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小沢裁判第16回 最終弁論 詳報 (産経) 「事件は妄想から始まった」
http://asumaken.blog41.fc2.com/blog-entry-5297.html
2012.3.19 産経新聞 :「日々担々」資料ブログ
【小沢裁判 最終弁論(1)】
花粉症!? 目や鼻をこする小沢被告 「事件は妄想から始まった」
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/120319/trl12031912300006-n1.htm
2012.3.19 12:28
(10:00〜11:00)
《資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐる虚偽記載事件で、政治資金規正法違反罪で強制起訴された民主党元代表、小沢一郎被告(69)の第16回公判が19日、東京地裁(大善文男裁判長)で始まった。弁護側による最終弁論があり、結審する。午後には小沢被告本人による最終の意見陳述も行われる予定だ》
《小沢被告は意見陳述で重ねて潔白を主張する予定で、政界の実力者が裁かれた法廷は、初公判から約5カ月を経て、最終局面を迎える》
《「不合理な弁解を繰り返し、反省の情はない。規範意識は著しく鈍磨しており、再犯の恐れは大きい」と、検察官役の指定弁護士は9日の論告求刑公判で、禁錮3年を求刑している》
《石川知裕衆院議員(38)=1審有罪、控訴中=ら元秘書が、政治資金収支報告書の提出前に小沢被告へ「報告し、了承を得た」とする捜査段階の供述調書など、元秘書と小沢被告の共謀を裏付ける直接証拠のほとんどは採用されていない。弁護側にとっては有利となる展開だ》
《一方、指定弁護士側は小沢被告が土地購入に際して銀行の融資書類に自ら署名した事実や、資金の流れといった客観的事実を列挙。また、証拠採用された「平成17年分収支報告書の内容を小沢被告に報告した」とする池田光智元私設秘書(34)の調書を基に「16年分についても報告・了承があったことが認められる」とし、「秘書が独断で虚偽記載をすることはない」という当初の構図を維持している》
《法廷は地裁最大規模の104号。小沢被告が入廷する。濃紺のスーツに水色のネクタイ。左の襟には議員バッジを付ける。入廷の際に一礼すると、再び裁判長に向かって深く一礼した。女性弁護士の隣の席に座った》
《小沢被告はときおり鼻と目をこするなど、体調がすぐれない様子だ。花粉症なのだろうか》
裁判長「それでは開廷します」
《「無罪請負人」の異名を持つ弘中惇一郎弁護士が立ち上がり、最終弁論の朗読を始める》
弁護人「東京地検特捜部は被告に対し、ゼネコンなどから違法なカネを受け取ったのではないかという根拠のない妄想を抱いて、収賄の嫌疑をかけ、大規模な捜査を行ったものの、結局、嫌疑を裏付ける証拠を得ることができず敗北した」
「本件は、その残滓(ざんし)である」
《冒頭から特捜部批判を繰り広げる弁護側。今回の事件を特捜部の「妄想」「敗北」「残滓」と強い批判の言葉を連ねた》
弁護人「残滓であるとは、一つには本件が特捜部の想定した収賄事件としてでなく、収支報告書に関する政治資金規正法という形式犯としてしか起訴できなかったということである」
「残滓であることのもう一つの意味は、検察官が想定したゼネコンなどからの不正な金銭収受が存在しないことが、本件が成立しえないことを明らかにしているということである。妄想から始まった事件は最後まで実在しないのである」
《弘中弁護士はここまで一気に読み上げると、ゼネコンとの関係について説明する》
弁護人「特捜部は被告がゼネコンなどから違法に金銭を受領しているとの妄想にもとづき、全国から検事を動員し、建設業者らから徹底的な事情聴取を行った。まさに『特捜部と小沢との全面戦争』であった」
「しかし、ゼネコンからの不法な金銭受領を裏付けることはできなかった。かろうじて供述を得ることができたのは『水谷建設からの1億円』だけであった。だが、これとて、最初の5000万円を受け取ったとされる石川の取り調べに当たった特捜部の□□副部長(法廷では実名)も、○○検事(同)も『あれはないんじゃないか』と心証を抱くような、事実として確認できたとは到底言い難いものであった」
