくる。
一人当選は地元有力者が絶対的に有利。
2・3世議員は、地盤を相続したように議員をやる。
彼らに政治に対する志はほとんどない。
彼らは地元の支持で出てくるのではない。地元を抑えて出てくる。
彼らには地元への責任感はない。

3−8人の中選挙区選挙は、ハードで厳しい。ほんとの支持で当選してくる。裏切れば落選する。

小選挙区は、官僚が国会議員をコントロールするにも都合がよい。政権党なら一人でよい。

中選挙区に戻さないと国会、国会議員の力はますます弱まる。
国会の力が弱いということは国民の力が弱いとイコールだ。

官僚に騙され、いまでも人口当たりで少ない議員定数を減らすなんて、バカを言う民主党に救いはない。
報酬は今の3分の2でちょうどよい。


07. 2012年4月03日 05:18:31 : ObnzX9gnP6
6番様、なかなか鋭いご指摘で痛み入る。しかし中選挙区制下で「買収・汚職・選挙違反」が、過去全国で無数に多発した事実をお忘れか?。
 更にその「地元有力者」が今日の「官僚腐敗」の温床を造り続けた「自民党議員」であった事も、貴殿は如何お考えなのかな?。
 そしてもう一つ、現在は当選比率違憲状態であり、なおかつ「国政裁判」で国民の代表が無実の法廷に立たされる異常な国会で、増税問題で政局が混乱している最中にも関わらず、それでも選挙制度が重要とお想いなのかをお教え願いたい。
 もし貴殿が腐敗官僚の手先で、単なる「混ぜっ返し」なら別にご返答は結構。
 無論、私も馬鹿民主B共に救いなど無いと想う一人であるが、選挙制度と官僚のコントロールが同一、と言う論は全く別次元と考える者なので、賛同しかねるゆえ悪しからず。
 最後に「中選挙区」ならばハードで厳しいが故に政治への志が持てる、とおっしゃりたい様だが「政治家の成長」は選挙活動でのみ養われるとお考えか?。何か選挙の実態を良くご存じない様に感じられるが、如何なるご経験と議員への認識をお持ちなのか、ここまでの論を語られる以上、お答えになられるべきと心得る。
 ご返答をお待ち申し上げる。

08. 2012年4月05日 15:36:16 : syfoTMcuOM
03様、07様おそくなりました

私も反中選挙区キャンペーンに乗せられていた。
何故中選挙区だけ「買収・汚職・選挙違反」が多いとマスコミは言うのだろう。
小選挙区は民意を反映しない。民意はオセロのようにコロコロ変わるものではない。

私が選挙に関心をもつのは、国会議員がなぜこれほどダメになったか、ということと
3様お話の通り
国会議員を‐正しい方向へ導く責任がある‐にもかかわらず、選挙以後彼らを放り出し、サポートもせず、苦情も言わずにいる私たち国民は、結果として我々の代表である国会議員と、我々自身が切り離されてしまっているのだ、と思うところに至り、どうすればよいのかを考えた結果、小選挙区制に問題があるのではないか、というところに結論がきました。

国会議員と有権者が、お互いに固く結びつき、議員をバックアップすると同時に批判もしサポートするようでないと、国会議員といえども、検察、官僚、マスコミの脅しにひるむことは多いのではないか、小沢氏の戦いをみて考えました。
ーーこれは小沢氏の失脚を狙うだけでなく、国会議員への脅しであるだろう。ーー

小沢氏の事件に対して、今多くの議員たちが口を閉ざし、共産党、社民党の幹部までもが<証人喚問>とか<市民目線の起訴>と決まり文句を繰り返すありさまなのは、彼らが国民・有権者としっかり結びついてないと自覚してるからだと思う。

どのようなとき国会議員が、有権者の支持、サポートをしっかり背中に背負えるかどのようなとき彼らが国民のために国会で戦えるか、と考えると、これは何と言っても選挙をおいては語れません。

小選挙区はまずそのエリアの当選者一人以外の、有権者の意見を代表していない。

彼らは選挙区有権者の支持であるよりも、選挙区を抑えて、そこをわがものとして出てくる。2.3世議員がよい例である。3−4人当選の中選挙区は、4−5番手は彼ら名門の下から、追い上げ当落線上を這いあがらざるを得ない。選挙区選挙民とのしっかりした関係を築く必要があり、これこそが‐正しい方向へ導く‐選挙民有権者の国会議員とのサポートの背景になる。

小選挙区で名門が楽に国会に出てくることが小粒議員の原因だ。また民主党の中央省庁出身者にも小選挙区制は楽なのだろう。中選挙区ではぽっと出の官僚甘下がりの立候補は、楽に当選なぞ出来ない。地元こそが議員の力だ。地元にしっかり結びつける選挙制度は何か、というところから、中選挙区が出てくる。

地元利益誘導でよい‐と言うのは極論だが‐アメリカ利益代弁よりよっぽどましだ。

いまは小沢さんの官僚との戦いのさなか、今すぐどうこう言わないが、国会議員は国民の代表である、ともう一度よく当たり前のことではあるが‐なぜこのように国民は国会と国会議員を見放すようなことになってしまったか、議員たちは押し黙っているか、
原因は、有権者を真に代表していない選挙制度だろう。

中選挙区だから志が持てる‐のではなく
小選挙区では‐地盤の相続‐で国会に出てくることがあるので‐志がなくて国会に来ることになり、
厳しい中選挙区では‐志がなければ‐途中でつぶれてしまう、と思います。

私は選挙運動も、政治活動もたいしてやらないけれども、小沢さんの事件で改めて小沢さんの主張を確かめ、小沢さんの裁判における冒頭と、結審に当たっての陳述を読み、小沢さんが‐狙われた‐理由も見えてきたように思います。

散漫になりお恥ずかしいですが、腐敗官僚の手先ではありませんので
ご納得いただけるかどうかわかりませんが、遅くなりましたがお返事いたします。



09. 2012年5月09日 16:05:16 : DmcxsldLjY
5月9日小沢議員控訴再審決定とのこと。
今の政治家で官僚財閥と戦える戦える人が小沢氏氏しかいないのに残念です。
官僚は強く手ごわい
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