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[橋下発言]教育や文化には補助金は要らない(花・髪切と思考の浮游空間)
2012-03-27 10:15:00 /
最初に断っておきますが、補助金行政をすべてよしとするのではありません。補助金というものに関しては、補助金行政などという言葉が存在するように、官僚と政治家が補助金を一つの舞台にしながら支持基盤を固めつつ、天下り先を確保するといったことがまかり通った歴史があります。補助金がときにはこうした癒着や不正を生む温床にもなってきたのです。いうまでもなく補助金の原資は国民、住民の税金です。だから、ムダづかいを許すわけにはいきませんし、ましてや補助金に食らいつき、むさぼるような不正や政治と官僚・業界の癒着があれば、それはもちろん正される必要があります。
その補助金について、こうした癒着や不正が現に存在しそれをただすという次元とは別の角度から廃止したり、支給しないという大阪市の事態が伝えられています。なかでも目をひいたのは、最近、帰化したばかりのドナルド・キーン氏がこれに言及していたことでした。
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日本文学研究者で08年に文化勲章受章、今月8日には念願の日本国籍を取得したコロンビア大学名誉教授、ドナルド・キーンさん(89)が毎日新聞のインタビューに答え、大阪市による財団法人「文楽協会」への補助金(5200万円)凍結を憂慮。「ショックです。文楽は大阪に特別な意味があります」と大阪発祥の世界無形文化遺産「人形浄瑠璃 文楽」へ援助継続を要望した。日本の伝統芸能を愛するキーンさんの発言は波紋を広げそうだ。
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橋下徹・大阪市長が大阪府知事時代に「二度と見ることはない」と言ったことには、「芸術はすぐ分かるものではないです。すぐ分かる人形芝居は子供向けのもの。文楽は洗練された芸術です。300年以上前からあり、世界的にも認められています」と静かな口調ながら力説。「オペラも初めて見ると退屈です。しかしあらゆる国で歌劇場が造られています。それを欲しがる人はいます。そういう人たちを無視する理由は無いんです」と話した。
文楽:大阪に特別な意味 キーンさん「ショック」 橋下市長の補助金凍結に憂慮(http://mainichi.jp/kansai/news/20120318ddn041040010000c.html)
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この記事にあるように橋下大阪市長(以下、市長)はすでに文楽協会への補助金を凍結しています。日本の文化に詳しいキーン氏は市長の姿勢に疑問を呈しているわけです。実はこの凍結に関連して、市長はすでに文楽の現状をとりあげこう語っていました。
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僕だって文化が大切なのは分かる。しかし根付かない文化には何らかの原因がある。その原因究明を真摯に行い、対策を講じる。文化という名の下に残るのが当り前という考えは間違っている。三谷さんの新作。こういうことを何故文楽協会は早くやらなかったのか。
大阪にも国立文楽劇場がある。何で三谷さんの新作をやらないの?国立文学劇場は正統な文楽しかやらない?そんなこと言ってたら文楽は根付きませんよ。文楽を巡っては、とにかく仕組みがおかしい。芸事なんですから、お客さんを魅了する芸で、とにかくお客さんを集めなければならない。
国立文楽劇場も、文楽協会も、技芸員さんも、三谷さんの新作文楽を大阪でできるように奔走したらどうですかね。それぐらい汗をかかないと文楽は根付きませんよ。歌舞伎も漫才も落語も、芸事の皆さんは、それはそれはお客さんを集めるために、身分保障などない所でなりふり構わず汗をかかれています。
http://togetter.com/li/263907
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この市長の姿勢を「木ノ下歌舞伎」の主宰者・木下裕一氏がさっそく批判したわけですが、木ノ下氏はそこで、三谷氏の新作がまだ内容も明らかにされていないのにほめちぎるという、市長の一つの虚構を暴いていますが、片方で平気でウソをつく市長が、さも上方の文楽を知悉しているかのようにいって補助金を削るのですから、関係者の納得は得られるはずもありません。
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文楽(ママ)対する、いや伝統に対する認識があそこまでステレオタイプ(いや、それ以下)だとは。想像を絶する。大体、大阪市長が、上方文化の中枢である文楽にたいしてその程度の認識であること自体、許しがたい。しかも、「未来の文楽」のビジョンもなにも持ち合わせていないではないか。
「これが伝統文化なんだから、これを理解しろ!という表現者の態度では絶対に文化なんて根付かない」とおっしゃるが、文楽の技芸員さんがいつどこでそんな態度をとりました?私は一観客にすぎませんが、そんなこと、一度も感じたことがありません。
