http://www.asyura2.com/12/senkyo128/msg/114.html
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Nicoです。阿修羅の皆様、ご無沙汰しております。
昨年6月に休止したブログ「書に触れ、街に出よう Nico's Blog」をこのほど再開いたしました。
こちらにその最新記事を転載させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
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橋下維新は答えではない!A選挙で選ばれぬ新自由主義者たちによって売りに出される大阪:大前研一と竹中平蔵の影(3月22日)
http://nicoasia.wordpress.com/2012/03/22/%E6%A9%8B%E4%B8%8B%E7%B6%AD%E6%96%B0%E3%81%AF%E7%AD%94%E3%81%88%E3%81%A7%E3%81%AF%E3%81%AA%E3%81%84%EF%BC%81%E3%80%80%EF%BC%92%EF%BC%89%E9%81%B8%E6%8C%99%E3%81%A7%E9%81%B8%E3%81%B0%E3%82%8C%E3%81%AC/
今回の記事ではいよいよ橋下維新の人脈について書きたい。併せて前々回の記事及び前回の記事をお読みいただければ幸いである。前回の記事では近年の傾向として「選挙で選ばれぬ権力者たち」が政治に及ぼす力が肥大化していることを検証し、それが橋下維新を理解する上で助けになるということを述べた。今回はそれを個々具体的に検証していきたい。
前々回記事「橋下維新は答えではない! @ファシストは人々の心に巣食うファシズムに囁きかける」
http://nicoasia.wordpress.com/2012/03/14/%E6%A9%8B%E4%B8%8B%E7%B6%AD%E6%96%B0%E3%81%AF%E7%AD%94%E3%81%88%E3%81%A7%E3%81%AF%E3%81%AA%E3%81%84%EF%BC%81-%E2%91%A0%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%B7%E3%82%B9%E3%83%88%E3%81%AF%E4%BA%BA%E3%80%85%E3%81%AE/
前回記事「形骸化する民主主義:選挙で選ばれぬ人たちが政治を動かしている」
http://nicoasia.wordpress.com/2012/03/19/%E5%BD%A2%E9%AA%B8%E5%8C%96%E3%81%99%E3%82%8B%E6%B0%91%E4%B8%BB%E4%B8%BB%E7%BE%A9%EF%BC%9A%E9%81%B8%E6%8C%99%E3%81%A7%E9%81%B8%E3%81%B0%E3%82%8C%E3%81%AC%E4%BA%BA%E3%81%9F%E3%81%A1%E3%81%8C%E6%94%BF/
[橋下徹の初期の支援者たち]
橋下徹が大阪府知事選に立候補した際、勝手連を結成して支援を表明したのが、南部靖之・人材派遣会社株式会社パソナ・グループ代表や堺屋太一・元経済企画庁長官、井手正敬・JR西日本元相談役、木村皓一・三木商行(ミキハウス)社長らである。堺屋はご存知の通りその後橋下のブレーンとなっている。また南部のパソナは橋下当選後、府の事業を受注したことが判明している。
(参照:【大阪府就労支援サービスで職探し】≪OSAKA-女性・若者-育てるキャリアプロジェクト≫)
http://www.pasona.co.jp/news/job/2010/10080301.html
[大前研一と竹中平蔵の橋下徹への接近:「平成維新の会」と「大阪維新の会」]
「橋下騒乱:4年目の挑戦/4 稼ぐ自治体 保守派論客の影響濃く」という記事が昨年2011年2月11日に毎日新聞から出た。私はこの記事を読んだ当時から橋下維新に対して強い警戒感を抱くようになった。
残念ながら古い記事で手元にデータが残っていないのだが、この記事の中で指摘されている「保守派論客」とは竹中平蔵と大前研一のことである。「保守派論客」というよりも正しくは「新自由主義論客」である。橋下徹(当時大阪府知事)が彼らの指南を受け、強い影響を蒙っていたのである。
