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AERA ’12.3.26号 P22〜23
「大阪上回る」不祥事と完全敗北
本丸特捜部「6月解体」
巨悪を暴くはずの検察特捜部に、またも「ねつ造疑惑」が浮かんだ。
しかも、今度は本丸「東京地検特捜部」だ。もはや自らが巨悪。その使命を終える時が来たようだ。
時代を問わず、組織を問わず、東軍と西軍は仲が悪い。それは法の番人たる検察庁とて同じことだ。しかも今、西軍は「恨み骨髄」という心境にある。東京よりも少し早く春が訪れた大阪の、とあるオフィスビルの一室で、今月初め、元大阪地検幹部は怪気炎をあげた。
「大阪は悪くて東京はええんか。おかしいやないか。はよ、最高検は田代を逮捕せんかい。前田は新聞が書いたその日に逮捕されたやないか」
「何で逮捕されんのや」
「前田」とは一昨年秋、大阪地検特捜部が手がけた郵便制度不正事件の証拠隠滅容疑で逮捕された前田恒彦元検事(実刑判決が確定)。「田代」とは今、渦中にある元東京地検特捜部の田代政弘検事(現在は新潟地裁)だ。
田代検事は、陸山会事件で小沢一郎元民主党代表の元秘書・石川知裕衆議院議員の取り調べを担当。「政治資金収支報告書への虚偽記載を小沢氏に報告、了承を得た」という供述調書にサインをさせた。一昨年4月に小沢氏が検察審査会から最初の起訴相当の議決を受けた後の再捜査でも、石川氏から同様の調書に署名を得た。
しかし小沢氏の公判で、東京地裁は2月17日、田代検事の取り調べについて「違法不当」と非難。石川氏の調書を証拠採用せず、不適切な取り調べを「個人的ではなく組織的なもの」とした。さらに田代検事が作成して検察審査会に提出され、小沢氏起訴の判断材料とされた公文書「捜査報告書」には事実に反する内容が書かれていると指摘した。犯罪の可能性さえある行為だ。
前述の元大阪地検幹部はいう。
「前田がねつ造したフロッピーは、結局、裁判所に提出されておらず、影響度は低い。検察審査会の『素人さん』をだまして、検察が起訴できない小沢さんを刑事被告人にした田代のほうがよっぽど悪いやないか」
そしてこう憤る。
「大坪や佐賀も逮捕され、徹底的に取り調べられた。なんで、当時の東京地検のかんぶは、逮捕されんのや」
「大坪」「佐賀」は、前田元検事の証拠ねつ造を隠蔽したとして犯人隠避容疑で逮捕された大坪弘道元特捜部長と佐賀元明元特捜副部長(いずれも公判中)だ。大阪地検トップの検事正とナンバー2である次席検事も管理責任を問われ辞職した。次席はその後病気で亡くなった。
「西軍」で怒っているのはこの元幹部だけではない。現役からも「不平等だ」という怒りの声があがっている。それもそのはず、前田元検事の証拠隠滅事件で、検察の西軍=「関西検察」は事件を生んだ背景と名指しされ、解体されたのだ。
小沢捜査の全容調査
関西検察とは何か。検察庁には、関西、中国、四国など西日本を中心に移動する「関西まわり」の検事が存在した。その中でも選ばれた検事が大阪地検特捜部に配属され、特捜部長、検事正、最後は大阪のトップである大阪高検検事長に上り詰めた。組織的には検事総長、東京高検検事長に次ぐナンバー3だが、「検事総長とはいえ、おいそれといけんがいえない」(総長経験者)という西の「将軍」だった。
「あんなお粗末な事件は東京では起きないよ」
当時、東京地検特捜部関係者は、そううそぶいていたものだ。
その東京がどうしたことか。
怒りを爆発させているのは、服役中の前田元検事本人も同じだ。陸山会事件の捜査に応援検事として加わった前田元検事は、昨年12月、小沢元代表公判の証人として出廷し、ぶちまけた。
「(ゼネコンから金をもらったという)筋立てが違うと思った」
「小沢氏の立件に熱心だたのは、佐久間達哉特捜部長ら数人の幹部だけ」
その上で、検察は検察審査会に対し、不利な証拠を隠していると指摘した。
検察は今、小沢捜査の全容を再調査せざるをえない自体に追い込まれている。現在、市民団体から虚偽有印公文書作成などの容疑で田代検事への告発を受けている東京地検に、最高検検事も加わり、一連の経緯の捜査、調査が進められている。小沢氏の公判は3月19日に結審する。今後、田代検事ら関係者への聴取は本格化するという。
市民の検審欺き…
ポイントは二つある、と検察関係者はいう。
まず、田代検事は虚偽有印公文書作成容疑という刑法犯にあたるのか。これは複数の関係者が「外形的に容疑にあたるのは避けがたい」と口をそろえる。
