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平和ボケの産物の大友涼介です。
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「日本最大のリスク「野田佳彦」を撤去せよ」週刊ポスト2012/04/06
<引用開始→
国家と国民を導く立場にある政治家が、国民経済を危うくしていることがこの国最大の不幸だろう。何でも言いなりになる民主党政権を歓迎してきた財界や労働組合からも、ついに「この政権では国が滅びる」という声が噴出した。
***
東日本大震災では多くの人命だけでなく、インフラ、住宅、商店、工場が失われたが、その一方で、停滞し、消費意欲を失っていた日本の社会に巨大な需要と復興への強い意思が生まれた。震災復興は、国民が行動を起こして「失われた20年」の低迷から脱却し、再び経済を活性化させる大きなチャンスである。
極論すれば、復興をテコにカネを注ぎ込み、経済の拡大再生産でバブルを起こしてもいい。
島田晴雄千葉商科大学学長(経済学)の指摘は明快だ。「日本は長い間、官僚が既得権保持のために経済を支配し、規制でがんじがらめにして社会の停滞を招いてきた。本来、補助金で成り立っている農業や税金がかかるばかりの医療・社会保障分野も、規制を撤廃すれば成長産業になる。震災復興で経済成長への期待感が高まっている今は、抜本的な改革を行うチャンスです。にもかかわらず、こんなときに増税で経済を縮小させるのは経済学のイロハを知らないやり方です」
そのためにはこの国から排除しなければならない癌がある。これまで「日本経済は高い成長は望めない」「減税したって国民は消費に回さない」と、国民に敗北主義的経済論を植え付け、増税に走ってきた官僚とその傀儡政治家たちである。
この連中は、よりによって千載一遇の日本経済大復活のチャンスを潰しにかかっている。
震災から一年経ってようやく設置された復興庁は、復興を進めるどころか、真っ先に被災自治体が要求する復興交付金を半分以上削った。正体は復興遅延庁だ。
国民への増税で捻出した14兆円の復興予算の大部分もまだ使われていない。復興庁は復興予算の執行率を54・6%と公表したが、これは実施計画段階の事業費を「執行した」と誤魔化して計算しているだけで、ほとんどの被災地では学校の復旧も、被災者の住宅建設も着工していない。
野田政権が鳴り物入りで導入した復興特区をみると、規制が経済の癌であることがはっきりわかる。宮城県の復興特区は、津波の被害を受けた沿岸部に新規進出する企業に「法人税5年間免除」という税制優遇を与えるが、津波で壊れた工場の再建をはかる地元の被災企業は税金免除の対象外なのだ。
また、多くの医療機器メーカーの工場が被災した福島県は、医療関連産業復興特区に指定されている。こちらは薬事法で3年間の実務経験が義務付けられている医療機器の総括製造販売責任者の資格を、10時間の特別講習で取得できるように緩和した。福島で「3年を10時間」に短縮しても安全が保てるなら、他県でできないはずがない。最初から不要な規制だったのである。いずれの特区も、規制緩和といいながら官僚が胸先三寸でルールを決め、企業をコントロールしている仕組みに変わりはない。
日本にはこうした規制が「官僚の数だけある」といわれ、経済を駄目にしてきた。島田学長が言うように、復興で経済を上向かせ、規制を撤廃して医療や農業をビジネスとして成り立つようにすれば、社会保障や農業に使う税金は減らせるし、増税など必要なくなる。
官僚や傀儡政権はそれでは困る。復興予算を積み上げたのはあくまで増税の口実にするためで、景気が良くなって税収が増えれば増税ができなくなるから、これも困るというわけなのだ。
だから政府の震災対応は最初からおかしかった。
どの国の政府も、自然災害で国民の生命・財産が危機に晒されている時にはカネに糸目などつけない。それがこの国では、震災が起きると財務省は「しめた」とばかりにいったん決めていた経済活性化策の法人税減税を凍結し、さらには所得税・住民税の「復興増税」を決めるまでなんと半年間も本格的な復興予算を組もうとしなかった。野党もそれに異を唱えない。有事に国民の命を人質に増税を押し通したのは世界でも日本の国会だけだろう。
経済産業省も景気冷却に邁進してきた。原発再稼働のために電力不足デマを煽り、昨年夏の電力使用制限令に続いてこの冬も企業に使用自粛を求めた。挙げ句の果てに電力料金の大幅値上げである。
それでもようやく景気が上向き始めると、今度は増税ラッシュで消費や経済活動の足を引っ張る。今国会では民主、自民、公明の賛成で地球温暖化対策税(ガソリン税など石油石炭税の引き上げ)の創設が決まり、次はいよいよ消費税引き上げに向けた与野党談合が水面下で活発化している。