「特捜部は被告から(石川議員らが)受け取った4億円の出所に後ろ暗いところがあり、具体的には水谷建設からの1億円が含まれている可能性があるかのような取り調べを行った」
「特捜部があえてこのような主張を行ったのは、石川らによる虚偽記入・不記載は被告から受領した4億円が違法なものであることを隠蔽しようとして敢行された、という動機が存在するかのように装うためであった」
《元秘書3人の1審判決では、「水谷建設からの裏献金1億円」や、それを隠す目的での虚偽記載が認定されているが、弁護側はこれを否定、強気の姿勢を見せる》
「4億円の原資が違法なものであり、そのためにその存在自体を秘匿しなければならなかったということを指定弁護士は何ら立証していない。すなわち、本件裁判において、この4億円は被告が適法に所持していたものと取り扱われることになる」
《「本件裁判においては」とただし書きはついたものの、弁護側は続ける》
弁護人「被告が適法に所持していた4億円の存在を秘匿するため、石川らがあえて違法な虚偽記入を行ったとしても、何も得られるものはなく、違法行為に手を染める必要性は皆無である」
「指定弁護士による起訴は、『動機のない犯罪』が行われたとするものであり、不合理極まりないものである」
《「動機なき犯行」との主張を展開する弁護側。続いて、指定弁護士側が共謀共同正犯が成立すると主張した際に引用した最高裁判例である「スワット事件」についての解釈を述べる》
弁護人「指定弁護士はこの決定を引き合いに出し、『実行者の犯行を止めることができる地位にいるものは、実行者が行う犯行を確定的に知って、これを容認し、実行者の犯行によって利益を受けるという関係にあるときは…』」
「『共謀の日時場所を特定した謀議行為を認めることができず、実行者の行為についての認識が概括的にとどまっている場合でも、共謀共同正犯者としての刑責を負うことが明らかになった』として、本件でも共謀共同正犯が成立すると述べた」
《弘中弁護士はこれに対して反論する》
弁護人「あたかもスワット事件の最高裁決定が、明確な謀議がなくても共謀共同正犯が成立する場合についての一般的な要件を示したかのような指定弁護士側の主張は、決定の趣旨を歪曲(わいきょく)して主張するものであり失当である」
「スワット事件と本件とでは、事実関係が全く異なるのであって、共謀共同正犯が成立するということは到底できない」
《体調が悪そうな小沢被告。ハンカチを口にあて「ゴホン、ゴホン」と遠慮気味に2度せき込むと、丁寧にハンカチを折りたたみ、目元を拭いたあと、ポケットにしまった。弘中弁護士はスワット事件との違いを説明している》
弁護人「本件においては、収支報告書の虚偽記入が『常態化していた』という事実はなかったのであり、この点がスワット事件と本件との決定的な差異である」
「スワット事件と本件とでは、過去に同様の違法行為が反復継続されていたか、被告と秘書らが終始行動をともにしていたか、秘書らの行為によって被告が直接的な利益を受けたかといったさまざまな点において事実関係が大きく異なる。被告に共謀共同正犯が成立する余地はない」
《さらに証拠によって明らかになった、具体的なシーンについても、共謀関係が成立しないとする主張を行う》
弁護人「(問題の不動産の公表をずらすことについて)池田が石川から被告の了承を得ていると聞き、被告に対して平成17年分の支出に本件土地の代金を計上していると説明して、被告が『ああ、そうか』と述べたと仮定しても、その発言はむしろ関心の低さを示しているとも受け取れる」
「指定弁護士の主張は失当であり、被告が共謀したと認定する余地はない」
《ここで弘中弁護士は一息つき、ペットボトル入りのお茶を飲む。「ぐびぐび」という音がマイクを通じて法廷に響く。そして4億円の原資についての説明を始める》
弁護人「被告は法廷で4億円の原資について、具体的に詳しく説明している」
「大半は両親からの金銭および、不動産の相続によって取得したもの。加えて議員歳費や著書の印税が原資だというものである」