竹中については皆様もよくご存知の通りで繰り返す必要もないと思うが、小泉内閣で構造改革路線を推し進め、文字通り「構造を改革する」ことで日本を格差社会へと導き、毎年自殺者が(公式の発表によれば)3万人以上出るという社会を現出させた張本人で、政界引退後は慶応大学に復帰し、前述の人材派遣会社パソナの特別顧問・取締役会長に就任している。
大前についても皆様はよくご存知のことと思うが、外資系コンサルタント会社のマッキンゼー日本支社長を経て、1992年には元祖新自由主義政党である「平成維新の会」を結成、1995年の参議院選挙に道州制などを掲げて比例区から打って出るも、ウィキペディアの記述によれば「ユダヤの手先説を始め、フリーメイソン、統一教会、勝共連合、半島出身説等、数々の誹謗中傷が流布され」10人全員落選した。選挙後「平成維新の会」は事実上解散した。その後2004年にビジネス・ブレークスルー大学院大学を設立し、自ら学長に就任。そしてウィキペディアにも 「大阪維新の会の橋下徹の個人的な助言などをしている」との記述がある。大前は自分の果たせなかった夢を新たな「維新の会」を使って果たそうとしているのであろう。
(参照:ウィキペディア)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E5%89%8D%E7%A0%94%E4%B8%80
[その他の橋下支援者]
橋下維新の府知事時代からの支援者を見てきたが、具体的に橋下維新のブレーンを検証する前に、その他の支援者と思われる人物についても確認しておきたい。過去の報道から出てきた名前をここに記しておくが、どの程度緊密であるのかまでは把握していない。
・渡辺喜美(みんなの党党首、新自由主義・構造改革路線、橋下ブレーンの古賀茂明・原英史は渡辺の側近)
・岸博幸(慶応大教授、元通産官僚、竹中平蔵側近、新自由主義、脱藩官僚の会)
・池田信夫(上武大学教授、元NHK、新自由主義)
・渡邉美樹(ワタミ会長、大阪府特別顧問・大阪市特別顧問就任を橋下に要請されるがどうなったのか不明)
・河村たかし(名古屋市長、リバタリアン)
・屋山太郎(評論家、元時事通信記者、対米従属派、新自由主義、日本財団)
・岡本行夫(評論家、元外務官僚、対米従属派、東京財団、維新塾講師)
・高橋洋一(嘉悦大学教授、元財務官僚、竹中側近、脱藩官僚の会、新自由主義、みんなの党ブレーン、維新塾講師)
・宮内義彦(オリックスCEO)
・孫正義(ソフトバンク社長)
・前原誠司(民主党政調会長、対米従属派、ネオコン)
橋下は宮内・孫・前原らと今年1月下旬に密会をしていたことが報道されている。宮内との会談目的については「維新関係者によると、市幹部人事や市との人事交流などの協力要請とみられる」という。こうした動きにも注意が必要である。
(参照記事ソース)
http://sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/news/120124/waf12012422560018-n1.htm
宮内について述べておくと、政府諮問会議委員・議長として橋本内閣の時の規制緩和及び小泉・竹中の構造改革を推し進め、外資の日本財界乗っ取りを支援。製造業の派遣解禁を答申。子会社のオリックス生命が郵政かんぽの宿一括払い下げを受けようとしていたことは有名。思想的には弱肉強食・市場原理主義。
[肥大化した「選挙で選ばれぬ新自由主義者たち」に乗っ取られた大阪]
ここまで橋下を外から取り巻く支援者たちについて述べてきたが、ここからいよいよ現在ブレーンとなっている人物そのものについて検証していきたい。
大阪市のホームページに橋下の特別顧問・参与一覧が最近になって掲載された。ぜひ別のページで開きご参照いただきたい。以下の記述もそれに沿って述べることにする。
http://www.city.osaka.lg.jp/seisakukikakushitsu/page/0000157541.html
このリストを見てまず驚くのが、@顧問・参与の人数の多さである。次に驚くのが、Aそれら人物の中身である。この2点は相互に関連するが、極めて重要な問題であるので、節を分けてこれらのことを検証したい。
[「選挙で選ばれぬ権力者たち」による政治:不透明な権力構造と「決定する民主主義」という虚妄]
ちょうど折よく3月20日付の毎日新聞に「橋下市政3カ月:特別顧問・参与が50人に 報酬も倍増」という記事と、毎日新聞大阪版に「大阪市:橋下市政3カ月 ブレーン発言力大 議会「政策決定に関与しすぎ」」という記事が出ているのでご参照いただきたい。
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20120320k0000e010130000c.html
