http://www.asyura2.com/12/senkyo127/msg/803.html
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私は、小沢元代表の評価に関して2010年1月13日の西松事件第2回公判で「気付き」、それ以来小沢元代表、故田中角栄首相に対する見方を「金権政治家」から「日本を託すべき政治家」へと180度転換したものである。
それ以来マスメディアの報道が如何に恣意的かを自覚するようになった。特に、産経新聞は公判内容においてその即時性や詳細性は評価される面はあるとしても、二重括弧で一方的な背景・意図説明や動作・声のトーンの説明を多く挿入し、また被告側陳述の根拠部分や問題点指摘部分を都合よく省略しているとともに、意図的に内容の取捨選択を行っていることが見て取れる。西松事件第2回公判報道においても、検察側証人二人が検察側立件理由を否定した陳述内容が無視されていた。
その後、何回かの小沢元代表公判でも同じような傾向がみられたが、今回の小沢元代表最終意見陳述に当たり、改めてその事実をなんとか捻じ曲げようとする報道ぶりを確認してみたい。以下、NHKの報道を「NHK:」とし、産経の報道を「SK:」と表示して対比した。
NHK:http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120319/k10013824111000.html
産経:http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/120319/trl12031917410011-n4.htm
NHK:裁判長のお許しをいただき、本裁判の結審に当たり、私の見解を申し上げます。
SK:《小沢被告は着席を断り、立ったまま意見陳述を始める》
被告「裁判長のお許しをいただき、本裁判の結審に当たり、私の見解を申し上げます」
《最終弁論の最中は、険しい表情で体調が悪そうにも見られたが、一転、はっきりとした大きな声で、A4版の紙に書いてきた意見を読み上げる》
NHK:5ヵ月半前、私は指定弁護士による起訴状に対し、次のように申し上げました。
(1)東京地検特捜部による本件強制捜査は、政権交代を目前に、野党第一党の代表である私を政治的・社会的に抹殺することが目的であり、それによって政権交代を阻止するためのものだったと考えられる。
それは、主権者である国民から何の負託も受けていない検察・法務官僚による議会制民主主義の破壊行為であり、国民主権への冒とくである。
(2)指定弁護士の主張は、そのような検察の不当・違法な捜査で得られた供述調書を唯一の証拠にした東京第5検察審査会の誤った判断(起訴議決)に基づいたものにすぎない。
(3)したがって、本裁判は直ちに打ち切るべきであり、百歩譲って裁判を続けるとしても、私が罪に問われる理由はない。
政治資金規正法の言う「虚偽記載」に当たる事実はなく、ましてや私が虚偽記載について共謀したことは断じてない。
(4)今、日本が直面する危機を乗り切るためには、このような国家権力の乱用を止め、政党政治への国民の信頼を取り戻し、真の民主主義を確立する以外に方法がない。
以上の見解は、これまで15回の公判を経て、ますます鮮明になったと思います。
SK: 被告「5カ月前、私は指定弁護士による起訴状に対し、次のように申し上げました」
《そして、初公判で語ったことを再び繰り返し主張する。特捜部の捜査は政権交代を目前に、民主党代表だった自分を政治的・社会的に抹殺することが目的だったこと▽検察による議会制民主主義の破壊行為であること▽罪に問われる理由がないこと−などをとうとうと語り、「これまで15回の公判を経て、ますます鮮明になったと思います」と強調する》
NHK: 以下、その事実を具体的に申し上げます。
もとより「法の下の平等」「推定無罪」「証拠裁判主義」は、法治国家の大原則であります。
ところが、東京地検特捜部の強制捜査は、それらをことごとく無視して、証拠に基づかない不当な推認を積み重ねただけのものでありました。
まず、政治資金規正法の制定以来、本日ただ今に至るまで、政治資金収支報告書に間違いや不適切な記載があっても、実質的犯罪を伴わない限り、検察の言う「虚偽記載」も含めて、例外なくすべて、報告書を修正することで処理されてきました。
それにもかかわらず、私のケースだけを単純な虚偽記載の疑いで強制捜査、立件したことは「法の下の平等」に反する恣意的な法の執行にほかなりません。
SK: 《そして、政治資金規正法の制定以来、これまで政治資金収支報告書に間違いや不適切な記載があった場合、実質的な犯罪を伴わない限り、「検察のいう虚偽記載」を含めて、「例外なく全て、報告書を修正することで処理されてきました」として、検察批判を展開する》
