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完璧すぎる最終弁論 小沢無罪3つの決定打
http://gendai.net/articles/view/syakai/135744
2012年3月21日 掲載 日刊ゲンダイ
指定弁護士の主張をすべて論破
<事件など最初から存在しない>
「特捜部の妄想から始まったゼネコン収賄事件の捜査は敗北に終わった。本件は、その残滓(ざんし)である」――。圧巻だった。19日に行われた小沢裁判の最終弁論。弁護団は検察捜査の違法性を厳しく批判した上で、有罪論告をした指定弁護士側の主張にひとつひとつ反論し、潰していった。もはや有罪の根拠はなにひとつ残っていない。誰がどう見ても、小沢無罪は確実だ。
<「ヤクザの親分」理論を一蹴>
中身ゼロのスカスカ論告で、指定弁護士が苦し紛れに持ち出したのが、「ヤクザの親分と子分」の論理だった。配下の組員の拳銃所持について暴力団組長の「共謀共同正犯」を認めた03年5月の最高裁決定(通称スワット事件)を引用し、「明確な謀議がなくても小沢と秘書の間に共謀が成立する」と主張したのだ。この理論は、検察審査会でも紹介され、強制起訴議決に影響を与えた大きな“論拠”なのだが、弁護団は「特殊なスワット事件を、あたかも一般的な事例のように歪曲して引用するのは不当だ」と猛反論した。
〈スワット事件で共謀共同正犯が認定されたのは、(1)専属ボディーガードのスワットは常に拳銃を装備して警護にあたっていた(2)組長は常にスワットと一緒に行動していた(3)組長自身もかつて親分の警護役を経験して、スワットの拳銃所持を知っていたという事実があったからで、事実関係がまったく違う〉(弁論要旨)
国会議員秘書は社会的に認められた正当な業務だし、虚偽記載を常態的に繰り返していたわけではない。小沢と秘書は常に行動を共にするわけでもない。加えて、小沢には秘書の経験もないのだ。スワット事件になぞらえて共謀共同正犯が成立するなんて、言いがかりに過ぎない。
<石川議員の「不可解な行動」を解明>
秘書だった石川議員が小沢から借りた4億円を分散入金したり、わざわざ利息が発生する預金担保融資を受けたことなどが「非合理的」とされてきた。「やましいカネを隠すため」と決めつけられてきたのだが、弁護団はこれも蹴散らした。
「分散入金は、銀行に記録が残るから、むしろ隠すことはできない。それに、銀行融資を介さないで小沢が直接4億円を貸すと、政治団体に寄付したと誤解されかねず、利息分だけで寄付の制限額を超えてしまう。不動産担保ローンよりも預金担保融資の方が利息が低いのだから、こちらを利用するのは合理的だ」
弁護団はこう説明し、石川の行動についても、「いずれも直前になってドタバタ動いていると評するほかない」と、ある意味での“一貫性”を明示した。石川の場当たり的な行動を見れば、指定弁護士が言うような「用意周到な犯罪」でないことは明白なのだ。
<池田調書は「報告・了承」ではない>
裁判では「小沢に報告し、了承を得た」とする元秘書の供述調書がことごとく却下された。唯一、採用されたのが、「平成17年分収支報告書の内容を報告した」という池田元秘書の調書だが、弁護団は、これも「報告・了承」を裏付けるものではないと反論した。
「石川からの引き継ぎが不十分で、池田は“期ズレ”について認識していなかった。また、証拠採用された調書でも、池田が小沢氏に報告したとされる場面の具体的な記載は全くなく、『おお、そうか』が、何に対しての了承なのかは曖昧なまま。裁判所がどう判断するかですが、これで共謀を認定するのは難しいでしょう」(社会部記者)
裁判過程で検察の違法な捜査も次々と明らかになり、4月26日の判決は無罪しかあり得ない。最後の意見陳述を終えた小沢も、無罪判決に向けて自信を深めているように見えた。万が一、裁判所が“推認”で有罪判決を下すようなことがあれば、それこそ、これは小沢潰しの国策捜査だと自ら認めるようなもの。司法の自殺行為だ。
冒頭の弁護団の言葉が、この事件の構図を見事に言い表している。事件など、最初から存在しないのである。
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