http://mainichi.jp/kansai/news/20120320ddn012010052000c.html
詳細は記事に譲るが、平松邦夫・前大阪市長時代には3名しかいなかった顧問が、橋下になって16人にも増やされ、参与が34人もいる。さらにそれら顧問・参与への報酬が倍増しているという。2つ目の記事では自民党の市議・府議などから議会軽視の側近政治に対する危惧が示されている。
では大阪市の政策決定過程が橋下の市長就任後どうなったのかを見てみよう。「戦略会議」なるものが最終意思決定機関として設置されており、大阪市のホームページにその記述がある。以下引用する。
http://www.city.osaka.lg.jp/seisakukikakushitsu/page/0000149971.html
<引用開始>―――――――
市政運営の基本方針、重要施策、その他の市政の重要事項について、都市経営の観点から迅速かつ戦略的に決定し、市政を総合的かつ効率的に推進するために、市長・副市長を中心とする大阪市戦略会議を設置しています。
市政運営の基本方針、重要施策、その他の市政の重要事項についての最終的な意思決定や、重要な政策判断を要する事項に関する情報や課題認識の共有化の場として、定例的に開催します。
メンバーは、市長・副市長・政策企画室長・政策企画室大都市制度改革監・市政改革室長・総務局長・財政局長・計画調整局長です。その他、市長が必要と認める関係者等が出席します。
<引用終わり>―――――― * 下線部はNico
一見すると市長・副市長を初めとする市の幹部が出席する会議であるかのような記述であるが、あたかも例外事項であるかのように補足的に書かれている「その他、市長が必要と認める関係者等が出席」という点が重要である。実際に2月13日に開催された大阪府市統合本部会議のメンバーを見てみよう。
http://www.city.osaka.lg.jp/seisakukikakushitsu/page/0000151065.html
本部長:松井大阪府知事、副本部長:橋下大阪市長、本部員:小河大阪府副知事・田中大阪市副市長・山口大阪府統合本部プロジェクトチーム長・京極大阪市統合本部プロジェクトチーム長に加え、特別顧問から飯田・上山・古賀・堺屋・橋爪・原らが参加している(同ページには「他」と記されているのでその他にも参加者がいたと思われる)。即ち「その他、市長が必要と認める関係者等」とは実際には顧問・参与などのブレーンのことを指しており、かつその数がやたらと多く、府知事・市長と合わせて多数派を容易に形成しうることがわかる。そしてこの「戦略会議」なるものが市の「最終意思決定」機関とされているのである。
つまりこれらのブレーンは「顧問」「参与」といった肩書きであるが、彼らはもはや諮問会議などに集まる委員といったかつて「ブレーン」という言葉で想定されていた領域を超え、実質的に大臣・副大臣に相当し、これらで内閣を形成しているに等しく、「戦略会議」とは閣議に相当するのである。しかも通常の内閣であれば大臣の殆どは選挙で選ばれた議員の中から選ばれるが、この戦略会議のメンバーは市長・知事を除いて誰も選挙によって選ばれる者たちではないのである。これらの者たちが事実上政策決定を行っているわけだが、これらのメンバーについて大阪の有権者は殆ど知らないのではないか。またその責任や権限についても明確ではない。
ここからわかるのは、橋下維新の言う「決定する民主主義」とは、選挙で勝った側が全部を取る(Winner-take-all)という思想に他ならず、これは通常米国大統領選挙や小選挙区制などの選挙制度上の話であるのだが、その思想を政治過程にまで持ち込んで具現化したのがこの「戦略会議」であると言える。ありていに言えば勝者による政治の独占・私物化に他ならない。議会で議論が行われる前に重要政策は全て決められているわけであり、議会での議論は本質的ではなくなり、政策過程が見えないものとなってしまう。ここでは反対派の意見が反映されないばかりではなく、彼らに票を投じた有権者の意見でさえ反映されない可能性が大いにあるのだ。これが橋下維新の主張する「決定する民主主義」の正体に他ならない。時折橋下が口にする「独裁が必要」はこの「決定する民主主義」なるものの本質を表している。