「保有していることを知られたくないような資金があった場合には、これを不動産購入費に充てるなどということは極めて不合理なことである」
《小沢被告は引き続き体調が悪そうだ。梅干しを口に含んだような険しい表情を浮かべ、弁護側の主張に聞き入っている》
【小沢裁判 最終弁論(2)】
土地取得のずれは石川議員の「ドタバタ」が原因「周到な準備、ありえない」
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/120319/trl12031914440009-n1.htm
2012.3.19 14:42
(11:00〜11:55)
《資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐる虚偽記載事件で、政治資金規正法違反罪で強制起訴された民主党元代表、小沢一郎被告(69)の第16回公判は、小沢被告の弁護士側による最終弁論が続けられている》
《小沢被告は時折、目の前の机に置かれた弁論要旨に視線を落としながら、読み上げを行う弘中惇一郎弁護士の言葉にじっと耳を傾けている》
《弘中弁護士は立ち上がり、弁論要旨を読み上げている。内容は、石川知裕衆院議員(38)=1審有罪、控訴中=ら元秘書の、土地購入の手続きや収支報告書作成に関する一連の行動についてだ》
弁護人「平成16年と17年の記載はいずれも政治資金規正法にのっとったもので、虚偽記入や不記載とされるべきものはない」
「仮に問題になりうるとしても、石川の行動は当初からのもくろみに基づくものではなく、その時々の状況の変化に応じた行き当たりばったりのものだった。回避しようと少しでも思えば、容易に達成可能なものだった」
「(所有権移転の日を延期した)『期ずれ』は契約段階から支払日を16年中でなく、17年にすれば何の問題も生じなかった。収支報告書に被告からの借り入れを記載したくないと考えれば、容易にできた」
《弘中弁護士はゆっくりと朗読を続ける。小沢被告は落ち着いた様子で聞いている》
弁護人「石川の行動は、取り調べた○○検事(法廷では実名)からも『もっとやりようがあったんじゃないか』といわれるほど、無計画かつ場当たり的なものと理解されていた。このようなドタバタぶりをみていれば、指定弁護士のいう『周到な準備と巧妙な工作』などは存在しないことは明らかであり、石川に犯罪を行う意図はなかったことを物語っている」
《弘中弁護士は石川議員の行動を『ドタバタ』と表現。『当初からの意図、計画に基づいて不動産の取得を17年にずらした』という、指定弁護士側の指摘は事実ではないと説明した。また、登記を先送りしたことも、元秘書の樋高剛衆院議員(46)から『政治的にどのような動きがあるか分からないから、時間的に余裕があったほうがいいのでは』と聞かされたからだ、とした》
弁護人「石川はかねてから助言を受けていた樋高議員からそのようなアイデアを出されたため、これに従うことにした」
「土地の取得は登記制度がある限り、公表され、隠すことはできない。政治団体の場合には土地取得の時期によって何年分の収支報告書に掲載されるかが決まるが、それだけのこと。したがって政治的判断として、時間的余裕を考えただけで、永続的に隠そうとしたわけではない」
《ときおり、小沢被告は顔をしかめるなど、疲れた表情を見せている。弁護側は秘書の裁量や自律性について話題を変えた》
弁護人「石川を含む秘書は、被告が政治活動を十全に果たしうるようにするのが職務であり、相当程度の裁量が認められていた」
「16年10月29日、銀行から被告の口座に4億円から利息分約450万円を天引きされた額しか振り込まれていなかったのに、(石川議員は)被告口座から陸山会口座に4億円を送金している」
「この約450万円については被告が負担していることになるが、このことについて石川は事前に被告に報告や承諾を受けてはいなかった。石川はこの行為を独断で行ったのである」