むしろ、現代と伝統の狭間でジレンマを抱えておられると思います。まだまだ工夫の余地と賛否があるにしろ、字幕、レイトショーなど三部制の導入、演目の選定などに、なんとか現代の観客をつなぎとめようとする試みと焦りと見て取れるような気がして、切なくなるくらいです。
http://togetter.com/li/263907
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たとえばキーン氏の文楽にたいする発言と橋下市長の発言のどちらをとるかと尋ねられるのなら、即座にキーン氏を私はとります。
いわばはじめに補助金凍結ありきともいえるような市長の理不尽な発言ですから、キーン氏が嘆くのは多くが頷けるところでしょう。「芸術はすぐ分かるものではない」。ただ、「それを欲しがる人はいます」。そういう人たちを無視する理由は無いという判断にたてるかどうか、そこが政治の力点の置き方にかかわっています。いいかえるのなら、そこに政治の質が問われているのではないでしょうか。文楽という大阪に根付いてきた伝統文化に価値を見出し、それを後押しするのが行政の役割だと考えてほしいものですが、市長は文楽を選ばなかったという結果になったわけです。
文楽というものが、太夫と三味線、人形使いによって成り立つくらいのことは承知しているものの、それから先は私もほとんど知りません。しかし、これくらいは考えることはできます。キーン氏がいうように、文化はすぐには分からないものであるとすれば、やはり底辺から文楽ファンの養成をしなければならないのでしょう。どうすればよいか? 日本は小さな町にも野球のチームがあるし、むしろ近年はサッカーのクラブやチームが着実にふえていることに表れているように、スポーツへの関心はけっして低くはない。それでも諸外国にくらべると国家的な支援はまだまといわれているくらいでしょうが、ともかくスポーツ並みに文化芸術への関心をたかめるために行政の支援のあり方はいくらでもあるように思えます。生徒たちの鑑賞機会をつくるとか、人形師を招いて所作をみせ操り方を教えるとか、素人が考えただけでもアイデアは生まれそうな気がします。
市長がやるべき第一は、今の文楽の現状を傍観者の立場からみて批判する前に、関係者と交流し、ふさわしい底辺拡大のための援助を寄り添って探究することにあったのではないか、こう思うのです。
市長はまた私学にたいする助成金も凍結するようです。
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大阪市内の朝鮮学校への補助金不支給を決めた橋下徹市長は22日、私立幼稚園・小中高校計179校園への補助金も新年度から廃止する方針を明らかにした。
市役所で報道陣の質問に答えた。
府内の私立校園への助成は大阪府が中心になって担っているが、市も1961年度から、私立校園の設備費や教具購入費などの一部支援のため、府とは別に補助金を交付。2011年度は179校園に計約2700万円を支給した。
しかし、橋下市長は「私学助成は府が手当てしている。市はこれまで行政的な慣行で何も考えずに払ってきただけだ」と従来の対応を批判し、12年度予算では計上しない方針を示した。
私学関係者は「学校によっては画用紙などの教具が買えなくなり、影響がでてくる。市が市民のために補助していた制度で、府が払えばいいというのは発想が違う」と反発している。(2012年3月22日12時39分 読売新聞)
橋下市長、私立幼稚園・小中高への補助金も廃止(http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20120322-OYT1T00610.htm)
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公立であっても私立であっても生徒たちにとっては同じ教育であるはずです。これまでの私立学校への補助金は、何らかの形で教育実践に活用されていたはずでしょうから、補助金がなくなればその分、費用を捻出せざるをえず、経営努力だけで補えずに結果的に生徒たちの家庭への負担に跳ね返ってくることは容易に想像されるところです。「私学助成は府が手当てしている。市はこれまで行政的な慣行で何も考えずに払ってきただけ」を廃止の理由にあげたのでは、現場も従来の市政をもバカにするような、あまりにも飛躍した議論のように思えてなりません。市長が仮にそのまま府知事であったとするなら、彼が語った言葉を受け入れるでしょうか。受け入れるはずはなかろうと思うのです。
こうした補助金削減の方向は、市長がしばしば語ってきたように、民意と既得権益とを対置させ、既存の権益を住民の利益を損なうものとして描き出すという論法の延長にあるものでしょう。もっとも文楽にたいする補助金や私学にたいする補助金が既得権益に該当するなんて考える人はいないでしょうが。とにかく、こうして自らが既成の勢力への優遇だと考えた対象を告発し、いわば兵糧攻めにするという姿勢の一方で、市長はこんなところへ予算を投じることには当たり前だと思っているようです。
