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http://sankei.jp.msn.com/politics/news/111214/lcl11121403040001-n1.htm
大恐慌期の米国でルイジアナ州の政治を牛耳り、ほとんど私物化した人物がいた。ヒューイ・ロングという米民主党の政治家である。
彼は子だくさんの農民の子として生まれ、高校中退後にセールスマンとなったが、一念発起して短期間で弁護士資格を取得して活躍。鉄道管理委員に当選したのを振り出しに、刺激的な演説で支持者を増やし、ルイジアナ州知事に就任すると、またたく間に同州を支配して、「キング・フィッシュ(王魚)」と呼ばれた。
さらに、ロングは知事の後継者に腹心を指名して、自らは上院議員にくら替えして中央政界に乗り出す。米民主党内でも急速に勢力を拡大して、F・ルーズベルト大統領の地位を脅かすまでにいたった。
ロングの手口は、政敵たちを既得権者とくくって口汚く攻撃することだった。ニューオーリンズ市を中心とする富裕勢力に対しては、州法を改変し重税を課して貧しい州民の溜飲(りゅういん)を下げさせ、彼らが喜ぶ政策を乱発して支持層を広げた。さらに反対派をたたくため新聞を規制し、民兵まで組織して独裁を確立している。
中央政界に進出してからも、ロングはルイジアナ支配を維持しつつ、ルーズベルトのニューディール政策を批判し、ラジオを通じてSOW(富の分配)運動を全国的に展開した。この運動は富裕層の税率を急伸させて米国民の貧富の差を解消するというものだったが、その有効性をロング自身が信じていなかった。彼が目指したのは、単に敵を設定して大衆の熱狂を背景に敵を倒し、さらなる権力を手にすることにつきた。
いま日本では大阪で膨張しつつある地域権力に耳目が集まっている。橋下徹大阪市長を中心とする「大阪維新の会」に対しては自民党も民主党も連携を探っているらしい。なかには彼らと合同して新党を結成しようとする動きもあるようだ。
しかし、橋下氏が巧みに抵抗勢力を作り出してたたき、有権者に溜飲を下げさせる話はきこえてくるが、彼の政治がいったい何を目指しているのか、いまも不明なのだ。「そんなことはない、橋下氏は大阪都構想を打ち上げているし、大阪府の財政も黒字化した」という人は多いかもしれない。では大阪府と大阪市を独りで支配すれば大阪の地盤沈下は止まるのだろうか。「二重行政」の是正効果予測も、あまりに楽観的だ。
また、大阪府の財政が黒字に転化したというが、それは「臨時財政対策債」などの発行で歳入が増えたことが大きく、総府債残高は橋下知事の就任以降むしろ上昇している。大阪府は国が発行可能額を割り当てるこの種の府債以外を「実質府債残高」と勝手に名付けて、その数値は減少したと発表してきた。しかし、3年で歳出2441億円を削減したはずなのに、総府債残高はこの間に2451億円増えているのである。
さて、キング・フィッシュはどうなったのか。彼はついに米連邦政府とも対立するようになり、ルーズベルトは連邦軍を入れてルイジアナを制圧することすら考えた。ところがある日、ロングは不慮の死を遂げて彼のルイジアナ王国は崩壊してしまう。その後、ロングの無法な独裁が暴かれ「アメリカン・ファシズム」と呼ばれたが、支持者たちは彼に投票したことを頑(かたく)なに正当化し続けたといわれる。(ひがしたに さとし)
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