「(石川議員は)利息を補填(ほてん)しなくてはいけないと考えていたが、実際には17年7月に事務所を辞めるまで、何らの手当てもしていなかった。このように、石川は、普通の国民であれば年収に当たるような額を無断で引き出し、陸山会に振り込んでいる。石川は被告から高度の信用や信頼を勝ち得ていたため、被告の了解がなくとも、独自の判断で動かしたのである」
《このあと、弘中弁護士は、秘書が相当な裁量を与えられていた事実のひとつとして、小沢被告の携帯電話の処理を例にあげた》
弁護人「石川は被告の携帯電話を管理していたが、その取り次ぎについては、『余計なことは取り次ぐな』と指示を受けていた。この指示は厳格に守られることが期待されており、現に石川は取り次いで叱責されたこともある」
「被告の携帯電話を知っている人は近しい人と想定される。しかし、そのような電話でも、石川は自分で判断して『余計なものは取り次がない』ことをしなければいけなかった。このように被告を煩わさせる、あるいは無駄な時間を費消させることがないようにしていた」
「このように、石川には相当の裁量が認められており、被告の利害に関することであれば、その全てを報告し、判断を仰いでいたかのように述べる指定弁護士の主張は失当である」
《さらに弘中弁護士は、登記の時期をずらしたことについて、石川は2カ月後に確実に本登記になると考えており、『この程度は秘書の裁量』と考えていても不自然ではないと指摘。指定弁護士側の『10月28日に16年分収支報告書に記載しない意志を固めた』という指摘についても、何ら指定弁護士側の立証がないとし、小沢被告と石川議員に共謀関係はないと断じた》
《つづいて、石川議員の後任として秘書になった、池田光智元秘書と石川議員との間に行われた引き継ぎについて言及した》
弁護人「石川は池田にとって上下関係が非常に厳しい体育会系の政治サークルの4つ上の先輩で、『雲の上の存在』であり『伝説の人』であった。池田にとって石川は気安く話しかけたり、相談したりできる存在ではなかった」
「石川は当時、次期衆院選の民主党公認候補に決定しており、選挙対策に多忙で非常にぴりぴりしていた。石川は『心ここにあらず』の状態で、池田への引き継ぎも不十分なものになっていった」
《池田元秘書は、石川議員からの引き継ぎをノートにメモしていたという。弘中弁護士はそのノートを『池田ノート』と呼び、その内容にふれながら、何が引き継がれ、何が引き継がれていなかったのかを明らかにしていく》
弁護人「池田としては口頭で言われたことをメモにとるということで手いっぱいで、後々起こることを予想して問い返すほどの余裕もなかった。石川が退職する(17年)7月に、池田はまとめて聞けるよう、質問事項をまとめていたが、これも石川と池田の『微妙な距離感』が背景にあった」
「石川は、被告の支援者との関係や接し方など、人間関係に関する引き継ぎは事細かに教えてくれたが、事務処理関係に関する引き継ぎは雑だった」
「池田ノートには被告からの4億円を収支報告書に記載していないことについてはどこにも記載されていない。これは、石川、池田間で明確に引き継がれていなかったことを裏付けるものである」
《池田ノートには、定期預金の原資が小沢被告からの4億円であることや、4億円の返済方法や返済時期の記載がなかったという》
弁護人「このことは、当時、石川も『先生からの4億円があるからな』と話した程度で、引き継ぎといえるほどの詳しい話はなかったことを裏付けている」
「池田は『(『住』を『○』で囲った)マルジュウと記載された入金については気にしなくていいから』と石川から言われ、当時は被告からの4億円であるとは気づかなかった」
「池田は16年中に支払われた土地代金を17年分の収支報告書に計上するよう石川から引き継ぎを受けていたが、話しぶりは何か普段と違うようなことはなく、当然の処理で問題がないという印象だった」
「池田は登記を17年1月7日にした詳しい事情は聞かされていない。池田が知る事情は所有権移転登記がされたのは、1月7日ということであり、その日にあわせて土地代金を計上するという事実のみである。池田には、所有権移転登記が実態を欠く虚偽の登記であるという認識は全くなかった」
《弘中弁護士は、池田元秘書も石川議員同様、小沢被告に報告しなかった理由について、こう述べた》