橋下の有力ブレーンである上山信一(慶応大学教授)はブログの中でこの「決定する民主主義」なるものを正当化する主張を展開しているのだが、氏の言葉の端々に私が見出したのは、大衆を持ち上げるふりをしつつ立法府議員をこき下ろす傲慢な態度と議会制民主主義そのものへの敵愾心である。私は上山が大衆を信頼しているなどとは全く感じることができず、むしろ「大衆は利用するものだ」というポピュリストの「民意を背景とした政治」の本音をその行間に読み取った。きっと大衆は政治家より以上に騙しやすいものとして馬鹿にされているのだろう。彼ら「選挙によって選ばれぬ権力者たち」にとって見れば、行政府を監視する議会の存在は目障りに違いない。(上山の当該記事はタイトルからして読む側が恥ずかしくなるようなもので、内容も有名大学教授が書いたものとは思えない代物で、私個人としては読者の皆様にご紹介するのも憚られるのだが、以上は私個人の感想であり、一応公平を期すため上山のブログの当該リンクをつけておくのでご参照いただきたい→リンク1、リンク2、リンク3 結論は3に書かれているので時間のない方はそちらをご参照いただきたい)。
http://www.actiblog.com/ueyama/208235
http://www.actiblog.com/ueyama/212512
http://www.actiblog.com/ueyama/218094
* なお「選挙で選ばれぬ権力者たち」に関しては前回の拙ブログ記事「形骸化する民主主義:選挙で選ばれぬ人たちが政治を動かしている」をご参照いただければ幸いである。
[新自由主義の悪夢:中心は竹中系構造改革派とマッキンゼー系コンサル]
さてこの節ではいよいよ「選挙で選ばれぬ権力者たち」である橋下維新ブレーンがどのような人物であるのか検証していきたい。前述の大阪市ホームページの特別顧問・参与リストを別ページで開けながら、本文を追っていただければ幸いである。
まず特別顧問である。リストの人物を上から順に見ていこう。
<府市統合本部関係>
・上山信一:慶応大学教授、コンサルタント。元運輸官僚。マッキンゼー。東京財団研究員。竹中平蔵とも近い。
・古賀茂明:元経産省官僚。新自由主義。TPP推進派。渡辺喜美に近く、みんなの党ブレーン。
・堺屋太一:作家、元経済企画庁長官。元通産官僚。道州制・小さい政府。
・原英史:コンサルタント。元通産・経産官僚。シカゴロースクール。渡辺喜美側近(古賀が紹介)。
・橋爪紳也:大阪府立大学教授、大阪市立大学特任教授。建築史家。
・飯田哲也:特定非営利活動法人 環境エネルギー政策研究所所長。
・余語邦彦:ビジネス・ブレークスルー大学院大学教授。コンサルタント。科学技術庁官僚(原子力政策)。マッキンゼーを経て光通信副社長、産業再生機構執行役員、カネボウCEO。
・安藤忠雄:建築家、東京大学名誉教授。
<人事関係>
・山中俊之:グローバルダイナミクス代表取締役社長、関西学院大学教授。コンサルタント。元外務官僚。上山・稲継と近いとされる。
・稲継裕昭:早稲田大学教授。地方自治。元大阪市職員、行政化企画推進本部専門調査会委員(当時総務大臣・竹中平蔵)
・野村修也:中央大学教授、弁護士。竹中金融大臣のとき金融庁顧問。大阪市職員メール調査。
<区政関係>
・中田宏:政治家。前横浜市長、青山学院大学大学院国際マネジメント研究科客員教授。松下政経塾。
・山田宏:政治家。前杉並区長。松下政経塾。
・金井利之:東京大学教授。行政学、道州制。
・佐々木信夫:中央大学教授。行政学、道州制。
・土居丈朗:慶應義塾大学教授。財政学・公共経済学。政府審議会委員多し。新自由主義者ではないとしつつフリードマンを尊敬していることから新自由主義と見なす。竹中平蔵・池田信夫と共著あり。
稲継がどういう政治的傾向を有しているのか現時点で不明。仮に橋爪・飯田・安藤を政治的に中立とみなし、松下政経塾出身の政治家2名もここでは論じないとして、残りは大雑把に分ければコンサルタント系か新自由主義者(学者・元官僚)か道州制支持者、(あるいはそれらが重なり合う)という非常に色の濃い集まりであることがわかる。竹中平蔵やその後を継ぐ渡辺喜美に近い新自由主義・構造改革路線の人物も多い。上山と余語は明らかにマッキンゼーの大前つながりであろう。
大前研一の影響は特別参与の人事を見ればより鮮明となる。参与は人数が多いので詳しくは論じないが、人事関係に弁護士・会計士・税理士らが13名もいるのが目を引く。そして次に突出しているのがやはりコンサルタントの多さである。府市統合本部関係の参与5人は全員コンサルタントであり、そのうち福田だけが野村総研で、残りの4名は全てマッキンゼー出身である。府市統合本部(交通事業)関係参与の有馬もマッキンゼー出身のコンサルタントである。府市統合本部(都市魅力)関係の太下と府市統合本部(経済)関係の佐々木もコンサルタントであるが、この2名はマッキンゼー出身ではないようだ(佐々木に関しては経歴詳細不明)。