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大阪市の橋下徹市長が昨年12月の就任以降、ブレーンとして民間人から任用している特別顧問・特別参与が計50人に上り、報酬も市長就任前の2倍以上に引き上げられたことが分かった。職員給与は来年度から平均7%カットするが、「(ブレーンは)しかるべき待遇をしないといけない」との理由から、拘束時間の長さによって日額2万〜5万円台を支給。顧問・参与は政策決定過程に深く関与しており、重用ぶりが際立っている。
橋下市政3カ月:特別顧問・参与が50人に 報酬も倍増(http://mainichi.jp/select/seiji/news/20120320k0000e010130000c.html)
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先のエントリ(http://blog.goo.ne.jp/longicorn/e/1e963d569e54164254aa9bb1ba21cad5)で、次期選挙では民主主義が争点になるだろうとのべました。同時に、以上で振り返ったことは、市長が政治のかじとりの上で何を重視するのか、それを端的に物語っているようにみえます。そして市長の姿勢は「維新」の政策に直結しています。だから、市長と「維新」が国政において何を重点にしようとしているのかについても同じように関心をもたざるをえません。
彼らのめざす方向は、政治の目的を防衛など限られた、できるだけ小さいものにしようとする考えと無関係ではありません。むろんこうした方向には異議を申し立てこそすれ、だまって受け容れてはならないだろうと思います。大阪市の私立学校の助成を独自に他の自治体がやるよう求めるわけにもいきません。市の助成は市が率先してやるからこそ独自助成なのですから。また、もともと大阪に息づいた文化はまず大阪が育てないと育たないでしょう。行政はそのための後押しに力をいれてもらいたいものです。
大阪市が独自に私立学校に助成しているのであれば、それは続けるものではあっても、他がやっていないことをやる必要はないとか、府でやっているから市でやる必要はないという割り引くわけにはいかない。こうした考えには、どこかそれらを軽視するか、あるいは行政のやることではないと切り捨ててしまう価値観があるとみてよいのではないでしょうか。しかし、それでは結局、そのつけを教育を受ける者、文化を欲する者へ回し、しわ寄せする以外にないのです。
http://blog.goo.ne.jp/longicorn/e/72974528e3f4d543b6e5b12679d7681d
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橋下大阪市長の憲法9条敵視発言に抗議し、憲法の遵守を求める声明/とめよう改憲!おおさかネットワーク第6回総会参加者一同
先のイラク戦争によって、破壊と殺戮が繰り返されました。想像してみましょう。もし日本に憲法9条がなく、自衛隊が米国のイラク戦争に参戦していたとすればどうなっていたでしょうか。自衛隊はアメリカの強力な同盟軍としてイラクの人びとを大量に殺戮し、自衛隊員もまた多くの命を失ったことでしょう。武力では、平和はつくれません。憲法9条を活かし、紛争をすべて話し合いで解決する勇気と不断の努力が求められています。
ところが、橋下市長は、最近、「がれき処理が問題になったら一斉に拒絶。すべては憲法9条が原因」「9条の価値は自分の嫌いなことはやりませんという風にずっと思っています。」などと、憲法9条敵視の発言をくりかえし、また9条の改憲を唱えています。こうした突拍子もない発言は、個人的な発言にとどまらず、憲法第99条で定められた「公務員の憲法を尊重し擁護する義務」を踏みにじるものであり許されるものではありません。また、橋下市長は、憲法9条は、「自己犠牲はしません」という意味であるとも語っています。
これは、9条を冒涜するだけでなく、平和憲法を体現し、イラクやアフガニスタンで懸命に活動するNGOなどを冒涜する発言であり断じて許すことはできません。
私たちは、橋下市長に対し、一連の憲法9条敵視・改憲発言をすみやかに撤回することを強く求めます。
また、橋下市長は、先のダブル選挙で勝利して以降、市民から「全権白紙委任」されたといった傲慢な認識に立って、強権的な政治手法をとり続けています。その一環として、大阪市職員に対して憲法違反の職員アンケートなる「思想調査」を業務命令で行っています。
私たちは、橋下市長に対し、データの速やかな廃棄と謝罪を求めるものです。
そればかりか、橋下市長は、「日の丸・君が代」起立強制条例につづき、大阪市議会に、「職員基本条例案」「教育基本条例案」を提出しています。これら条例案は、明らかに、思想及び良心の自由をうたった憲法第19条に違反しています。
私たちは、橋下市長に対し、両条例案の撤回を求めます。
私たちは、橋下市長が、9条敵視の改憲発言を撤回し、憲法にのっとった政治を行うよう強く要請するものです。
2012年3月25日
とめよう改憲!おおさかネットワーク第6回総会参加者一同
http://www.annie.ne.jp/~kenpou/seimei/seimei161.html
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