弁護人「所有権移転の時期を変更したことは石川時代のことであり、池田が改めて被告の了解を得るべき事項ではない」
「そもそも、政治家の秘書の役割は、政治家を政治のことに専念させることにある。そして、被告の頭の中には、常に政治や選挙のこと、国会運営のことで頭がいっぱいだったのであり、政治団体の会計処理を始め、後援会の事務処理などについてはもともと関心のない、あるいは関心の極めて薄いことだった」
「被告は、各政治団体の収支報告書には全く関心がなく、報告など受けていなかった」
《弘中弁護士が『ここがきりがいいので…』と告げると、大善文男裁判長が休廷を告げた。再開は午後1時半からだ》
《まず、傍聴人の退廷をうながす大善裁判長。小沢被告は休廷が告げられても表情を崩すことなく、席に座ったまま、じっと前を見据えていた》
【小沢被告最終弁論(3)】
節約は「政治家の心構え」 報告聞かないのとはレベルの違う問題
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/120319/trl12031915420010-n1.htm
2012.3.19 15:41
(13:30〜14:30)
《資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐる虚偽記載事件で、政治資金規正法違反罪で強制起訴された民主党元代表、小沢一郎被告(69)の公判は約1時間半の休憩を挟み、午後の審理が再開された》
《引き続き、弁護側の最終弁論が続けられる。大善文男裁判長が小沢被告の入廷を呼びかける。少し間があいて姿を現した小沢被告。大善裁判長に一礼した後、ゆっくりと席についた。手には茶の紙袋を持っている》
《検察官役の指定弁護士側は、小沢被告が土地購入のために秘書らに用立てた4億円が表に出せない金であったと推察。秘書らが存在をあらわにさせないように登記時期をずらすなどしたと論告で指摘した。弁護側は、この点への反論から入る》
《弁護側は元秘書の石川知裕衆院議員=1審有罪、控訴中=と、池田光智元秘書=同=との間の引き継ぎ状況がうまく行っていなかった点を挙げ、言い切る》
弁護人「仮に石川に被告からの4億円を隠す計画的な意図があったのであれば、石川は、そのつじつま合わせの方法を池田に具体的に指示していなければ不自然かつ不合理である」
《弁護側は、こう指摘した上で、隠蔽(いんぺい)の意図は毛頭なかったと主張。小沢被告の提供した4億円についても言及していく》
《小沢被告は平成16年10月、土地購入の資金4億円を石川議員らの求めに応じて提供する際に「ちゃんと戻せよ」と伝えたという》
《指定弁護士側は、この点を挙げ、4億円は小沢被告が陸山会に対しての「貸し付けだった」とし、16年分の収支報告書に計上しなかったことは、虚偽記載にあたるとしていた》
《弁護側は、この点についても反論する》
弁護人「被告が4億円を渡した時点では、この4億円を、どのような形で利用するかについては、何も決まっていなかった」
《弁護側は、こう切り出した上で、(1)そのまま土地購入などの支払いに充てられる(2)4億円を担保にして、小沢被告名義で定期預金を組み、それを転借する方法−などの選択肢が4億円の提供時点にはあったとした》
《その上で、弁護側は今回採られた(2)のケースでは、提供時点では消費貸借目的ではなく、少なくとも貸し付けではなかったと強調し、こうまとめた》
弁護人「こうした実態に照らせば、被告が4億円を渡した時点で、被告と陸山会との間に金銭消費貸借契約が成立したとは評価できず、この時点で陸山会の収入となったは評価できない」
《さらに弁護側は続ける。指定弁護士側は、石川議員が、手渡された4億円を陸山会の複数の口座に分散入金していた事実を挙げて、小沢被告からの貸し付けを隠蔽する意図があったことを印象づけた》
《弁護側はこの行為についても、4億円が提供時に使途が未確定だったとした上で反論する》
弁護人「被告が陸山会に用立てる4億円を、石川が被告の秘書としての立場で預かり、石川が陸山会名義の預金口座を管理する立場にあったことから、被告が預かった4億円を保管する場所として、便宜的に陸山会名義の預金口座を利用したものと解するべきである」