野田首相は、「消費税増税は社会保障充実のため」と説明しているが、実際は正反対で、年金支給額はこの10月から3年連続で引き下げられ、夫婦2人の標準世帯(年金約月額23万円支給)で年間8万円の減収になるうえ、15年から高額所得サラリーマンの基礎年金の半額カットなどの改悪が山盛りなのだ。
■民主議員のパーティーはガラガラ
国民にとって明るい兆しは、この官僚傀儡政権の命運がいよいよ尽きようとしていることだ。
2年半前、総選挙の指揮を執った小沢一郎民主党代表代行(当時)は、経済界をはじめ、自民党の集票マシンといわれた日本医師会、農協、特定郵便局長会、地域の商工団体など保守地盤を切り崩し、政権交代の原動力にした。自民党政治の下で既得権の恩恵を受けてきた業界まで、官僚主導政治による経済の行き詰まりで展望を失って政権交代による改革に期待した。
その民主党の新たな支持基盤が、野田政権の官僚回帰で音を立てて崩れている。
民主党議員を多く手掛ける選挙プランナーが語る。「政権交代直後は、民主党議員の新年会には地元の経済団体の幹部や医師会などのお歴々が来ていたが、今年はどこの寂しいかぎり。来賓の連合幹部の挨拶でさえ民主党に厳しく注文をつけた。パーティー券も買ってもらえなくなっている。経営者は民主党政権で官の力がますます強くなって商売がやりづらいと肌身で感じているし、ましてや中小企業は消費税を上げられたら価格転嫁できないから死活問題です。これでは選挙態勢の組みようがありません」
野田政権の自壊現象を象徴するのが4月1日に行われる日本医師会(日医)の会長選挙だ。医師会といえば「往診カバン1つに200票入っている」といわれる大票田で、自民党最大のスポンサーだったが、前回総選挙では茨城県医師会の1000人以上が自民党を集団離党したのを皮切りに各地の医師会が造反し、「医療の再生」を掲げた民主党支持に回った。その結果、政権交代後の10年4月の日医会長選挙では小沢氏に近い茨城県医師会会長の原中勝征氏が当選した。
本誌が入手した日医の政治団体「日本医師連盟」の内部資料によると、政権交代で自民党への政治資金の流れも大きく変わったことがわかる。政権交代前の08年度は同連盟から自民党(党本部と議員)に5億8170万円献金され、日医の政治資金はほぼ丸ごと自民党に注がれていた。
それが政権交代後の10年度は3000万円、11年度はわずか1300万円まで激減し、自民党は有力な資金源を失った。一方の民主党向け献金は政権交代前(08年度)の500万円から11年度は4650万円と民自逆転している。
野田政権は国民に増税してまで「社会保障にカネを回す」と説明しているのだから、その通りなら医療関係団体は歓迎するはずだが、状況はまるで違う。
日本医師会の代議員の言い方は露骨だ。「民主党は2期連続で診療報酬を引き上げたものの、中身は開業医ではなく、勤務医に手厚くした。消費税増税でも、医療機関が医薬品や機材を購入する際には消費税がかかるのに、医療費は非課税になっているから患者からは消費税を徴収できない。そのため医療機関は損税が生じている。一体改革で税制の不備の抜本的解決を求めたが、野田政権は財務省のいいなりだからやろうとしない。この政権に改革など期待できない」
医師会からも野田政権の一体改革はしょせん社会保障制度の安定にはつながらず、増税の口実だと見透かされていて支持をつなぎ止めることができない。
そうした医師会内部の野田政権への不満の高まりを好機とみた自民党支持派が原中会長の対抗馬として古賀誠自民党元幹事長の後援会長を務める横倉義武日医副会長を擁立し、巨額の政治資金の配分権を握る会長ポストを何が何でも奪い返しに動いている。
日医の会長選挙は三師会と呼ばれる日本歯科医師会、日本看護協会の政治態勢にも大きな影響を与え、民主党派が敗れれば他の団体の雪崩現象につながるのは確実だ。
民主党の最大の支持基盤の連合も事情は同じだ。今年の春闘は電機業界では業績悪化でNECが一般社員で4%の賃下げ、シャープは定昇を凍結した。「この10年でフルタイム労働者の賃金は薬%下がっており、増税すればさらに負担が増え、消費は落ち込む。それなのに野田さんは財務官僚の言うまま増税が正しいと思い込まされ、労働者の状況が目に入っていない。財務官僚から洗脳されて正気を失っている」(UIゼンセン同盟幹部)と呆れかえる。
野田首相は官僚にとって「完全無欠の操り人形」だが、それゆえに国民、企業、労組に見捨てられた。官僚傀儡政権では日本経済も国民の生活も立て直せないことは明らかだ。野田政権が増税に失敗して崩壊すれば、それに喰いついて肥え太ったシロアリ官僚たちも一緒に奈落の底だ。そのときこそ、この国は官僚主導政治の範を断つ大きなチャンスを迎える。
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