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7日、東京地裁での小沢公判で、指定弁護士による論告求刑があった。指定弁護士は弁護士の本分、即ち、弁護士法第1条「弁護士は、基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とする」を忘れている。その最たるものが、検察審査会の起訴相当による公訴を正当化したことだ。この公訴には、審査会による2度目の起訴相当決議の内容が、最初の内容と異なることと捏造報告書という二つの問題がある。
指定弁護士は、小沢弁護団が行政訴訟し、最高裁が「刑事訴訟の手続きで判断されるべき」とした「起訴相当決議の内容が違う」ことについての答えは、答えになっていない。「まずそもそも、検察審査員が証拠の信用性について錯誤に陥った、すなわち証拠評価を誤ったとしても、そのために検察審査会の議決が無効になることはない、というべきである」と述べた。内容が違っても「2度目は2度目」と言うのだろう。
また、捜査関係者や裁判関係者でも、証拠の判断を誤ることがあるのだから、素人の審査員が間違えることはある。だから公訴の手続きは正当だとも主張している。さらに指定弁護士は「検察審査会法には、検察審査会の議決が無効となる場合の定めはない」と述べ、公訴を引き下げることができないと述べた。最高裁が「刑事訴訟の手続きで判断せよ」という判断を無視した論理展開で、公訴の正当性はどこにもない。
田代検事の捏造報告書については、「仮に検察官が検察審査会を誤った方向に陥れようという意図があったとしても、検察審査会はその意図に影響されて議決を左右するはずはない」という信じがたい論理展開をした。どこからこういう発想が出てくるのだろう。検察審査会は、検察からの捏造報告書(=石川供述)が信頼できるとして、起訴相当決議をしたのだ。まともな弁護士ならその決議の正当性に疑問を持つ。
誰もが捏造報告書作成の目的は、検察審査会での強制起訴を目論んだものと考える。指定弁護士が主張するように、それが議決に影響しないのなら、地検はわざわざ法律を犯してまで、虚偽文書を作成する理由がないだろう。田代検事が告発されているにもかかわらず、検察庁がもみ消そうとするから、こういう詭弁を弄することになる。
指定弁護士が最悪なのは、錯誤で起訴されても【裁判官が正しく判断すればいい】と開き直ったことだ。とても「基本的人権を擁護し、社会正義を実現する」弁護士の言葉ではない。公判は検察審査法より上位法の刑訴法の下で進められている。その訴因が捏造報告書で否定された時点で、刑訴法第338号第4号に従い、判決の前に公訴棄却を選ぶのが弁護士に課せられた社会正義だろう。違うと反論できるのか。
指定弁護士は、肝心の訴因についても、自ら招いた証人が「土地の登記日を代金支払日としたことは会計学上正しい」とした証言を無視し、私法(民法)の解釈上「土地代金を支払った日に資産として計上すべき」と述べた。民法は土地の権利が争われた場合、どの時点で権利が移転するかの話であって、会計書類を作成する話とは違う。会計上は、登記が成立するまでは、土地代金は「仮払い」勘定に計上されるのだ。
しかも論告には、謀議の日時や場所、そこでの会話などの事実を示す直接証拠は全くない。「秘書が独断で実行した可能性が無ければ、被告の加担が認められる」と論告したが、これを意訳すると「秘書が収支報告書への虚偽記載を実行した可能性が認められなければ、被告人が本件に加担したことになる」となる。そして、秘書には虚偽記載をしても利がないから、被告が指示・了解したに違いないと推認論告した。
ジャーナリストの江川紹子さんは、「証拠に基づいて主張を行い、起訴事実の立証責任は検察側(指定弁護士側)にある、という刑事裁判の原則を、まったく無視した論告。率直に言って、聞いていて法律家の文章とは思えなかった。『…だから怪しい』『…だから関係しているに決まっている』というゴシップ記事のレベルと言わざるをえない」と酷評しているが、当にその通りである。
法廷作戦上、自らの証人が都合の悪いことを証言した場合、その証言を無視することが許されるとしても、裁判の原点である訴因についてそれはないだろう。また、刑事裁判の原則を無視して論告してよい訳がない。しかも検察の捏造書類で公訴された裁判なのである。そんな偽りの公訴でも、裁判で無罪になるならそれでいいだろうと言う。こういう弁護士の存在を許すことが、冤罪を生む最大の原因なのだと思う。
そして最後に問題にしなければならないのが、マスコミの報道姿勢だ。10日の毎日新聞は一面上段に「小沢被告禁錮3年求刑」と大きく報じ、並べて、検察官役「反省の情ない」と報じた。無罪を主張する者が、どうして反省しなければならないのだ。そんなアホなことを仰々しく報道しながら、肝心の論告が【刑事裁判の原則を無視している】ことについては、一行も報道しない。今のマスコミがジャーナリズムと言えないのは、こういう報道を続けるからだ。
http://www.olivenews.net/news_30/newsdisp.php?m=0&i=12
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