NHK: また、前田元検事がこの法廷で、「取り調べの初日に、木村主任検事から『これは特捜部と小沢の全面戦争だ。小沢を挙げられなかったら特捜部の負けだ』と言われた」と証言したように、「推定無罪」どころか、最初から「有罪ありき」の捜査、立件でした。
SK: 被告「(前田恒彦元検事が法廷で)『これは特捜部と小沢の全面戦争だ。小沢を挙げられなかったら特捜部の負けだ』と言われた、と証言したように、推定無罪どころか、最初から『有罪ありき』の捜査、立件でした」
NHK: さらに、形式的には「証拠裁判主義」にのっとって、私を2度不起訴にしておきながら、その実、違法・不当な捜査で得た供述調書と「小沢有罪ありき」の捜査報告書を東京第5検察審査会に提供することで、同審査会の議決を「起訴議決」へと強力に誘導しました。
SK:「形式的には証拠裁判主義に則って、私を2度不起訴にしておきながら、その実、不当・違法な捜査で得た供述調書と、『小沢有罪ありき』の捜査報告書を、東京第5検察審査会に提出することで、同審査会の議決を『起訴議決』へと強力に誘導しました」
NHK: その動かない証拠が、石川元秘書が虚偽記載を私に報告、了承を得たとの供述を維持したという平成22年5月17日の田代検事作成の調書と捜査報告書であります。
去る2月17日の公判で、裁判長が「検察審査会の再度の議決の判断材料として提供することを予定しながら、違法不当な取り調べを行い、石川に供述を維持させた」「捜査報告書の記載は事実に反する」と指摘されたとおりだと思います。
とりわけ重大な問題だと思うのは、田代検事自身が法廷証言で「捜査報告書は上司に言われて作った。検察審査会に提供される可能性はあると思っていた」と認めたように、石川元秘書が供述していない虚偽の事実を意図的に報告書に記載し、東京地検が、それを検察審査会に提供したことであります。
その悪質さにおいては、厚生労働省元局長村木厚子氏の虚偽公文書作成事件で、前田元検事が証拠を改ざんした事件を上回るのではないかと思います。
そして、その虚偽の供述調書と捜査報告書は、平成22年9月、検察審査会が起訴議決をして、私の強制起訴を決めた最大の証拠とされました。
それは、検察審査会の議決文が石川元秘書の調書を信用できるとした理由について、虚偽の捜査報告書の内容を踏まえて「再捜査で、石川自身が供述を維持した理由を合理的に説明している」と明記していることで明らかであります。
ところが、東京地検特捜部による強力な検察審査会誘導はそれだけにとどまりません。
先に裁判長が田代検事による石川元秘書の違法不当な取り調べについて「個人的なものではなく、組織的なものであったとも疑われる」と指摘され、花崎検事による池田元秘書の取り調べについても、「利益誘導があった」「取り調べメモを廃棄した」と認定されたとおり、当時の佐久間部長、齋藤副部長、吉田副部長、木村主任検事ら特捜部あげての審査への誘導工作だったと考えられます。
実際、東京地検が検察審査会の再審査に提供した、ほかの捜査報告書を見ると「小沢は3回にわたる取り調べでも合理的な説明ができず、不自然な弁解に終始した」「政治資金収支報告書に関する小沢の供述は虚偽である」「小沢の共謀を推認する積極的証拠となり得る」「小沢には本件不記載・虚偽記載の動機があった」等々「小沢有罪ありき」の推認の記述ばかりで、明らかに起訴議決をしないほうがおかしい、強制起訴すれば裁判でも勝てる、と誘導しています。
SK: 《そして、◯◯検事(法廷では実名)が、石川議員が供述していない事実を捜査報告書に記載し、検察審査会に提出したことについて、批判を連ねる》
被告「その悪質さは、厚生労働省元局長、村木厚子氏の虚偽公文書作成事件で前田元検事が証拠を改竄した事件を上回るのでないかと思います」
NHK: 仮に、それら捜査報告書と供述調書が、ほかの政治家に関するものであり、かつ私がそれを審査する検察審査会の一員だったとしたら、私も「起訴議決」と誤った判断をしていただろうと思うほど、強烈で執拗な工作であります。
加えて、前田元検事が「東京地検では証拠隠しが行われた。検察審査会では全ての証拠を見ていない」と証言したように、検察の「小沢有罪ありき」の見立てに合わない取り調べ結果は供述調書にせず、そのメモさえ審査会に提供しませんでした。
SK: 「仮に、それら捜査報告書と供述調書が他の政治家に関するものであり、かつ私がそれを審査する検察審査員の一員だったとしたら…」
「私も『起訴議決』と誤った判断をしていただろうと思うほど、強烈で執拗な工作であります!」
《自分ですら誤った判断をしただろうと推察する小沢被告。さらに検察批判を強める》
NHK: そのような検察の手法には、司法の支配者然とした傲慢ささえうかがわれます。
事実、東京地検は、本公判開始の9か月も前の昨年1月に、田代検事並びに特捜部副部長による捜査報告書の虚偽記載の事実を把握しておきながら放置、黙認し、指定弁護士にも、裁判所にも私の弁護団にも一切伝えなかったと報道されています。
特に指定弁護士が強制起訴手続きを行う前にその事実を把握していたのに、指定弁護士に知らせなかったのは、言語道断であると思います。