この大阪市のホームページに掲載されているリストの肩書きだけでは一見わからないのであるが、個々の人物の経歴を洗っていくと、コンサルタントの多さと大前のマッキンゼー系人脈の多さに驚かされる。特別顧問16名中コンサルタントが4名、うちマッキンゼー出身が2名。そして特別参与34名中コンサルタントが8名、うち5名がマッキンゼー出身。特別顧問と特別参与を合わせれば、総勢50名中コンサルタントが12名もおり、そこにマッキンゼー出身者が判明しているだけで7名もいるのである。
[大阪を襲う新自由主義ショックドクトリン:大阪は売りに出された]
新自由主義者たちの「改革」という名の緊縮財政路線は、IMFが一国に対して支援を申し出るのと引き換えに緊縮財政を求めて、公務員削減と同時に民営化を推し進めさせるやり口に良く似ている。緊縮財政をするためには公務員削減し、公共部門を売却・民営化せざるを得なくなる。IMFの裏に控えているのは巨大資本で、売りに出された事業を二束三文で買い叩くのだ。国民・市民の税金で作られてきた事業であり公有財産であるものをハゲタカ資本が買い叩いてかっさらっていってしまうのが「民営化」の正体である。
小泉・竹中の所謂構造改革の柱であった郵政民営化の裏には国民の財産である郵政資産200兆円を狙う外資ハゲタカ・ファンドがいた。それを手引きしたのが宮内義彦・竹中平蔵や新自由主義にかぶれた構造改革派の官僚たちであった。中野剛志が「売国奴」と呼んでいるは彼らのことに他ならない。かんぽの宿売却はなんとか阻止している状態だが、それを画策した連中は懲りもせずに橋下維新に流れ込み、大前系人脈とともに大阪を事実上占拠した。大阪は彼ら新自由主義者たちの実験場となってしまったのだ。大阪は事実上売りに出されたのである。
3月7日に開かれた「戦略会議」で、大阪市の職員を3万8千人から4年で半減させることが決定された。記事によれば「市営地下鉄・バスの職員や市立病院、水道局、ごみ収集担当職員など約1万6400人については、橋下市長が市長選公約などで掲げた民営化や独法化など経営形態の見直しで、非公務員化を図る」という。これに先立つ2月に特別顧問であるコンサルタントの山中俊之がテレビ番組で職員半減の構想を語っている。報道や彼らの発表では公務員削減を目的にしているという論調であるが、彼らの主目的は大阪市の公共領域を解体して売り払うことであろう。現在標的になっているのが、市営地下鉄と市バスを持つ交通局、水道局、そして教育である。
[理解不能な民営化:背後には一体誰がいるのか]
大阪市営地下鉄は8年連続で黒字経営が続いており、橋下が市長となる以前にすでに経営努力によって累積赤字も解消し、公営地下鉄で全国初の完全黒字を達成している。大阪市営地下鉄は大阪市民の誇るべき資産なのだ。地下鉄の黒字分が市バスなどの赤字部門に寄与し、それによって市民の足としての公共交通機関全体をカバーし運営することができるのだ。大阪市営地下鉄はいち早く他の私鉄との提携にも柔軟に応じ、利用者へのサービス向上に努めてきた経緯がある。何故に黒字で大阪市に寄与している市民の公的財産である地下鉄を民営化しなければならないのか、全く理解不能である。
そして橋下が市長に就任したあと打ち出したのが大阪市水道局の民営化である(記事リンク)。
http://www.asyura2.com/12/senkyo127/msg/440.html
「水ビジネス」を目指すと言うのだが、このようなインフラの民営化は危険極まりないものであることは言うまでもない(水道事業の民営化が何をもたらすのかについてよくまとまった記事があったのでそちらをご参照いただければ幸いである)。しかもなぜ公営のまま「水ビジネス」を目指すことができないのかについて全く論理的な説明がなされていない。
http://www.thesalon.jp/themagazine/social/post-21.html
また橋下は教育改革をすると豪語しているが、持ち出されてきた案というのが、イギリスで既に失敗したサッチャーの新自由主義教育改革の焼き直しである。米国でも同様の取り組みが行われ、学校をマーケットの俎上に乗せて競争させた結果、学校がどんどん潰れていき、公的教育が破綻した地域があった。過去に先進国で2度も失敗したものをさも新しいものであるかのように持ち出してきているのだから、これには怒りを通り越して言葉を失う。この問題に関してもよくまとまった記事があったのでそちらをご参照いただきたい。