「このように、石川が被告から4億円を受け取り、陸山会名義の預金口座に入金した時点では、被告と陸山会との間に金銭消費貸借契約は成立しておらず、陸山会の収入となっていないので、収支報告書に計上する必要はない」
《弁護側は、政治資金収支報告書の記載状況にも踏み込む》
弁護人「不動産の取得を収支報告書に記載する場合、当該不動産の所有権が取得者に移転した日を『資産』の取得日として計上するのが原則的な会計処理であると考えられる」
「従って、本件においても、いつの時点で本件土地の所有権が不動産会社から陸山会に移転したといえるのかを検討しなければならない」
《こう述べた後、弁護側は、不動産会社など当事者から時期をずらずことに異論が出ていなかったとして正当性を訴える》
弁護人「石川としては、それがいかなる法的意味を有しているかまでは別として、少なくとも『平成16年分の収支報告書に記載すべき取引』ではなく、『平成17年の収支報告書に記載すべき取引』にしたい程度の意向を持っていたことは明らかである」
《いつもは、じっと目を閉じて前を向いている小沢被告だが、この日は、時折まゆをひそめるなどし、うつむく場面が多い》
《弁護人は、政治資金規正法上からも適正に記載がなされたと主張。検察官役の指定弁護士の論告に対する細部についても反論していく》
《石川議員の公判での供述を例に挙げるなどし、指定弁護士の論理矛盾を次々と訴える。さらに…。小沢被告が会計処理などについて、秘書まかせにしていたとする点の合理性も述べる》
弁護人「秘書に任せたことは秘書にその判断でやらせ、被告が口だしすることもなく、また秘書の方もいちいち報告することもなかった」
「特に、事務的な問題は完全に秘書に任せていた。これは事実であり、政治家である被告と秘書との役割分担からしても自然なことだった」
《弁護側は、小沢被告が会合や国会、各種委員会など多忙な業務を抱え、政治活動からほど遠い、後援会事務にあたる政治資金収支報告書の作成に関与しないのは当然のことだと主張した》
《さらに、小沢被告が常々、秘書らに節約を心がけるように指導していていたことから、政治資金の収支報告を聞いていなかったのは不自然とした指定弁護士側の指摘にも答える》
弁護人「費用について心がけるというのは、人間としてあるいは政治家としての心構えの問題であり、個別の事務遂行を秘書の裁量に委ねていたということとレベルの異なる問題」
《反論を続ける弁護側。小沢被告は、イスを座り直したり、うつむく場面もみられるなど、少し落ち着かない》
【小沢被告最終弁論(4)完】 「私も『起訴議決』と誤った判断をしていただろう!」
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/120319/trl12031917410011-n1.htm
2012.3.19 17:39
(14:30〜15:5)
《資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐる虚偽記載事件で、政治資金規正法違反罪で強制起訴された民主党元代表、小沢一郎被告(69)の第16回公判は、弁護側による最終弁論が続いている》
《弁護側は小沢被告に政治資金規正法違反罪について、小沢被告が罪を犯す動機がないことを論じている。弁護側は午前の最終弁論でも、「動機なき犯行」ということを繰り返し強調している》
《指定弁護士側はこれまでに、動機として小沢被告が「巨額の現金を有していること」と「巨額の現金を利用して土地を購入したことが明らかになることを避けたい」という理由を主張していた》
弁護人「そもそも、被告が相当額の資産を有しており、手元に多額の現金も有しているであろうということは、周囲の人間は十分認識していた」
「17年秋に新聞各紙が、被告は陸山会に4億円を貸し付けたと報じたが、被告がそのような多額の資金を有していることを意外なこととした報道は全くなかった」
「もともと、被告が父親から多額の資産を相続したこと、長年の政治家としての活動ぶり、居住している邸宅の状況、多数の著書、被告の妻が資産家であることなどは広く知られている」