SK: 被告「検察の手法には、司法の支配者然とした傲慢ささえうかがわれます!」
《「傲慢」にアクセントを置き、声を荒げる。力みすぎているのか、胸の前で両手で持った紙の束が震えている》
被告「事実、東京地検は公判開始の9カ月も前の昨年1月に、○○検事ならびに特捜部副部長による捜査報告書の虚偽記載の事実を把握しておきながら放置、黙認し、指定弁護士にも裁判所にも、私の弁護団にも一切伝えなかったと報道されています」
「とくに指定弁護士が強制起訴手続きを行う前に、その事実を把握していたのに指定弁護士に知らせなかったのは、言語同断であると思います」
《そして再び語気を強める》
NHK: 本件は、ただ単に検察が私個人に対して捜査権・公訴権という国家権力を濫用したということではありません。
野党第一党の代表である私を強制捜査することで政権交代を阻止しようとし、政権交代後は与党幹部である私を強制捜査ー強制起訴することで新政権を挫折させようとした、その政治性に本質があります。
検察は、2年間もの長きにわたって、不当・違法な捜査を行い、あまつさえ検察審査会の審査・議決を誘導して、強力に政治への介入を続けました。
それは正に、議会制民主主義を破壊し、国民の主権を冒とく、侵害した暴挙と言うしかありません。
その実態が15回の公判を通じて、具体的事実によって、いよいよ鮮明になったことが、本裁判の一番の意義であると私は思います。
SK: 被告「野党第一党の代表である私を強制捜査することで政権交代を阻止しようとし、政権交代後は与党幹部である私を強制捜査、強制起訴することで新政権を挫折させようとした」
「検察は2年間もの長きにわたって、不当・違法な捜査を行い、強力に政治への介入を続けました」
「それはまさに議会制民主主義を破壊し、国民の主権を冒涜、侵害した暴挙というしかありません」
《そして、検察審査会の起訴議決については、東京地検が捏造した違法不当な供述調書と捜査報告書に基づく「誤った判断」と指摘し、「その正当性が失われたことが明白」として改めて主張する。声は大きいままだ》
NHK: 以上のように、検察審査会の起訴議決は、私を強制起訴させるために東京地検がねつ造した違法不当な供述調書と捜査報告書に基づく誤った判断であり、その正当性が失われたことが明白である以上、私にはいかなる点でも罪に問われる理由はありません。
私は無罪であります。
もちろん本来は、本件控訴は棄却されるべきものであります。
もし、何らかの理由で公訴が棄却されない場合でも、私にはいかなる点でも罪に問われる理由はありません。
政治資金規正法の言う「虚偽記載」に当たる事実はなく、ましてや私が虚偽記載について元秘書と共謀したことは絶対にありません。
SK: 被告「私にはいかなる点でも罪に問われる理由はありません。私は無罪です」 《そしてもう1度繰り返す》
被告「私にはいかなる罪にも問われる理由はありません。政治資金規正法の言う『虚偽記載』に当たる事実はなく、ましてや私が虚偽記載について元秘書と共謀したことは絶対にありません」
《無罪を主張した小沢被告はさらに続ける》
NHK: 東日本大震災からの復興は、丸1年経っても本格化するに至らず、福島第一原子力発電所の事故は依然として収束の目途すら立たず、一方では歴史的円高によって国内産業の基盤が崩れ始め、欧州の金融危機に端を発する世界恐慌の恐れが迫って来ている今、日本の経済・社会の立て直しは一刻の猶予も許されない事態になっています。
SK: 「東日本大震災からの復興は丸1年経っても本格化するに至らず、福島第1原子力発電所の事故は依然として収束の目途すら立たず…」
《さらに、円高による国内経済の不安、欧州の金融危機による世界恐慌の恐れなど世の中の問題を次々と挙げ、「立て直しは一刻の猶予も許されない」と危機感をあらわにした》
NHK: そのためには、検察・法務官僚による政治のろう断に即刻、終止符を打ち、速やかに政党政治に対する国民の信頼を取り戻して、議会制民主主義を機能させなければなりません。
裁判長はじめ裁判官の皆様におかれましては、見識ある公正なご判断を下されるようお願い申し上げ、私の意見陳述を終えます。
ありがとうございました。
SK: 被告「そのためには、検察、法務官僚による政治の壟断(ろうだん)に即刻終止符を打ち、速やかに政党政治に対する『国民の信頼』を取り戻して、議会制民主主義を機能させねばなりません!」
「裁判長はじめ裁判官の皆様におかれましては、見識ある公正なご判断を下されるようお願い申し上げ、私の意見陳述を終えます」
《小沢被告はこう述べた後、裁判長らに「ありがとうございました」と大声で礼を述べ、深く一礼して席に戻ると、大声を出し声がかれたのか、右手で喉をさすっていた。判決は、4月26日午前10時から言い渡される》
比較終わり
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