http://fujifujinovember.cocolog-nifty.com/blog/2012/03/post-d547.html
彼らコンサルタントというのは、事業そのものを立て直すという発想や才覚はどうやら持ち合わせていないらしい。ただただ売却できるものを売り払うという発想なのだ。橋下維新ブレーンの余語邦彦はその典型で、ブレーンの中でも要注意人物である。余語が科学技術庁退官後、マッキンゼーを経て光通信の再建に取り組んだときの様子を記した記事があったので、そこから引用する。
http://www.planbiz.info/blog/archives/20060530_220022.php
<引用開始>――――――-
「余語氏の経営再建手法は単純明快だ。ネットバブルの崩壊で経営が悪化した光通信に入った時には、まず、インターネット関連から撤退。次にベンチャーキャピタルが投資していたネットベンチャー企業の未公開株を投げ売りして、現金を得た。その結果、2300億円あった有利子負債を2年間で900億円に圧縮した。赤字部門を切り捨て、売れるものはすべて売るという、実にシンプルな手法です」と、当時の関係者はこう分析する。
アングラ人脈の間では「重田社長の先兵としてネットベンチャー、クレイフィッシュ(以下クレイ社)に乗り込み、会社乗っ取りを仕掛けた張本人」として広く知られている。(中略)
あるベンチャー起業家は「資産の売却にかけてはすご腕だが、再生という根気のいる仕事はどうかな(向いていない)」と疑問符を付ける。
<引用終わり>―――――–
この話の通りだとすれば、余語は解体屋そのものである。恐らく橋下維新の民営化の司令塔となるのが余語や山中俊之で、大勢いる大前の手下のコンサルタントたちがその実働部隊となるのであろう。大阪はこのままいけばとんでもないことになるに違いない。一番の被害を蒙るのは大阪人である。こうした意味のない、あるいは却って有害な民営化を何故に強行しなければならないのか、論理的には理解不能であるが、仮に背後で誰か涎を垂らして待っている連中がいるのだとすれば合点がいく話だ。郵政民営化のときのように。
[岐路に立たされた大阪と日本の未来図]
大阪が壮大な実験場として蹂躙された後、彼らはマスコミの喝采によって中央政界に乗り出すシナリオなのであろう。新自由主義型道州制は霞ヶ関から権限を奪うということで一見画期的に見えるが、それは州と州が規制緩和競争を繰り広げる弱肉強食の悲惨な結末を迎えるだろう。決して内需中心の地産地消型地域循環経済などにはならず、すべての州がマーケットの上で規制緩和競争をさせられることになるだろう。彼らが賛成するTPP加盟によって否応なく各州は過酷な競争に組み込まれる。そこでは文化というものは破壊され、人はもはや地域社会に暮らすのではなく、マーケットの上で暮らすことになるのだ。
そもそも過去に新自由主義改革が悲惨な結果を迎え失敗したという例は山ほどあるが、成功したことは一度もないのである。ごく一握りの者たちだけが他の大多数を犠牲にして潤うことを「成功」というのであれば(きっとこれら「改革者」たちはそう強弁するのだろうが)、小泉・竹中の構造改革も「大成功」であったという理屈になるのであろうが。
とかく橋下維新の話になれば、支持者も反対派も橋下個人のパフォーマンスに目が行きがちであるが、その背景にあるもの、誰が何を目指して何を行おうとしているのかということに我々はもっと注意を払うべきなのである。今回の記事では、橋下維新のブレーン・支援者がどのような人物の集まりであるのかを検証することで、それを浮き彫りにすることを試みた。彼らの時折唱えて見せる「脱原発」というフレーズも、彼らにとっては実は大した意味もない単なる集客道具であろうこともご想像いただけることと思う。
マスコミは恐らく橋下維新の正体を知った上でなお、そのことを国民に知らせていないのだから、小泉改革の時と同じく詐欺に加担しているに等しい。今回の選挙で橋下維新を支持してしまった方々にも、維新の会の背後に控えるのはこのような人物たちであり、大阪は大前研一と竹中平蔵に連なる「選挙によって選ばれたのではない新自由主義者たち」に事実上乗っ取られ、彼らはこれから大阪の公共財産を売りに出すのだという事実だけでも認識していただきたいと思う。それでもなお彼らを支持するのかどうかに関しては、私はこれ以上とやかく言うつもりはない。個人的な願いとしては、手遅れになる前に一日でも早く立ち上がって、中野剛志に「売国奴」と呼ばれるところの彼らを二度と見ずに済むように放逐していただきたいと思うが。
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