《こうした理由を並べ弁護側はこう指摘する》
弁護人「指定弁護士の述べる動機は、およそ『合理的な動機』とはほど遠いものである。合理的な『動機』が認められないということは、すなわち犯罪が存在しないということを意味している」
《小沢被告は背筋をぴんと伸ばし、目をうっすらと開け正面をじっとみつめて聞いている。時折、人さし指で鼻をこする》
《続けて、弁護側は検察審査会による小沢被告の起訴議決が無効であるということを説明する》
弁護人「『小沢との全面戦争』を掲げた検察が、組織的に違法・不当な捜査を行ったうえで、重大な違法行為により、検察審査員らを錯誤に陥らせた」
《弁護側は、「取り調べの可視化で冤罪(えんざい)防止」などの政策を掲げ、21年の衆院選で政権交代を目指す民主党に対し、東京地検特捜部が「全面戦争」を挑み、小沢被告を捜査対象として訴追し、有罪判決を獲得しようとしたと説明。検事が40〜50人、検察事務官を含め100人態勢で、大規模な組織的捜査が行われたと説明する》
《また、取り調べの過程では「検察官による威圧があった」と違法性を強調。捜査の結果、検察側は小沢被告は不起訴となったが、検察審査会に対し、違法な取り調べで作成した証拠を「あたかも適正に作成され、真実が記載された内容のものであるかのように装って提供した」と指摘する。そして、こう結論づける》
弁護人「東京地検特捜部が検察審査員らを錯誤に陥らせることがなければ、8人以上の賛成を必要とする起訴議決に至らなかったことは、容易に推認できる」
《そして、弁護側はこうした検察の捜査の違法性に基づいた「検察審議会の誤った判断だった」ことを訴えたうえで、次のように指定弁護士側に反論する》
弁護人「検察審査会の起訴相当議決を受けて行われた再捜査の過程において、◯◯検事(法廷では実名)が内容虚偽の捜査報告書を作成するという職務犯罪に及び、さらに、その報告書を利用して、東京地検特捜部が検察審査員らをして、石川供述の信用性評価を誤らせたという事案である」
「それを、単に検察審査員が証拠評価を誤ったにすぎない、(捜査報告書は)検察官の単なる内心で、審査手続きとは無関係であるとする指定弁護士の主張は、問題の矮(わい)小(しょう)化であって、失当である」
《弁護側は、指定弁護士側の主張を完全否定し、再度繰り返す》
「起訴議決はその審査手順において、検察官が極めて悪質かつ重大な職務犯罪を伴う一連の偽計行為に及び、それによって検察審査員らを重大な錯誤に陥らせ、行われたものであるから、無効である」
《そして、5カ月に及んだ公判における弁護側の結論を述べる》
弁護人「起訴議決は無効であり、公訴提起の手続きはその規定に違反したため無効であるから、判決で公訴が棄却されるべきである」
「また、収支報告書不記載・虚偽記入の共謀共同正犯が成立するなどとする指定弁護士の主張は失当であり、いかなる観点からも、犯罪の証明がなく、被告が無罪であることは明らかである」
《弘中惇一郎弁護士が最終弁論を終え、ちらりと左腕の腕時計に目を落とした》
《大善文男裁判長が小沢被告を証言台に促すと、小沢被告は「はい!」と大きな声で返事をして、素早く法廷の中央に立った》
裁判長「審理を終えるに当たり、意見があればどうぞ」
被告「はい!」
裁判長「長くなるようなら座ってもいいですよ」
被告「10分もかからないくらいですので…」
《小沢被告は着席を断り、立ったまま意見陳述を始める》
被告「裁判長のお許しをいただき、本裁判の結審に当たり、私の見解を申し上げます」
《最終弁論の最中は、険しい表情で体調が悪そうにも見られたが、一転、はっきりとした大きな声で、A4版の紙に書いてきた意見を読み上げる》
被告「5カ月前、私は指定弁護士による起訴状に対し、次のように申し上げました」
《そして、初公判で語ったことを再び繰り返し主張する。特捜部の捜査は政権交代を目前に、民主党代表だった自分を政治的・社会的に抹殺することが目的だったこと▽検察による議会制民主主義の破壊行為であること▽罪に問われる理由がないこと−などをとうとうと語り、「これまで15回の公判を経て、ますます鮮明になったと思います」と強調する》