「だが、田代が個人的にねつ造したのか、それとも誰か幹部に言われてやったのかは、調べてみないとわからない」
どこまで上層部が関与していたか。検察内に残るメールやパソコンの文書更新履歴などをどの程度きちんと「捜査」するのか。田代検事がどう説明するのかが注目される。
一昨年の陸山会事件の強制捜査では、最高検は東京地検特捜部に対し、小沢氏の起訴について「金の出元がゼネコンであるなど不正な金であること」を条件としていた。東京地検はゼネコンを徹底捜査したが、脱税事件で以前立件された建設会社の関係者以外からは調書がとれなかった。別の事件の関係者の供述の場合、裁判で司法取引が疑われ、証拠価値が低くみられることもある。このため、結局小沢氏は立件されなかった。
「だが、東京地検幹部は小沢氏を逮捕できなかったことを激しく恨んでいた」と検察関係者は証言する。「最高検は保身に走っても検察審査会はわかってくれる」という声もあったという。
田代検事がつくった虚偽の捜査報告書は何のためのものだったのか。これが二つ目のポイントだ。
捜査報告書は、調書と違い、被疑者の署名、捺印がいらない。つまり検事がいくらでも作文できる「公文書」だ。通常は部内の記録保存のために使い、外部に見せることはないという。
田代検事の文書について当時の最高検、東京高検関係者は「見たことがない」と証言している。だが検察審査会には資料として提出されている。つまり、検察審査会に見せるためだけにつくられたものだった可能性が高い。
当時の検察幹部は怒り心頭だ。
「裁判官は、被疑者の署名もない、そんな作文をいくら見せても相手にしてくれない。市民が務める検察審査会は、文書の位置づけが正確にわからず、真に受けた。小沢起訴に執着した東京地検の独走だ。自分たちの『正義』こそが正しいというためだけに、検察審査会に起訴してもらおうとした」
「東京地検の独走」は小沢氏本人の調書でもみられたという。
「後で小沢氏の調書を見たところ、延々と『こんな証拠がある』と羅列する内容の質問が続き、小沢氏の答えはごくわずか。裁判所が見れば、印象をつくろうとした『悪質な調書』と思うだろうが、検察審査会は、そんなに証拠があるのに答えない小沢氏は悪いやつだとなったかもしれない」
「今度こそつぶれる」
いずれにしても、6月に退任予定の笠間治雄検事総長がやめる前に何らかの結論を出し、「笠間氏にすべての責任を抱えていってもらうしかない」(検察関係者)というのが今後の見通しだ。大阪地検特捜部の事件のときは、直接関係がなかった大林宏検事総長が就任半年でやめる羽目になった。悪夢再来は避けたいというのだ。
「それにしても、石川氏が取り調べを隠し録音さえしなければ、捜査報告書が嘘でも証拠はなく、当時の東京地検の歪んだ正義がまかりとおった。皮肉な話だ」
元検察幹部は嘆く。
ある元最高首脳は「前田元検事が証拠をねつ造していたのには驚いたが、供述について言えば、無理な調書は今に始まったことではない」という。それでも「国民の支持を受け、社会の腐敗を正す」ことで、特捜部は許されてきたのだという。
言ってみれば、さまざまな負の歴史が積み重なっての、今回の田代検事の問題なのだ。
検察内部から再びこんな声があがっている。
「もう特捜部を解体するしかない」
大阪地検の事件後も、特捜部という名称の廃止が検討された。このときは結局見送られたが、「今度こそ6月に笠間さんがやめるときに、特捜部をつぶしてしまうしかない。どうせ当面、政界捜査なんてできない」
検察内部には、田代検事に同情的なこえがなおあるが、手加減は許されない。それは、まさに検察審査会があるからだ。
「不起訴にするようなことがあれば申し立てるかもしれません」
東京地検に田代検事を告発した市民団体の代表、八木啓代さんはいう。
「素人」とあざむかれた格好の「検察審査会」は、そのとき大目に見てくれるだろうか。
編集部 三橋麻子
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・本丸特捜部「6月解体」「大阪上回る」不祥事と完全敗北(AERA記事に対する郷原氏コメント)
http://www.asyura2.com/12/senkyo127/msg/766.html
投稿者 otoppi 日時 2012 年 3 月 19 日 10:39:38: cUHXG0u8x2am6
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