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2012年3月11日 (日)
震災・原発事故1周年被災者に巨大増税の要請
2011年3月11日、午後2時46分、最大級の地震が東日本を襲った。次いで、巨大津波が押し寄せた。さらに地震と津波ですべての電源を失った東京電力福島第一原子力発電所が放射能事故を引き起こした。
地震、津波、核暴走は、未曽有の被害をもたらした。
死者・行方不明者は関連死を含めて2万人を超えた。全半壊した家屋は38万戸以上、いまなお、34万人以上の人が全都道府県に散らばって避難し、11万7000人が仮設住宅に暮らしている。
いまだに、学校施設を利用した避難所で、十分な寝具もなく暮らす人も多数存在する。
1年の時間が経過したが、復旧・復興は遅々として進まない。
3.11を境に時代は変わったのに、まだそのことに政府が気付かない。
最大の象徴は、計画停電と前のめりの原発再稼働姿勢、そして巨大増税提案だ。
政府はやるべきことをやらずにやるべきでないことを推進している。
原発事故が発生したとき、政府がまず行わねばならなかったことは、住民の避難である。3月11日の夕刻には、メルトダウンの可能性がはっきりと認識された。
圧力容器、格納容器内の圧力を低下できなければ、水素爆発、水蒸気爆発が発生することが予想された。
この可能性を考慮して米国は、在日米人に対して、原発から80キロ圏外への避難を勧告した。
これに対して、日本政府が避難指示を出したのは、わずか3キロ圏内の住民に対してだけだった。
ベントの実施ができずに10キロにエリアを広げ、翌12日に水素爆発が起きて初めて避難地域が20キロに拡大された。
理由はカネである。避難エリアを大きく取れば政府の費用負担が増える。この費用負担を節約するために、避難エリアを圧倒的に小さく設定したのである。
菅直人内閣は国民の命よりも財政支出の節約を優先した。
時の官房長官が、いま、経済産業相として、日本のエネルギー政策の方向と東電処理の方針を決める最高責任者の地位にある。
政府は100億円以上の国費を投入してSPEEDIと呼ぶシステムを作った。原子力事故が発生した場合の、放射能飛散のシミュレーションを行うためだ。
このデータを利用していれば、多数の住民が高濃度被曝の犠牲者にならずに済んだ。高濃度被曝の影響が表出するのに時間がかかる。はっきり影響が分かるには20年の時間が必要だろう。その間、住民は恐怖と背中合わせに暮らさなければならない。
政府がこの情報の存在を確認したのちも、政府はこの情報を意図的に隠ぺいした。放射能の雲が首都圏に流れ込むことが予測にはっきりと表れたからだ。
この時点で、この政府は終わりである。
この政府は占領政府でも、専制政府でもない。民主主義国家の政府なのだ。政府が情報を隠蔽する権限はない。国民は真実を知る権利がある。
枝野幸男氏は、3月11日の19時42分に政府が原子力緊急事態宣言を発令したことを発表するに際し、
「これから申し上げることは予防的措置でございます」
と言った。メルトダウンの可能性が高まり、政府は半径3キロ以内の住民に避難措置を発表したが、このときは、
「これは念のための指示でございます。今の時点では環境に危険は発生しておりません」
と述べた。そして、ベントもできないまま夜明けを迎えた3月12日午前5時44分に、避難地域を3キロ圏内から10キロ圏内に広げた。その際に述べた言葉が、
「放射性物質を含む空気の一部、外部への放出が行われますが、管理された中での放出でございます」
「こうした放出に備えすでに3キロメートル圏内から退出をお願いを致しており、この管理された状況での放出には、10キロメートル圏外に出ていただいており、まさに万全を期すために出ていただいており」
である。結局、福島第一原発は3月12日15時36分、1号炉が水素爆発を引き起こした。この爆発を受けて、18時25分、政府は非難区域を10キロから20キロに拡大した。枝野幸男氏は
「なお、この第一原発にかかる避難指示につきましては、万が一の対応策として、二〇キロメートル圏内から退避していただくこととし、これまで同様、今回の措置で一〇キロメートルから二〇キロメートルの間のみなさんに具体的な危険が生じるというものではございません。念のため、さらに万全を期すための観点から拡大したものでございます」
と述べた。
完全なる政権の失策である。最悪の対応、国民の生命と健康を二の次、三の次に位置付ける政府の基本姿勢が明白に表れた。
危機管理の鉄則は、「安全策を取れ」である。
BE ON THE SAFE SIDE!
「賢者は最悪を想定して楽観的に振る舞う」
のだ。
「愚者は最善を想定して狼狽する」
のである。このときの政権といまの野田政権はまったく同質の政権である。
朝5時44分に避難勧告を出すのは、パニックを意図的に引き起こす措置である。
完全な電源喪失を受けた段階で、最悪、メルトダウン、水素爆発、水蒸気爆発のケースが想定されたはずである。
ビルのなかで不審物が発見されれば、全員を屋外に退避させて、爆発物処理班が慎重に不審物を取り除くだろう。それが、単なる箱であったとしても、全員を退避させる行動は正当化される。それが、最悪を想定した行動だからだ。
そして、SPEEDI情報は隠蔽された。首都圏からも各地でホットスポットが発見され、静岡の茶葉から放射性物質が検出されたが、SPEEDI情報を確認すれば、当然に予想されたことだ。
政府が、情報を隠蔽したことは、傷害罪に該当する可能性が高い。刑事責任を追及するべきである。
初動における国民の生命と安全の無視の責任は果てしなく重い。
そして、SPEEDI情報の隠蔽は刑事責任を問われるべきものである。
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