《そして、政治資金規正法の制定以来、これまで政治資金収支報告書に間違いや不適切な記載があった場合、実質的な犯罪を伴わない限り、「検察のいう虚偽記載」を含めて、「例外なく全て、報告書を修正することで処理されてきました」として、検察批判を展開する》
被告「(前田恒彦元検事が法廷で)『これは特捜部と小沢の全面戦争だ。小沢を挙げられなかったら特捜部の負けだ』と言われた、と証言したように、推定無罪どころか、最初から『有罪ありき』の捜査、立件でした」
「形式的には証拠裁判主義に則って、私を2度不起訴にしておきながら、その実、不当・違法な捜査で得た供述調書と、『小沢有罪ありき』の捜査報告書を、東京第5検察審査会に提出することで、同審査会の議決を『起訴議決』へと強力に誘導しました」
《そして、◯◯検事(法廷では実名)が、石川議員が供述していない事実を捜査報告書に記載し、検察審査会に提出したことについて、批判を連ねる》
被告「その悪質さは、厚生労働省元局長、村木厚子氏の虚偽公文書作成事件で前田元検事が証拠を改竄した事件を上回るのでないかと思います」
「仮に、それら捜査報告書と供述調書が他の政治家に関するものであり、かつ私がそれを審査する検察審査員の一員だったとしたら…」
「私も『起訴議決』と誤った判断をしていただろうと思うほど、強烈で執拗な工作であります!」
《自分ですら誤った判断をしただろうと推察する小沢被告。さらに検察批判を強める》
被告「検察の手法には、司法の支配者然とした傲慢ささえうかがわれます!」
《「傲慢」にアクセントを置き、声を荒げる。力みすぎているのか、胸の前で両手で持った紙の束が震えている》
被告「事実、東京地検は公判開始の9カ月も前の昨年1月に、○○検事ならびに特捜部副部長による捜査報告書の虚偽記載の事実を把握しておきながら放置、黙認し、指定弁護士にも裁判所にも、私の弁護団にも一切伝えなかったと報道されています」
「とくに指定弁護士が強制起訴手続きを行う前に、その事実を把握していたのに指定弁護士に知らせなかったのは、言語同断であると思います」
《そして再び語気を強める》
被告「野党第一党の代表である私を強制捜査することで政権交代を阻止しようとし、政権交代後は与党幹部である私を強制捜査、強制起訴することで新政権を挫折させようとした」
「検察は2年間もの長きにわたって、不当・違法な捜査を行い、強力に政治への介入を続けました」
「それはまさに議会制民主主義を破壊し、国民の主権を冒涜、侵害した暴挙というしかありません」
《そして、検察審査会の起訴議決については、東京地検が捏造した違法不当な供述調書と捜査報告書に基づく「誤った判断」と指摘し、「その正当性が失われたことが明白」として改めて主張する。声は大きいままだ》
被告「私にはいかなる点でも罪に問われる理由はありません。私は無罪です」 《そしてもう1度繰り返す》
被告「私にはいかなる罪にも問われる理由はありません。政治資金規正法の言う『虚偽記載』に当たる事実はなく、ましてや私が虚偽記載について元秘書と共謀したことは絶対にありません」
《無罪を主張した小沢被告はさらに続ける》
「東日本大震災からの復興は丸1年経っても本格化するに至らず、福島第1原子力発電所の事故は依然として収束の目途すら立たず…」
《さらに、円高による国内経済の不安、欧州の金融危機による世界恐慌の恐れなど世の中の問題を次々と挙げ、「立て直しは一刻の猶予も許されない」と危機感をあらわにした》
被告「そのためには、検察、法務官僚による政治の壟断(ろうだん)に即刻終止符を打ち、速やかに政党政治に対する『国民の信頼』を取り戻して、議会制民主主義を機能させねばなりません!」
「裁判長はじめ裁判官の皆様におかれましては、見識ある公正なご判断を下されるようお願い申し上げ、私の意見陳述を終えます」
《小沢被告はこう述べた後、裁判長らに「ありがとうございました」と大声で礼を述べ、深く一礼して席に戻ると、大声を出し声がかれたのか、右手で喉をさすっていた。判決は、4月26日午前10時から言い渡される》
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